東方憑鴉録   作:きりがる

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前々から気になっていた十年間を書いてみました。話し的には第12話の後です。
流石に十年みっちり書くと何話も続くので、一年のうちのちょっとした話だけを書くことに。
 
……まじめに書く? ヴァカめ! 私が真面目な文章書くわけがなかろう!

というわけでラフな文章ですみません。でも書いてて楽しかったです!
そして今までで一番文字数が多いというね…あはは。

ま、まあ息抜き程度の話なので軽く読んでください。真面目なのを期待していた方はすみません。
あ、でも今までの話を読んでもらったら真面目になるはずがないなんてわかるか…じゃあいいか!

というわけで、期待は持たず暇つぶし程度にどうぞ!


番外編
十年間 カラス、吸血鬼と楽しい生活


 では俺達が過ごした十年をダイジェストでご覧頂こう。

 

 

 

“一年目”

 

 

 

 さてそれではフラン君、君の狂気はなくなったのでこれから常識を教えていこうと思う。

 

「分かりましたせんせー!」

 

 宜しい。ではまずは力の使い方を知り、掌握できるようになろうか。

 

 というわけで早速だけどタイム! 考える時間をくださいな!

 

「いいよー。じゃあ私は撫でさせてもらうね?」

 

 手加減してね? 絶対だよ、絶対だからね? 間違っても握りつぶさないようにして欲しいんだけど!

 

『フリってやつ?』

 

 ガチだよ!!!

 

 フランの手の感触にドキドキ(シニタクナーイ!)しながら力加減の方法を考える。

 むむむ……第一段階は大雑把に力を緩めるところからだけど…これは俺を撫でることでいいだろう。怖いけど。怖いけど! 大事なことだから二回言ったぞ!

 

 じゃあもうあれでいいや。いきなりクライマックスでいいや。

 

 それにしても、此処は誰にも見られていないので人化してもいいんじゃないだろうか。そっちのほうが教えやすいし、対処しやすい。

 

 というわけでコウヤ進化! 人型コウヤ!

 

 フランの手から離れて能力によって人化する。その姿は生前と同じ姿である。

 

「え…? え!? 人になった?」

「そうだぞ。よしフラン、これで色々しやすくなった。まずはこれの扱いに慣れてもらおう!」

 

 そう言って手渡したのは二本の木の棒。それは片手で操り、挟みこむことで物を掴む……そう、チョップスティックスだ! あ、箸です。はい。

 

「使い方分かんないんだけど…」

「あ~…これはこうしてだな…」

 

 丁寧に使い方を教える。うむ、上達が早いな。と思っていたら、「あ」という小さな声とともにばきりと箸が折れてしまった。

 

「ごめんなさい…」

「いいさ、幾らでもあるし」

 

 それより薫さんや、さっきから横でずっと顔を見てくるけど、なんなの? 見つめないでくれない? 恥ずかしいから。

 

 それから一時間、箸の使い方をフランはマスターした。力加減もである。天才か。

 

「やったよ、お兄ちゃん!」

「おー! おめでとうフラン! ん? お兄ちゃん?」

「うん。駄目?」

 

 上目遣い…! ゲフッ! び、美少女にこれをされるとと、吐血が……!! あ、こら口元舐めるな! 血か!? 血がいいのか!? うっとりするな。美味しかったですか、そうですか。

 

 ……お粗末ッ! 

 

 とりあえずこの豆掴んでみろ。俺は能力で作ったパソコンでアニメ見て戦闘方法学ぶから。

 

 

 

“二年目”

 

 

 

「ハァッ!」

「まだまだ!」

 

 フランの伸ばした爪が俺の隙を狙って斜めしたからえぐり込むように迫ってくる。しかしそれを俺は膝で蹴りあげて避け、ガラ空きの胴体に五連釘パンチを叩き込む。

 

「ぐッ!?」

 

 ドドドドドッ! と連続で衝撃がフランを襲い、壁に減り込んだ後に二回分の衝撃で更にめり込む。口からは血が少し出ており、顔を歪めていたがまだまだ余裕そうだった。

 

 ガラリとフランが出てくる。そして無造作に手を突き出したと思ったら、魔法陣を幾重にも展開して発動する。出てきたのはメラゾーマ。それが幾つもだ。

 

 地下の部屋でするなって? 大丈夫だ、拡張してそこそこ広くしてある。

 巨大な火の玉を地面を変化させて盾にして防ぎ、数多の風刃で微塵切りにする。

 

 そしてメラゾーマの後ろから出てきたフランは、握った拳で打撃を繰り出す。とっさに左腕でガードしたのだが、来た衝撃は二回。それも一瞬でだ。二重の極みか。

 

 バキャッと骨が粉々になる感覚を受けるとともに前蹴りで蹴り飛ばしてから南斗翔穹鵬弾で追撃。爆発とともにフランは気絶した。

 

「ふぅ…数時間ぶっ続けでの戦いはキツイな」

『でも慣れてきたでしょ?』

「まぁなー」

 

 はい、こんにちは! 二年目は戦闘を入れていこうと思います! フランも吸血鬼なので強いのだが、色々荒すぎる。

 

 それでもアニメとか見させて沢山学ばせたけどね~。常識? 教科書とネットで全部教えた。ネットマジ便利! 能力最高!

 

赤ペン先生は俺達の先生。尊敬してまっす。

 

 それになんで俺がフランに勝てるか、だろう? 流石に人間の体のままだと弱すぎるから能力で魔改造したんだよ。じゃねえと死ぬわ。

 それと視覚と聴覚で得た情報を変化させて体に馴染ませた。技術は簡単に得たのだ。後は実際に戦ってみるだけ。だからフランと毎日アニメ見ながら戦っていたってこと。

 

『それよりそろそろ僕も人化したいな~…なんて』

 

 お、それもそうだな。フランと仲良くしてやてくれ。

 

『あ、できれば女の子にして欲しいな!』

 

 え? なんで? というかもう女の子のような姿じゃん。

 

『いいから!』

 

 はぁ…まあいいけど。フランが女の子だから? というか、なりたい自分をイメージしてくれたらそれになるぞ? 薫のイメージに合わせて変化する。

 

『よし…バッチコイだよ!』

 

 じゃあ能力発動っと。目の前の薫は薄っすらと光り、だんだん体の輪郭が出来たと思ったら、生者と同じくらいの存在感を持つようになり、人間となった。チートだな。

 

 もともと男の娘だった薫は、いつも浮いているためによく分からなかったが俺の頭半分低い身長であった。

 イメージして変わったのか、髪は少しだけ伸びて肩の下程度であり、体は丸みを帯びて女らしい体型になっている。

 

 しかもスタイルいいんだけど……。天魔より少しだけ劣る程度であり、大きな胸は着物を押し上げ、腰は折れそうなほどに細くなり、帯によってそれがよく分かる。

 そして臀部は大きく突き出ていて安産型。ボンキュッボンですな。憧れてたの? 

 

 着物も変わっていて黒色の着物を着ており、長く綺麗な脚が太ももから見えている。あれだ、ぶっちゃけ黒歌と同じような着物だ。

 

 脚は出してるけど、肩は出していない。でも大きな胸は大胆に上側が見える感じ。

 

「あは、自分の身体だ! コウヤ~! やっと触れれるよ~ッ!」

「うわっ!?」

「ん~♪」

 

 胸元にダイブしてきた薫を受け止めると同時に尻餅をつき、倒れてしまった。そして薫はと言うと少しだけ涙を流しながら俺の胸に頬ずりしていた。

 

 あばばばば…お腹に途轍もない柔らかい感触がががががg……

 

「う~ん……」

 

 あ、フランが起きた。薫を紹介しないとな。

 

 

 

“三年目”

 

 

 

「ちょっと待ちなさいフランさん。あんた何入れようとしてんねん」

「え? 私の血だけど?」

「なに当たり前だろ、みたいな顔して言ってんの!? 赤いプリンになるだろうが!」

 

 薫も止めろよ!

 

 そう思って薫の方を見てみると、小さな寝息と幸せそうな顔で、俺が作ってやっただき枕を抱きしめて寝ていた。あら可愛い…じゃなくって!

 

「それを俺に食べさせる気じゃないだろうな?」

「愛情込めて作ってます!」

「込めすぎなんだよ! ヤンデレか!」

「じゃあ唾も入れとこう。ん……」

「止めなさい! って、入れたし! お前最近アナーキーすぎるぞ!」

「てへぺろっ」

「可愛いからムカつくぜ…!」

 

 

 

“四年目”

 

 

 

「いいか、フラン。これから問題を作るからそれに答えろ。正直にな」

「うん!」

「なんかまた余計な問題作りそうだよ…」

 

 失敬な。ちゃんとした問題しか作ってないじゃないか。それに、思いやりのある子になれるように問題を作ってるんだぞ! 

 

 まあ、俺がもともとまともな人生歩んでなかったから、その問題の答えが正しいかどうかは知らないが。

 

 Q、子供が目の前で泣いています。どうしますか?

 A、修造になる。諦めんなよ!

 

 更に泣きますね。

 

「問題。荷物を沢山持って、重そうにしているお婆さんがいます。周りには貴女しかいません。どうしますか?」

「話しかけて、荷物を持って、家の場所を聞き、お婆さんを置き去りにダッシュで家に行く。勿論、お婆さんは居ないからそのまま荷物は私のものに!」

「なりません。実はそのお婆さんはジェットババアで、むしろ追いぬかれて笑われ、貴女は荷物持ったまま逃げようとして追いつかれてしょっ引かれてしまいます」

「な、なんだってーーッ!!?」

「やっぱりくだらなかった…」

 

 どうした薫。頭痛いのか? 撫でてやろう。

 

 サラサラの髪を優しく撫でると蕩けてしまったので続きと行こうか!

 

「第二問。

婆「赤ずきんや…私が食べられても、泣くんじゃないよ…」

赤「お婆さん…! 私…!」

狼「グハハッ! 丸飲みだぜ! 婆さんが呑まれるのを見て絶望に打ちひしがれていろ!」

鴉「イッキ! イッキ! イッキ!」

赤「黙ってて」

鴉「ウイッス」

婆「あぁ…最後にあたしが作った最高傑作のケーキ…赤ずきんと食べたかったよ……一生に一度、食べれるかも分からない材料で作ったのさ…」

狼「黙ってろ! 食いにくいだろうが!」

婆「あれは本当に楽しみにしていたのに……赤ずきんや、コウヤと一緒に食べなさい…」

赤「お婆さん…私…言わないといけないことがあったの…」

鴉「奇遇だな…俺もだ…なあ? 赤ずきん」

赤「うん」

 

 ゴクリゴクリンコと飲まれていくお婆さんは、ついに手だけしか見えなくなり、消えていく。それを見ながら鴉と赤ずきんは同時に言った。

 

赤&鴉「「あのケーキ…お婆さんに黙って全部食べちゃった! てへぺろっ♪」」

婆「なあぁぁぁぁあああぁぁんだあぁぁぁぁああぁっっっってぇええぇぇぇぇっっ!!!!????」

 

 メリメリメリメリッッッ!!!!!!!

 

狼「グアァァァアアアァァァアアァァアッッッ!!!??!!?!?」

赤「美味しかったよね~♪」

鴉「ね~♪」

婆「貴様らァアアァァァッッ!!」

 

 狼の腹を両手で突き刺して引き裂き、穴から出てくるクソババアは血塗れで鬼の形相。物凄く怖い。

 それを見て赤ずきんと鴉はお互い顔を見合わせ、ダッシュで逃げる。物言わぬ狼。あぁ、哀れ。

 

 それを追いかける血塗れのクソババア!

 

婆「ジェットで追いかけるさねッ!!!!」

 

 貴女はどうします?」

 

「ジェットババアなの!? 連続で出てるじゃん! コウヤもゲストで出演!?」

「赤ずきん…お兄ちゃんと駆け落ち……ドコノドイツカナ?」

「そっち!? ツッコミはそっちなの!? フラン!」 

「学校のクラスメイトのお母さんのお姉さんの娘さん。高校三年生、岸崎綾子だ」

「誰なの!?」

「元カノ」

「え…?」

「コロスッ……!!」

 

 嘘だよだからこっち来んな二人共!!

 

 

 

“五年目”

 

 

 

「ぶっちゃけ、もう戦闘やのんびりすること以外なくなってきたので、雑学や勉学を教えていきたいと思います!」

「魔法のお勉強ならお兄ちゃんとしたよね?」

「それ以外だ。国語数学理科社会生物物理保健体育生理学解剖学etc……色々ですな」 

「へ~。それって僕も習っていいかな?」

「勿論だ。二人共みっちり教えてやるから頑張れよ?」

「うん! 薫お姉ちゃん、頑張ろうね!」

「そうだね!」

 

 さて、何から教えていこうかな? 数学とかでいいか。まずは算数からだけどな。気分は小学生の先生である。

 大きな生徒を持ったものだ。特に薫。お前は小学生の括りではない、大学生だ。身体がだけど。

 

 ノート、シャーペン、教科書を能力で用意して手渡す。二人共天才なので楽しい勉強ができるだろう。

 

 この一年は勉強だな。つまらん。

 

 

 

“六年目”

 

 

 

「春眠暁を覚えず…zzz…」

「春じゃないけどね……zzz…」

「もうお腹いっぱい~……お兄ちゃんを食べ残しちゃう……zzz…」

 

 zzz……ッ!?

 

「ッ! 怖いわ! なんて夢見てんだ!」

「ふぇ……?」

 

 夢で喰われてた!?

 

 あ、一年中寝てたわけじゃないぞ? 一年のうちのとある一日だ。

 

 

 

“七年目”

 

 

 

「地下に温泉作ってもいいかね?」

「後で消せばいいと思うよ?」

「温泉~♪」

 

 地底深くにある湯源を探り当て、そこまで変化させて作った管で繋ぐ。冷やすための水は魔法で作り流すのだ。

 

 まずは床に線を引きます。ん~…三人がのんびり出来る程度でいいかな? よし、フランやってくれ!

 

「あいあいさー! レーヴァテイン!」

 

 予め出していたレーヴァテイン(魔改造ver)線内の床を焼き溶かす。ガラス状になった地面をゆっくり冷やして加工し、お湯を零れないようにしてから温泉を管から投下!

 

 モワッと部屋中が湯気で染まり、身体に纏わりつく。そして水を投入。うむ、いいお湯かげんだ。

 

「よ~し、入るか!」

「うん!」

「僕、初めて入るかも」

 

 にごり湯かな? 中は入ったらよく見えないんじゃないだろうか。

 

 タオルは人数分ある。服を脱いでからタオルを腰に巻き、使ってから取る。フランも薫も何やら恥ずかしそうにタオルで身体を隠していたが、入ってから取った。

 

「ふぅ~…生き返るなぁ」

「気持いいね~…」

「むむむ…薫お姉ちゃん、大きいね。抉ろうかな?」

 

 ジャキン!と爪を出すフランを慌てて止める。

 

「やめろ、俺のおっぱいに何をする」

「僕のだけど!?」

「私は小さいから憎くなって」

 

 落ち着いたフランが脚の上に乗ってきて寛いでくる。おぉう、ダイレクト…

 

 それにしてもな~…な~んか物足りない……アヒルでも出すか。サモン! 

 

 ポンッ! と黄色いアヒルが湯船に召喚される。

 

「アヒル隊長! こんにちは!」

「アヒル隊長! ごくろーさまです!」

「アヒル隊長! お疲れ様です!」

 

 ……………ぷか

 

「………………………オツカレサマダ」

 

 ……ッ!? 

 

「「「喋ったぁッ!?」」」

 

 ニヤリとアヒル隊長が笑った気がした。

 

 

 

“八年目”

 

 

 

「そろそろお兄ちゃんを襲おうと思うのです」

 

 ……家の妹は何をほざいているのかな? かな? 

 

「だって何年も一緒に寝てて手を出さないって……ねえ?」

「い、いやフラン? 流石にコウヤも子供には手を出せないと思うんだけど…」

「私、二人より長く生きてるよ?」

「「そうだった…」」

 

 薫に肩を揉まれながら珈琲を飲んでいると、フランはよくわからないことを言ってきた。なんでその結果に至ったの? 馬鹿なの?

 

 確かに保健体育で性の勉強をしたけど…それだけじゃないような…。

 

 あれか! さっきの戦闘で頭強く打ったからか! やっぱりラカンインパクトは駄目だったか~。強すぎて嘗てないほどにボロボロになってたし。

 服新調したもんな。部屋の修理が大変だった。

 

「それに某人形大好き狗神さんも言ってたよ?『一つになりましょう?こ◯な様。貴女は私、私は貴女…』」

「あ、あぁ……で?」

「一つになろう? お兄ちゃん。貴方は私、私は貴方!」

「それ取り込まれるやつだろうがッ!!!」

 

 ダッシュで逃げた。

 

「逃げるんだよぉーー!」

「待ってよ! 200円あげるから!」

「200円で手を打てと!?」

「薫お姉ちゃんとは三日に一回してるくせにーー!」

 

 バレてた!? 寝てるの確認してから薫の誘惑に負けてたのに! いや、負けちゃいかんでしょう。もう遅いけど。

 

 追ってくるフランにモアイとポパイ投げつけて逃げた。なんか発音が似てるよな。

 

 

 

“九年目”

 

 

 

「今日こそ! 今日こそお兄ちゃんに勝つんだからッ!!」

「来い、我が愛しき妹よ! 兄より優れた妹など存在しないのだ!」

「私が超えるんだもん!」

「来てみるがいい!」

「このフランドール、容赦せん!」

「覚悟はいいか? 俺はできてる!」

 

「「デュエルッ!!!」」

 

 互いの身体から闘気が溢れだす! 二人で睨み合う中、先に動いたのはフランだった。吸血鬼の並外れた身体能力はこの九年で倍以上にも強くなっている。

 

 バゴンッと地面が踏み込みによって陥没すると同時に、フランはこちらに飛び出してきた。

 ブレない重心、無駄のない動き、繊麗された技術。これらが全て合わさり、勝てるものなどいるのか怪しいほどに最強へと昇華される。

 

 しかし、そこで応対するのはカラスことコウヤの俺。今は人間の姿ということもあり、腕も脚も自由に動かせる。

 

 フランの振りかぶった腕が尋常じゃない速度で振られるのを見ながら、俺も同じように腕を振るう。

 

 小さなフランの手と少しだけ大きい俺の手が交差する、その一瞬の間で決着は決まる!

 

 パシリ…動きにあわない、小さな乾いた音が部屋に響き渡った。

 

「くそぅ…ちくしょー!」

「ふふふ…ハハハハッ!! 俺の勝ちだ、フランドール」

「…………」

「ふっ、赤子を殺すより楽な作業よ。最高にハイってやつだ!」

「次は…次は負けないんだからぁ!!」

 

 負け犬であるフランは走り去る。戦いは…勝利とは、勝者を決めるのではなく、敗者を決めて終わるのだ。走り去ったフランは薫の大きな胸にダイブした。

 

 俺は勝ち取って手の中にある、ソレを見る。

 

「……仕方ない。ほら、フランにもやろう」

「……本当?」

「ああ。敗者は勝者の言うことを聞け」

「うん……ありがとう」

 

 バキリと…無理やりソレを真っ二つに叩き割る。俺とフランはソレを手に持ち、小さく微笑む。

 

 あぁ…癒される。勝利とソレによる甘美なる至高は身体に染み渡るようだ。

 

「まぁ…僕の作ったクッキーの最後の一枚だけどね」

「「うまうまっ♪」」

「可愛いなぁ、もう!」

 

 

 

“十年目”

 

 

 

 部屋を元通りにし、引っ越し準備完了!

 

『引っ越ししないけどね~』

「カァ?」

 

 俺も薫も元の姿に戻り、いつでも出れるようにしている。久しぶりだな~。

 

「お兄ちゃん、いいよ~」

 

 お、準備出来たか。

 

 これからフランの新しい人生が、生活が始まる。この部屋を出ればいいだけ。

 

「じゃ、行こっか」

「カー!」

 

 そう言って踏み出す。しかし、何か忘れてるような……

 

 フランが扉に手をかける。それを見て俺は思い出した。

 

 あ! 結界解くの忘れてた! 外出れないわ!

 

「ガクッ!」

『締まらないね~』

「クァ!」

 

 あはは、悪いね☆

 

 テイク2行こう、テイク2! な!?

 

「もう、お兄ちゃんったら」

『コウヤらしいけどね』

 

 そう笑う二人に俺も笑ってしまう。

 

 よし、結界も解いたし、行こうか!

 

「『うん!』」

 

 いざ、外へ!

 

「カー!!」

 

 

 




いかがでしたでしょうか。
コウヤはほとんど人型でいましたね。この話は普段のカラス生活とは違ったベクトルの話にしてみました。
ぶっちゃけ、カラスのままでいたらここまで話を書けなかったんじゃないかな~、なんて。

それじゃあコウヤ、これからはカラスでの生活になるけど、よろしくね。

「カァッ!!」(もう話は出てるけどな!)

それは言っちゃいけない!
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