東方憑鴉録   作:きりがる

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第7話 カラス、名前をもらう

 

 翌日、予想通り筋肉痛だった。鳥でもなるんだな……痛い。普通の身体であんな動きしたからか?

 

『ねえ、僕も感覚共有してるからさ……痛いんだけど』

 

 なんかスマン……そんなに辛いなら出てきて幽霊みたいになれば?

 

『………いや、君だけにこんな思いはさせないよ』

 

 薫、お前ってやつは……いい女だよな!!

 

『僕は男だけど!?』

 

 あ、そうだった。悪い悪い。それより筋肉痛だ…正直木の上とか辛すぎる。だから、痛みを我慢してなけなしの力を振り絞り、あの女の所にお邪魔したわけだ。

 

 着いた瞬間、まともに着地が出来ず、ダイブするように飛び込んだ。お陰で羽が辺りに散らばった。

 

「きゃっ!? な、なに……って、カラスさん! どうしたんですか!?」

 

 慌てて俺の所に駆け寄り、手で抱え上げてくれる。心配そうな顔を見ながら、俺は意識を失った。

 

 

◇◇◇

 

 

 ふと、羽などを撫でられている感触がして目を覚ました。辺りが既に暗い……俺ってどんだけ寝てたんだよ。

 

「あ、目を覚ましましたか? もう、心配したんですよ? 少し調べさせてもらいましたが、筋肉痛でしたよ。何したんですか」

 

 天狗と空中戦してました。ちょっと無理したのです。鳥も筋肉痛になるの?

 

 そう思いながら身体を少し動かす。どうやらまたこいつの太ももの上らしい。そこから飛び降りて、畳の上を跳んでみる。

 不思議と痛みを感じないのだ。

 

 首を傾げていると、その理由を教えてくれた。

 

「あ、私が持っている【変える程度の能力】で痛めた筋肉を筋肉痛の終った後の筋肉に変えたからです。っていってもカラスさんにはわかりませんよね」

 

 といって苦笑した。

 

 そう言えば、能力使えばよかったじゃん!同じ能力持ってるんだからさ。ていうか、チート過ぎだろう…つまりは筋肉痛の治った状態に無理やり変えたってことだろ?

 

 これは相当使える能力だ。無敵かもしれないな。

 

 伊達に知識蓄えていたわけではないからな、結構使えるかもな。

 

「カァ」

 

 と、お礼の意味を込めて鳴く。それを聞き、驚いているらしい。

 

「分かるのですね…改めて貴方が賢いとわかりました」

 

 そいつは良かった。

 

「それで、賢い貴方はいつまでもカラスって名前じゃ嫌でしょう? 名前をつけさせて貰ってもいいですか?」

 

 ほうほう、名前とな。そう言えば薫に名乗る名前もなかったしな、丁度いい。頷いてOKサインを出す。

 

 すると、考えだした。今から考えるのかよ……。

 

 流石に人間の時の名前は、ねぇ? それより、薫は? お~い?

 

『う~ん……あ、目が覚めたんだ』

 

 ああ、ていうかお前も寝てたのか?

 

『うん。僕も痛さで意識を失った感じだね。お揃いだよ』

 

 そんなお揃い要らないけどな。

 

『それより、今はなに? どうしてるの?』

 

 ん? あ、俺の名前つけてくれるらしいんだよ。今考え中。

 

『へぇ! いいじゃない! かっこいい名前がいいね!』

 

 そうだな。変な名前だけは勘弁願いたいぜ。っと、どうやら決まったらしい。

 俺を両手で抱き上げて、目の前まで持って行き目を合わせてくる。

 

「貴方の名前はコウヤです。どうでしょうか?」

 

 ッ!? ……偶然とは恐ろしいな、生前と同じ名前なんて……。

 

「カァ!」

 

 断る理由はあるまい。一生懸命考えてくれた名前だ、生涯背負っていこうじゃないか。これで二度目だしな。今度は手放さない。

 

「ふふふ…気に入ってくれたようですね。せっかくですから……」

 

 俺の脚に付いているリングに触れて何かした。見てみると、『コウヤ』と掘られていた。リング自体を変化させたのだろう。

 

 なるほど…これで他の奴らにも分かってもらえるな。

 

 納得した時、襖が叩かれる音と共に声が聞こえた。

 

「天魔様、少しいいでしょうか?」

「あ、はい。少し待ってください」

 

 俺を下ろして立ち上がる天魔。というか天魔って……一番偉い人じゃないのか? うっわ、俺の名付け親って超大物だったんだな。

 

「では、コウヤは少し待っていてくださいね」

 

 そう言って出て行った。

 そうだ、薫、名前決まったぞ。

 

『うん、聞いてたよ。改めて、よろしくねコウヤ!』

 

 ああ、よろしくだ。

 

 こうして、名前をもらった俺は帰ってきた天魔の大きな胸に抱かれて押しつぶされながら、今夜はこの部屋で寝た。

 

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