十年間(現実は数分)いた部屋を飛び出し、螺旋階段を飛翔しながら上がっていく。少ししてから扉についた。
それをフランに開けてもらい、廊下に出る。力の使い方はマスターしているので壊したりはしない。最初の頃は苦労したよ……力加減がわからないから何でも壊してしまってなぁ……そのたびに俺が修復してた。
そういえば、まだ戦闘音が止んでいないな……本当に数分で十年過ごしてたんだな。
おっと、フランよ、何処に行く?
「えっとね……なんかまだ戦ってるみたいだからパチュリーのところ行こうと思うの」
時間潰し的な? ま、道順はわからないから頼むぜ。
「うん。任せてよ」
そう言って歩いて行くフランの肩に止まり、俺は楽する。あ~あ、大空飛びたいなぁ……十年まともに飛んでない。
暫く歩いてから行き着いた先は大きな扉。どうやらここらしい。
「パチュリー? こぁ? 居る~? お邪魔するよ~」
ガチャッと開けながらフランが入る。入ったところは滅茶苦茶でかい図書館。果てしなく続く本棚に、何万何億あろうかという数の本…でもちょっと埃っぽいかな。
フランの声を聞いて反応したのが二人。机にブックタワーを築き上げ、椅子に座って本を読んでいたらしい紫の少女と頭に小さな羽根を生やした少女。また美少女か……この世界は男の夢の塊か?
「え?」
「フラン…? なんで此処に……」
「あ、いたいた」
目的の二人を見つけたようで、フランがそこに歩いて行く。近づくに連れて顔が険しくなっていく二人……トイレか?
『違うと思うなぁ……』
だろうね。ついに目の前に来たフランに二人が緊張しているのが分かる。そのふざけた緊張をぶち殺したのは…我が家のムードメイカーであり、第二の最強戦力であるフランさんだ。
今更だけど、どっちがどっちなのだろうか?
『いろいろぶち壊しだよ…。こぁが赤い娘でパチュリーが紫の娘じゃないかな?』
なるほど…そんな気がする。
それよりフランだ。机の前まで来たフランは自然な動作でもう一つの空いている椅子に座った。
「あ~、憑かれた……間違えた、疲れた」
「「………え?」」
「あ、二人共久し振りだね! 元気にしてた? って言ってもパチュリーは相変わらずだね。もうちょっと動かないと体に悪いよ?」
「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」
なんでだろうか、二人があり得ないものでも見たかのように固まってしまっている。
「あれ? 動かない? ……ま、いいか。ちょっと戦い終わるまでここで暇潰させてね?」
そう言って机にあった本を一冊取り、読み始める。
大丈夫、家の娘にはちゃんと知識は付けましたので! ちゃんと他人の身体も心配できるくらいいい子に育てました。
本も久し振り。フランが読んでいるのは『重力魔法を極めよう!~応用編~』である。
「お兄ちゃん、重力魔法をかけながら動いたら良い修行になると思わないかな?」
それはいい考えだな。重しをつけて動くことで、それが外れた後は素早さなんかが跳ね上がるんじゃないか?早速やってみようぜ。
「うん!」
嬉々とした表情で机から離れて広い所で魔法を使う。フランの部屋には基本の魔法を学べる本があった。読んでないから埃まみれだったが。
魔法なんて基本がわかればこっちのもの。後は自力で研究するだけである。俺の知ってるアニメなんかの魔法も試したが、上手く行ったしな。
本当にフランは俺のせいでチートと化してしまった。現代知識最高である。
本に乗っている呪文をブツブツと小さく唱え始める。
「ッ!? ダメ! フラン、止めなさい!!!」
今頃気付いたパチュリーだが、もう遅い。完成した魔法陣は俺達を下から上へと通り過ぎて行った。
魔法はちゃんと発動したらしく、身体が凄い重くなった。
フラン、何倍にした?
「ぐっ……私が百倍ほどで、お兄ちゃんはカラスだから三十倍程度かな? それにしても…動きづらいね!」
全くだ……フラン、肩に俺がいると重いだろうから離れよう。
膝を付いていたフランから離れるが、身体が重すぎて上手く動けない。なんとか飛べるくらいだ。
膝を付いていたフランも次第に慣れてきたのか、直ぐに立ち上がった。
ていうかこれ、椅子に座れなければ机にも止まれないよな?
「あ、それもそうだね。まあいいかな? なんとかなるって」
それもそうだな。あ、本返しとけよ。もう覚えたろ?
「うん、重力魔法は完璧」
さすがフラン、抜かりない。そうして本を持ったままパチュリーに近寄り、本を返す。
「はい、これありがとう。返すね」
「え、ええ……………」
呆然と本を受け取るパチュリーに、未だ動かないこぁ。これは一体どうしたものか……。
しょうがないので俺の出番である。ひと鳴きして、目の前を飛び、翼をバサバサと動かして意識を呼び覚ます。
「「きゃあっ!?」」
お、どうやら戻ってきたようだ。重力によって重くなったフランと俺は椅子なんかに座らず、床に立ったままである。
「あなた…本当にフランなのかしら?」
失礼なやつだ。
「当たり前じゃない。私は私…フランドール・スカーレットだよ? 忘れちゃったの?」
「いえ、そういうわけじゃないのだけれど……凄い、驚くほど安定してる……それに雰囲気も変わって魔法まで……一体……」
十年前より幾らか大人っぽくなったフラン。俺を誘惑するなんてことを覚えたくらいだ。まあ、そこは薫が居たから無問題。
情事には至りませんでしたよ、ええ。
「それとそのカラスはなに? 何でいるのかしら」
「ただのカラスだよ?
ふはははは、フラン…主も悪よのう……。
フランのことはお姉様こと、レミリアと会ってから話すと言い、俺は少しパチュリーに調べられたがただのカラスと言われた。
それでも気になるようで、俺を見ながら唸っていた。無駄無駄無駄無駄無駄ァ!!
俺を抱き上げようとしたこぁも、持ちあげられずに断念。無駄である。今の俺は超重い! 能力で更にドン!
そう言えば、暫く戦闘音もしてないので皆でレミリアのもとに行くことにした。
さて、仲直りできるかな?