東方憑鴉録   作:きりがる

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本編が未だ書けてない…でももう一つの作品は投稿してるのに一ヶ月もこっちは無視はヤバイかな?
……と思って書いてみたのがこちら! 

~問題児たちと一羽のカラスが異世界から来るそうですよ?~

です! 続くのかは不明ですけど、まあこんなのもあってもいいかなって思って。

では、どうぞ!


問題児シリーズ 問題児たちと一羽のカラスが異世界から来るそうですよ?

 

 いつも通り、幻想郷をふらふら飛び回っていた俺はアリスの家に帰ってくる。

 器用に嘴で窓を開けて中に入り、アリスが俺のために作ってくれた寝床に入ろうとしたところで……

 

「カァ?」

 

 机に手紙が置かれていることに気づいた。

 

 周りをキョロキョロ見てみるが、誰もいない。おかしいなぁ…俺とアリスは同時に家を出て戸締まりもしっかりし、俺が先に帰ってきたはずなのに、なんで無かったはずの手紙があるのだろうか。

 

 大体この家に手紙自体来るのはかなり稀だ。

 

『見て見てコウヤ。この手紙、コウヤ宛の手紙だよ』

 

 はぁ? カラスである俺に手紙を出すような奴なんて居るわけ無いだろう? フラン以外、誰ともまともに喋れないのだから。

 

 そんなことを思いつつも、薫に言われた通り見てみる。そこには確かに『八意 鋼夜様へ』と書いてある。本当に俺宛の名前だ。うむむ…どこのどいつだ。差出人が書かれてないじゃないか!

 

 俺の名前は生前が鴉間鋼夜で、カラスに憑依した今が八意鋼夜だ。コウヤと呼ばれているが、八意の名は永琳に貰ったものである。俺の脚に嵌っているリングがあるんだけどさ、このリング呪われてるらしくて、名前貰ったら刻まれたんだよね。

 

 そして首にもリボンが結ばれている。これも永琳の髪を結んでいたやつなんだけど…まあ色々茶番があって、その際に輝夜が結んでくれたものだ。

 

 で、薫なんだが、これは幽霊です。元男の娘の現美少女な幽霊です。俺の魂と繋がっていて、俺にしか姿が見えません。あれだ、スタンドみたいなものか、俺にとり憑いている幽霊だと思ってくれれば。

 

 詳しいことはまあいいよな! 面倒くさいし!

 

 とりあえず手紙だ。

 小さな脚で動かないようにして、嘴でグイグイと開けて中身を取り出す。そして手紙を開いて上に乗って見てみる。

 

 何々? 

 

『えっと…“悩み多し異才を持つ少年少女に告げる。その才能を試すことを望むならば、己の家族を、友人を、財産を、世界の全てを投げ捨て、我ら“箱庭”に来られたし”って書いてあるね』

 

 そうだね。

 

 ふわふわと俺の上から手紙を覗きこんでいた薫が読んでくれた。

 

 来られたし。ぶっちゃけ、俺は全てを投げ捨てるつもりはない。この幻想郷は気に入っているし、家族のアリスとかフランとか天魔とか…友人も咲夜や永琳、紫など幻想郷に多くいる。

 

 悩みはない。才能もないから試そうとは思わない。だから俺は箱庭ってところに行くつもりはない! 大体、カラスの身で何をしろというんだよ。

 

『なんて考えている時期が、僕達にもあったんだよねー』

 

 そうだねー。問答無用だねー。

 

 今さっき考えていたことは、全て大空で考えていたことです。

 

 高度4000mから地上にダイブ! 怪我一つないぜ俺達! だって鳥だから飛べるし。

 落ちたとわかった瞬間、直ぐ様翼を開いてその場でブレーキ。そして周りにいた他の鳥に混じって飛びながら状況を把握。

 

 俺の下では三人の少年少女が落下している。大声で何かを言っている少年、猫を抱えている少女、気の強そうな少女。

 このまま猛スピードで落ちていくのならば、普通の人間なら一溜まりもない。いや…即死だろう。衝撃で身体がどんなことになるかなんて、想像するのは容易い。

 

 しかしその三人は、湖にぶつかる少し上で何かに衝撃を緩和されて、落ちても死ぬことはなかった。誰かが…俺達を此処に呼んだ者が仕掛けたのだろう。

 

『コウヤ…なんか今回は真面目に語ってるね』

 

 まぁね! ほのぼの行けるかな? なんて思ってたけど、ここから見る限り、戦いとかもありそうだしな! 

 

 ちょいと真面目に語る所は語って、はっちゃける所ははっちゃけるつもりである。薫もそのつもりで!

 

『はいはい。僕はコウヤと居られるならなんでもいいけどさ』

 

 あ、愛を感じる…! 心に来るような暖かい愛を感じる! 

 

『う、うるさいよ…! それに魂レベルで繋がってるんだから当たり前じゃん!///』

 

 照れる美少女は可愛い。

 

 さて、それよりも俺はどうしようか。目標としては幻想郷へ帰るということを一番にして…それにしても、なんでカラスの俺が呼ばれたわけ? 知らなかったのか?

 

 まあいいか。周りの渡り鳥みたいな皆と降りてみよう。

 

 

◇◇◇

 

 

 ばさばさと湖の近くに降りてもらい、お礼っぽい鳴き声を出すと皆も鳴き返してきて湖に着水。のんびり休憩しだした。

 

 そして俺はというと、周りは崖やら木やらが沢山あるので、湖の近くの一本の木に止まり、少年少女を眺めることにした。俺は本当に普通のカラスと何ら変わりないので、怪しまれることもないだろうなぁ…。

 

 お、カラスさんこんにちわ!

 

「カア!」

 

 うんうん、いい挨拶だ。お兄さん的にポイント高いよ!

 

『何のポイント制なのよ…』

 

 俺の中にいる薫に適当にポイント制を語る。ポイントが集まれば特典と交換できます! 的な?

 

 それにしても、飛んでいてわかったけどここも幻想郷並に自然豊かで、とてもきれいな場所だ。動物も多いみたいだし、良いところかもしれないな。まだ分かんないけど。

 

 そして俺はその中に紛れるちっぽけなカラス。リボンが巻いてあるから誰かに飼われてるのかな~、程度にしか思われないはず。

 そんなカラスがこの世界の鳥と戯れながら三人を…いや、四人を結構遠くから見ているなんて誰が思うだろうか。

 

 声が風に乗ってここまで届いているから大丈夫だ。それにしても、あのウサ耳美少女はなんで隠れているのだろうか。

 

『あれってさ、僕達を呼んだ張本人じゃない?』

 

 ん? あ、確かにそれっぽいな。じゃないと見てないだろうし。

 

 一瞬鈴仙かと思ったけど、色々違ったのでこの世界にも色んな種族が居るんだろうなぁ…妖怪だけじゃなくって。

 

 あ、声が聞こえてきたぜ。

 

「し、信じられないわ! まさか問答無用で引きずり込んだ挙句、空に放り出すなんて!」

「右に同じだクソッタレ。場合によっちゃその場でゲームオーバーだぜコレ。石の中の方がまだ親切だ」

「………。いえ、石の中に呼び出されては動けないでしょう?」

「俺は問題ない」

「そう、身勝手ね」

 

 俺も問題ない。薫が正拳突きで割って助けだしてくれる。

 

『無理だけど!? コウヤが実体化させてくれないと』

 

 であるかー。そーなのかー。

 

「まず間違いないだろうけど、一応確認しとくぞ。もしかしてお前達にも変な手紙が?」

「そうだけど、まずは“オマエ”って呼び方を訂正して。―――私は久遠飛鳥よ。以後は気を付けて。それで、そこの猫を抱きかかえている貴女は?」

「………春日部耀。以下同文」

「そう。よろしく春日部さん。次に、美人のくせに野蛮で凶暴そうなそこの貴女は?」

「高圧的な自己紹介をありがとよ。美人かどうかは知らねえが、見たまんま野蛮で凶暴な逆廻十六夜です。粗野で凶悪で快楽主義と三拍子揃った駄目人間なので、用法と用量を守った上で適切な態度で接してくれやお嬢様」

「そう。取扱説明書をくれたら考えるわ、十六夜さん」

「ハハ、マジかよ。今度作っとくわ」

 

 お、おや? 今何やら聞き捨てならないことが聞こえてきたぞ?

 

 え、なに? 少年だと思っていた人は少女だったってオチ? マジかよ…それなら学ランとか着てるんじゃ無えよ。間違えちゃうだろ。

 

 そんなことを思いながらその十六夜とかいう人を、視力を6.0まで変えて見てみる。

 確かに、そこにいるのは見間違えるほうがおかしいほどの美少女がいた。よく思えば髪も男にしては長かったし、声も高い。

 

 肩に届くまで伸ばした金髪は少しボサボサで、胸はそこに隠れている兎位大きい。薫並だな。くびれは学ランでわからないけど、脚はスラリと長い。美人さんだな。

 

 じゃあ少年少女じゃなくって、少女だけか。俺っ娘ですねわかります。嫌いじゃない。嫌いじゃないよ! 大事なことだから二回言ったぞ!

 

 そんなことを羽根の手入れをしながら考えていた。翼を広げて嘴で撫でる。

 あ、葉っぱ発見。摘んでポイ! 羽の中に何かあると違和感が凄いから気になってたんだよな。いつもならアリスとかに手入れされるけど、今回は急だったし。

 

 そしてどうも自己紹介が終わって、兎の…黒ウサギの叫びが森に響き渡った後に、しばらく観察していた俺は木から飛び立ち、ここから去ろうとしたところで黒ウサギの声が聞こえた。

 

「――あ、あり得ない。あり得ないのですよ、まさか話を聞いてもらうために小一時間も消費してしまうとは、学級崩壊とはきっとこのような状況を言うに違いないのデス」

「いいからさっさと進めろ」

「YES…その前にですね、私は全員で四人お呼びしたのですが…あとお一人居るはずなのです。どこにいらっしゃいますか知ってます?」

「何言ってるの? 私達は三人と一匹で落ちてきたのよ?」

「そうだぜ。後は渡り鳥が少し遠くに群れで居たな……いや、待てよ? その中に確か…」

「ほ、本当なのですか? それなら不味いです…知らない土地にお一人で…いえ、それよりもこの森は危ない場所なのに…!」

 

 などと言う声が聞こえた。

 

 ただ、十六夜の渡り鳥という言葉は冷やっとしたけどな。

 

 そしてあたふたしている黒ウサギ達の遙か上空を呼び去ろうとしていた俺は、ふと下を見て、嫌な気配を感じた。

 下を見ると、一人だけヘッドホンを付けたやつが空を見上げ…俺と眼が合い、ニヤリと笑う。

 

 そしてその瞬間、俺は直感に任せて体を動かす。

 

 翼を傾け、風を受けながら身体を横に移動させる…そして、さきほど俺が居た場所を手が通り過ぎていた。

 

「チッ…」

『コウヤ! 後ろから!』

 

 薫の叫び声を受け、とっさに身体を回す。『Air Combat Manoeuvring』略して『ACM』……つまりは空中戦闘機動と呼ばれる技術。航空戦術ともいうのだが、戦闘機などが空中戦するときに用いられる技術だ。

 

 今したのは、毎度おなじみ『エルロンロール』と言われている技術。ゲームとかで戦闘機を横に回転させて避けるアレだ。

 

 翼を調節して風を受けて身体が傾いた所で翼をたたみ、体を捻って後ろからやってきた手を避ける。

 

「なっ!!?」

 

 そしてそのまま二回三回四回と斜め下に回りながら進み、翼を一気に開いて十六夜から飛び去る。

 

 落ちていく十六夜は飛んでいない。ということは…ッ! ジャンプでこの上空まで来たのか!? 優に300mはあるんだぞ!?

 

 なんて身体能力してるんだ…もしあのまま捕まっていたら、俺は潰されていたかもしれない。

 落ちていく十六夜は信じられないものを見たかのような眼で俺を見ていた。そして小さくなる。

 

『またジャンプされたら面倒だから速く逃げようよ!』 

 

 そうだな! うっし、戦線離脱!

 

 こうして俺は十六夜の奇襲をなんとか回避し、逃げるのだった。

 

 普通のカラスだが、俺の体は改造されており強靭になっている。じゃないと幻想郷で死ぬわ。音速に達しても身体は無事だ。十年はフランという吸血鬼と修行していた。人化してだけど。

 

 基本はカラスだから人化なんて滅多にしないけどな。

 

 

◇◇◇

 

 

『右! 左! あ、やっぱり右かな!?』

 

 どっちなんだい!? ちゃんとしてよナビゲーーーートッッ!!

 

『速過ぎるんだもん!!』

 

 それは悪い! おっと!?

 

「グルアァァァッ!!」

「カアアァッ!!」

 

 十六夜から逃げた俺だが、今現在、とてつもな生物に追われています。

 

 あのまま広い空を悠々と飛び続けていた俺だが、いきなりこの馬鹿でかい生物に追われているんだ。爬虫類を思わせる尻尾、鋭い鉤爪、鰐のような顔、猿のような身体、そこから生えているコウモリのような翼…おいおい、お前はどこの幻想生物だ?

 

 そんなわけの分からない生物に何故追われているか。

 

 もしかしたらテリトリーに入ったのかもしれないし、ただの暇つぶしに追われているのかもしれない。もしくは俺が美味しそうに見えたとか。

 

 俺は美味しくないぞー! 小さいから食べごたえがないし、そこら辺の鳥のほうが大きいよー!

 

『分かんないんじゃないかな?』 

 

 だと思う。逃げの一択!

 

 それにしてもなかなか速い。何もしていない俺の素の速さと同じで、鉤爪で襲ってくる。

 それを先ほどから薫のナビと俺の目視で確認しながら避けている。

 

 背後から迫ってくるそいつを避けるために無茶苦茶に振り回してやる。高速飛行からの『スプリットS』。これは水平飛行中から180度ロールし背面になり、そのまま下方向への逆宙返りで水平に戻る技術だ。

 

 これを柔軟な身体を頼りに無理に行い、相手と逆の方向に…つまりは相手の下で今来た方向に逆戻りする。

 

 この生物より下の高度に居る。なのであいつはいきなり俺が消えたと思い、キョロキョロして俺が遥か下で逆方向に進んでいるのを見つけたら、大慌てで急停止して追ってきた。

 

 そして追い付いてきたら得意の『シャンデル』という技をする。体を捻りながら上方に上がり、向きを180度変える事ができる。そして連続で『スライスバック』。これはシャンデルの逆といえばいいだろう。

 

 今度は下に降りていく。そしてこの技は下降を速度に変えることが出来る。なので俺は更に羽ばたいて速度を上昇させた。

 

 ぶつかりそうな鳥はエルロンロールとバレルロールでさけ、謎生物をブレイクで逃げる。

 

『本当にしぶといね!』

 

 まったくだ。いい加減帰れよ!

 

 『バレルロール』。螺旋を描くように飛ぶことだ。減速効果を利用してオーバーシュートを誘発させる。相手は俺より前に行きすぎて、俺はバレルロールにより相手の後方へ。つまり背後を取ったわけだ。

 

 そしてそのまま追う必要はないわけで。

 

 ブレイクで逃げる。翼を傾け、背中を地面に向けて頭から降下。よく戦闘機のマニューバで見ないか? 隊列から離脱する際に、次々と斜め下に落ちていくやつ。

 

 そしてそのまま俺はスライスバックをして加速。翼をたたんで身体を弾丸のようにして降りていく。

 

 ぐんぐん地面が見えてくる中、ドォン! という音と共に水柱が廻る視界の端に映った。しめた、これを利用しよう!

 

 いくらあいつでも戦闘中の場所に突っ込んでこないよな! 俺はカラスだし? 小さいから逃げれるもんね!

 エルロンロールで方向を転換し、水柱が上がった滝のところに突入。なんかでかい蛇がいるけど気にしない。蛇は飛べないからな!

 

 エルロン出来るのかって? 今更だな。翼の傾きと身体の捻りと気合や無茶やら何やらであら不思議なんだよ。これが鴉式空中戦闘機動! 

 

 そして落ちてきたのだが、なんだこれ? 十六夜が居て、でかい蛇と戦ってるんですけど。

 

 そして出現する水柱。竜巻く水柱は川辺を抉り、木々を捩じ切り、十六夜を喰らって激流の一部とする。

 

「――ハッ――しゃらくせえ!!」

 

 そして現れる暴力の渦。あの細い腕からなぜこんな力が出るんだろうか……なんて考えてたら幻想郷じゃ生きていけませんことよ!

 

 妖力とかで力を増しているっていうのはわかるけどさ、見目麗しい美女達が腕の一振りで景色を変えるんだぜ? 俺も人のこと言えないけどよ。

 

 そして吹き飛んだ水柱。散る水の中、俺はついに上空から水柱にダイブ! 

 

 まるで海で魚を狙って飛び込む海鳥のように。海上から放たれた銃弾が水中へ飛び込むかのように。魚を狙った漁師が銛を投擲し、獲物を穿つように。

 

 荒れ狂う水中を曲がること無く進んだ俺は、やがて勢いが消えて自由になる。

 

 普通カラスがここまで中に入るとどうしようもないだろう。しかも荒れ狂っている。だがしかし、そこは俺ですから。別にジョジョとかに出演してませんよ? 第三部のあの鳥尊敬するわ。

 

 上から迫り来る、巨大な影を避けながら水上へ猛スピードで羽撃いた。能力で色々変えたんだよ。筋力とか推進力とか水流とか。

 

 泡だらけだった視界は明け、青い空が見えた。そのまま宙で体を捻って翼を開き、水を飛ばす。

 

 いやぁ、それにしてもあそこまで水の中に入ったのは初めてだ。なかなか気持ちよかったな。

 

『今度水の中で泳いでみよっか』

 

 夏とかにいいな~。でもやっぱり濡れると飛びにくいな。

 

 そんなことを薫と話しながら、何故か倒れて浮いているでかい蛇の頭の上に乗る。しかも蛇は起きているらしく、眼を開けて俺を見てくるのだが、その眼はなんでカラス? と言うかのような視線だ。

 

 うん、その通り! そう思って普通だろう。倒したのは多分十六夜だろうしな!

 

 その件の十六夜さんは黒ウサギと一緒に驚いたような眼でこちらを見ている。水中からカラスが出てきたのがおかしいのか。なんだよ~、ちょっとおかしな鳥が居てもいいだろうに。

 

 ほら、見つめたら相手が死ぬという力をお持ちのミネルヴァ先輩とか! 俺も見つめたら相手が呪い死ぬという力を……要りませんね。

 

 あの力でミネルヴァ先輩は苦労してたし。眼から呪毒が流れてくるとかも嫌だ。

 

『僕も嫌だよ?』

 

 うん要らない要らない! 最強の能力だけど、あっても困るからな!

 

 そしてツンツンと嘴の先で蛇を突くと、ビクリと動くのでそれが楽しくてつい突く。だんだんと目の部分に近づいていくにつれて涙目に。

 

 しかし、突然ふわりと何かに包まれて浮遊感を感じた。そして包まれたまま見てみると、それは十六夜がニヤニヤしながら俺を見ていた。

 

 うわぁ、今にも焼き鳥にしてやるぜみたいな顔だ。それにしてもなんかエロいね! 濡れた服がピッタリと肌に付き、髪が頬にくっついている。ヘッドホン壊れねえのか?

 

「やっと捕まえたぜ、変なカラスめ。あの時は避けやがって…しかもあんな動きをとっさにするだと? お前、本当にカラスか?」

「……カァ?」

 

 出ました、俺のとぼけるポーズ! 首を傾げる攻撃!

 

『カラスの時しか出来ないね』 

 

 五月蝿い! なんかデジャヴだ!

 

「誰かに飼われていたのか? 首にリボンと脚に…リングか? しかも八意鋼夜だと? 黒ウサギの言ってたもう一人じゃねえか。まさかカラスとはなぁ…」

 

 なに、黒ウサギは俺の名前言ってたの? 

 

 まあ普通はそうか。もし見つけようとしていたなら、せめて分かっている名前だけでも皆に教えておくくらいはするか。

 

「それにしても変なカラスだな…水の中に入って出てくるとは、普通じゃあの速度は無理だぞ」

 

 普通だけど普通じゃないから。元人間ですから。能力持ちですから。

 

 そんなことを言いながらも、十六夜は俺を離して逃げないとわかると、服の水を絞り始めた。学ランからあらかた水を絞った十六夜は、前髪を掻き上げてから、木に止まっていた俺を再び掴む。

 

 乱暴にしたら怒るからな。薫が!

 

『僕が? 別にいいけど』

 

 そこで嫌だと言わない薫ちゃんが素敵! 

 

 そして黒ウサギはと言うと、蛇の頭ら辺に立って何かを話しているようだが、何を話しているのかは滝から流れてくる水の落下音で全くわからない。

 

 十六夜は十六夜で、濡れた俺を学ランの袖で拭いてくれるし……なんなの? いい娘なの? 

 もしかして動物好き? カラスとか好きですか? 好きって言ってくれたら俺からの好感度が上がります。

 

「鴉は好きだぞ」

 

 愛してるぜベイベ!

 

『好感度急上昇し過ぎじゃない!?』

 

 そして黒ウサギが戻ってくる。その手には布に包まれた苗のようなものがあり、顔は嬉しいのかにこやかで、ウサ耳もぴこぴこ動いている。いいなぁ…あの間に挟まっていたい。

 

「見てください、十六夜さん! こんな大きな水樹があればもう水には困りません! 皆大喜びです!」

「そうか。だけど、それは勝者である俺のものだ。返せ」

「あー!!」

 

 俺を片手に、もう片方は黒ウサギから返してもらった水樹を持ち、丁度いい感じの石に座る。それよりも俺を離してくれませんかね?

 

「さっきはコウヤを捕まえることで必死だったからな。出来なかった話をしようか。黒ウサギ、そこに座れ」

「はい……その~、手の中のカラスは一体何なのでしょうか?」

 

 貴女が探していたもう一人の呼ばれた人ですよ。

 

「あ? ああ、これがお前の言っていたもう一人だ」

「え? ……えええぇぇぇえええっ!!!?」

 

 うるさっ

 

「まあ驚くよな。でも本当だぜ? この脚のリングを見てみろよ」

 

 そう言って十六夜は俺の脚だけを出して黒ウサギの前にぶら下げる。やめろ俺の脚を見るんじゃない! 別に鳥の足だから恥ずかしくないけど。

 

「本当です…まさかカラスだったなんて…人類を呼んだはずなんですけど……」

「人の名前っぽかったからじゃね?」

「う~ん…どうなんでしょう。ちょっと良くわかりませんね。何かの間違いでしょうか?」

「さてね。なんならコウヤに聞いてみるか。なあ、お前は何か手紙を見なかったか? こう、紙に字が書かれてたやつなんだが…」

「十六夜さん、ただのカラスに言葉が分かるわけn…「カァ!」…はい?」

 

 なんか黒ウサギの言い方と態度が癪だったので、十六夜の問いかけには全部答えてやろう。誰が馬鹿ラスだってぇ!? 馬でもなければ鹿でもない、鴉だ!

 

『そこまで言ってないと思うんだけど…』

 

 カラスが兎より弱いという道理はない! 説教してやろうか。

 

「おお、わかるじゃねえか。賢いな。悩み多し異才を持つ少年少女に告げる。その才能をナントカカントカで箱庭に来いとか書かれてなかったか?」

「カー」

「頷いた!? 滅茶苦茶賢いじゃないですか!」

「だな。カラスは小さい時から育てると賢くなるんだが…誰かに飼われていたのかもな。もともとカラスは賢い鳥だし」

 

 うむうむ、十六夜はよく分かっているじゃないか。それに比べて黒ウサギはまじまじと俺を見てきて、指先とかで頭を突いてくる。

 

 それが鬱陶しかったので、思いっきりガブリと噛んでやった。

 

「ふぎゃぁっ!!」

「ガァ!」

「おいおい黒ウサギ。そりゃ怒るに決まってるだろうが。お前もウサ耳触られて叫んでたろうが」

「うっ…そうですね」

 

 ごめんねコウヤ、等と言いながら今度はちゃんと指先で撫でてくるので、仕方なしに許してやる。

 

「ま、このカラスのコウヤが呼ばれたやつで決定だな。運よく確保できてよかったぜ。もうどこにも行くんじゃないぞ?」

「そうですね。カラスだから大丈夫だと思いますけど、何かに巻き込まれたら危ないですから」

 

 悪いね、もう巻き込まれたんだ。なんてことは言えませんな。

 結局、あの謎生物は何だったのだろうか。妖怪と言ってくれるならまだ納得できたかもしれないような身体付きだったのだが……真相やいかに。

 

 それからはどうも二人で話し合っていた。何やらあれな雰囲気だったけど、大丈夫っぽいな。

 

 なんでも黒ウサギのコミュニティが崖っぷちで、魔王が敵で仲間は子どもたちばかり。それをどうにかしたいために四人を呼んで、コミュニティの強化をしようと思ったのだが……

 

 カラスで悪かったですね。期待はずれで悪かったですね! 

 

 カラスに土下座する兎。それをみてゲラゲラ笑う十六夜。もっと女の子らしい笑い方をしなさい。そして俺は俺で黒ウサギの頭の上に乗るというな。

 

「とりあえず、このコウヤは俺と黒ウサギで面倒見るか」

「そうですね。賢いですから手もかからないでしょうし、どちらかの部屋で過ごしてもらいましょう」

「だな」  

 

 どうも俺の過ごし方も決まったようだ。夜中にでも抜けだしてやろうか。ちょっと飛んで見て回りたい。眼? 能力で変化すれば夜でも見えるようになるから。

 

 

 




どうでしたか? あ、それと今更ですけど、ぶっちゃけてもいいですか?

この作品の題名、東方憑鴉録ですけど、カラスに憑依したからこんなのでいいやって思ってたんですよね。だから読み方とかわからなかったからコウヤで覚えてたんです。

うむ、今思わなくても糞野郎ですね。
まあ何が言いたいかというとね、「とうほうひょうあろく」って読もうと決意したという、アホな話です(笑)

ごめんよコウヤ…ひょうあろくって読んでる方どれくらいいました? 私なんて鴉好きなのに「あ」って読み方知らなかったです…。ほんとすまんコウヤ…。
漢字の読みはそこそこ自身あるんですけどね…あはは。



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