東方憑鴉録   作:きりがる

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第16話 カラス、話し相手を増やす

 

 

 

 世界が灰色になり、全ての動き……つまりは時間が止まった。そんな中唯一色があり、動けているのが俺ことカラスのコウヤと、なんか驚いているメイドだった。

 

 このまま飛んでいても仕方ないのでフランの頭に着地。目の前にはメイド………さあ、どうしようか。

 

 知っての通り、俺は時間の流れを変えたりできるので時間操作は任せなさい。

 

「なんで……ただのカラスが動けるのよ……」

 

 さぁて、何でだろうな? それよりフランだけ動かしますか。

 嘴でコンコンと頭をつつき、時間の流れを変化させる。止まっている状態から普通の流れへと。

 

「……ん? あれ? 時間が止まってる?」

 

 フラン、頭の上に俺がいるぞ~。気づかないと糞を落とす。

 

『コウヤ、脅しが最低だよ。もっと他にないの?』

 

 トルネードスローをかける……薫がな!

 

『他人任せ!?』

「あ!? お兄ちゃん!!」

 

 やっと気付いたか、妹よ。兄はお前の頭で脱糞するところだったぞ。

 

「汚い、それは勘弁。それよりこれ、どういうこと? 時間操作系の魔法でも使ったの?」

 

 いや、どうやらそこのメイドがしたらしい。ちょっと訳を聞いてみてくれ。

 

「うん。ということで咲夜」

「…………あ、はい!」

「何で時間止めたの?」

「それは……そこのカラスを捕まえようと思いまして……」

「………それは、なんでかな?」

 

 俺も気になるわ。

 

「そこのカラスは昨日から色々おかしかったです。どこかカラスではなく人のように……妹様はお兄ちゃんと呼びますし、話せるようですので。お嬢様方に害をなすようなら始末しようと」

「ふ~ん………だってさ、お兄ちゃん。どうする? ここでは誰にも見られないし、人化する?」

「人化? やはり普通のカラスでは無いのですね」

「まぁね。でも咲夜? そこから一歩でも動いてお兄ちゃんに攻撃するようなことをしたら………」

「…………したら?」

「…………殺すよ?」

 

 そういった瞬間、フランから凄まじい殺気が溢れ出す。時間が止まっていたからよかったものの、もし動いていたらこの神社はヤバかったかもしれない。

 咲夜とかいうメイドが固まり、汗をドッと溢れ出させた。息遣いも荒くなって目に見えてぐったりしてきたので、仕方なく俺が止めに入る。

 

「フラン、そこまででいいぞ」

 

 そう言いながら俺は人化する。人化した俺の姿は生前と同じ姿だ。少し長めの黒髪を所々跳ねさせ、何処か睨んでいるようで睨んでいないちょっと鋭い目つき。服はフード付きの黒のジャージ。紅い線が入っている。下はジャージじゃない、黒のズボン。

 

 あ、呪いのリングは左手の薬指に嵌っている。なんでかは知らんけど……呪いの指輪の洒落かなんかか? ロード・オブ・ザ・リングとかに出てた? 関係ないけどな!

 

「おっと。フランも大丈夫だって、俺がやられるわけ無いだろう?」

「それもそうだね!」

 

 フラリと倒れてきた咲夜を受け止め、ゆっくりと床に寝かせる。寝かせた瞬間、フランが抱きついてきた。

 

「人間姿のお兄ちゃんも久しぶりだね!」

「そうでもなくね? まあ、フランを撫でたりできるからいいか」

「えへへ~」

 

 フランの頭を撫でると、嬉しそうに顔を緩めた。そのまま膝の上にある咲夜の顔を見る。あ、流石に硬い地面に寝かせるのはどうかと思ったから膝枕してやってるんだよ。

 

 で、その顔はフランの殺気を受けて憔悴していた。

 

「おい、大丈夫か?」

「あ、咲夜ごめんね? 大丈夫?」

「大丈夫ですよ……それより一体なにが…」

「ああ、俺はコウヤという。今から説明するよ、フランが」

「私なの? 別にいいけど……えっとね、お兄ちゃんは………」

 

 

 ――吸血鬼説明中――

    ――メイド静聴中――

 

 

「ということなの。分かった?」

「はい……ではあなたが妹様を連れ出してくださったのですね。ありがとうございます」

「いいって。それより、膝枕状態で言われてもどうにもな……」

「すみません……///」

「いいさ、身体がまだ動かないだろう? 気にすんな」

 

 フランが説明したのは、俺の能力と二人での十年間。簡単に話せば俺は能力持ちのカラスだが普通のカラスにしか思われないし、カラスとして生活している。怪しい者ではないことはパチュリーとこぁとフランのやり取りを見れば分かる、そう言ったのだ。

 

 それで納得もしてくれたし、誰にもこのことを言わないようにとも言っておいた。それに敬語もなしにして、これから会うことが多くなるだろうが俺だと知っているので普通に接してくれとも。

 

 これで俺のことを詳しく知っているのが一人増えた。薫とフランと咲夜だ。咲夜は完璧に予想外だったけど、口が硬そうで良い奴っぽいし大丈夫だろう。

 

「……あの、なんで撫でてるんですか?」

「ん? 凄いだろ? フランと咲夜の頭をダブル撫でだぜ? 理由は触ってみたら案外気持ちよかったから。それと俺に敬語は無しだって」

「お兄ちゃんに撫でられるのはとても気持ちが良いんだよ! でしょ?」

「………確かに。コウヤさm……コウヤは慣れてる感じよね?」

「ああ、十年続けてたらなぁ……こうなっちまった」

 

 いやぁ、ずっとフランと薫を撫でながら一緒に寝てを繰り返してたら癖になったわ。

 

『僕も久し振りに撫でられたいなぁ…』

 

 ん~、今は二人で塞がってるし、今度存分に撫でてやるから。

 

『絶対だよ? 約束ね』

 

 ああ、約束な。俺で良ければなんぼでも撫でてやるさ。

 

 それから動けるようになった咲夜と、フランも交えて静止された空間で二時間位話していた。俺とフランのことや雑談なんかだ。

 

 咲夜は今までメイドとして冷静を保って過ごしていたらしく、今回の俺が撫でた一件で少し甘えることを覚えた。それほど打ち解けたと思ってくれたらいいさ。敵意を変化? どうだろうな。

 

 こうして自由に話せる仲間が一人増えた。

 

 




ついに人化! といっても人の姿になるなんてめったに無いと思いますけど。

さすがに時を止める咲夜さんに隠し通すのは無理があるかなぁ、と思ってバラすことにしました。

もし紅魔館の中にいたら時間止まってるのに飛んでたら直ぐわかっちゃいますしね。
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