いやはや、此処最近忙しすぎてコウヤのことを忘れてました。すまぬ、コウヤ!
あれから鈴仙は薬が何とか、里に何とかと言って急いでどこかに行ってしまった。
暇になってしまった俺は永琳のところに戻ることに。あ、薫? 今ちょっと寝てるよ。昼寝みたいなものだと思ってくれたらいいさ。
で、永琳の居るであろう居間のところまで飛んでいって、小さく開かれた麩のスキマに身を躍らせ、無事通過。
そしてそのまま永琳の帽子を翼で吹き飛ばして、やりきった感に浸りながら、その美しい銀髪に着地。黒髪美少女が大爆笑して腹抱えて転げまわっている。
「アハハハハッ!! え、永琳の頭に……!! い、いきなり帽子がカラスに……!! ブフッ!」
「…………輝夜」
「アハハハ!「輝夜」…ハハハ……うん、冗談よ、別におかしくないわねうん。だからその顔やめましょう? 綺麗な顔に皺が「輝夜?」出ることはないわねうん。永琳は永遠にきれいなままようん。コウヤもそう思うでしょう?」
え、そこで俺に振る?
まあ、永琳は美人だからずっと綺麗なままでいて欲しいけど……思っていても伝わらないんだろうなうん。ええ、そうですよ。
それが伝わったのか、輝夜と呼ばれた美少女が素早く俺を永琳の上から確保し、ペンを咥えさせられ、紙に書けと促される。
お前さ、カラスに何やらせようとしてんの? 普通の象に絵を描けと言ってるようなもんだぞ?
まあ、永琳の俺を見る目が恐ろしいから必死で書くけどな!! 焼き鳥解剖剥製は嫌だ!
必死で褒め言葉ややっすい愛を語る。それはもう鬼気迫る表情(見えないけど)で翼でペン挟んで安定させて紙の端から端まで!
よ、漸く書き終わった……ペンを放り捨て、机の上に転がる。輝夜が「よくやったわ、ナイスよ! なんか知らないけど永琳の機嫌が治ったわ!」と小声でいいながら俺を撫でてきた。
こ、怖かったぜ……ゲフッ!
力尽きたよ……真っ黒にな……カラスだし。俺…此処出たらアルビノのカラスになって真っ白になるんだ……へへ…
………ハッ!? し、死亡フラグ建てるところだった!
「それにしてもコウヤって賢すぎないかしら?」
「そうよね~。ここまで文字書けるなんて…と言うかこんな言葉何処で覚えたのかしら? 恋愛物の漫画か小説?」
漫画だ。恋愛漫画書いてる漫画家のアシスタントをバイトでしてた。めっちゃダンディなおっさんが超上手い絵描いてるんだぜ? 信じられるか?
日本で知らない人は居ないくらい人気だった。小説・アニメ・ドラマ映画化してたな。
今思えば、この人の臨時バイトしてたから生き残れたのかもしれない。給料が良かったんだ、売れっ子だったから。バイトも増えて、正規のアシスタントにならないかと言われたけど、遠慮しといた。
まだ高校行ってたし。よくお世話になったなぁ…奥さんの料理が美味しかった。ここで栄養を摂っていたと言っても過言じゃない。俺の事情を知って養子にならないかと言われた時は吃驚したぜ。拒否ったがな!
いち早く漫画貰えたから読んだら天音にやってた。サイン付きだ。人にあげるからくれって言ったら書いてくれた。
「ん~…解剖しようかしら?」
な、なんだってーッ!!?
「それはさすがに止めといたら? 何だかんだでここ三日は何もしなかったのだし」
「それもそうね」
「それに、永琳ってば最初から解剖する気無いじゃないの」
そ、そうなのか……安心したわ。一瞬で緊張して固まった身体が、安心によって弛緩する。もし本当に解剖されそうになるんだったら、人化してでも、能力フルに使ってでも逃げてた。
さて、そろそろ永琳の頭に戻るか。パイルダーオン!! 帽子を輝夜へシュート! 超エキサイティング!!
「もう定置ね」
「なんでかしら……」
なんで溜息つくのかね? それよりさ、この人三つ編みみたいなのしてるからさ、髪が纏まっててやっぱり少し滑りやすいんだよな。これ、解いたほうがもっと座りやすくならない?
ということで、背中へ滑り台のように滑って降りて、髪の先端に結んである赤い小さなリボンのようなものを咥えて解く。
永琳の髪が軽やかに広がった。
「ちょっと? 何してるのよ」
「あれじゃない? 髪結んでると頭の上の方は滑りやすくなるし。だから解きたかったんじゃないの?」
「カア」
「ほら」
輝夜の言ってることが的を射ていたので鳴き声で肯定。リボンを咥えたまま再び頭へ。
お、おぉ…これはもう寝床だ! 生前ではお目にかかれないような絶世の美女の頭の上で好き勝手出来るということより、寝床になりそうな頭への感動のほうが凄かった。
今度から色んな人の頭に着地してみよう。輝夜は滑りそうだから却下。霊夢も却下。紫と九尾の狐は行けそう……頭の帽子?とってからだけど。
そして永琳がリボンを取ろうとするが、これ返したらまた結ぶだろう? 却下に決まってるんだろうが! 俺は俺の欲望のままに頭で微睡むんじゃー!
「永琳、諦めなさいよ」
「というかなんで離さないのよ! そしてなんで私の頭の上でくつろぐのよ!」
「私だと滑るし」
「そういう問題じゃないでしょ!」
うぎぎ……負けんぞ!
そしてついに永琳が諦めて俺の勝利。やった勝った! 第三部完! あ、いや終わらんけどな。
「もういいわ…コウヤのことは本当に諦めた…」
「それが賢明よ。どうせもう返さないのだろうし、結んであげるわ」
そう言って輝夜は永琳が付けていた、俺が咥えているリボンを俺の首に結んでくれた。なんか、鈴仙にはネックレスあげて、永琳には結果的にリボン貰ったな。
「はい、出来上がり! 八意コウヤの誕生! あ、語呂いいわね」
「なんで苗字がいるのよ」
「コウヤだけじゃ寂しいじゃない。蓬莱山コウヤ……山が荒野みたいだし、語呂合わないし。八意でいいやと思って」
「八意コウヤねぇ…結婚したわけじゃあるまいし」
「カラスと結婚……プッ!」
ガツン! と鈍い音が輝夜の頭から鳴った。そして煙り出して起き上がらなくなった。……陥没してね?
ちょっと突きに行こう。煙出てる頭突いてやれ。ツンツン。
なかなか起き上がらない輝夜を突くのやめてゲシゲシ蹴っていたら、ふわりと身体を包まれる感触とともに浮遊感。永琳が抱き上げて顔の目の前に持ってきていた。
「う~ん……見れば見るだけ普通のカラスね。私のリボンとリングがあるけど」
足のリングは外れない仕様となっております。折って取ろうとしたら、カラスが泣きます。鳴きます。超泣きます。
「まあコウヤなら別にいいわ。どうせカラスだし、名乗れないでしょ。私の名で良ければ貰って付けておきなさいな。名前だけっていうのもあれだしね」
そう、永琳が微笑みながら言った瞬間、突然リングが光った。何事!?
光が収まって急いで足を見てみると、名前の横に文字が増えていた。“八意鋼夜”って。カタカナが漢字になってる? 生前と同じだな。
「リングが変化してる…? 私の名が刻まれてるじゃない…」
苗字な。
「ほ、本格的に結婚指輪ね……ゲフッ!!」
ゴガンッ! と人体から出てはいけない音を出しながら、輝夜が再び沈んだ。お前、頭何処行ったの? 血は出てないけど……減り込んだか? ギャグ補正だな!
あ、リングのことは呪われてるって説明しといた。例によって紙で。効果は不明って書いてはぐらかす。
多分、俺の能力が勝手に変化させたんじゃね? そうとしか考えれん。
まあ、それでも少し興味を示しただけで、ちょっと調べただけで終わった。苗字もくれたし、いい関係を築いて行きたい。
あ、そろそろアリスのところに帰らないとな。
そんなことを思いながら、俺は纏まっていない永琳の頭の上で、永琳は頭がどこかに行ってしまった(逝ってしまった?)輝夜の隣でお茶を飲み、竹林と庭を見ながらのんびりしていた。
そろそろコウヤにも苗字つけようかな、と思った結果がこれだよ!
いやね? コウヤ・スカーレットとかコウヤ・マーガトロイドとか、蓬莱山コウヤとか八雲コウヤとか……微妙でしょ?
だから八意付けてみたら語呂よくない?ってなりましたw
あとこの小説は本当にノリで思いついたことをそのまま書いているので、軽く流すようにさらりと暇つぶし程度に読んでください。
多分、話の中のことで、これはこうだからこうじゃない?みたいに言われても、まともに答えれる自信がありません。本気でノリだから! 事実、ゆるい文章でしょう?
この事について批判はいいけど、できるだけ優しくしてくださいね?
最近色々あってかなり弱気ですから。