東方憑鴉録   作:きりがる

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第2話 カラス、呪われる?

 さてやってきたのは一軒家。少女の手の中にいる俺の目の前には、青のメッシュ入った銀髪を長く伸ばし、ヘンテコな帽子をかぶった胸の大きな美人がいる。これが慧音だろう。

 

 前屈みになり、俺をまじまじと見てくる。俺は谷間にまじまじである。仕方ないだろ、男の子なんだもん!

 

「珍しいカラスだな。目が赤いなんて」

「こいつ凄いんだ。硬い木の実を馬車に踏ませて割って食べてたんだぞ?」

「ほぅ…それは賢いな」

 

 なんだ? こいつらはカラスの行動があまり分かっていないのか?

 だとしたら面倒臭い。もうちょっと警戒しながら行動しなければ。

 

「だが、本来カラスは賢いからな。そのような行動をする個体も現れるだろうさ。それよりそろそろ離してやれ」

「へぇ~…おっと、そうだな。ほら」

 

 やっと開放された。少し翼をバサバサとしてからぴょんぴょん跳ねて距離を取り、ダッシュでもんぺ美少女の背後に回って飛び蹴りを食らわせてから逃げる。

 

「痛ッ、なんかカラスに蹴られたんだけど!?」

「ハハッ、捕まえたことに怒ってるんじゃないか? で、妹紅は何しに来たんだ?」

「うん? いや、こいつを見せに来ただけだよ」

 

 へぇ…どうやらこの少女は妹紅というらしい。それから二人が話し始めて俺は暇になったため辺りを彷徨いている。

 

 何やらよくわからないが同じような本が沢山あるが、これは教科書というものだろうか。子供向けのものにしては難易度がハードなのだが…この慧音は大学生にでも講義をしているのか?

 

 その他にも予備の帽子?とか櫛とかなんか怖い人形やら沢山あったが、その中でもカラスの俺が一番惹かれたものがあった。

 

 それはリングみたいなものであり、光物達のお仲間さん。床に落ちていたので、本能赴くまま弄っていたら……嘴の先に嵌って取れなくなった。

 

「…ッ!? ~~~ッ!!」

「あ、馬鹿! 何やってるのよッ」

 

 妹紅が気付いて取ってくれようとしたのか、近づいてきたがそれどころではない。俺はパニック状態である。

 

 あ~! もう取れない! くっそ、マジでヤバイ……羽で擦って取ろうとしたが無駄だったので更にパニック。無我夢中で飛び立ち、窓らしきところから出て行く。

 

 後ろで妹紅がなにか言っていたがよく聞こえなかった。

 

 暫く飛び続け、ようやく落ち着いた時に何処かの家の屋根に降りた。

 屋根の木のささくれなんかに引っ掛けて、ようやく外せた。

 

 あ~、びっくりした。あのまま取れなかったら餓死してたな。その件のリングだが、よく見てみると黒く怪しく光り輝いていた。

 

 なんでこんなものが部屋にあったんだ? まさか結婚指輪? それはないか、趣味悪すぎるもんな。それに指に嵌めるには少しばかり大きすぎる。

 

 リングを脚先でつついていると、妹紅の声が聞こえる。どうやら面白いことに、一周して戻ってきて慧音の家だったというわけだ。

 

「で、さっきの輪っかは何だったんだ?」

「あれはな、『呪いの指輪』といって最近見つかったものなんだが、危ないからどうしようかと困っていたんだ。それなのにあんなことになるなんて……あのカラスはもう呪われているかもしれん」

「な!? ……本当かよ……」

 

 なッ!? 呪いの指輪だと!!?

 そう驚いた瞬間、足を一歩踏み出してしまい、リングの上へカラスボディの片足を…あ、これあかんパターンや。

 

 今度は何だ!?

 

 いきなり足元が光った。やがて光が収まると、そこからは指輪が無くなっていた。

 まさか……呪われた!? 慧音の馬鹿野郎! お前が呪いだなんて言うから、驚いて踏み出した瞬間に脚にリングが嵌ってしまっただろうが! その結果がこれだよ!

 

 脚を見てみると、右脚に黒っぽい何かが付いていた。カラスの細い脚に合わせて小さくなるなんて……これが呪い? 怖くないな。あまり目立たないし。

 

「どうやらあの指輪は運に恵まれず不幸な思いばかりしていた男の怨念が篭っているらしくてな……」

「ふ~ん……」

「死んだ男がこれを持っていたから呪われてしまったのだろう」

「じゃあ、呪いの効果は?」

「それは……よく分からないんだ」

 

 へぇ~、指輪って言われるくらいだからこのリングは嘴じゃあ反応しなかったんだな。

 

 呪われたリングか……ま、いいや。面倒臭いから考えるの止めよう。どうにかなるだろ。出来れば面白くなればいいなぁ。

 

 もう此処には用が無いので飛び立つ。リングは不思議と重さを感じさせなかった。

 さて、今度は人里を離れて山にでも行ってみますかね。

 

 

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