あれから時間が経ったのか、太陽を見ると既に昼になっている。起きてみると、美人さんは俺を膝の上に載せたまま座って寝ていた。その寝顔はあどけなく、可愛いものである。
起こさないように降りて、窓の方に歩いて行く。霧はすっかり晴れて、晴天だ。青空が眩しい。
窓の縁に跳び乗り、美人さんへと振り向く。
そしたら、片目だけ開けてウインクし……
「何時でも来てくださいね。待ってますから」
そう言った。「カァ」と一つだけ鳴き、大空へと飛び立つ。
良い奴だった。カラスじゃなかったら付き合いたいくらいだ。しかし、傍から見ればカラスに言ってるようにしか見えないので、何言ってんだこいつ、としか思えない。
ま、誰も居なかったが。
暖かな日差しを受けながら悠々と羽ばたき、疲れてきたら木に止まる。
これを繰り返し、今は木の枝に伏せている。
そう言えば、あの部屋で起きた光は何だったのだろうか?
『それについて僕が答えようかな?』
うわっ!? 突然半透明な女の子が目の前に出てきて浮かんでるんだけど!?
ちょ、だれだよ、いきなり…ビックリしただろうが。
『それはごめんね』
あれ? 俺は喋ってないのにこいつは答えた? なんでだ?
『それについても話すよ。えっとね、僕はその指輪の元主だよ』
このリングの? ていうことは……呪いを掛けたやつか。
『そうだね。だから今の持ち主である君と意思疎通が出来る』
そうか……それより一ついいか?
『なに?』
お前は女か?
『失礼な、立派な男の子だよ』
美少女にしか見えない。なるほど、立派な男の娘ですね? わかります。
それより本題に入ろうか。ということで説明プリーズ。
『ぷりーず? あ、説明だね。今までのことは大体君の感覚で共有してたから分かるよ。確かに僕は不幸だった。それを恨んでいたけど、呪いをかけたわけじゃないよ』
はぁ? どういうことだ? じゃあ、呪いの指輪じゃないのか?
『うん。多分、僕の恨み自体は付与されたんだろうけど、それより僕の意識のほうが強いからね』
………意味わからないんだが。
『僕はね【付与する程度の能力】っていうのを持っていてさ、それによって死ぬ間際に意識だけを持っていた指輪に付与したんだ。それと同時に恨みも付与されちゃったんだろうね』
なるほど、だから呪いなんて誤解をされたのか。よかった、俺って呪われたわけじゃないんだな。
じゃ、呪い自体はもう効果はないのか。
『うん。呪いはその指輪を外せなくなるくらいだから大丈夫かな? それで、僕はもう精神体で君の一部と言ってもいいくらいだから能力は使えない。けど、僕の意識を付与させるときに一緒に付与したものがある』
ほうほう、それは?
『それは『幸運』だよ。周りからちょっとずつ集めて付与したんだ。これは何が起きるのかわからないくらいの幸運が詰められていて、どんな奇跡が起きるのかは誰にもわからない。だけど、君にとっていいものが手に入ったじゃないか』
え? なんか手に入ったっけ? 何もなかっt………いや、あの光った時か。羽がいいもの?
つまんねー。
『違うよ、能力だよ。彼女の羽に微かに付いていた能力を君は得た。どうやら力が欲しかったみたいだね。偶然だけど、素晴らしい奇跡を幸運にも得られた。やったね』
え? マジで? 確かに不思議な力がほしいなぁ…とは思ったけど、ホントラッキーだな。
頭に浮かんだのは【変える程度の能力】。これはチートすぎる。あの女はこんなものを持っていたのか。
『でも能力は霊力や妖力が無いと使えない。君にはその力がない』
つまり………能力使えないってことか!? ふざけんなよ、あり得ねぇだろ! 生殺しだーーーーッ!!!
『でも一回だけ使えるよ? 彼女の妖力が一緒に少し得られたから。何にするかよく考えてね。人間になる?』
一回だけか……それでもありがたいことには変わりない。考えて考えて………よし、これだ。
俺はこう変える…『能力を使うのにデメリットを無くす』だ。
『でめりっと? なにそれ?』
つまりだな、妖力とやらを使わなくても使えるようにする。能力を使う際にもし、副作用的なのがあればそれを受けなくていいようにする。使い過ぎた時の悪いことがあったら無くす。
まあ、考えるにしては少し在り来りな考えだがそういう意味だ。
『それはいいことを考えたね! うん、それがいいよ!』
だろう? 早速使ってみることに。……………うん、変化はわからないけど、上手く行ったようだ。
試しに木の葉を石ころに変えてみたら上手く行った。よっしゃ!
『よかったね!』
ああ、全くだぜ。そう言えば、名前はなんて言うんだ? これからは一心同体、一蓮托生なんだ。知っておきたいんだよ…教えてくれないか?
『僕の名前は薫だよ。これからよろしくね!』
ああ、仲良くしようぜ! 俺の名前はないけどな!
そう言うと、目の前の薫は笑った。
ちょっと無理矢理感あるね。気にしない方向で!