投稿も初めてです。
気になって開いてくれた方ありがとうございます。
自分自身Fate初心者ですが、もし自分がサーバントならを考えてみました。
それを基に小説にしました。
歪な部分や誤りがあると思いますが、優しい心で読んで頂ければ幸いです。
誤りに関しては指摘してくださると嬉しいです。
冬木市。
それは七人の魔術師が七騎の英霊を召喚し、
万能の願望機――聖杯を奪い合う街。
冬の風が橋を吹き抜ける。
深夜二時。
人気のない廃工場。
床に描かれた召喚陣は、赤黒く光を放っていた。
「……これで、本当に来るんだな。」
青年は震える手を握り締めた。
魔術師としては三流。
血筋も薄い。
それでも祖父から受け継いだ魔術刻印だけは本物だった。
令呪が疼く。
鼓動が早まる。
魔力が一気に流れ始めた。
「素に銀と鉄。 礎に石と契約の大公。 祖には我が大師シュバインオーグ。
降り立つ風には壁を。 四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ」
「閉じよ(みたせ)。閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。
繰り返すつどに五度。
ただ、満たされる刻を破却する」
「――Anfang(セット)」
「告げる」
「――告げる。
汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。
聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ」
「誓いを此処に。
我は常世総ての善と成る者、
我は常世総ての悪を敷く者。
汝三大の言霊を纏う七天、
抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!」
魔法陣が虹色に輝き、
世界が揺れた。
轟音。
暴風。
そして。
そこに立っていたのは。
黒い外套。
どこか現代的な服装。
肩には無数の裂傷のような紋様。
だが、その瞳だけは。
夜明け前の空のような、
静かな蒼だった。
男はゆっくりと青年を見る。
「サーヴァント、アベンジャー。」
静かな声。
敵意はない。
殺気もない。
「絶望なき明日を願う者、
黎明のアベンジャーだ。」
青年は思わず呟いた。
「……アベンジャー?」
通常なら存在しない八番目のクラス。
聖杯戦争の異物。
男は小さく笑った。
「安心してくれ。」
「私は君を裏切らない。」
「私と同じ絶望を味わうことのないよう、
君の盾となろう。」
青年は思わず尋ねる。
「盾……?」
アベンジャーなのに?
男は少しだけ困ったように笑った。
「よく言われる。」
「私は復讐者だ。」
「だが。」
「誰かを殺すためではない。」
「誰かを護るための復讐者だ。」
青年は理解できなかった。
復讐とは。
誰かを憎み、
誰かを滅ぼすものではないのか。
しかし。
目の前の男から感じるものは。
憎悪ではない。
痛みだった。
長い年月を耐え抜いた者だけが持つ、
静かな痛み。
「……君は優しいな。」
青年が心配そうな顔をしたのを見て、
男は笑う。
「私は大丈夫。」
「何度でも立ち上がる。」
その瞬間。
遠くから爆発音。
ズドォォン!!
「!」
魔力反応。
巨大。
異常。
男の目が細くなる。
「もう始まっている。」
青年が息を飲む。
「戦うのか?」
男は静かに首を振った。
「違う。」
「助けに行く。」
「え?」
「一般人が巻き込まれている。」
青年は驚愕する。
聖杯戦争。
普通ならサーヴァント同士しか気にしない。
だが。
アベンジャーは迷わなかった。
「走るぞ。」
二人は夜の街を駆ける。
冬木大橋。
そこでは。
巨大な斧剣を持つ赤い巨人が暴れていた。
バーサーカー。
周囲には逃げ遅れた市民。
悲鳴。
瓦礫。
炎。
「まずい!」
青年が叫ぶ。
だが。
アベンジャーは。
市民の前へ立った。
「――俺が苦しむことで誰かが救われるのなら。」
「身代わりにでも何でもなってやる。」
スキル。
『身代わりの苦難(スケープゴート・シールド)』
瞬間。
市民全員が黄金の障壁に包まれた。
バーサーカーの一撃。
轟音。
橋が崩れる。
普通なら。
粉々になっていただろう。
しかし。
アベンジャーは。
一歩も退かなかった。
腕が砕ける。
肩が裂ける。
血が舞う。
青年が叫ぶ。
「もういい! 避けろ!」
「避けられない。」
静かな返答。
「避ければ後ろの子供が死ぬ。」
再び一撃。
また受ける。
また受ける。
また受ける。
バーサーカーは狂ったように殴り続ける。
それでも。
彼は倒れない。
「何故だ!」
敵マスターが叫ぶ。
「何故反撃しない!」
アベンジャーは血を流しながら答えた。
「まだ。」
「足りない。」
敵は意味が分からなかった。
だが。
青年だけは気付く。
彼の魔力が。
傷付くほど。
増えている。
令呪が震える。
宝具。
解放可能。
青年が息を呑む。
「まさか……。」
アベンジャーが微笑む。
「ありがとう。」
「君のおかげで。」
「護り切れそうだ。」
彼は静かに前へ出た。
「反撃の時だ。」
その瞬間。
世界が止まった。
「貴方のおかげで私は人を護る覚悟を決めた。」
「理不尽な叱責も。」
「張り詰めた緊張も。」
「私は全て耐え抜いた。」
「私が流した涙の数を。」
「今度は貴方が絶望の槍として受けるがいい。」
『我が屍を以て月は輝く、これぞ必要悪の理
(ロード・オブ・スケープゴート)』
夜空に月が昇る。
その光は。
彼の流した血によって。
赤く染まっていた。
そして。
初めて復讐者は、
その拳を振り下ろした。
(第一章・了)
いかがでしたでしょうか?
この物語は始まったばかりなので、自分が本当に伝えたいことは後の方に出す予定です。
最後までお付き合い頂ければ嬉しいです。