Fate/Scapegoat   作:KMST

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最終回です。
ここまで読んでくださり本当にありがとうございました。

最後まで楽しんで読んでください!
本日20時に黎明のシールダーのステータス設定も公開します。


最終章 絶望なき明日を願う者

夜明け前。

 

世界は止まっていた。

 

空を覆う巨大な黒い翼。

 

BeastⅧ

『構造』の理、構造悪

 

その身体は都市を遥かに超え、

 

冬木そのものを飲み込んでいる。

 

対するは、

 

たった二人。

 

一人のマスター。

 

そして、

 

一柱のシールダー。

 

 

 

観測者が静かに言う。

 

「最後の観測を始めよう。」

 

その瞬間、

 

冬木全域に七つの魔法陣が浮かぶ。

 

マスターが驚く。

 

「これは……!」

 

観測者は笑った。

 

「聖杯戦争とは。」

 

「英雄を競わせる儀式ではない。」

 

「人類史へ問いを投げ掛ける儀式だ。」

 

「故に。」

 

「彼らは最後まで必要だった。」

 

七つの魔法陣。

 

その全てから、

 

光が立ち上る。

 

---

 

第一の光

 

黄金の剣。

 

風王結界。

 

少女の王。

 

セイバーが静かに現れる。

 

「ようやく。」

 

「答えを得たようですね。」

 

真名

 

アルトリア・ペンドラゴン

 

---

 

マスターが息を呑む。

 

「やっぱり……。」

 

アルトリアはシールダーを見る。

 

「あなたは。」

 

「私とは違う王でした。」

 

「私は国を守った。」

 

「あなたは。」

 

「一人を守り続けた。」

 

「その積み重ねが。」

 

「国を守るのですね。」

 

静かに微笑む。

 

「見事でした。」

 

---

 

第二の光

 

紅い槍。

 

青い戦装束。

 

笑う戦士。

 

---

 

真名

 

クー・フーリン

 

---

 

「ハッ!」

 

「ようやく笑える戦いになったじゃねぇか!」

 

彼は槍を肩に担ぐ。

 

「最後くらいゃ俺も本気だ。」

 

「死ぬ覚悟がある奴ァ好きだ。」

 

「だが。」

 

「生きる覚悟がある奴はもっと好きだ。」

 

---

 

第三の光

 

弓を持つ男。

 

赤い外套。

 

皮肉げな笑み。

 

---

 

真名

 

エミヤ

 

---

 

「まったく。」

 

「現代人というのは。」

 

「英雄泣かせだ。」

 

彼は笑う。

 

「俺は。」

 

「正義の味方になろうとして失敗した。」

 

「君は。」

 

「正義になろうとはしなかった。」

 

「だから。」

 

「成功した。」

 

シールダーが静かに笑う。

 

「成功なんて。」

 

「まだですよ。」

 

エミヤも笑う。

 

「ああ。かもな。」

 

「だから手伝いに来た。」

 

---

 

第四の光

 

馬に乗る巨漢。

 

---

 

真名

 

イスカンダル

 

---

 

「ハハハハ!」

 

「良い!」

 

「実に良い!」

 

「余は何万の兵を率いた!」

 

「だが!」

 

「たった一人を率いる王もまた王よ!」

 

---

 

第五の光

 

花の魔術師。

 

長い杖。

 

---

 

真名

 

マーリン

 

---

 

「ここまで来るとはね。」

 

「予想外だったよ。」

 

「いや。」

 

「予想出来なかった。」

 

彼は観測者を見る。

 

「君もそうだろう?」

 

観測者は笑う。

 

「だから観測したんだよ。」

 

---

 

第六の光

 

巨大な剣を持つ。

 

---

 

真名

 

山の翁、ハサン・サッバーハ

 

---

 

「刻むのだ、残りの人生を。」

 

シールダーのマスターを見る。

 

「それは恐怖ではない。」

 

「確固たる覚悟というものだ。」

 

「彼のようにな。」

 

シールダーは困ったように笑う。

 

---

 

第七の光

 

最後の魔法陣。

 

誰もいない。

 

マスターが首を傾げる。

 

「最後は?」

 

観測者は静かに言う。

 

「最後の一騎は。」

 

「最初からここにいた。」

 

マスターが振り返る。

 

シールダー。

 

彼自身。

 

「え……?」

 

「彼は。」

 

「英霊ではない。」

 

「だが。」

 

「この戦争を通じて。」

 

「英霊になった。」

 

「そして、人類悪『構造』の理、構造悪に対する抑止力となった。グランドクラスのサーヴァントでないのに、彼は成った、抑止力と言える存在に。」

 

世界が震える。

 

---

 

真名開放

 

黎明のシールダー

 

真名

 

朝霧 將真(あさぎり しょうま)

 

---

 

マスターが息を呑む。

 

「現代人……。」

 

観測者が頷く。

 

「そう。」

 

「彼は。」

 

「神話を持たない。」

 

「伝説も無い。」

 

「世界も救っていない。」

 

「それでも。」

 

「人類史は彼を記録した。」

 

シールダーは言う。

 

「サーヴァント、シールダー。

――朝霧 將真。」

 

「改めてよろしく、マスター。」

 

---

 

Beastが怒鳴る。

 

「認めない!」

 

「そんなものは英雄ではない!」

 

観測者が静かに言う。

 

「英雄とは。」

 

「神話ではない。」

 

「誰かの希望になった者だ。」

 

シールダーは静かに盾を構える。

 

「私は。」

 

「英雄じゃない。」

 

「でも。」

 

「誰かが。」

 

「明日を迎えられるなら。」

 

「それで十分だ。」

 

真宝具・最終解放

 

盾が砕ける。

 

いや。

 

開く。

 

その内側には。

 

無数の灯火。

 

友達。

 

家族。

 

恩師。

 

後輩。

 

同期。

 

支えてくれた人。

 

支えた人。

 

泣いた人。

 

笑った人。

 

来てくれたサーヴァント達。

 

そのマスター達。

 

その全員がいた。

 

「どんなに辛くても。」

 

「苦しくても。」

 

「人は。」

 

「独りではない。」

 

涙が流れる。

 

「絶望は。」

 

「消えない。」

 

「傷も消えない。」

 

「それでも。」

 

「誰かの支えは。」

 

「消えない。」

 

盾が世界を包む。

 

「だから私は。」

 

「何度でも立ち上がる。」

 

夜明け。

 

世界で最初の太陽が昇る。

 

それぞれのサーバントが宝具の詠唱を行う。

 

アルトリア・ペンドラゴン

「約束された勝利の剣(エクス・カリバー)!」

 

クー・フーリン

「刺し穿つ死棘の槍(ゲイ・ボルグ)!」

 

エミヤ

「無限の剣製(UNLIMITED BLADE WORKS)!」

 

イスカンダル

「王の軍勢(アイオニオ・ヘタイロイ)!」

 

マーリン

「永久に閉ざされた理想郷

(ガーデン・オブ・アヴァロン)!」

 

山の翁

「死告天使(アズライール)」

 

 

そして、シールダーが詠唱する。

 

「この世の中辛いことばっかりだ

 

いや…案外シアワセも見つかりそうだ

 

そのために!

シアワセを見つける為に!

シアワセを見つけて貰う為に!

 

理不尽を、精神疾患を、精神疾患を生む敵を!

 

その構造を!

 

打ち倒す力を我に!

 

『願わくば、これが最後の一撃となりますように

(ラスト・ブロウ)!!』」

 

7体のサーヴァントから放たれる宝具はBeastⅧに直撃した。

 

そして、

 

世界が、

 

光になる。

 

BeastⅧは、

 

初めて涙を流した。

 

「私は……。」

 

「間違っていたのか。」

 

シールダーは首を振る。

 

「違う。」

 

「お前も。」

 

「人類を愛していた。」

 

「だから。」

 

「ありがとう。」

 

「ここまで人類を導いてくれて。」

 

「でも。」

 

「ここから先は。」

 

「俺達自身で歩む。」

 

Beastは笑う。

 

泣きながら。

 

「そうか。」

 

「なら。」

 

「託そう。」

 

黒い身体が、

 

朝日に溶けていく。

 

世界から、

 

呪創が消える。

 

−−−−−−−

 

冬木市。

 

朝。

 

子ども達が学校へ向かう。

 

会社員が駅へ向かう。

 

研究室では、

 

一人の教授が学生へ言う。

 

「今日は無理をしなくていい。」

 

病院では。

 

看護師が患者へ微笑む。

 

会社では。

 

上司が部下へ言う。

 

「困ったら相談してくれ。」

 

世界は劇的には変わらない。

 

でも、

 

ほんの少しだけ。

 

昨日より優しくなった。

 

 

 

観測者は空へ還る。

 

「観測終了。」

 

「人類は。」

 

「まだまだ大丈夫そうだ。」

 

 

 

アルトリアは剣を納める。

 

「あなたは。」

 

「立派な王でした。」

 

 

エミヤは笑う。

 

「今度は。」

 

「自分も救えよ。」

 

 

クー・フーリンは笑う。

 

「今度酒でも飲もうぜ。」

 

 

イスカンダルは豪快に笑う。

 

「覇道ではなく護道か! 実に面白い!」

 

 

マーリンは微笑む。

 

「人の物語は、やっぱり最高だ。」

 

 

山の翁は静かに言った。

 

「生きる幸せを噛み締め給え。」

 

 

彼らは一人ずつ光となって消えていく。

 

 

 

最後に。

 

マスターが尋ねる。

 

「聖杯は?」

 

シールダーは静かに笑う。

 

「要らない。」

 

「願いは。」

 

「誰かに叶えてもらうものじゃない。」

 

「皆で叶えるものだから。」

 

聖杯は静かに砕けた。

 

黄金の粒子となって、

 

冬木の空へ舞い上がる。

 

 

 

 

数年後。

 

一人の少年が学校から帰る。

 

今日は笑っていた。

 

誰にも怒鳴られなかった。

 

友達と笑えた。

 

その姿を見て、

 

一人の青年が微笑む。

 

「良かった。」

 

その青年の名を知る者は、もうほとんどいない。

 

歴史の教科書にも載らない。

 

英雄譚にも語られない。

 

それでも、誰かの今日を守った者として、その歩みは確かに世界に刻まれた。

 

Fin

 




人は誰かを救うこともできれば壊すことも出来る。
だからこそ、優しく在りたい。
構造悪は日常に潜んでるだろう。
だからこそ、相手に寄り添いたい。
家族が友達が先生が先輩が後輩が−−−
側にいてくれた、その事実だけで救える命がある。
家族が友達が先生が先輩が後輩が−−−
話をきいてくれたから、もう少し生きようと思えることもある。
人生辛いときは必ず訪れる。
今がその時の人もいるだろう。
その時、1人にならず誰かとご飯食べたり、遊んだり、何気ない雑談したり、ほんの少しのシアワセに触れて欲しい。
会える人が居ないなら電話するも良し。
推しを作るのも効果的だ。
自分は…
電車のホームが怖かった時期があった。
この電車の速度なら○ねるか考えてたこともあった。
そんな時、俺は家族と友達と推しのバンドに救われた。
正しくは支えられてた。
何気ない雑談したり、愚痴を聞いてもらったり、趣味の話したりした。
推しのバンドにも救われた。
曲だけじゃない。
ライブ行って生きる力を貰ったし、
バンドの活動というか、
辛いことあっても何度負けても、
何度だって這い上がるその姿、行動。
それを見てて感じて、
俺も生きようって思えた。
辛いことに直接戦える程直ぐ立ち直れなかったけど、
俺は生きてる。

だからまぁ…なんというか

この物語が少しでも心に残って、
自分も辛いけど、他にも辛くとも生きてる人は居てて、
自分は独りじゃない。
最後にサーヴァント達が集結したみたいに。
そう感じてくれたら嬉しいです。


改めて、ここまで読んでくださり本当にありがとうございました。
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