「これが……私がしてきたことへの報いか……」
家族が誰一人いなくなったバーハラ城の私室で、アルヴィスは自身の顔を両手で覆っていた。
愛する妻と娘が旅立って以来、彼はずっと二人の帰還を待ち続けている。
妻を探す追っ手を差し向けようとはしなかった。
ディアドラが、母のように自分を捨てて永遠にいなくなってしまうのでは──
その不安と恐怖は、常にある。
だが、追っ手を差し向けて無理矢理に連れ戻したところで、それでいったいどうなるというのか。
ディアドラの記憶が戻ることを怖れる気持ちは確かにある。
全てを知ってしまったそのとき、はたして彼女はどうするのか──
少なくとも、彼女の性格ではとても平穏な気持ちでいられないのは確かである。
例えいま現在彼女が愛しているのがシグルドではなく、アルヴィスなのだとしても──だからこそ、彼女はシグルドを裏切って不貞を働いてしまったことへの罪悪感に苛まれることだろう。苦しみ続けることだろう。
過去のこと、と割り切ることなど彼女には到底できやしない。
いっそ彼女が、”夫の仇”と自分の命を狙ってくれたら、その方がどんなにいいかとアルヴィスは思う。
彼女を失うくらいなら、自分が死んだほうがマシだと、そう思う。
だが、ディアドラの優しい性格ではそれもできないであろう。
ならばそのとき、彼女が選択する行動は──
それを考えると、胸の奥が疼いて臓腑がかき回されるような気持ちになる。
だが、あのままではどうせ、絶望的な未来しか口を開けていないのも確かなのだ。
旅立つ前のディアドラは、アルヴィスの目から見ても危険な状態だった。疲弊し、自ら死さえ望んでいた。
その彼女が自ら、記憶を探す旅に出ると決意したのだ。生半可な覚悟ではないことは、アルヴィスにも理解できた。
もしも、その旅の途上でディアドラを連れ戻してしまったら、彼女は永遠に苦しみから逃れる術を失ってしまう。未来永劫苦しみ続け、そしていつかは、その苦しみに耐えきれずに──
ならばせめて、旅の途上で何か生きる理由を見つけてくれればとアルヴィスは思った。彼にとっても、いまやそれが一縷の希望になっていた。
いまディアドラのそばには、娘・ユリアもいるはずだ。
どうにかユリアの存在が、最悪の事態に対する歯止めになってくれればと思う。
そして、このバーハラの地で彼女の身を案じるアルヴィスの存在も──
『愛しております、アルヴィス様』
ディアドラが残した置き手紙の最後の行にすがりつき、彼はただただ待ち続けた。
そしてついに、待ち望んだ日がやって来た。
ユリアが、帰ってきたのだ。
だが、帰ってきたのは彼女一人であった。
嫌な予感に身を焼かれつつ、ディアドラのことを問うたアルヴィスに、娘はこう答えた。
「お母様は、全ての記憶を取り戻されました。そして、シグルド様と再会されて……共に旅立たれました」
「シグルドだと……!」
ユリアの言葉に、アルヴィスは黒い雷を受けたかのような衝撃を感じた。
シグルド──
(馬鹿な……。シグルドは……死んでいる。私が殺したのだ……。私の目の前で、間違いなく灰になり、この世から消え去ったはずだ……)
そのシグルドに、ディアドラは会ったという。
では彼女たちは、シアルフィに行ったのか。シグルドの居城であったその街には、彼の墓がある。反逆者といえども、十二聖戦士の血を引く貴人だ。土地の者が作ったその墓の存在は、アルヴィスも黙認していた。
だがユリアは、ディアドラがシグルドと「再会した」と言った。彼と共に「旅立った」とも言った。
(この世で二人が再会することは、あり得ない。ともに旅立つことも……。それができるとすれば、死者の世界だけだ……)
つまり、娘の言葉が意味することは──
「ディアドラ……」
呆然と、アルヴィスは呟いた。
彼は、愛する妻を永遠に失ってしまったのだ。
最も恐れていた結末が、現実のことになってしまった。
アルヴィスの胸を、喪失感と虚無感が襲う。
誰よりも愛する妻を失った悲しみ。
そして──絶望。
「シグルド……。お前も、このような苦しみを味わったのか。その上で、死んでいったのか……。これが……私がしてきたことへの報いか……」
因果応報という言葉を、これほど痛感したことはなかった。
アルヴィスは、同じことをシグルドに対してやったのだ。
いや、シグルドだけではない。
アルヴィスのせいで死んだ多くの者たち──その者たちを愛する全ての人々に、同じ気持ちを味合わせた。
いま感じている苦しみは、彼自身がやってきたことが、自分の身に返ってきただけなのだ。
呆然と、アルヴィスは虚空を見あげた。
(しかも私は……ディアドラの死に、このような気持ちを抱く権利などないのだ……)
愛する家族の死を嘆き哀しむことはよくても、夫として悲しんではいけない。最愛の妻の喪失という運命を恨んではいけない。
なぜならディアドラは、本来彼の妻ではないからだ。
彼女はアルヴィスの妻ではなく、シグルドの妻であるからだ。それをマンフロイが無理矢理に奪い、アルヴィスに差し出した。
アルヴィスとディアドラとの結婚は、完全なる重婚なのである。
知らなかったから──という言い訳は通らない。
彼は、気づいていたからだ。
ディアドラが、自分以外の誰かを見ていると──記憶をなくす前の彼女には、誰か他に愛する者がいたのだろうと、アルヴィスは気づいていた。
彼女が“
だが、“人妻”ではないか、少なくとも誰かの恋人ではあるだろうとは、気がついていたのだ。気づいていながら、彼女と結婚をした。
ディアドラとの重婚について、アルヴィスはけして「善意の第三者」ではないのである。
アルヴィスが幼い頃に両親を失ったのは、母の不倫が原因だ。その母の不倫相手を、彼は憎んだ。殺してやりたいと思った。
なのに、その者と同じことを、彼は意図して行ったのだ。
本来であれば、ディアドラが誰かの妻であろうと気づいた時点で、彼女への求婚を取り下げねばならなかった。
彼女の夫が判明した際には、その者の元にディアドラを帰さなければいけなかった。
だが、アルヴィスはそうするどころか──ディアドラの夫がシグルドであると確信しながら、彼を殺した。ディアドラを帰すことを拒否し、彼女を完全に己のものにするために、その夫を亡き者にした。
そしてそのために、彼らの結婚には「相手の夫を殺しての略奪婚」という罪も加わってしまった。
不倫の末の結婚の中でも、最も悪質なものだ。
もしもアルヴィスの臣下が同じことをしたら、彼はその者を極刑に処すことだろう。
アルヴィスの母の不倫相手だって、相手の夫を殺したりはしていない。それどころか、“恋仇”の子供であるはずのアルヴィスの出世に尽力さえしてくれた。
振り返って、自分はどうなのか。
誰より憎む男と同じ罪を犯しながら、何も知らぬふりで、最愛の妻との結婚生活を享受した。子供までもうけ、罪と禁忌に塗れた家庭を作って自分一人が幸福になった。
シグルドとディアドラの間にできた子は──セリスは、その存在を知りながら、ロプト教団や帝国の騎士が、「反逆者の子」としてその命を狙うことを黙認していた。
(私は、なんと最低な男なのだ……)
ディアドラを愛していたから、彼女を失いたくはなかったから──などというのは、言い訳にもなるまい。単なる身勝手な欲望のために、彼は自分自身が憎んでやまない者と同じことを──いや、それ以上に悪辣なことを行ったのだ。
そしていまアルヴィスは、そこまでして手に入れたディアドラを失った。
しかし、彼から妻を奪った──いや、取り戻したシグルドに対して、アルヴィスは怒る権利などないのであr。
シグルドは、自身の正当な権利を行使しただけなのだから。卑劣な手段で奪われてしまった最愛の者を、取り戻しただけなのだから。
ディアドラとの夫婦としてアルヴィスが享受した幸福は、本来はシグルドが得るはずのものだった。それが彼に奪い返されたからといって、怒り、哀しむ権利はアルヴィスにはないのである。
そして今の、この胸が砕け散りそうな状況を作りだしたのも、そもそもはアルヴィス自身の行動が引き起こしたことだ。
あのとき、辛い気持ちを押し殺してディアドラをシグルドのところに帰していれば、いまこのような事態にはなり得なかった。
運命の悪戯などではない。
彼自身の選択が引き起こした結果だ。過去の自分が、今の自分を苦しめているのだ。
絶望的な思いに囚われ、その絶望すら本来自分は感じてはならないと自らを責め苛み、そのことにまた絶望し──
永劫に回り続ける輪廻のような暗い感情に翻弄され、呆然と佇むアルヴィスに、哀しげな目を向けてユリアが言った。
「お父様……私はお母様と共に旅をして、色々なものを見てきました。たくさんの方のお話を聞きました……。あの、バーハラの戦いで生き残られた方のお話も……。
そして知ったのです。
この国には、まだまだ差別され、迫害され続けている方々がたくさんいらっしゃるのだと……」
差別と迫害という、その二つの単語に反応してアルヴィスは我に返った。
その二つのない世界を作ること──
それが、本来の彼の目的であったはずだ。
その言葉を、いまユリアは口にした。
アルヴィスが教えたわけではない。彼女自身が考えた言葉として、口に出した。
いつの間にか、この子はこんなにも成長していたのかと考えながら、アルヴィスは娘を見つめた。
その父の視線をまっすぐと受け止め、ユリアが言った。
「あのバーハラの戦いで生き残った方々、そのご遺族の方々は、今も迫害され続けています。きっと、他の戦いで敗れた方々も。
その方々の中には『裏切り者』などと罵られ、イジメられ、殺されかけている方もいらっしゃると聞きました。
お父様。これが、お父様の望んだ社会なのですか?」
アルヴィスは、何も言うことができなかった。返す言葉がなかった。
ユリアにはそのような意図は無かっただろうが──それは彼に対する、アルヴィスがこれまで行ってきたことに対する断罪の言葉だった。
シグルドやその仲間たち、その他の多くの者を殺したことは、必要なことであったと──アルヴィスが理想とする”差別と迫害のない、誰もが住みやすい世界”を作るためには、仕方のない犠牲であったと、これまでのアルヴィスはそう考えていた。
シグルドでは──彼の器では、とてもそのような世界は作れないと思ったからこそ、彼を殺したのだと、自分に言い聞かせていた。
しかし、本当にそうだったのか。
他に、方法は無かったのか。
ディアドラがシグルドの妻であったと知ったとき、アルヴィスは同時に二人の馴れ初めも聞いていた。
シグルドは、ディアドラが忌むべきロプトの血を受け継いでいると知っていながら、それでも彼女に求婚したという。
そのような男であれば、例えアルヴィスにロプトの血が流れていることを知っても、特に何とも思わなかったのではなかろうか。
むしろ、彼の理想に共感してくれたのではあるまいか。
その男を殺してまで──成り代わってまで今の地位に就いて、そして自分は何をしてきただろうか。
理想を、目標を達成できただろうか?
「できてはいない」と、ユリアは言ったのだ。
誰よりも愛する娘に、はっきりと否定されてしまった。
この世界には、まだまだ差別されている人がいると、迫害されている人たちがいると、ユリアは父を糾弾したのだ。しかもその差別と迫害を作り出しているのは、他ならぬアルヴィス自身なのである。
あのバーハラの戦いをはじめ、彼がこれまで殺してきた者たちの関係者や、彼らの領地に住んでいた者たちが、「皇帝に逆らった」「グランベルの人間ではない」などと言われて差別され、迫害を受けている──
ユリアの言葉はアルヴィスの心に深く突き刺さり、二度と消えない傷を残した。
最愛の妻を失っただけでなく、今までの自分の全てを否定されたような気持ちになった。
しかしそれも結局、彼自身の行動の結果なのである。
そもそも、愛する妻子すら守れないような男が、「世界を変える」などとは、あまりにもおこがましかったのだ。分を弁えぬ目標だった。
アルヴィスの脳裏に、あのバーハラでの戦いの光景が蘇る。
あのときシグルド軍の男たちは、愛する者を逃がすために自身を犠牲にして戦っていた。愛する妻や恋人、子供たちを命がけで守ろうとしていた。
それは、稀代の勇者である彼らだからできたこと──では、けしてない。
あのか弱いディアドラでさえ、ロプトウスに襲われたとき、ユリアを逃がすことに成功している。
振り返って、自分はどうなのだろうか。
愛する弟は、守るどころか、彼自身の手で死地に追いやってしまった。
ユリウスを──愛する息子を守ることもできなかった。
ディアドラが殺されかけたとき、彼女を助けたのもアルヴィスではない。歴史の歯車が少し異なっていれば、彼女はあの時、ロプトウスに殺されていてもおかしくはなかったのだ。
アルヴィスは結局、愛する者を誰も守れてはいない。
(愛想を尽かされて……当然だ)
アルヴィスは、多くの者たちを死の運命に
あの心優しいディアドラが、そのことで哀しまぬはずがない。心を痛めないはずがない。
彼女を自ら死を望むほどに苦しめたのは、他ならぬアルヴィスなのだ。彼がこれまでしてきた行状が、愛する妻を苦しめていた。
そして、彼はそれに対して何もしようとはしなかった。目を向けようともしなかった。
(ディアドラを殺したのは……私なのだ……)
これは運命などではない。自業自得だ。
アルヴィス自身が、自分から最愛の者を奪ったのだ。
「お父様……」
絶望の表情に染まる彼を、ユリアが心配そうな目で見上げてきた。自身の言葉で父を苦しめてしまったことに、罪の意識を感じているようだった。
その娘の姿に気づき、そしてアルヴィスは思った。
(そうだ……私にはまだ、愛する者が残されている。娘が……残っている)
彼女だけは、失うわけにはいかない。
──この子を……守ろう。
アルヴィスは、そう心に誓った。
ユリアに、ディアドラと同じ道を歩ませてはならない。彼女を苦しませてはならない。自信の罪を、彼女に背負わせてはならない。
彼の代わりに、娘が罪を償おうなどと考えさせてはならない。
そのためにはまず──アルヴィス自身が、罪の償いをせねば。
そのために──罪を贖うためにやるべき事はたくさんある。
その最たるものが、シグルドに対する罪だ。
思えば、アルヴィスは彼から一体、どれほどのものを奪ったのだろうか。
愛する妻と、命を奪っただけではない。
ディドアラは、グランベル王家の血を継ぐ唯一の王女だ。もしもアルヴィスが彼女を奪わなければ、シグルドは王女の夫として、グランベル王の座に就いていたはずである。事実、アルヴィスはそうやって王の地位を簒奪した。
つまりアルヴィスは、シグルドが本来得るはずだった地位も奪ったことになる。
アルヴィスは大陸の大半を征服したことで皇帝となったが、これも半分以上はシグルドの仕事だ。彼が大陸の半分を制圧してくれていたから、アルヴィスは楽にその土地を得ることができた。
しかもアルヴィス自身が征服した土地のうち、シレジアとレンスターは、シグルドの事実上の同盟国だった。
グランベル王国を大陸の大半を支配する大帝国へと変えたのは、いわばほとんどがシグルドの功績なのである。
そしてその功績も、アルヴィスは彼から奪って我が物にした。
ディアドラの父である前王子を暗殺した張本人を誅したのもシグルドだ。
この名誉も、アルヴィスは王子の暗殺の罪を逆にシグルドになすりつけることで、名誉どころか反逆者の汚名に変えた。そして自分が、王子を暗殺した反逆者を処刑したという名誉を得たのである。
アルヴィスは、シグルドをただ殺したわけではない。
彼から愛する妻も、地位も、功績も、名誉も──全てを奪った上で、殺したのだ。そして、本来彼が就くべきであった場所に、自身が成り代わった。
もしも自分が死んで、あの世とやらでシグルドと再会したなら、アルヴィスは間違いなく、次の瞬間に八つ裂きにされてしまうだろう。
多くの罪を犯した彼に、神々や、祖先であるファラが力を貸してくれるとは思えない。この世のありとあらゆる苦痛を受けて、自分は何度も殺されることだろう。
立場が逆だったら、自分ならば必ずそうするからである。
そしてシグルドのその怒りは、アルヴィスに苦痛を与えるだけでは止まらないはずだ。
すでに彼岸にいるユリウス、そしてまだこちらの世界にいるユリアにも、及ぶのではないか。
アルヴィスは、シグルドだけではなく、その父や仲間も殺している。直接に手を下したわけではないが、彼の妹と、その夫でありシグルドの親友でもあった男の死の原因を作ったのもアルヴィスとロプト教団だ。
さらにアルヴィスは、どこかに生きているであろうシグルドの息子も、例えそれが、愛するディアドラが産んだ子供であったとしても──いや、だからこそ、命を狙われていることを知りながら黙認した。
自身が、母の不倫相手をけして許せぬと思ったように、その子も、自分から両親を奪ったアルヴィスのことを憎んでいるだろう。いつか殺してやろうと思っているに違いない──と、そう考えていたからだ。
母を奪われる苦しみは誰よりも知っているはずなのに──それなのにアルヴィスは、自分と同じ想いを味あわせた子供を身勝手にも殺そうとした。
そしてそれは、彼岸にいるシグルドから、彼の子供の人生をも奪うことになる。
であれば当然アルヴィスも、その報いとして愛する子供たちを殺されてしまうだろう。彼を罰するために、ユリウスやユリアが犠牲にされるのだ。
(それだけは、何としてでも避けなければならない……)
アルヴィス自身の罪は、自分だけでなんとか精算しなければならない。
そのためにはまず、彼がシグルドから奪ったものを、返せるものだけでも全て返す必要があるだろう。
ディアドラは──シグルドの愛する妻は、彼の元に帰された。
だが、それだけでは足りないのだ。
ユリアを、そして既にシグルドの手中にいるであろうユリウスを救うためにも、他のものも全て彼に返す必要がある。
その上で、改めて彼らの死を無駄にせぬよう、彼らが納得してくれるような、理想の世界を作っていかなければいけない。
そうすることでしか、自らの罪を贖う
いまアルヴィスの目の前にいる娘は、神が与えてくれた慈悲だ。彼が罪を償うための猶予を、神はアルヴィスに与えてくれた。ならばこの子を守るために、アルヴィスができることは、全て実行しなければならない。
「ユリア……」
涙ながらに娘を抱きしめながら、アルヴィスの胸には強い決意が浮かんでいた。
蛇足と捉えられる方もいらっしゃるかもしれませんが、「ゆるしてやるべきだ」と考えるのなら、やはり謝罪と贖罪はきちんとさせるべきかと考えました。昨今の残虐な事件の犯人ですら、法廷では一応の謝罪の言葉を述べています。逆に、遺族が「けしてゆるさない」と話す理由に、「一言の謝罪もない」というものがあります。
彼のしたことは容認できることではないからこそ、赦しを与えるならば、少なくとも謝罪と贖罪はさせるべきです。その意思を、明確に描写するべきです。
なのにそれをしないということは……本当は悪いことだと考えていないのかな、と。彼に与えたいのは、「赦し」ではなく「許し(許可)」なのかなと、そのようにすら思えてきます。