大昔に書いた小説。見にくいところなどあるかもしれませんが苦情は受け付けません。
主と従者という関係の者が一般なこの世界
主は召喚する人間を指し、従者は召喚される精霊を指す。
従者の精霊は、召喚した主の言うことは絶対聞かなければならないし、主は従者の精霊を必ずしも一生涯傍に置いておかなければならない。
そんな世界に数年前…私はそよ風の精霊として生まれ落ちた。
そよ風に揺られ、日々を過ごす豊かな毎日…
しかしそんな私にも主が出来た。
主は優秀だった。
とある学園の生徒会をしていて頭も能力もあり…そんな人が私みたいなそよ風の精霊を傍におくことがわからない。
主はもっと…風でいうなら突風、竜巻だとか…そんな壮大且つ強力な精霊が似合う。それでも主は私を消し去りはしなかった。
「今日も気持ちいい風だな…フルール」
「はい…」
私の隣で寝転ぶ男こそ主であり名前をリオンといった。
精霊の私を召喚し初めてフルール、と名前をつけてくれたのもリオン様だ
私の隣にいるリオン様は本当に美しく…笑ってくれて…いつしかリオン様を好きになっていた。
きっと叶うことのない恋だけれど。
でも、それでも一緒にいられることが本当に幸せで私のそよ風でリオン様を喜ばせることが嬉しくて
ずっとこんな日々が続けばいいと思っていた。
それが崩れたのは、学園にある季節はずれの転入生がやってきたことから始まった。
転入生の名前はキルと言った。
容姿はいいが…破天荒で…なにも知らない無知ともいう…幼い考えをもった彼女だが、それが優秀な学園では逆に気に入る人も多くいたようだった。
勿論…会長のリオン様も
それからリオン様は変わった。
私を傍に置かなくなったし、仕事もしなくなった。
その代わり、勉強や仕事を放棄しずっと転入生の隣にいるようになってしまった。
精霊は主の言うことは絶対。
対に主は精霊を必ず傍におかなきゃいけない…
絶対の掟。
しかしそれがとある方法でのみ許される場合があった。
それは精霊が力を使い果たした時である。
精霊は基本消えない。
でも主が精霊に沢山の力を望んだ場合…精霊は身長を縮めていき力を使い果たした際はパッと消える。
そして主と精霊は契約を解消…
精霊は二度と世界に生まれてくることはなくなるのだ。
初めから、リオン様には私より他の精霊があっていると思っていたのは事実であったけれど…でも今はリオン様が好きで…ずっと傍にいさせてほしい、なんて欲もあって…。
だから転入生に「これ弱い、リオンにあってないから別な精霊にしようよ」と言われた瞬間固まった
何故転入生にそんなこと言われなきゃいけないんだと。
だからリオン様をみた。
期待を込めた目で。
しかし期待は裏切られた。
リオン様が「なら別なのにするか」と言ったのだ。
真っ白になった頭で考えたことはただ捨てられたんだ、ということだけ。
ずっと傍にいられると思っていた。
恋愛感情なんてなくとも…ずっと傍にいたかった
でも今では叶えられない願いであり…もう…それでもいいと思った。
私は弱いそよ風の精霊。
今まで強いリオン様の傍にいられただけでよかったのだ
「力を使い切れ、フルール」
「……はい、リオン様」
主には絶対である
言われすぐに力を放出する
周りにはリオン様が気持ち良いと言ってくれたそよ風が吹く。
周りから辺り…学園…山全体へと力を降り注いだ。
みるみるうちに体が小さくなる。ん
160あった身長は今は60にも満たなくなった。
体も透けてきた。
転入生が笑顔で見てる
そんなに私が消えるのが嬉しいのかな…
もうすぐ力を使い切る。
親指ほどの大きさになった。
見上げたリオン様の顔は逆光で見えなかったけれど、きっと転入生みたいに喜んでいるのかな?
「リオン様」
もう私は生まれてくることがないから…最後だけ言わせて
「あなたが好きでした…」
最後のそよ風に乗せて…リオン様に言葉を届けた。
どうか幸せに…リオン様。
私は生まれ変われない真っ黒な世界で1人小さく笑った