こういうタイプの憑依転生ってあんまり見ないよね←書いてみた。

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プロローグ

―――深夜・杉沢第三高校。

 そこでは両面宿儺の指に引き寄せられた呪霊が宿儺の指を食らうために人間を襲っていた。

 巻き込まれた民間人二名に加え、宿儺の指を回収に来た術師:伏黒恵、そして虎杖悠仁。

 

 

「―――あるじゃねぇか!全員助かる方法。俺に呪力があればいいんだろ!!伏黒!」

 

 

 虎杖悠仁は苦境と葛藤の中、一つの解決策を思いつく。

 それは―――特級呪物による呪力の獲得。

 

 

「ッ……やめろ!!」

 

 

―――虎杖は躊躇なく特級呪物である両面宿儺の人差し指を呑み込んだ。

 

 

ドクン

 

 瞬間―――濃密な呪力が放射され、それと連動するように虎杖を掴んでいた呪霊の腕が破裂する。失われた身体を呪力で埋め立てて、地面に降り立った虎杖へ襲いかかってくる巨躯の呪霊。

 

―――それを右手に前に向ける動作、たったそれだけで襲い来る呪霊は一刀の下に両断され、瞬く間に崩れ落ちていった。

 

 

【特級呪物・両面宿儺】の受肉―――

 虎杖の身体に浮き出る文様、その4つの瞼、虎杖が振るった力、それら全ては伏黒恵が恐れていた万が一の事態へと陥ってしまったことをハッキリと示していた。

 

 真夜中の告げる静寂と独特の空気感が両者の身を包む。

 その静の空気を先に割ったのは両面宿儺……と思われる受肉体であった。

 

 

「―――……ちっ、思ってた数倍一本目(マジモン)の抵抗が強ぇな。不意打ちで真っ二つにしてたった数分間主導奪えるだけかよ……ゲロ吐きそうなんだが……」

 

『―――何言ってるかわかんねぇけど、他人(ひと)の身体で何してんだ。返せよ』

 

「……あぁ、いいぜ。じゃあな」

 

 

 平安の呪いの王のイメージとは掛け離れた呆れを伴う笑みをもって虎杖の言葉に応え、そこから数秒と経たない内に身体中にあった文様が消えていく。

 

 


 

 表層で虎杖悠仁、伏黒恵、そして途中で合流してきた五条悟が話している最中―――

 虎杖悠仁の生得領域内部では、二人の両面宿儺による()()()()が起きていた。

 

 

「ケヒッ!嗚呼、良い、良いぞ!面白い!!!十数年程前―――突如として指一つの感覚が消えたかと思えば、よもやこのような傑物が産まれるとは思わなんだ!!」

 

「うっせ、黙って死ね。「解」!」

 

 

 解を避けて密度の高い解を放つ。

 

 

「解」

 

 

 本物の両面宿儺は当然のように反転と回避を合わせて切り抜け、その反撃として解を叩き込む。

 同じ術式同士のハイレベルな応酬が繰り広げられる。

 

 

「目に見えねぇ弾幕ゴリ押しで避けんのチートかよ?―――解」

 

 

 斜め下に手を向けると同時に地面に向かって抉り取るように一度目の解を発動させる。

 斬撃に弾かれた水面が浮き上がり、解によって切り裂かれる水を目印に不可視の斬撃を完璧に避け切った。

 そして拳を握り、宿儺に向けて大きく踏み込む―――

 

 

「殴り合いか、それとも―――」

 

 

 敢えてその拳を受け止めようと構えるが、その拳がたどり着くより先、その瞬間に切り飛ばされ、宙を舞う両面宿儺の右腕。

 

 

「何?」

 

 

 咄嗟にもう片方の腕で受け止めようとするも、その腕も刹那の間に切り飛ばされる。

 

 

「―――成る程。手印と呪詞の完全省略か……!!……嗚呼やはりッ、やはり楽しませてくれるなァ!」

 

「舐めんな。こちとらテメェの天井スペック継承してる上、娯楽もクソもねぇ場所でずっと休まずイメトレ(自己研鑽)やってんだわ」

 

 

 反転で回復するその一息の間に斬撃が放たれ、再生しつつある腕が一度二度と吹き飛ばされる。

 やがて再生させるのを止めた両面宿儺に対して彼は言葉を吐く。

 

 

「両面宿儺、縛りだ―――」

 

「―――……ほう?言ってみせろ」

 

「オレは既に魂を切る斬撃を会得している、この場で殺されたくなきゃ―――俺に調伏しろ」

 

「―――ケヒッ、自分が上だと勘違いした駄犬はよく吠える。呆れたものだな―――……第一、貴様はこの場で何度、その解を俺に見せた?」

 

 

 

 

「……ハッ、クソがッ!覚えんの()()()()()()!!」

 

 

 直感に従って大きく後ろに跳んで下がる。

 その場の地面ごと、空間が振動し、何度も刻まれる―――目の前にはこちらがバックステップを取った瞬間に余裕を持って両腕を再生する両面宿儺の姿。

 

 

「―――一年だぞ!?()()()()()()()()で丸一年の間虚無に向かって解を放って、やっとモノに出来たコレをテメェは……!」

 

「まだ完全とは言えぬがな。それにしても良い手本だったぞ?名はなんという―――嗚呼、間違っても俺の名は使うなよ。不愉快だ」

 

「―――俺の手札がそれだけだと思ってんじゃねぇカス。そんなに名前、聞きてぇんだったらテメェの耳元で何度も聞かせてやるよ!!テメェが屍になった後でなァ!!」

 

「ケヒッ活きが良いな!―――だが、そう簡単に死んでくれるなよ!!」

 

 

 

 戦いの火蓋が再度切って落とされる、丁度そのタイミングで―――

 

 

 

 

 

「……あのー、早くどっちか出てくんね?ゴジョーさんって人がすげー待ってるんだけど……」

 

 

 唐突に現れた、両面宿儺の器―――虎杖悠仁。

 

 

「―――……チッ痴れ者が、誰の邪魔をしたと思っている?分を弁えろ小僧―――」

 

「とっとと表に逃げてろ、虎杖悠仁。じゃねぇと死ぬぞ―――」

 

「へ、死ぬって―――」

 

「こういうことだ、覚えておけ小僧―――(カイ)

 

 

 虎杖悠仁に向けて何の溜めもなく、さらりと掌を向ける―――その刹那……()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()と鳴り響く。

 

 

 虎杖に向けて掌を向けていた敵対的な宿儺と警告を飛ばしてきた友好的な両面宿儺、()()()()()()()()()()()()。その傷にはパッと見ただけでも違いがあった。

 

 前者、敵性宿儺は首の傷は浅くその代わりに虎杖へ向けた腕が飛んでいた、後者は他に傷がないものの首の傷は極めて深い。

 

 

「……へ?」

 

「クッソっ……」

 

 

 心底苦々しく呟くもう一人の両面宿儺(異物)は、自分に向けて反転を回しながら水面に斬撃を放ち、弾き上がる水の飛沫を目印に、スライディングで追撃の解を避けていく。

 

 

「ケヒッ、考えることは同じといったところか―――此の痴れ者に無駄に気を割かなければ或いは―――」

 

「俺が敗けたみてぇに言ってんじゃねぇよ―――勝負はここからだろ!」

 

 

 足元に無詠唱で解を放ち、視線を切った上で下側から弾き出すように解を放つ。

 余分なジャンプは弾キャラ相手にはリスキーすぎる。

 それを分かっているが故に常に前面に水を張って探知し、地面を滑るように動き回る―――それは前面広範囲を網状に大きく切り裂く斬撃によって阻まれた。

 

 

「縛り。二秒後……十分間の反転術式の使用禁止、代わりに―――」

 

 

 『反転術式の出力増大』、避けようのない弾幕に対する回答の一つ―――それは全身に反転を回し、常時反転に浸かりきった状態、0.01秒単位で重ね続けられる再生によるゴリ押しである。

 唯一致命傷となる反転を回すための脳だけを保護するように首を傾け、無理やり突破する。

 

 さらに軸足に呪力を纏い、跳ねるように低空を跳んで、両面宿儺に向けて拳を叩きつける。

 

 飛び退く両面宿儺に向けてその勢いを活かしたアッパーカットの拳を今度こそぶつける。

 その拳を起点に捌を浴びせ、そのまま空中から宿儺を叩き落とすように拳と捌を再度叩き込む。

 

 吹き飛んだ両面宿儺の首を切断するように最大出力のノーモーション解を差し込んだ上で―――

 

 

「■―――『開』

 

 

 その肉体に轟々と燃え盛る炎の矢を叩きつけた―――

 


 

―――現世、五条悟と伏黒恵が見る中、ゆっくりと彼は目を開く。

 爪は鋭く伸び、その肉体には気付けば黒い文様が宿っている。

 

 

「お、切り替わった?……ねぇ、恵から色々と様子を聞いてるんだけど―――君は、平安時代に猛威を振るったあの両面宿儺本人って認識で間違いない?」

 

 

 あくまでも確認として、或いは確証を持った後の雑談ともいうべき軽さで問いかける現代最強―――五条悟。

 

 

「―――正確には違うな。両面宿儺の右手人差し指に宿った謎の人格A、それが俺だ。本体―――つまり両面宿儺は別にいるし、どうせ一時間もすれば起きてくる―――ま、俺のことは、テキトーにスッくんとでも呼んでくれよ」

 

 

 にやりと笑みを浮かべたその表情はやはり平安の怪物とは思えないほどに人間じみたものだった。




指一本宿儺(転生者)VS指19本宿儺(原作)―――レディファイ!!

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