【従魔がジョブを取得しました】
【戦士】
表示された文字を見て、思わず息を呑んだ。
「戦士。」
この世界で最も一般的な戦闘ジョブ。
探索者と言えば、まず戦士。
高校でジョブストーンを使用した際、最も多くの人が手にするジョブでもある。
だからこそ研究も進んでいる。
ランク1アーツ。
ジョブランクアップ。
戦闘技術。
どれも膨大なデータが残されている。
一方で、僧侶やクラフターのような支援職・生産職は使用者自体が少なく、研究もあまり進んでいない。
同じランク1ジョブでも、積み重ねられた情報量が違うのだ。
そんなことを考えていると、システムメッセージが再び表示された。
【ジョブ特性:戦士】
【戦闘系PP補正】
【戦闘系熟練度補正】
【ランク1アーツを習得しました】
【闘気】
「闘気。」
戦闘系アーツの基礎中の基礎。
身体能力を全体的に底上げするアーツだ。
爆発的に強くなるわけではない。
それでも扱いやすく、戦闘系探索者なら誰もが一度は使う。
だから研究も進み、今でも最前線で使われ続けているアーツだ。
「カタ。」
戦士になったスケルトンが一歩前へ出る。
見た目は他の三体と何も変わらない。
骨。
どこからどう見ても普通のスケルトンだ。
でも、中身は違う。
これで前衛を任せられる仲間が増えた。
◇
「さて。」
改めて四体を見渡す。
癒骨は回復と支援。
空間術師は運搬。
鑑定士は情報収集。
そして戦士は前衛。
自然と役割が分かれてきた。
俺はまず、空間術師スケルトンへ視線を向ける。
「ショートワープ。」
次の瞬間。
スケルトンの姿がふっと揺らぎ、一メートルほど前へ移動した。
「……一メートルか。」
さすがにランク1アーツ。
最初から何十メートルも移動できるほど甘くはないらしい。
それでも障害物を避けたり、狭い場所で荷物を運んだりするには十分役立ちそうだ。
「介護で使えるかは……帰って試してみるか。」
◇
次は鑑定士スケルトン。
「インスタントアナライズ。」
淡い光が目の前の戦士スケルトンへ向けられる。
【スケルトン】
【ジョブ:戦士】
表示されたのは、それだけだった。
「なるほど。」
名前の通り、簡易鑑定。
詳細な能力や隠された情報までは分からない。
でも、一度試しただけじゃ性能までは判断できない。
熟練度が上がれば見える情報も増えるかもしれない。
介護の現場でも、利用者さんの状態や物品の確認に応用できるなら十分価値はある。
◇
癒骨。
空間術師。
鑑定士。
戦士。
四体のスケルトンが静かに並ぶ。
「これから忙しくなりそうだな。」
「カタ。」
四体が同時に頷く。
明日、この四体を施設へ連れて行ったら、みんな驚くだろうな。
そんなことを考えながら、俺は四体を影の中へ収納した。