ダンジョン介護師の日常   作:河馬田いわし

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戦士

【従魔がジョブを取得しました】

 

【戦士】

 

 表示された文字を見て、思わず息を呑んだ。

 

「戦士。」

 

 この世界で最も一般的な戦闘ジョブ。

 

 探索者と言えば、まず戦士。

 

 高校でジョブストーンを使用した際、最も多くの人が手にするジョブでもある。

 

 だからこそ研究も進んでいる。

 

 ランク1アーツ。

 

 ジョブランクアップ。

 

 戦闘技術。

 

 どれも膨大なデータが残されている。

 

 一方で、僧侶やクラフターのような支援職・生産職は使用者自体が少なく、研究もあまり進んでいない。

 

 同じランク1ジョブでも、積み重ねられた情報量が違うのだ。

 

 そんなことを考えていると、システムメッセージが再び表示された。

 

【ジョブ特性:戦士】

 

【戦闘系PP補正】

 

【戦闘系熟練度補正】

 

【ランク1アーツを習得しました】

 

【闘気】

 

「闘気。」

 

 戦闘系アーツの基礎中の基礎。

 

 身体能力を全体的に底上げするアーツだ。

 

 爆発的に強くなるわけではない。

 

 それでも扱いやすく、戦闘系探索者なら誰もが一度は使う。

 

 だから研究も進み、今でも最前線で使われ続けているアーツだ。

 

「カタ。」

 

 戦士になったスケルトンが一歩前へ出る。

 

 見た目は他の三体と何も変わらない。

 

 骨。

 

 どこからどう見ても普通のスケルトンだ。

 

 でも、中身は違う。

 

 これで前衛を任せられる仲間が増えた。

 

 

「さて。」

 

 改めて四体を見渡す。

 

 癒骨は回復と支援。

 

 空間術師は運搬。

 

 鑑定士は情報収集。

 

 そして戦士は前衛。

 

 自然と役割が分かれてきた。

 

 俺はまず、空間術師スケルトンへ視線を向ける。

 

「ショートワープ。」

 

 次の瞬間。

 

 スケルトンの姿がふっと揺らぎ、一メートルほど前へ移動した。

 

「……一メートルか。」

 

 さすがにランク1アーツ。

 

 最初から何十メートルも移動できるほど甘くはないらしい。

 

 それでも障害物を避けたり、狭い場所で荷物を運んだりするには十分役立ちそうだ。

 

「介護で使えるかは……帰って試してみるか。」

 

 

 次は鑑定士スケルトン。

 

「インスタントアナライズ。」

 

 淡い光が目の前の戦士スケルトンへ向けられる。

 

【スケルトン】

 

【ジョブ:戦士】

 

 表示されたのは、それだけだった。

 

「なるほど。」

 

 名前の通り、簡易鑑定。

 

 詳細な能力や隠された情報までは分からない。

 

 でも、一度試しただけじゃ性能までは判断できない。

 

 熟練度が上がれば見える情報も増えるかもしれない。

 

 介護の現場でも、利用者さんの状態や物品の確認に応用できるなら十分価値はある。

 

 

 癒骨。

 

 空間術師。

 

 鑑定士。

 

 戦士。

 

 四体のスケルトンが静かに並ぶ。

 

「これから忙しくなりそうだな。」

 

「カタ。」

 

 四体が同時に頷く。

 

 明日、この四体を施設へ連れて行ったら、みんな驚くだろうな。

 

 そんなことを考えながら、俺は四体を影の中へ収納した。

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