この町は平穏そのものだ。事件もなく皆のんびりとした生活を送っている。
その中で暮らしているこの俺、出雲輪の日常は平和そのもの、勉強して、バイトして、学校で皆んなと学び、笑うそんな日々を過ごしていた。
「比名子〜おはよ〜う」「おはよう、美胡ちゃん」
学校名物のひなみこだ。母さんから少ししか聞いたことがないが、八百歳比名子、事故で家族を失い孤独の身となった悲劇の女。当初は腫れ物のように扱われたが唯一寄り添ったのが社美胡。
彼女は比名子に愛情を注ぎ、比名子に生きる活力を与えていった、その成果もあってか社には心を開くようになった八百歳。
といっても彼女は危なっかしいところもあって社が過保護になったらしい。だから彼女達二人のじゃれ合いは言わばこのクラスの名物でもあるのだ。
八百歳のことをどうにか言う資格は俺にはないが、なんと言うか彼女は儚くも美しさを感じ、授業も真面目にこなすから教師達からもウケがいい。でも何というか、彼女の目には何かこう、何かを望んでいそうな感じがする。
まるで破滅を望んでいるような…危ない願望が感じる。
まぁそう言うことは社が面倒を見ることだし俺には関係ない事だ。
ホームルームが進み授業に入る、八百歳は授業を真面目に受けているが、社はノートを立てて寝てる…いやなんでそれでバレないと思ってるんだアイツ…あ高野先生が社に近づいて叩いた…ご愁傷様。
昼休み…それは学校で最も楽しい時間でもある。授業で消費したカロリーを補給する時間でもある。母さんが作った弁当を美味しく頂く…うん上手い。母さんにお礼を言っとこう…
弁当を食べ終わった俺はスマホで動画を見ていた。見ている動画は日本神話の話だ…俺みたいな年頃になっていくと神話だのモンスターだのに興味を持つのだ。
適当に動画を見ていると
「ん?なんだこれ」
妙なアプリがダウンロードされて来た…アプリの名前は…『悪魔召喚プログラム』…?なんか怪しいな…削除するか…そう思って削除しようと思ったが、削除のスイッチを押そうとしてもうんともすんとも言わなかった…ウィルスかな…試しにアプリを触ろうとした途端…
『メールが一件来ました』
ん〜?このタイミングでか…まぁメールを見るだけなら何ともないと思うが…見てみる事にした。
『キミに送ったアプリ、気に入ってもらえたかな?これから君には大きな災いが降りかかる…それは災いを乗り越える為に必要になるものだ。そのアプリを使えば、悪魔や妖怪を見えるようになる…キミの交渉術次第だが、悪魔を仲魔にして戦うこともできる。キミが強くなればもっと強い悪魔を使役することもできる。これが悪魔召喚プログラムの主な使い方だ。あとはキミ次第だよ』
差出人、スティーブン
…なんだか凄いものをもらったような気がする…大いなる災いとは何なのか、悪魔や妖怪って何?とか情報量が多すぎる。取り敢えず放課後このアプリを試してみるか…
一旦アプリのことを閉まい、授業に集中し、時間は過ぎ去っていった。
「起立、礼、ありがとうございました。」
授業が終わり、放課後に入った。外を見れば太陽は沈み始め夕陽の光が教室に差し込んでいた…皆んなそれぞれ、放課後にやる事があった。
吹奏楽部の練習、野球部の練習、生徒会の会議などみんなやる事があった。
今日はバイトが休みだったからゆっくり帰ろうかと思ったが、昼入った、あの悪魔将軍プログラムを起動してみる事にした。
アプリを起動してみる、すると視界がクリアに変わったような気がした。画面にはレーダーのようなものが表示された。3時の方向に反応があった、振り向いてみると白くて丸いまるで雪だるまのようでマスコットの姿をしたものがいた。話しかけてみる。
「えっとキミって悪魔?」
「ヒホー?オイラのことが見えているのかホー?オイラはジャック・フロストって言うんだホー悪魔だホー」
「どうしてここに?」
「外は暑いから中に入って涼んでいたホー」
「そっか…あのさ…俺の仲魔になって欲しいんだ…何か欲しいものある?」
「ホーいきなりだねーそうだね…クイズに当たったら仲魔になってあげるホー。」
「おう…」
クイズか…悪魔から出される問題…難しいのが出るのかな…
「人間の中でオイラ達、ジャックフロストの出身地はどこと伝えられているホー?」
「ん?」
なんだ、案外簡単なのが出たな…よく悪魔とか精霊の動画を見ていたから何となくわかる。ジャック・フロストは
「イギリスだな」
「ホー正解ホーそれじゃあ約束通り仲魔になるホー」
そう言って手を差し出すジャック・フロスト。
「今後ともよろしくホー」
「あぁよろしく…」
こうして初めての仲魔ができた。
アプリにジャック・フロストのデータが入って来た。仲魔になるとデータが登録されるらしい。
「そういえば…今朝妖怪を見たホー」
「妖怪?」
「うん、この辺じゃ見ない妖怪だったホーそう言えば、この教室で変な匂いがした女の子がいたホー、多分その子目当てだと思うホー」
「え!?その女の子の特徴ってどんな子だった!?」
おれは無我夢中になりジャック・フロストの方を掴んだ手に冷たい感触が襲うがクラスメイトが危ないかもしれないから急いで答えが欲しかった。
「ヒホっ!?えっと…確か、茶髪でショートで暑いのに長袖を着ていた女の子ホー」
それって…八百歳だ…!俺は悪魔召喚プログラムアプリを起動させレーダーで悪魔を探しながら当人を探す。
「ついてこい!フロスト」
「ヒーホー!了解ホー」
俺は教室から出て、八百歳が何処にいるか聞きながら向かう事にした。
まずは廊下で談笑していたクラスメイトの男子から
「おい!八百歳見なかったか!?」
「八百歳なら昇降口方に向かったぞ。」
「ありがとう!」
急いで向かった。
昇降口についたら八百歳は見当たらなかった。レーダーを見ていると学校の中にフロスト以外の悪魔はいない…だが学校のプールに反応があった。学校の中にいれば安全だが、万が一外に出たら危険だ。外を見てると、八百歳がプールに向かっていた。
「まずいぞ!」
どうして危険な方に行くんだアイツは!上履きのまま、アイツを追いかけた。
まずい、反応が近くなっている!こうなったら呼び止めるしかない。
「八百歳!!そっちに行くな」
俺が大声で言うとようやくアイツは気付いた、
「え?出雲くんどうしたの…」
俺は彼女の腕を掴んでこう言った。
「話はあとだ!すまないが学校の中に戻るぞ!」
「え…うん」
急いで昇降口に戻ろうとしたが、彼女が転んだ。
「八百歳!どうし…」
よく見ると八百歳の足に髪の毛のようなものが絡まっていた…髪の毛の先を見ると、異形のものがこちらを見ていた。
「見つけた、…」
「え?」
比名子は驚いていた。
「ん〜いい匂い、こっちに来た甲斐があったわ…」
異形のものにスマホをかざすと磯女という文字が出て来た。チクショウ…最悪だなんで今日はこんなにも驚くことが多いんだよ…
「八百歳…俺に掴まって」
「え…でも」
「いいから…考えがある。」
俺の服の袖に捕まる彼女。スマホを操作する。
「ジャック・フロスト!出番だ」
「ヒーホーアイアイサー!」
「え?雪だるまが出て来た…」
驚く彼女を他所におれは指示する。
スマホにフロストのデータが映る。データを見ると技の一覧が出て来た。
「フロスト!フブだ」
「了解!食らえホー」
フロストの手から氷気が出て来て磯女に直撃する。プールにいて水分を纏っていた影響か…磯女は凍っていた。
よし、チャンスだ!
「アタックだ、フロスト!」
「ヒーホー!」
小さい手を振り回しながら凍った磯女に攻撃した。磯女の体は砕けた!
「やったホー!」
「よくやったフロスト!」
そう喜んでいたが八百歳は驚いたまま唖然としていた。
「出雲くん…どう言うこと?」
「あぁ話せば長くなるけど、俺は…」
俺がそう言いかけた時に足に何かが絡まり姿勢を崩してしまった。
「なに!?」
振り向いてみるとまだ生きていた磯女が俺の足に髪の毛を絡めた。
「オノレ…邪魔をしおってこうなったらお前でもいい!食ってやる」
そう言って俺の身体をプールに引き摺り込んだ。プールに入る瞬間俺が見たのは俺に手を伸ばした八百歳の姿だった…
プールに入ると息ができずに苦しくなっていた。磯女がこっちを見て牙を見せこちらを食べようとしたその時。俺を縛っていた髪の毛は切られいきなり上に引っ張られていった。
「ずもくん…出雲くん!」
誰かが俺を呼ぶ声がした…頭に柔らかい感触がした。
「八百歳?」
意識がはっきりすると、俺の目の前に八百歳の顔が写った…どうやら俺は彼女に膝枕させられたようだ。
「!磯女は?」
彼女が指を刺す、その方向を見ると、磯女とは違う何かが、喰らっていた。
「あれは…ゴホッ」
「無理はしないで、多分あれは…大丈な方だと思うよ…」
いやいやどう見たってヤバいやつだろ…立ちあがろうとしても身体に力が入らない…
「さっき肺から水が出たからしばらく無理はできないよ…」
「そうか…すまねぇ…」
やがてプールの方が静かになった…磯女ではない怪物がこっちを見る、やがて女の子の姿になる。スマホをかざそうとするが手に力が入らん。
「安心してください…あなたには興味ないので…」
その女が俺に言う…俺には興味がない?
比名子の俺を抱きしめる力が強くなる…
「私はあなたを食べに来たのです…ですが今ではありません…あなたはまだまだ美味しくなるんですから…」
とヤバいことを言っている。せめてこいつが何なのか…見る為にスマホをかざした。データ称号、人魚のようだ。
「比名子〜」
遠くから社の声が聞こえた方を見てしまった、
再び女の子の方を見るも、誰もいなかった。何だったんだアイツは…
「出雲くん…大丈夫?」
八百歳が俺に聞く。
「大丈夫じゃないな…制服はびちょびちょだし最悪だな…」
「ごめんね…こんな事になって…肩かすよ…」
「わりぃ…」
彼女の力を借りて何とか家に帰って来た俺、社に見つかった時、八百歳がプールにいたから呼んだら足を滑ってプールに落ちちゃったと言ってなんとか誤魔化した。
家に帰ったら母さんが俺のことを心配してくれた。取り敢えず人助けでこうなった事を伝えて、明日に向けて休む事にした。今日は色んなことがあって疲れた。そう思い俺は眠りについた。
翌朝、アラームが鳴って起きて、朝ごはん食べて、制服が乾いたから着替えて、学校に向かおうとして、玄関を開けた先に、八百歳と社がいた。
「おはよう。出雲くん…」
「おはよう…八百歳…」
そう言って俺たちは向かい合っていた。
八百歳がこちらに近づいて、頬を触って来た。
「大丈夫だった?」
「あぁ、うん元気だよ…」
「そっか…よかった…」
そう言った八百歳は俺の返事を聞くなり安心して笑顔を見せた。これ見ると美人だよな…
「ストーーーップ」
俺と八百歳の中に割ってはいる、社。
「言っとくけど、比名子がどうしてもって言うからあんたの家の前までついて来たんだからね!」
という…色々心配させすぎたな…
「そっか…ごめんな二人とも…」
「ううんいいよ…それよりホラ、早く行こう。」
そう言って八百歳は俺の手を引っ張る。
このまま手を繋いだまま学校に行く事になった。
如何でしょうか?コメントよろしくお願いします。