【新帝国暦二十四年(聖暦二十三年)二月末 バーラト星系 教国特使船】
神聖黄金樹教国の宣信院宰であるスアーダ枢機卿の二度目のハイネセン訪問には、アロイジウス枢機卿が同行していた。
教国の政務は六つの院と、軍務を預かる一つの寮――〈六院一寮〉に分かれ、その長を七人の枢機卿が務めている。任免権は、教国の最高指導者である慈母司牧アガーテと枢機卿団にあり、七人はそれぞれ異なる分野を預かっていた。
宣信院を預かるスアーダは、外交交渉や布教、宣伝活動を担当し、辺境司牧院を預かるアロイジウスは各地の聖堂を通じて人々の生活を支える仕事をしている。食料の配給、診療所の運営、離散した家族の捜索。今回の会談で何かを約束すれば、実際に人を動かすのはアロイジウスの配下だった。
今や教国の支配領域となった七つの星系には、バーラト自治政府の市民の家族や親族が残っている。教国内にいる親が聖堂から配給や診療を受けていても、バーラトなど帝国領内に住む子供までは信徒ではない場合が多い。教国内の家族や親族の暮らしを心配しても、どこの聖堂へ何を尋ねればよいのか分からず、自治政府へ相談に来る者が多数いた。
教国には、教団の信徒が収入や収穫の十分の一を納める
今度の会談では、教国内に居住する家族や親族について、バーラト市民が自治政府を通じて消息を知ることができる枠組みを決める予定だった。
教国の特使船は、ハイネセンの軌道上の指定された停泊場所へ向かっていた。
船の食堂では、ちょうど朝のパンが焼き上がったところだった。
教国の船では、なぜかパンだけは毎朝焼く。穀物は母なる地球から授かったもっとも古い糧であり、火を入れたものをその場にいる者で分けて食べるのが最もよい、という教えが聖典にある。
もっとも聖典が決めているのはそこまでだった。何を混ぜ、どれほど発酵させ、どんな焼き色にするかまでは神も口を出さない。そのため船ごと、厨房ごとに妙なこだわりが育ち、聖団によってもパンの好みにはかなり差があった。
帝国出身の旧門閥貴族を多く抱える第一聖団では、細かく挽いたライ麦を長く発酵させ、焼き締めた黒パンが好まれる。薄く切って食べる、旧い帝国の上流家庭に残っていた味だった。
同じく帝国系でも、旧軍官僚や工廠勤務者、技術者を多く抱える第二聖団の黒パンは少し違う。ライ麦に大麦や全粒粉を混ぜ、酸味を強くした大ぶりのパンをまとめて焼く。見栄えより腹持ちと保存性が重んじられ、厚く切って食べる艦が多かった。
旧フェザーン系の第三聖団は、油や香草を混ぜたものを好み、同じ生地でも船によって味が違った。
旧自由惑星同盟軍人の多い第四聖団では、柔らかな白パンを朝食に出す艦が多い。
同じ教国軍でも、食堂へ入ればその船の所属が分かる、とまで言われていた。国を捨てても朝に食べるパンの好みまでそう簡単には変わらなかった。
この特使船は、どの聖団にも属していなかった。そのせいか、厨房のパンにもどこか折衷的なところがあった。小麦を主体に少量のライ麦を混ぜ、蜂蜜をわずかに加える作り方は各地から人の集まる聖都ラディークスで広まったもので、〈ラディークス風〉と呼ばれている。
聖都では、第一聖団と第二聖団の黒パンも、第三聖団の香草パンも、第四聖団の白パンも同じ市場に並ぶ。そこでいつの間にか生まれた折衷型が、〈ラディークス風〉だった。
この船でも小麦に少量のライ麦を混ぜ、前の晩から寝かせた生地へ蜂蜜をほんの少しだけ加える。焼く直前に表面へ塩水を塗るので、皮は薄く硬く焼け、その下には白い生地が水分を抱えたまま残った。
焼き上がったパンが籠へ移されるたび、まだ熱い皮が、ぱち、ぱち、と小さく割れた。裂け目から湯気が立ち、炒った穀物と酵母、それに焦げた蜂蜜の甘い匂いが食堂へ広がっている。
一つ割れば表面は乾いた音を立てるのに、中は指に吸いつくほど柔らかい。ちぎった断面へ薄くバターを置けば塗る必要もない。熱で縁から崩れ気泡の一つ一つへ金色に染み込んでいった。
アロイジウスは端末を読みながら、パンには一度も目を向けていなかった。何度目かに伸ばした手が空を切ると、ようやく顔を上げた。
「もうありませんかな」
給仕が新しい籠を持ってくると、礼を言って一つ取り、まだ熱いパンを指先で割った。湯気が上がる。その半分へバターを載せたところで、端末の画面を上へ戻した。
「……おや。病院がありませんぞ」
スアーダは向かいの席で、ベルガモットを利かせた紅茶を飲んでいた。同僚が今度は何を探しているのか分かったらしく、カップを置いた。
「アロイジウス。今回は、病院の視察を申し入れていません」
「医療の話もするのでしょう?ハイネセンの病院を一つ、見せていただきたいものですな。大きなところでなくて結構です。町の診療所でも構いません」
「御覧になりたいのですか?」
「ええ。こちらの診療所で困っていることが、向こうではとうに片づいているかもしれません。薬が足りないと聞けば薬を送りますが、人や物の使い方を変えた方がよいこともありますからな。逆に、こちらでうまくいっているやり方をお伝えできることもあるやもしれません。そういうのは、実際に現場を見て話さねば分かりませんぞ」
スアーダは頷き、会談予定の時刻へ目を向けた。
「それは私も伺いたいです。今日の協議で、見学をお願いしてみましょう」
「おお、それなら結構。昼食を短くすれば、一か所くらいは回れますぞ」
「……アロイジウス。あなたのお食事を短くしても、病院の予定は空きませんよ」
「見せていただくだけです。大した支度は要りますまい」
「患者を診ている方に、突然来た外国の枢機卿の案内までしていただくことになります」
アロイジウスは口を開きかけ、そのまま閉じた。もう一度予定表を見ると、書き込みかけた見学時刻を消した。
「いやはや、それはいかん。病人や医療者の邪魔をしては、何をしに来たのか分からんですな。先方の御都合を伺ってからにします」
「そうしましょう」
「学校も、訊くだけなら構いませんかな」
スアーダが顔を上げた。
「病院の次には、学校ですか」
「子供の世話も、わしの仕事ですからな」
アロイジウスは悪びれずに答え、予定表の余白へ「学校」と書き加えた。スアーダは何も言わず、自分の端末にも見学の打診を一項加えた。
そのとき、若い文官が食堂へ入ってきた。二人に挨拶をしてから、アロイジウスへ端末を差し出す。
「アロイジウス猊下。家族を捜す依頼への返事について、案を直しました。昨夜お尋ねになった、結果が出るまでの連絡の件です」
「おお、ありがとうございます。見せてください」
アロイジウスは端末を受け取り、文官の説明を聞いた。聖堂の名簿に昔の住所があっても、戦争や転居のあと、どこへ移ったかを確かめるには時間がかかる。その間も家族へ連絡し、捜索が続いていると伝える案になっていた。
「ただ、毎回同じ返事になるかもしれません。調査中でまだ回答できません、と」
「それでも、何も来んよりよいでしょう。我々はちゃんと探していると知っている。ですが、頼んだ方には、返事がなければ忘れられたのかどうかも分からんのです。待っている家を、待たせっぱなしにはせんでください」
スアーダも資料を読み、先方との協議でこの案を出すことにした。アロイジウスは礼を言いかけ、文官がまだ立っていることに気づいた。
「あなた、昨夜はいつまで起きていたのですかな」
「それほど遅くはありません」
「わしに気を遣わんでよろしい。朝食は?」
「この御報告が済みましたら」
「では、そこへ座りなさい。食べながらで結構です。身体まで後回しにしては、仕事が続きませんぞ」
文官がスアーダを見ると、彼女は空いている椅子を示した。
「残りの説明は食後に伺います。到着までまだ時間はありますから」
アロイジウスは給仕を呼び、自分たちと同じものをもう一人分頼んだ。文官が椅子へ腰を下ろしても、なお端末へ手を伸ばそうとするので、アロイジウスはそれを自分の脇へ寄せてしまう。
「ここからは、わしが自分で読んでおきます。分からんところがあれば、食べ終わってからにしましょう」
文官はようやく手を引いた。ほどなく、卵と果物、それに焼きたての〈ラディークス風〉のパンが運ばれてくる。まだ温かいパンを割ると、薄い皮がぱり、と鳴り、ライ麦と蜂蜜の香りが湯気と一緒に立った。
アロイジウスは両手を合わせた。
「母なる地球よ、今日の糧をありがとうございます。これを育てた者、運んだ者、焼いてくれた者にも、どうか良き一日を」
短い祈りを終えると、文官へ手を向けた。
「さあ、いただきましょう」
文官が食べ始めるのを見届けると、アロイジウスはすぐに端末を開いた。スアーダはしばらく黙っていたが、彼が次の頁へ進もうとしたところで声をかけた。
「アロイジウス。あなたの分も冷めてしまいますよ」
アロイジウスは目の前の皿を見た。新しい籠から取ったパンは、割ったところで手が止まっていた。載せたバターはすっかり染み込み、卵にもまだ手をつけていない。
「おやおや。これは、わしも叱られる側でしたな」
文官が俯いた。笑いを堪えているのは分かったが、アロイジウスは気にせず端末を伏せた。
「身体を後回しにするなと言った本人が、これではいけませんな」
「その前に、パンはずいぶん召し上がっていましたけれど」
「それとこれとは別ですぞ」
アロイジウスはそう言って、すっかりバターの染みたパンを口へ運んだ。
今度は文官も笑った。
アロイジウスは少し冷めた卵を口へ運び、それからパンを割った。断面へ載せたバターがすぐに崩れ、白い気泡の奥へ染み込んでいく。一口かじったところで、給仕を振り返った。
「これはうまいですな」
給仕が笑って頭を下げた。文官も、もう急いで食事を済ませようとはしなかった。スアーダはベルガモットの香る紅茶を注ぎ足しながら、二人が食べ終わるのを待った。
食後、残る確認を済ませると、アロイジウスは自分の端末を閉じた。
「いやあ、助かりました。これで、向こうへ行ってから『調べておりません』と言わずに済みますな。今夜は早くお休みなさい」
「猊下が夜中に質問をお送りにならなければ」
言ってから、文官はわずかに口をつぐんだ。アロイジウスは眉を上げ、男の顔を見た。
「おや。……それは、わしのせいでしたか」
「昨夜は七件ございました」
「七件!そいつは多かった。いや、すまんことをしましたな」
アロイジウスは医療や学校の話になると報告書の向こうにいる人間をどうにも数字のままでは考えられなかった。診療所と聞けば、薬の切れかけた老人や、長い待合室で順番を待つ親子が浮かぶ。学校と聞けば、停電した教室で電子端末ではなく紙の本を広げる子供や、暖房の止まった部屋で授業を続ける教師の姿を想像する。
そうなると朝まで待つという発想が抜け落ちる。思いついたことを一つ送り、返事を待つあいだにもう一つ気づき、気がつけば七件になっていたのである。
「急ぎとは書かれていなかったのですが」
「枢機卿から届けば、放ってはおけませんよ」
スアーダが言い添えると、アロイジウスは少し困った顔をした。
「……それはいかんな」
自分が送信した照会の一覧を開く。診療所の薬剤在庫、送迎手段、停電時の発電設備、学校給食、教室の暖房――確かに、どれも夜中に叩き起こして訊くほど急ぐ話ではなかった。
しばらく眺めてから頷き、文官へ向き直った。
「分かりました。急がんものは、朝に送ります。夜に思いついたら、わしのところで止めておきましょう」
「そうしていただけますと、助かります」
「いやあ、これは覚えておかねばなりませんな。困っている人のことを考えて、別の人を困らせていては世話がありません」
文官は一礼し、食事の礼も述べて出ていった。アロイジウスはその背中を見送ってから、今朝書き留めた質問のいくつかを明日の欄へ移した。
スアーダは残った茶を飲み、資料の最後に添えられた短い報告を読んでいた。前回の訪問後、バーラト自治政府が彼女の経歴を調べている可能性があるという。教国側に本人照会は来ていなかったが、旧同盟時代の公開記録を遡れば、昔の名へ届くことはあり得る。
アロイジウスもその報告には目を通していたらしい。
「スアーダ。向こうでは、かつて同盟人であった『ミレーナ・ヴァレル』としてのあなたに会いたがるかもしれませんな」
「その名前を隠したことはありません」
「ええ。ただ、昔の話をしたがる人もいるでしょう」
「尋ねられたことには答えます。けれど、今日はそのために来たのではありません」
アロイジウスは、彼女の顔をしばらく見ていた。食事のことや仕事のことなら遠慮なく質問を重ねる男だったが、今は続きを促さなかった。
スアーダは会談資料を閉じ、端末を手元へ引き寄せた。
「ミレーナ・ヴァレルも、私ですから」
「そうですか」
アロイジウスは短く頷いた。
「では、あなたがお話しなさい。わしが横から口を出すことではありませんな」
ほどなく船内通信が入り、連絡艇への搭乗準備が整ったと告げた。二人が食堂を出ると、随員たちは通路で書類と手荷物を確かめていた。先ほどの文官が近づき、会談用の資料はすべて揃っていると報告する。
「ありがとうございます。では、参りましょう」
スアーダが歩き出すと、アロイジウスも続いた。ただ、搭乗口へ入る前に一度だけ足を止め、朝食を運んでいた給仕へ振り返った。
「パンがとてもうまかった。作った方にも、ぜひよろしくお伝えください」
給仕が笑って頷くと、アロイジウスは満足そうに艇へ乗り込んだ。先に席へ着いていたスアーダの隣へ腰を下ろし、手荷物を足元へ収める。それから両手を組み、短く目を閉じた。
随員たちが着席を終え、連絡艇が特使船を離れるころ、彼は目を開けた。艇はゆっくりと高度を落としていった。
雲の切れ間からまず惑星ハイネセンの青い海が見えた。陽光を受けた水面は遠くまで銀色にきらめき、その向こうに緑の陸地がゆるやかな弧を描いている。白い雲の影が海の上を静かに流れ、海岸沿いには都市の白い建物と港湾施設が細く連なっていた。さらに内陸へ目を移せば、農地と住宅地、湖、河川、街路が、地表を縫うように広がっている。
上空から見るかぎりそこには国境線も党派もない。ただ、朝の光を受けた街があり、港があり、畑があり、そのあいだを人の暮らす道が延びている。艇がさらに降りると雲の下からハイネセンポリスの街並みが姿を現した。青い水面の縁に白と緑の街が広がり、その背後には低い丘陵が続いている。
人が自由を語るには、あまりにも穏やかで美しい朝だった。
***
【同日 惑星ハイネセン バーラト自治政府】
住民保護や治安を預かる内務局長ムライが二人の枢機卿を会談室へ案内した。迎えて立ったのは、バーラト自治政府の評議会議長ベルナール・コーツである。
コーツは評議会の最大与党〈自治安定党〉の党首でもあった。帝国との協定で維持されてきた自治を守り、住民の生活を優先するいわゆる〈協調派〉の政治家である。
アロイジウスは机上の資料より先に、彼をはじめ出席者の顔を一人ずつ見た。
「辺境司牧院宰のアロイジウスです。本日は、よろしくお願いしますぞ」
声がよく通った。コーツと握手を交わし、行政実務を取りまとめる事務総監アレックス・キャゼルヌやほかの出席者にも挨拶すると、席へ着く前に内務局長のムライを振り返った。
「先ほど玄関でお話しした職員の方にも、お礼をお伝えください。家族の問い合わせをどこで受けているのか、よく分かりました」
「本人に伝えておきます」
「ありがとうございます。つい、引き止めてしまいましてな」
旧同盟軍で統合作戦本部長を務め、現在は自治政府主催の〈バーラト星系市民安全互助隊附属教育課程〉で課程長を務めるクブルスリーも席に着いていた。自治政府の顧問として軍事や国家制度について諮問を受ける立場にあり、この日の会談にも加わっている。
スアーダは隣で会談資料を受け取っていた。自治政府記録官のフレデリカ・グリーンヒル・ヤンを見つけると、静かに会釈する。フレデリカも立ち上がって礼を返し、二人が着席するのを待ってから記録を始めた。
コーツは歓迎の挨拶を短く済ませ、医療、家族の消息、民間船の往来について話し合うことを確認した。軍事を交渉する会談ではない。
その確認が終わると、コーツはスアーダへ向き直った。
「協議の前に、一点、確認させてください。自由惑星同盟の時代、あなたは『ミレーナ・ヴァレル』という名で公職に就いておられましたか」
スアーダはすぐに頷いた。
「はい。惑星パフラヴィーの自治体議会におりました」
「議員を務められ、その後議長に就かれた」
「そのとおりです」
ムライは、手元に用意していた経歴照合の資料を開かなかった。否定された場合に示すつもりだった選挙映像も、顔貌や声紋についての説明も、必要なくなった。
スアーダは次の質問を待っていた。隣のアロイジウスも口を挟まず、机に両手を置いている。
「自治体の公開記録を確認しました。会談記録には、ただいま御本人の確認を得た旨を残します」
「構いません」
コーツは頷き、資料を閉じた。それ以上、夫や娘については尋ねなかった。
評議会の立会人として出席した評議会第二党の〈共和自立党〉党首ロイド・ハーグリーブスは、しばらくスアーダを見ていた。帝国への反感を隠さない、いわゆる〈自立派〉だが、教国を代わりの頼みとするのではなく、バーラト自身で判断し行動できるだけの軍事力を持つべきだと考えている。
もう一人の立会人、第三党である〈自由共和党〉党首ノーラ・リンデンも何かを言いかけて口を閉じた。市民が政府を選び、批判し、必要なら選挙で取り替えられる仕組みを重んじる、いわゆる〈民主原則派〉の政治家である。やがて彼女が次の協議事項へ目を落とすと、フレデリカが記録を入力する音だけが残った。
ムライは先日見た古い選挙映像を思い出した。スアーダがコーツの言葉を聞くために首をわずかに傾けたとき、その仕草が映像の中の女と重なった。身につけた服も髪型も違う。それでも、あの集会場で住民へ語りかけていた人物が今ここにいることは確かだった。
「では、市民からの相談事項について、内務局長から説明します」
コーツに促され、ムライは医療に関する資料を開いた。
最初に挙げたのは、七星系に家族を残しているハイネセン市民から相次いで寄せられている相談だった。
建国後、教国支配星系に居住する家族が教団の信徒となり、什一を納めて聖堂の診療所や生活支援を利用するようになった例は少なくない。その一方で診療所の統廃合や居住地の移動によって、それまで受けられていた支援を受けられなくなったという問い合わせが増えていた。本人は七星系におり、家族はハイネセンにいる。現在、ハイネセンから教国支配圏内に民間人が渡航する手段は著しく限られている。そのため自治政府へ「現地で何が起きているのか」「どこへ相談すればよいのか」という照会が集まるようになっていたのである。
ムライは、その中から一件を例として示した。
「この方の場合、建国七星系の一つに高齢のお母様が残っています。建国後に教団の信徒となり、什一を納め、近所の聖堂が営む診療所で薬を受け取っていました。ところが、その診療所が閉まったそうです」
「別の町の病院へ行くように言われたそうですが、高齢で、一人ではそこまで通えない。娘さんはこちらに住んでいて、すぐには迎えにも行けません」
アロイジウスが顔を上げた。
「お母様とは、連絡が取れているのですかな」
「はい。ですから、この一件だけなら行方照会ではありません。同じような相談がほかにも来ています。これまで受けていた診療や支援を、場所や制度が変わったあと、どうすればまた受けられるのか。こちらには、それを答える窓口がありません」
「閉まった診療所の名は分かりますかな」
ムライが地名と施設名を示すと、アロイジウスはすぐに自分の端末へ移した。それから随員を呼び、現地の聖堂へ確認を入れるよう頼んだ。
「閉まった理由だけではありませんぞ。そこへ通っていた患者を、そのあとどうしているのかも訊いてください」
「猊下、患者には代わりの病院を案内しているとのことですが」
「そこへ行けんから、お困りなのでしょう」
アロイジウスは言った。
「迎えを出せるのか、別の診療所へ回せるのか、それとも薬だけ近くで受け取れるのか。すぐ確かめてください。このお母様だけではなく、同じ境遇の方全員分です」
随員が頷くと、アロイジウスは今度はムライへ向き直った。
「ムライ局長。そのお母様の薬は、まだ残っているのですかな」
「そこまでは確認できていません」
「では、娘さんを通じて至急訊いていただけますか。切れてからでは間に合わん薬もありますのでな。こちらも今日中に現地へ連絡を入れます」
ムライは頷いた。説明を始めたときより、相手の顔を見る時間が長くなっていた。
「アロイジウス枢機卿。娘さん自身は、教団には入っていません。それでも母親のことを教国に問い合わせてよいのかと、心配していました」
アロイジウスは少し眉を上げた。
「お母様の世話をしておるのは、うちの聖堂でしょう。そのことで娘さんから尋ねられて、答えん理由がありませんぞ」
それから端末へ何かを書き加え、ふと思い出したように顔を上げた。
「同じような御相談が、ほかにも来ているのでしたな」
「はい。診療だけではありません。支援を受けていた家族と連絡が取りにくくなった、どこの聖堂へ問い合わせればよいか分からない、といった相談もあります」
アロイジウスはスアーダを見た。
「スアーダ。こちらで受ける窓口を今決めてしまいませんかな。どの聖堂の管轄かは、後でこちらで調べればよいでしょう」
スアーダが言葉を添えた。
「御家族からの問い合わせを、どの聖堂へ伝えればよいか分からない場合には、自治政府から私どもへ御連絡ください。現地への確認はこちらで行います」
「分かりました。相談に来ている市民へ伝えます」
「ぜひ。お母様にも、困っていることを遠慮なくお知らせいただきたいですな」
アロイジウスはそう言ってから、自分の端末にもう一行書き加えた。ムライの位置からは、〈薬〉とだけ見えた。
家族の消息についても、話は同じところへ行き着いた。転居のあとや開戦後に連絡が途絶えたという相談が多く届いていた。以前の連絡先までは分かっていても、その先を自治政府で追うことは難しい。
スアーダは、まず教団への登録を確かめたうえで、聖堂を通じて消息を調べると答えた。
「すぐに所在が分からない場合もあるでしょう。その場合でも、調査中なのか、どこまで確認できたのかはお返しします」
キャゼルヌが頷いた。
「それは助かります。結果が出るまでの間にも、御家族はこちらへ何度か問い合わせに来るでしょうから」
「承知しました」
スアーダは担当者の方へ目を向けた。
「回答をお送りする窓口と、途中経過を照会する方法も、この場で決めておきましょう」
双方の文官が端末を開き、必要な連絡先と手順を書き留めていった。具体的な結果は、まだ出ていない。
それでもムライには、相談に来た住民たちへ返せる答えができた。誰に頼めばよいのか。返事が来なければ、どこへ訊けばよいのか。どのような方法で調べるのか。少なくとも、その三つはもう「分かりません」ではなかった。
コーツが次の項目へ進もうとしたところで、アロイジウスが手を上げた。
「キャゼルヌ総監。医療の件で、もう一つお願いがあります」
「何でしょう」
「今回、バーラトの病院を見せていただく機会はありますかな。こちらの診療所で困っていることについて、御意見を伺いたいのです。もちろん、先方の手が空く時間で結構ですぞ」
「本日の予定には入っていませんが」
「ええ、承知しております。わしの昼食を短くしても、病院の予定は空かんと、朝、同僚に言われましたのでな」
スアーダは何も言わず、茶を飲んだ。キャゼルヌの口元がわずかに緩む。
「病院へは希望を伝えておきます。受け入れられるかどうかも含めて、先方から返事をもらいましょう」
「ありがとうございます。それで十分ですぞ」
アロイジウスは満足そうに頷き、何かを続けようとしてスアーダを見た。
「アロイジウス、学校のお話は今回はお預かりしておきましょう」
彼女が先に言うと、枢機卿は少し残念そうに口を閉じた。
「……では、次の機会にですな」
ハーグリーブスが笑った。リンデンも端末から目を上げ、あらためてアロイジウスを見た。
コーツは二人のやり取りが終わるのを待ち、民間船の往来に関する資料を開いた。教国とバーラトの間では、今も商船や旅客船が航行している。次に確かめるのは、事故や遭難が起きた場合の連絡だった。
ムライが説明を始める前に、スアーダがカップを置いた。
「その件で、こちらから先にお伝えしておきたいことがあります」
コーツが顔を上げた。
「どうぞ」
「近く、我が
ムライの手が止まった。
スアーダは先ほど病院への問い合わせを引き受けたときと同じ声で話していた。
最初に口を開いたのは、クブルスリーだった。
「……バーミリオンには、帝国軍がいる」
「承知しています」
「その軍を排除するために、艦隊を出すということですかな」
「帝国軍が退去すれば、戦闘は必要ありません」
クブルスリーは椅子の背から身体を起こした。
「退かなければ」
「艦隊同士の戦闘になります」
教国側の文官たちは、誰もスアーダを見なかった。
アロイジウスも口を挟まず、机に両手を置いている。ムライはその様子を見てから、スアーダへ顔を戻した。
「……そのようなことを、こちらへお話しになってよろしいのですか」
「はい」
「バーラトは帝国の自治領です。この場で伺った以上、帝国政府にも伝えます」
「お伝えいただいて構いません。むしろ、その前提で申し上げています」
ムライはすぐには返せなかった。軍事行動を前もって知らせること自体はあり得ない話ではない。相手に要求を突きつけ応じなければ軍を動かすという通告なら、旧同盟軍にいたころにも見聞きしていた。しかし、今のスアーダはバーラトへ何も要求していない。
「時期と兵力は、どの程度を予定しておられる」
クブルスリーが訊くと、スアーダは首を振った。
「ここで申し上げるのは、進出先と、その方針までです」
「なるほど。何でも話すというわけではない」
「ええ。ただ、バーミリオンへ向かうことを帝国に知られては困るということではありません」
ハーグリーブスが机上の星図へ目を落とした。そこには民間船の往来を説明するための航路が表示されていたが、今は誰もその線を見ていない。彼はバーミリオンの位置を確かめ、スアーダへ向き直った。
「では、なぜ我々に話すのです。帝国へ伝えたければ、直接伝えればよいでしょう」
「民間船の往来に影響が出ます。バーラトからその方面へ向かう船もありますから、自治政府へお知らせせずに済ませるわけにはいきません」
「航行への注意を促す。それだけですか」
「御政府が情勢を判断する材料にもなると思います」
スアーダは答えた。ハーグリーブスは何かを言いかけたが、その前にコーツが口を開いた。
「確認しておきます。教国は、バーラトへ何を求めているのですか」
「軍事上の協力を求めるものではありません。軍艦の通過も、港湾の使用も、補給もお願いしません」
「では、先ほどの医療や家族照会の協力と引き換えに、この進出を認めろという話でもない?」
「そのような条件はありません」
そこでアロイジウスが口を挟んだ。
「先ほどのお母様の件なら、もう現地へ問い合わせを送っておりますぞ」
ムライが彼を見ると、枢機卿は自分の端末を軽く持ち上げた。
「調べるとお約束しましたからな。ここで御意見が合わんからといって、お母様を困らせるわけにはいきません」
コーツは少し黙り、それから頷いた。
「分かりました。その二つは、こちらでも分けて考えます」
アロイジウスはそれ以上話さなかった。
クブルスリーはなお星図を見ていた。
「こちらから帝国へ伝われば、向こうは備えるでしょうな。すでにいる軍だけでなく、増援も送るかもしれん」
「その可能性は考えています」
「それも構わない、と」
「帝国軍がどう動くかは、私どもが決められることではありません」
「帝国軍を動かしたいのでしょう」
クブルスリーの声は大きくなかった。それでも、机の両側で視線が動いた。スアーダは老人を見たまま、すぐには答えなかった。
「場所を知らせ、伝えてもよいと言う。帝国が軍を集める時間まで与える。知られても構わんというより、知っていてもらわねば困る話に聞こえますがな」
スアーダの表情は変わらなかった。
「こちらの方針を知ったうえで、帝国が何を選ぶか。それを見たいとは思っています」
「皇帝が、自ら軍を率いて来ることも?」
その言葉が出ると、ムライは星図のバーミリオンへ目を移した。
かつてヤン・ウェンリーが、先帝ラインハルト・フォン・ローエングラムを追いつめた場所だった。
「それは、ローエングラムの皇帝がお決めになることでしょう」
スアーダが答えた。
「ただ、ローエングラムの皇帝は、兵士の背に隠れて戦争を指揮することはないと、先帝が帝国軍将兵に約束しておられます」
リンデンが端末から顔を上げた。
「その言葉を、今の皇帝へ突きつけるのですか?」
「先帝御自身が、後の皇帝にも求められたことですから」
「バーミリオンへ来なければ、その約束を守れない卑怯者だと宣伝するおつもりなのでしょう」
スアーダはリンデンを見た。隣のアロイジウスも、今度は彼女へ目を向けていた。
「帝国には、臣民を守る責任があります。どこへ軍を送り、皇帝がどこに立つのか。それは、あなた方バーラト自治政府にとっても無関係なことではないでしょう」
「軍を送り込むのは、そちらです」
リンデンは間を置かなかった。
「そのうえで、迎え撃つ側の皇帝がどこにいるかを問題にする。攻める側が戦場を選び、守る側には『皇帝なら来るべきだ』と言い、第三者にもそれを伝える。それを中立な問いのように扱うのは、やめていただきたい」
「中立だとは申し上げていません」
スアーダは答えた。
「ただ、どう御覧になるかまでは、私どもが決めることはできません」
リンデンは視線を外さなかったが、それ以上は言葉を重ねなかった。
ムライは、先の評議会で聞いた彼女の発言を思い出していた。スアーダはこちらの制度も、民主主義の言葉も、その言葉が人を安心させる理由も知っている。今も、バーラト自身で判断すればよいという言い方をしながら、皇帝の行動へ目を向けさせていた。
キャゼルヌが椅子へ座り直した。
「皇帝が戦場に来るかどうかは、いずれ分かるでしょう」
キャゼルヌは机上の星図を民間航路の表示へ戻した。
「こちらが先に知っておきたいのは、民間船がどうなるかです」
会議室の視線が彼へ集まった。
「戦闘が始まれば、商船の船長には、どこまで近づいてよいか分かりません。民間船だからといって、帝国軍との撃ち合いの中を安全に通れるわけではないでしょう」
「そのとおりです」
スアーダは答えた。
「戦闘中の安全までは、お約束できません。危険が予想される航路については、民間船へ向けて知らせます。遭難や事故が起きた場合の連絡先も、今日の協議でお伝えします」
「では、それを確かめましょう。予告を聞かされたのに、船会社へ何も言えないままでは困ります」
「承知しました」
キャゼルヌはムライへ目を向けた。ムライも頷き、交通管制局へ伝える事項を書き留めた。先ほどまで決めようとしていた連絡方法は、遠い将来の備えではなくなっていた。
必要な確認が済むと、コーツが会談をまとめた。
「本日合意した民間の連絡と、ただいまの軍事行動に関する御発言は、分けて記録します。バーラト自治政府が、教国軍のバーミリオン進出を了承したという扱いにはしないでいただきたい」
「承知しました。そのような発表はいたしません」
「御発言は、帝国高等弁務官府を通じて帝国政府へも伝えます。あわせて、帝国側が把握している状況を確認します」
高等弁務官府は、帝国政府とバーラト自治政府の連絡窓口となる帝国側の機関だった。スアーダは、そこへの報告にも異議を述べなかった。
ムライは記録官席へ目を向けた。フレデリカは入力を続けている。記録には、教国がバーミリオンへの進出方針を表明したと残る。それと、実際に艦隊が動いたと確認されることは別だった。高等弁務官府へ訊かなければならないことは、いくつもあった。
コーツが閉会を告げようとしたとき、スアーダは机上の星図を見てから、議長へ顔を向けた。
「バーミリオンで、ローエングラムの皇帝がどう行動なさるか、皆様はよく御覧になればよろしいでしょう」
コーツは表情を変えなかった。
「我々は、教国軍が何をするかも見ています」
「ええ。それも含めて、バーラト自治政府が今後どうされるかを御判断ください。バーラトと教国は、良き友人になれると思っています」
会談が終わると、双方の文官が資料を片づけ始めた。アロイジウスは随員から届いた報告を確かめ、まだ診療所から返事はないと聞くと、到着し次第知らせるように頼んだ。スアーダはコーツへ礼を述べ、立会人たちにも順に挨拶した。
ムライの端末には、事務局から高等弁務官府への連絡を始めたという知らせが入った。彼が短く返信して顔を上げたとき、二人の枢機卿は、帰りの艇へ向かうため席を離れたところだった。
***
庁舎に隣接する発着場では、特使船へ戻る連絡艇が待っていた。
教国の随員たちが先に荷物を運び込み、対外連絡局の職員と出発時刻を確かめている。コーツは入口で二人の枢機卿に別れの挨拶をし、見送りをムライたちへ任せて庁舎へ戻った。
アロイジウスは艇へ乗る前に、ムライへ向き直った。
「先ほどの娘さんには、お母様の件を現地へ問い合わせたと、お伝えください。返事が届き次第、こちらからお知らせします」
「承知しました。本人に伝えます」
「よろしくお願いしますぞ」
握手を終えると、アロイジウスはキャゼルヌにも礼を述べた。スアーダは少し後ろで、フレデリカから会談記録の確認方法について説明を受けていた。必要なやり取りが終わると、彼女は記録官へ軽く頭を下げた。
「本日は、ありがとうございました」
「こちらこそ」
スアーダが艇へ向き直りかけたところで、フレデリカがもう一度声をかけた。
「スアーダ猊下。お帰りの前に、少しよろしいでしょうか」
「ええ」
フレデリカの手には、会談室では出さなかった小さなケースがあった。アロイジウスは二人を見てから、傍らの随員へ手を向けた。
「では、わしらは先に乗っております」
スアーダが頷くと、彼はそれ以上尋ねずに艇へ入った。ムライも発着場の職員の方へ歩き、フレデリカはスアーダとともに、搭乗口から少し離れた場所へ移った。
「旧同盟軍の保存映像に、猊下の娘さんが映っているものがありました」
スアーダは、すぐには答えなかった。フレデリカの顔を見たあと、その手にあるケースへ目を落とした。
「私の娘の映像、ですか」
「はい。勤務していた基地で撮影された部隊の記録です。御経歴の確認後、娘さんの所属を手がかりに保存資料を調べた記録係が見つけました。お持ちのものかもしれませんが、写しを用意しました」
個人の名ではなく、部隊の資料として保管されていた映像だった。出航前の基地で撮られた短いもので、娘は同僚たちと一緒に映っている。フレデリカは、保存を担当する部署に遺族へ渡してよい部分かを確かめ、写しを用意していた。戦闘中の記録ではないと付け加え、ケースを示した。
「お受け取りになりますか」
スアーダは頷き、ケースへ手を伸ばした。
受け取っても、すぐには蓋を開けなかった。表には撮影された日付と場所が記されている。彼女はその文字をしばらく見て、親指でケースの縁に触れた。
「……娘の声も、入っていますか」
「はい。同僚の方と、お話しになっています」
スアーダの手が止まった。唇がわずかに動いたが、言葉にはならなかった。顔を上げかけて、もう一度、ケースへ目を戻す。フレデリカは映像の内容をそれ以上説明せず、その場で待っていた。
発着場の向こうで、職員が連絡艇の乗員と短く言葉を交わした。荷物を載せた台車が二人の傍らを通り、やがて庁舎の方へ戻っていった。
艇の出発までには時間があり、搭乗口に立つ随員も急かすことはなかった。やがてスアーダが、ゆっくり顔を上げた。
「……ありがとうございます」
フレデリカは頷いた。スアーダは何かを続けようとしたが、少し息を吸っただけで口を閉じた。二人はしばらく、向かい合ったままでいた。
先に視線を外したのはスアーダだった。艇の方を見てから、手にしたケースを確かめる。フレデリカは一歩退き、通路を空けた。
「どうぞ、お気をつけて」
「あなたも」
短く答えて、スアーダは艇へ向かった。
搭乗口で待っていた随員が、彼女の会談用の端末を受け取った。続いて小さなケースにも手を差し出したが、スアーダは首を振った。
「これは、私が自分で持ちます」
随員は頷き、先に艇へ入った。
スアーダは搭乗口の手前で一度だけ振り返った。フレデリカが会釈すると、彼女も頭を下げた。小さなケースを手にしたまま、今度こそ艇の中へ姿を消した。
扉が閉まるまで、フレデリカはそこに立っていた。
【次回予告】
第二次バーミリオン星域会戦
■帝国軍
親征本陣
・ローエングラム朝銀河帝国皇帝 アレクサンデル・ジークフリード・フォン・ローエングラム
総兵力:約四万隻
・アウグスト・ザムエル・ワーレン元帥麾下 約一万五千隻
・ゲオルク・フォン・リューデンハイム中将麾下 約五千隻
・ナイトハルト・ミュラー元帥麾下 約一万五千隻
・ケルステン中将麾下 約五千隻
【目的】
・退去希望住民全員の後送
・優先軍需物資の搬出
・主力艦隊の保存
■教国軍
総兵力:約五万隻
・第一聖団〈マルス〉艦隊
オットフリート・シュタイガー聖将 約一万隻
・第一聖団〈ベローナ〉艦隊
ヴィクトール・フォン・ラスバッハ従聖将 約一万隻
・第一聖団〈ウィルトゥス〉艦隊
ゴットフリート・フォン・メルゼブルク聖将 約一万隻
・第二聖団〈サトゥルヌス〉艦隊
バルタザール・フォン・ブレドウ聖将 約一万隻
・親衛艦隊〈守護天使〉
聖王守護ヨーリク 約一万隻
【目的】
・皇帝の殺害
・帝国主力艦隊への決定的打撃
・バーミリオン星系の掌握
両軍総兵力、約九万隻。
両軍の目的は一致しない。
次回――第二次バーミリオン星域会戦、勃発。