楽しく書けていますので、多分今のところはこの作品についてはスランプは無さそうです。
静かな…誰も喋らない空間が出来ていた。
そんな空気を好まないのか、フードをどかした少年が少し表情を少し変えながら侯爵に伸ばす手を少し強調するかのように伸ばし直す。
「とりあえず、敵じゃないのは理解して欲しいな、ほら、立ち上がらないと…アンタがシャキッとしないとお嬢さん達やまだ生きてる人達も動けないし助けらんないでしょ?」
そう言って無邪気に笑いかける少年に毒気を抜かれ、それまでの気が抜けていくのが解る侯爵にとって、伸ばされた手をつかむのは、何か別の…必要な儀式の様に思えるのだった。
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少年の手を取り立ち上がり、妻と娘の方を向き、駆け寄るツェルプトー侯爵。
ホッとしたのか泣き出してしまう娘のキュルケを抱きしめ、あやす。
抱き合う家族を見て優しく、温かい眼をする少年、彼にとってはとても眩しく…とても温かい家族の光景だった。
「すまない…せっかく君は助けてくれたというのに、礼を失っていたな…」
「いいさ、俺も準備必要だったし。」
「準備?」
「うん、これの範囲ちょいと伸ばしたかったからね。」
少年がそう言うと、五芒星の魔法陣…それが倒れている兵士やメイジ達の周りに展開されていく。
「ちょいと、人数が多いけど…キュア・プラムス。」
眩い光を放つ魔法陣を見つめるしかないツェルプトー家の面々。
光が収まると同時に怪我人達が息を吹き返し、自分の身体を確かめていく。
それを見て、更にその場の全員が言葉を失う中、少年はゆっくりと怪我人の元に歩いていく。
「うん、全員の治療終わったみたいだね、一応今の俺に出来る事はこれ位かな、さて…」
「君の…君の名前は?」
「あー言ってなかったか、ごめんね、俺の名前は…」
シオン…シオン・クラウトランドさ、よろしくね。
そう言った彼はとても惹かれる、目が離せない笑みをこちらに向けていた
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何も見返りを求めず、立ち去ろうとするシオンは、それを引き留めるツェルプトー家の三人と、感謝を言う為に駆け寄ってくるメイジと兵士達の対応に困っていた。
シオンとしては、別に何か欲しいから助けたのではない…元の世界の数少ない外の記憶、その中に傭兵や盗賊に奪われる人達、奪われていた自分を思い出して八つ当たりしただけなのだ。
「君には助けられた、君が居なければ私達は…だからお礼をさせて欲しい。」
「いや、俺別になんか欲しくてって訳でもないし、助けたってのも副産物だし…そんな恩義に感じられても困る。」
「シオン…シオンにお礼したいわ、私も…火がついちゃったみたいだし。」
「おお、キュルケも君を気に入った様だ、是非我が城に来て欲しい、君は滞在して寛いでくれるだけでいい。」
「いい案よ、お父様‼シオン、アナタがどこから来たのか知らないけど、ゲルマニアの…ツェルプトー領がどこよりも素晴らしいって所、教えてあげる‼」
ツェルプトー侯爵の娘であるキュルケも凄い乗り気でグイグイ来る…既視感を感じるものの、悪意が無いから肩を竦め、彼らに答える。
「わかったよ、んじゃ少し滞在させてもらうよ、言っておくけど俺結構飯食うからね?」
「ははは、構わんよ、ウチは結構稼いでいるからね、ゲルマニアの美食と言うモノを教えてあげよう。」
「あーんしたげるね、シオン。」
「いや、それは要らん。」
「いけず。」
全員が二人の会話にドッと笑う、生きて皆で帰れる喜びを噛み締めるのであった。
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闇が…目を覚ます。
美しい、見るだけで息を漏らす様な美しい美女が目を開ける、赤い髪は情熱的で、扇情的な肢体は見る者の殆どが溜息を吐く程…
「あらぁ…私はあの忌々しい戦女神に殺された筈なんだけど…これって…二度目の生って奴?」
そう言って彼女は自分の身体を確かめる。
持っているモノは無く、ただ生まれたままの姿で、自分があれほど人を生贄にして大事にしていた美貌が変わらずそこにある…彼女にとってはそれだけで良かった。
「若返ってる訳じゃない、身体は不死者のまま…と言う事は単に生き返った…という事ではないみたいね。」
「良いじゃない、同じ事をするのもつまらないし、今度は面白い事でも探しましょう。」
戦乙女なんてのに目を付けられるのは一度だけでいい、今度はしくじらない。
けれど自分のしたい事に我慢なんてしたくない…
そんな彼女は魔力の波長を感じ取る。
「へぇ…あの天才錬金術師の弟子だっけ?可愛いあの子も居るのね、ならちょっかいでも出してみましょうか、色んな意味で味見すらさせてもらえなかったし…」
そう、彼女は元の世界にて彼…シオンに目を付けていたのだが、自分のモノにする前にレザードが抱え込み、自分の研究材料にしていた…
見た目、才能、性格…全てが自分の好みに合致していた彼を手に入れる事は彼女もしたかったが、天才は許さなかった。
傍目から見ても執着心に関して言えば、異常なモノであった、それを天才に言ったところで
『私はただ実験動物を適切に扱っているだけですよ?』
などと言って執着している事を否定していただろう。
この世界にはそんな天才も居ない、その弟子を護るモノは無いのだ、ならば欲しがるのは仕方ない。
彼女は自分に言い聞かせながら計画を練る事にした。
今度は逃がさない…そして彼を手に入れ…愛で、蕩かすのだ。
「待っててねぇ…アナタは絶対…」
手に入れる。そんな言葉が溶け消える頃には彼女の姿はその場には無かった。
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「クシュンッ‼」
「シオン、風邪引いたらいけないから私と寝ましょ?」
「いや、誰か噂でもしてんじゃね?てかなんで俺がキュルケと寝なきゃいけないんだよ。」
「だって王子様はお姫様と一緒に寝るモノでしょう?」
「それ…色んなところに怒られそう。」
二つの月は変わらず、トリスティンで見た時と変わらずシオンを照らしていた。
はい、シオン君はレザードに守られてたんだって言う新事実が出てきましたね。
突然現れた彼女、一体どこの〇〇ウォルスなんでしょうね、彼女が再び出てくるのはいつ頃になるかは今は言えませんが楽しみにしといてください。
つーか書いといてなんだけどvp知ってる人どれくらい居るんだろうね、その内気になったらアンケでも取るか。