ポケットモンスター サイクルを極めし転生者   作:Notebook119

6 / 6
第6話 メラルバとの出会い――小さな炎が秘める可能性

ハッサムが加入してから、数週間。

レンの旅は順調だった。

とはいえ「順調」という言葉は、一般的なトレーナーとは意味が違う。

レンの旅は、派手な勝利の連続ではない。

一見すると地味。

相手の攻撃を受ける。

交代する。

また有利なポケモンを出す。

気付けば相手は疲弊している。

そして最後に勝つ。

 

「まただ……」

 

町のバトル場。

対戦相手のトレーナーは困惑していた。

 

「俺の方が攻撃してるはずなのに……」

 

目の前にはハッサム。

相手は強力な炎タイプ。

普通ならハッサムは不利。

しかし、

 

「とんぼがえり」

 

ハッサムが攻撃する。

そして戻る。

 

「ヒポポタス」

 

砂が舞う。

 

「なぜだ……?」

 

相手は頭を抱える。

 

「普通なら不利な相手を出し続けないだろ」

 

レンは答える。

 

「だから交代する」

「不利な勝負を続ける理由がない」

 

試合後、観客の反応はいつも通りだった。

 

「強いけど……」

「なんか不思議な戦い方だ」

「派手じゃない」

 

レンは気にしない。

前世でもそうだった。

サイクル戦は、勝ち方を理解できるまで時間がかかる。

その日の夜。

レンはノートを開いた。

現在の構築。

 

【砂展開】 ヒポポタス →カバルドン

【サイクル維持】 ウォッシュロトム ハッサム

 

だが。

まだ穴がある。

 

「相手が受けに回った時」

 

レンはペンを止める。

相手が倒れないポケモンを出してくる。

回復する。

守る。

耐える。

そういう相手を崩す駒が必要。

 

「受け続けるだけじゃ、勝てない」

 

 

 

 

翌日。

レンは山道を歩いていた。

そこで。

小さな炎が見えた。

 

「……?」

 

近付く。

そこにいたのは。

小さな虫ポケモン。

身体には赤い炎。

まだ幼い。

 

「メラルバ」

 

レンは驚いた。

もちろん、知っている。

このポケモンの未来を。

しかし。

目の前のメラルバは弱っていた。

炎は小さい。

野生ポケモンとの戦いにも苦戦している。

 

「どうして、こんなところにいるんだ?」

 

メラルバは警戒する。

自分は弱い。

何度も負けた。

仲間から離れてしまった。

だから。

人間も同じだと思っていた。

レンは座る。

 

「君は弱いな」

 

メラルバの表情が曇る。

しかし、

 

「今は、な」

 

メラルバが顔を上げる。

 

「君はまだ完成していない」

 

レンはノートを開く。

そこには新しい欄。

 

【崩し役】

 

空白。

そして。

その下に書く。

 

メラルバ

 

「君は将来、相手がどれだけ守っても、全部壊す力を持つ」

 

メラルバは信じられない。

自分が?

 

「ウルガモス」

 

レンが名前を書く。

 

「ちょうのまい」

「ほのおのまい」

「ギガドレイン」

「あさのひざし」

 

メラルバは首を傾げる。

 

「でも……」

 

自分にはまだ何もない。

レンは笑う。

 

「俺の仲間は、最初から完成している奴ばかりじゃない」

「ヒポポタスも」

「ストライクも」

「君も」

「育てて完成させる」

 

その時。

野生ポケモンが現れた。

メラルバを見る。

弱い相手だと思っている。

 

「戦えるか?」

 

レンが聞く。

メラルバは震える。

でも。

一歩前に出る。

 

「ほのおのキバ!」

 

小さな炎。

威力はまだ足りない。

吹き飛ばされる。

しかし倒れない。

レンは指示する。

 

「ハッサム」

 

ハッサムが前に出る。

 

「バレットパンチ」

 

相手を押し返す。

 

「ロトム」

「ボルトチェンジ」

 

流れが変わる。

最後。

再びメラルバ。

 

「今だ」

 

レンが言う。

 

「君の炎を見せろ」

 

メラルバは力を振り絞る。

小さな炎。

だが確かな一撃。

戦いが終わる。

メラルバは自分の炎を見る。

まだ小さい。

でも、初めて思った。

強くなれるかもしれない。

 

「一緒に来るか?」

 

レンがボールを差し出す。

メラルバは少し迷う。

そして。

静かに触れた。

こうして。

レンの構築に、新たな可能性が加わった。

 

【崩し役】

メラルバ。

 

未来の名は――

ウルガモス。

 

 

 

夜。レンはノートを更新する。

現在の構築。

【砂展開】 ヒポポタス

【対面操作】 ロトム ハッサム

【崩し】 メラルバ

 

残り二枠。

そのうち一つは決まっている。

最後の詰め役。

レンはページをめくる。

そこに書かれた名前。

 

ガブリアス

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

映像機画版携帯獣世界転生物語(作者:こうすけ増田劇場版)(原作:ポケットモンスター)

なんか知らんがアニポケの世界に転生してた。


総合評価:935/評価:7.54/連載:16話/更新日時:2026年07月10日(金) 18:05 小説情報

オラリオで娯楽革命を(作者:寝心地)(原作:ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか)

オラリオでテレビゲームとか携帯ゲームとかカードゲームとか作って売っちゃう話。▼ダンまちにゲームキャラが転生とかゲームキャラで転生とかはあるけどゲームその物がオラリオにあるのって見ないなぁ〜と思って作りました。▼


総合評価:3109/評価:7.38/連載:112話/更新日時:2026年07月11日(土) 10:00 小説情報

個性、海賊。ヒーロー向きじゃないって?これ以上ない英雄の個性だろ!(作者:紡縁永遠)(原作:僕のヒーローアカデミア)

事の始まりは中国、軽慶市。『発光する赤児が産まれた』というニュースだった。▼ 以降各地で「超常」は発見され、いつしか「超常」は「日常」に、「架空(ゆめ)」は「現実」となった。世界総人口の約八割が何らかの「特異体質」である現在、個性を悪用する敵(ヴィラン)により混乱渦巻く世の中で、かつて誰もが空想し憧れた一つの職業が、脚光を浴びていた。そう、「ヒーロー」と呼ば…


総合評価:287/評価:6.14/連載:5話/更新日時:2026年07月11日(土) 00:00 小説情報

俺の個性はサイキョー(作者:鈴木颯手)(原作:僕のヒーローアカデミア)

エンデヴァーこと轟炎司の生き写しのような焦凍の双子の兄が雄英高校に通う話。▼※ヒロインタグを追加しました。▼※ヴィラン予備軍タグを追加しました。


総合評価:2228/評価:7/連載:24話/更新日時:2026年07月10日(金) 12:30 小説情報

魔法科高校の熱を愛する者(作者:パクチーダンス)(原作:魔法科高校の劣等生)

呪術廻戦の秤金次っぽいオリ主を登場させました。


総合評価:4261/評価:8.28/連載:17話/更新日時:2026年05月22日(金) 20:30 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>