夢の力で青春を手助け   作:ライダー志望

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カプセムにもチートはある

○月△日? 薄らと晴れ

 

ガシャポンはガチャだった。

今回も試しにガシャポンを回したら、またカプセムが出てきた。今回は何の絵柄もない【ヴォイドカプセム】だったけど。何の効果もないし、ナイトインヴォーカーにセットしてもエラー音声で一切の効果なし。使い道が今のところないカプセムです。

確かヴォイドカプセムは、通常のカプセムが力を失ったカプセムだった筈。それが何でガシャポンから出たんだろうな?本当に分からん。

 

そんなヴォイドカプセムの謎はさておき、今回は少女の案内でカタコンベの入口まで連れて来てもらった。

このカタコンベの通路は聞いた限りではあるが、摩訶不思議な力が働いていると思う。少なくとも物理法則を無視した変化だから、ゼッツの《明晰夢》の力が通用するんじゃないかと考えた。

原作の主人公の拠点である《ゼッツルーム》は現実と夢の狭間?だったかな?とにかく物理法則を無視した空間の上、夢の中だから基本は何でもあり。他人の夢への侵入口やら、緊急時の避難先としても利用されていた。このカタコンベの話を聞いて、その《ゼッツルーム》がすぐに思い浮かんだんだよ。何となく似てるなって。

 

それで、似てるなら《明晰夢》の力でカタコンベの通路に干渉できるんじゃないかと考えた。オカルトにはオカルトに対抗する感じで。どっちにしろ試さないと結論は出せなかったけど。

少女の案内でカタコンベの入口に到着してすぐ、さっそくノクスナイト(仮)に変身?擬装?とにかくノクスナイト(仮)になって、外への直通ルートをイメージして床を叩いた。ゼッツも地面を波打たせたり、通り道を塞ぐ際にそうしていたからね。

 

そしたらあらビックリ!幾何学的な線が走ると同時に、地響きが起きたような音と揺れを起こしながら通路の形が変わっていくではないですか。音と揺れが収まると、見事な一本道が出来上がりました。この光景に隣の少女は本当に慌てふためいてたね。

そうして試しに外に向かって通路を進むと、アリウス自治区ではない、外の景色を目の当たりにしたよ。

整備された道路。外観が綺麗に保たれた建物。普通に経営されているお店。荒れ放題のアリウスとは真逆の光景だったね。後、ロボットや二足歩行で歩く動物たちが生徒らしき人物達に紛れて歩いてた。うーん、さすが異世界。こっちの常識を容赦なく破壊していくよ。うん。

 

今回はちゃんと外に繋がっているかの確認だけだったからすぐに引き返したけど、一緒に着いてきた少女は何故か不安げだった。急に外に出たから処理が追い付いていないのかな?捨てられていた雑誌を拾っていたけど。

ちなみに今回作ったカタコンベの直通ルートは、変身解除したら地響きと共に消えたけど。変身中しか維持できない系なのか、このカタコンベの力の方が強いのか……さっぱり分からん。

 

何にせよ、これで外へ行く方法は得られた。アリウスの内紛は……今は考えないでおこう。今はとにかく生活基盤の確保だ。

今回の夢の回収物はカプセムの凸に使える試験管ケースと白いゼッツフォン、幾つもの大きな水筒でした。本当に物だけなら何でもあるね。壊れた状態でだけど。

 

 

○月◎日? 曇り

 

今回のガシャポンガチャは大当たりだぜ!【リカバリーカプセム】……ゼッツでもかなり重宝されていたカプセム。原作ではメイン機能が壊れたブレイカムバスターを直したり、戦闘でめちゃくちゃになった建物を速攻で直したりと、結構チートなカプセムだ。

ただ、変身アイテム等に使わないとすぐにヴォイドカプセムになる筈だから、使う際はバックルにセットして使わないとね!変身用に使ったら、ナイトシステム音声による擬装変身だったけど。もう、ノクスナイト(仮)じゃ厳しいかな。何か新しい名前を考えておかないと。

 

とにもかくにも、リカバリーカプセムで変身した私は、早速能力を使って貯水タンク、試験管ケース、ゼッツフォンを綺麗に修復した。うん、相変わらずリカバリーカプセムは便利だね。修復に数時間も掛かった上に、倦怠感が凄まじいけど。

後、直したゼッツフォンでヴォイドカプセムを調べたら、カプセムの強化に使えるってホログラフィー系のディスプレイ画面で説明された。強化って凸とは別?俗に言うレベルアップか?

試しにリカバリーカプセムを一番上にセットして、下にヴォイドカプセムをセットしたら、カプセムの凸同様に吸収された。変化した様子は微塵もなかったけど。

 

後、食べ物は例の少女が別れる前に少しだけ分けてくれた。ここでは食料は希少なのに、身を削る想いにも関わらず分けてくれた。水との交換だったけど。夢で持ってきた水筒たちはその交換用だ。その水筒も穴が空いていてそのままじゃ使えないから、リカバリーで直した。目の前で直したらめちゃくちゃ慌てふためいてたな。

やっぱり食料問題を何とかしないとマズイな。一番確実なのは外で買うことだけど、アリウスにはお金がない。経緯が経緯だからお金なんて無意味に近かったし、物資確保も生存重視で資産系はガラクタ同然だったみたいだし。

 

いや、待て。そのガラクタを外で売ればお金を得られるんじゃないか?それで食料とかを買えばいけるんじゃないか?

よし、明日彼女に会えたら聞いてみよう。

夢の中の廃品回収は、もっと大きな貯水タンクと寝袋にした。ワンダーカプセムとリカバリーカプセムで色々と楽になったからね。後、寒さを感じて辛いし。

 

 

○月□日? 雨

 

襲撃された。それも銃火器を装備した武装集団に。

今回持ち帰った貯水タンク(ミニマム化)を外に置いて、ワンダーカプセムで元のサイズに戻そうとしたタイミングでガスマスクで顔を隠した少女たちに襲われた。

このままだと仮の住まいも含めて大変なことになるから、仕方なく応戦した。とは言っても、ラッシュカプセムで擬装変身して、ブレイカムバスターで相手の武器を斬っただけだけど。

 

武器を破壊しただけとはいえ、一方的な感じだったから襲撃者たちは蜘蛛の巣を散らすように逃げていった。本当に内戦状態なんだと、漸く理解したよ。今回のように暴力で物を奪うのが当たり前になっているんだって。

新しい貯水タンクはロケットランチャーの爆撃を受けて壊れてしまったけど、すぐにリカバリーカプセムで直せるから問題はない。ただ、このまま此処にいたらまた襲われるんだろうな。

このまま此処に残れば、再び襲撃されるのは目に見えているし……幸い、ワンダーカプセムを使えば所有物は全部持って移動出来るけど、何処に行けばいいんだろうな?

 

更なる郊外?今回襲撃を受けたのに?

街の中?今回のように生活基盤を整えていたら、絶対襲撃される。

ここは敢えて巨大な廃墟を探すか?大きな建物なら、つい見逃してしまうかもしれない。探すのもそれなりに苦労しそうだし。

ワンダーカプセムの力で小さくする前にガシャポンを回した。今回のカプセムは【クリアカプセム】だった。不意討ちに大活躍だった、敵側でだけ使われていたチートカプセム二号だ。

 

引きがいいのか悪いのか、私は何とも言えない気分で次の仮住まいを求めて歩き回った。念のためにクリアカプセムで透明人間となって。

透明人間状態で次の仮住まいを探し、空が暗くなり始めたタイミングで巨大な廃墟を見つけた。軽く中を探索したら、壊れた黒板や机や椅子、正方形に仕切られた棚があった。ここは元は学校だったのかもな。

結構荒れた状態だし、人がいる気配もないから此処を今回の仮住まいにした。ガシャポンだけ元のサイズに戻して、寝袋に入ってお馴染みの夢の中へと入った。

 

今回は素早く移動できるよう、自転車探しに奔走した。後、タイヤの空気入れも。何故か大破した戦車が転がっていたけど無視した。戦車を回収しても動かせないからな。

結果、かなり歪となった自転車を発掘した。ゴムタイヤもチューブもない、実質骨組みだけの直しても使えない自転車を。勿論持ち帰った。

 

 

○月○日? 雨

 

まさか彼女も此処に隠れ住んでいたとは思わなかった。それも他の子達と一緒に。

本日の天気は雨だったから、例の貯水タンクを外に設置した。飲み水も大事だからな。それで廃墟の中に戻ったら、綺麗に鉢合わせした。例の少女には泣き付かれた。他四名には警戒されていたけど。

それと漸く自己紹介してくれた。最初に教えてくれた少女が槌永ヒヨリという名前で、他の四人は錠前サオリ、秤アツコ、戒野ミサキ、白州アズサだそうだ。

 

勿論私も自己紹介した。私の名前は速水恭介。25歳の社会人であると。そしたら何故か全員に驚かれた。その理由が25歳に見えないからだと。鏡を見たら、十歳くらい若返っていたから当然だったけど。

そもそも、何で若返っているんだ?これは転移じゃなくて転生?本当に意味が分からない。

それはそれとして、彼女達に売ったらお金になりそうな物はないかと聞いたけど、揃って首を横に振られた。そもそも売るという発想自体がなさそうだった。

 

いや、生まれた時からずっと内戦状態なら仕方ないかもしれない。閉鎖空間で限られた物資を売り買いするより、力で取り合うしか得ようがないだろうし。

サオリがどうしてお金が必要なのかと聞いてきたので、野菜の種や苗を手に入れるのに必要だからだと正直に話した。

得たお金で食料をそのまま買っても、今のアリウスではその場しのぎにしかならない。自給自足……この自治区で食料を作れるようにならないと、まともに生活できないからな。

ちなみにガシャポンは何故か今回は三回回せた。全部ヴォイドカプセムで、リカバリーカプセムの強化にすぐ消えたけど。

 

それと、ヒヨリ達に何か必要な物がないか紙に書いてもらった。手に入るかどうかは別として。ヒヨリは食べ物を要望したが、それができたらとっくにやっているから無理だと返した。後、彼女達のリーダーはサオリだった。

そのサオリが代表して私に渡したリストを元に、例の夢でその廃品を探し回った。

布団、枕、リュック、防弾チョッキ、ガスマスク……壊れてボロボロな状態でしかないけど、本当に色んなゴミがあるよ。全部リカバリーカプセムで修復できるけど。

後、太陽光パネルと蓄電池も回収した。インフラの生命線の一つ、電力も確保だ。将来の役に立つかもしれないし。

 

 


 

 

コケー!コケー!コケー!

 

「えへへ……鶏さん達、今日も元気に鳴いてますね……外に出す度に蹴ってきますけど……」

「そうだね。それに小さい鶏達も相変わらず可愛いね」

「可愛がる意味、ある?どうせ、私達が食べるんだし」

「そうだな。この鶏達は、私達の手で……」

「気持ちは分からなくもないが、必要なことだ。ああ、本当に虚しいな……」

 

五人の少女が大きな鶏小屋の前で、そう呟く。手にはバケツにスコップ、水の入った如雨露と捕獲用のケージを持って。そんな彼女達の後ろには、同じくバケツ等を持った少女達が控えている。

 

「う……小屋の中から異臭が……」

「臭いが身体に付きそう……水洗いで落ちるかな?」

「それにこれからこの鶏達を……うう、気が重い……」

 

後ろの少女達は鶏小屋の掃除よりも、()()に対して陰鬱とした気持ちを抱いている。それは当然のことであり、好き好んで経験したいとは思わないだろう。

自分達が生きるために仕方のないこと……そう考えれば割り切り易いかもしれないが、それは鶏達に対する冒涜ともなる。

 

「た、確かにとても辛いことですけど……お肉が食べられるのは、とても良いことですよ!」

「うん。昔と比べたら、食べられるものが増えた」

「そうだな。毎日食べられるようになっただけでも、とても幸せなことだ」

 

だからこそ、命に感謝し食する。それが大事なことだと、()()に教わった。

 

「ちなみに校長はどうしてるの?」

「校長は大量の書類を処理してるよ。《アリウスルーム》で、だけど」

「あ、あの部屋でですか……あの部屋は、色々とおかしいですからね。あの部屋での一時間が、外では一秒足らずですし……」

「扉を閉めれば、がつくがな。あの部屋は会議にうってつけだ」

 

事実、彼女達は《アリウスルーム》を第二生徒会室として頻繁に利用している。その分、精神的な疲れが増えてしまうが、時間を気にせず存分に議論できるからと部屋主である校長からも許可をもらっている。

ちなみに勉強部屋に使うことは禁止されている。それはさすがにズルであると苦言されて。

 

「そろそろお世話をしないと。サッちゃん、よろしく」

「――これより鶏小屋の掃除と鶏の世話を始める!」

 

生徒会副会長のサオリの号令により、サオリを含めてその場の全員が臭い対策でマスクを着用する。防護マスク、ガスマスク、防塵マスクと多種多様で。

ちなみに校長と呼ばれた人物は……

 

「土地の再利用、外での活動資金の確保、住居の修繕状況、食料の自給率……本当にやることが多すぎる!」

 

二階建てのような部屋の上部にあるデスクの上で、泣き言を口にしながら文字通り書類の束と格闘していた。

 

 

 




オリジナル設定
【ヴォイドカプセム】

原作では力を消失したカプセムという設定。本作では他のカプセムの強化に使える。
同カプセムは凸による効果の強化に対し、ヴォイドカプセムはカプセムの性能の強化となっている。簡潔に言えばレベルアップ。
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