夢の力で青春を手助け 作:ライダー志望
○月⇔日 晴れ
ゲヘナの有名なテロリスト、《美食研究会》がアリウス自治区に足を踏み入れた。風紀委員会に即取り押さえられたけど。
勿論、ただ訪問しただけなら何もしなかったが、彼女達が熊と鹿を狩る宣言をした事で躊躇なく取り押さえられた。アタッシュショットガンの必殺技の一つ《ライトニングカバンショット》の集中攻撃で。
何故かマガジンをセットしたら底無しで連射する【GX-05 ケルベロス】の時といい、何故気合いで本来は使えない必殺技が使えるのだろうか?これがキヴォトス特有の“神秘”の力なのだろうか?いや、私の力も大概だけど。
取り押さえた《美食研究会》の面々はすぐにゲヘナの風紀委員会に連絡して、引き取ってもらった。一人だけ、《給食部》の部長だったそうだが。
《給食部》の部長さん曰く、《美食研究会》に拉致されるのは何時もの事で、最近では配達用の車もスクラップになったそうだ。その同情心とお詫びから、苺と蜂蜜をプレゼントした。
後、ガシャポンから久々に新しいカプセムが出た。一回回せば十個出るガシャポンから、【エアライダーカプセム】というオリジナルカプセムが出てきた。変身アイテムではなく、召喚アイテムだったが。
実際、【エアライダーカプセム】を【ナイトインヴォーカーバックル】にセットしてもエラー音が出るだけだったし、回したら仮面ライダー鎧武に出てくる空を飛ぶバイクが出てきた。アレの正式名称はさすがに覚えておらず、あくまで見た目がそっくりなだけで微妙な違いがあるから【エアライダー】で呼ぶ事にしたが。ますますライダーっぽくなったが、使用はアリウス自治区内か、本当の非常時だけに留めるつもりだ。絶対に面倒な事になるし。
ちなみに【エアライダー】を見たミサキ達から、またおかしな物を持ち込んだと呆れられた。一度【アタッシュショットガン】を【ゾンビブレイカー】で解体・分解しても中身がブラックボックス同然で疑問符だらけでしたし。分解した【アタッシュショットガン】は【リカバリーカプセム】で元通りにしたけど。
○月∀日 晴れ
カタコンベ内で頻繁にドローンが幾つも回収されている。出所はたぶん、ミレニアムだろう。最新鋭の技術はミレニアムの専売特許だし。
何故大量のドローンがカタコンベ内に……と思うが、十中八九“備品”についてだろうな。普通にオーバーテクノロジーだし。アリウスにもパソコンもタブレットもあるけど、ネットには全く繋がっていない、完全な記録用だし。
カメラアイもあるし、撃ち落とすのも風紀委員が【アタッシュショットガン】でやっているし……映像くらいとはいえ、“備品”情報は流れているだろうな。
この事態に対し、風紀委員会……ゲヘナの風紀委員会と区分化の為に別名を作った《ニコメディア》も《スクワッド》も、どうしたものかと頭を悩ませていました。明確な被害が出たわけでもなければ、ミレニアムの生徒がやったという証拠もない。ドローン自体の外見は市販されているタイプだし。《電気工学部》の調査だと、中身はガチガチの最新鋭みたいだが。
《アリウスルーム》での数時間の協議の結果、ドローンは見つけ次第回収という事で決まった。領域侵犯を犯しているのは向こうだし、仮にドローン経由で電子機器にハッキングされても痛い情報は欠片もないし。ただ、【ポルタパシス】に侵入されると面倒な事態になりそうだから、シャーレの先生経由で警告くらいはすべきと判断したが。《審判者》騒動は個人的にもこりごりですし。
後、トリニティにもこの事は伝えておこうと決めている。一応、トリニティ自治区を経由していますし。
○月∵日 晴れ
今度は《温泉開発部》が自治区に訪れた。《美食研究会》の時といい、何故カタコンベを突破できるのだろうか。情熱が不可能を可能にしているんですかね?部長のカスミさんが「温泉の前に不可能はない!」と豪語していましたし。
その《温泉開発部》も《ニコメディア》によって即御用となったけど。《美食研究会》と違って人数が多かったから、《トラッピングカバンショット》の粘着力のある捕縛ネットで捕まえたそうだが。
捕まえれてもカスミさんは温泉について熱く語っていたけど、スバルの笑顔の圧を前に畏縮した。勝手に掘られると周辺の環境がガッツリ変わりますし、環境の変化はアリウスの自給自足に大きく響きますからね。
そもそも、アリウスの水回りは昔のインフラを下地にして、地下水と貯水タンクで対応しているのが現状ですし。ダムの建造は諸々の問題で難しいですし、生活圏内まで引くのも技術的に不可能ですし。大浴場も地下水と貯水タンクの複合利用型ですし。
ちなみに大浴場の管理・清掃は当番制で行っている。集団が苦手な人向けに小さな浴場もある。個別の風呂は今後の発展次第だが。ちなみに私の風呂は利用時間外の小さな浴場だ。
○月〆日 雨
シャーレの先生を介して、ミレニアムの生徒会《セミナー》から謝罪を受けた。
シャーレの先生に軽く事情を説明し、アリウス自治区の特異性も交えた警告をミレニアムに伝えてもらった結果、生徒会長さんの調月リオさんから招待を受けて、その場で謝罪された。
まあ、特異性の警告が下手をすれば世界滅亡レベルだと伝えたのが大きいでしょうね。冗談でもなく、割とガチですし。【ポルタパシス】の解放も、アツコが段階を踏まえて慎重に進めていますから、外部の不法侵入を許したら再び“天使”が出てきかねませんから。
例のドローンの主犯……《エンジニア部》と《ヴェリタス》の面々もその場に呼ばれており、少し強引に謝らせられていました。話を聞けば、“備品”の詳細欲しさに二つの部活動が結託して調査に動いていたとの事。アリウス自治区にあるであろうサーバーにハッキングを仕掛けようとしても、全く見つからなかったからドローンを使って直接探りに出たそうだ。
ハッカー集団故に《ヴェリタス》はまだしも、《エンジニア部》までこんな危険な橋を渡る程、“備品”の存在はかなり衝撃的だったとの事。実際、《セミナー》会計の早瀬ユウカさんも弾代の削減に有用だと呟いていたし。
ミレニアムサイエンススクール。大会議室にて。
そこにはシャーレの先生に、アリウス生徒会《スクワッド》の面々に《ニコメディア》の委員長のスバルに校長の恭介。
そして対面には《セミナー》のリオとユウカ、ノアは椅子の上で、《エンジニア部》と《ヴェリタス》のメンバー全員が地面に正座していた。
「まずは謝罪させてもらうわ。自治区への不法侵入に対して」
リオはそう告げて席を立つと、深々と頭を下げる。リオも《ヴェリタス》がアリウスに対してハッキングを仕掛けていたのは認知していたが、アリウスの情報が少しでも欲しかった為、余程でない限りは見逃すつもりであった。その余程を優に越えてしまったが。
特定の建物に無断で立ち入ったら世界滅亡……最初は分かりやすい釘指しかと考えていたが、最低でもトリニティとゲヘナが焦土になっていたと伝えられ、ミレニアムも下手したら焦土になると思い急いで動いたのだ。実際、偵察用ドローンで建造物侵入を計画していたのだから。
勿論、普通に自治区を往き来するのなら問題はない。問題は、明らかにスパイ目的で自治区に立ち入った事だ。
「くっ……よもやここまで大事になるとは……」
「安易にドローンに頼ったのがいけなかった。ネット方面で攻め続けるべき……」
「……貴女達?」
「「「「誠に申し訳ありませんでした」」」」
正座させられている《ヴェリタス》の二人が反省している様子もなく呟くも、ユウカが怒りの笑顔で睨まれたことで全員が土下座するように謝罪した。ミレニアム大フトモモは怒らせると恐いのだ。メインウェポンの攻撃は、致命打クラスだ。
「ハァ……そもそもウチはネットに繋げる機器がないんだけど……パソコンもあくまで記録用としか使ってないし」
ミサキが呆れたようにそう呟いた瞬間、《ヴェリタス》の面々は正座のまま崩れ落ちた。どう足掻いてもハッキング不可能だと悟ったからだ。
それを聞いたリオも、その可能性を失念していた事に内心で漸く気付いた。あんな“武器”を作り上げたのだから、てっきりネット環境も相応のものだと勝手に判断してしまっていた。情報収集の為に、ネットの無断利用くらいはやっていそうだと考えていたからだ。実際の情報収集は【クリアカプセム】で透明になっての現地調査なのだが。そういった経緯もあって、アリウスの諜報能力は意外と高い。必要に応じてでしか動かないから、真価を発揮する事はないが。
そこでアツコは、事前に決めていた“備品”について話していく。下手に隠して勘繰られても、双方が困るだけだから。
「そもそも、あの“備品”は校長が“外の力”で持ち込んだ物だし。だから量産も出来なければ、複製も出来ない。中身がブラックボックスのままだしね」
「そうなの……?あれらはアリウス独自の技術ではなく、持ち込んだだけの物だと?」
「うーむ……それはそれで興味深いが……出来れば副生徒会長さんが使っていた、あの白い武器を調査させてくれたりは……」
「……ウタハ先輩?」
「も、もちろん冗談さ。ハハハ……」
《セミナー》書記のノアの圧のある笑顔に、《エンジニア部》部長のウタハは冷や汗混じりで引き下がる。内心は凄く引き摺っているが。
例の映像……サオリが使っていた【ギーツバスターQB9】のレールガンを連射していたシーンは、《エンジニア部》全員のド肝を抜いたのだ。片手で振るえるサイズでありながら、レールガンを連続で放つ。《ゲーム開発部》の新入部員の【光の剣】と比べたら威力は劣るだろうが、それ以外の性能は上回っているのは映像だけで容易に想像がつく。
その上、件のレールガンは銃身が刀身としても機能するのだ。頑丈さは間違いなく【光の剣】レベルの上、チャージショットらしき一撃は【光の剣】レベル。取り回し、持ち運び……そのどれもが高水準。自分達の【光の剣】に還元したいくらいだ。
他にも光弾を放つ金属製の弓やら、楯がガトリングガンとして使えたりとか、中には奇抜なデザインの武器もあったが、そのどれもが現代の技術を優に越えているのだ。技術者としての血が騒ぐのも当然の結果とも言える。
「それで、補填についてだけど……そちらの要望があれば可能な限り対応するわ」
「じゃあ……貸し一つで」
リオの提案に対し、アツコは明確な要求を出さず貸し一つと返す。そんな曖昧とも取れる対応に、リオは率直な疑問を隠す事なく問い掛けた。
「貸し?明確な要望もなく、貸し一つ?それは非合理的ではないかしら?」
「別に実害はなかったし。とは言え、何もお咎め無しもそれはそれで問題だし」
「金銭の方は……現時点では使い道も限られていますし、支援もシャーレの先生のおかげで充実していますので。それに、抑止の意味では此方の方が効果的ですしね」
実際、シャーレの先生が融通してくれているおかげで自治区内の開発も進め易くなっている。そもそも今回の“警告”は調べるのは勝手だけど、程々にと伝えるのが一番の目的だ。この手は不透明な見返りの方が自重しやすいし、過剰な行動の抑止にもなる。
「見返りではなく抑止が目的?確かにその視点から見れば、合理的とも取れるわね……」
「まぁ、技術者にとっては余計な事かも知れませんが……合理も効率も、より良くする為に行う事ですからね。発明は基本、無駄と無謀の塊ですし」
リオの呟きに対する恭介の言葉に、ミレニアムの一同は困惑したような表情となる。
「発明が無駄と無謀の塊……?何を言っているのかしら?新たな技術はより効果的、効率を良くする為に――」
「確かに発明にはその面もありますが……始まりは無謀からですよ。今では当たり前の電気も、最初から存在した訳ではありませんし。技術の延長線上をずっと行くのであれば、長時間火を起こす事を重視するでしょうし」
「……そうだね。何事も最初は無駄の塊で、無謀な挑戦から始まるものだよ。そこから次第により良くしようと、頑張った結果が今なのかもしれないね」
「効率も合理も、その物事に対する大事な事を疎かにしますと、唯の怠惰と怠慢に成り下がる可能性もありますから」
シャーレの先生と恭介の教えを説くような言葉に、質問をしたリオだけでなくその場にいた全員が得心がいったかのように頷いている。
「効率も合理も、怠惰と怠慢になる……?私には、理解できないわ……」
「これがリオの宿題かな?」
困惑するリオにシャーレの先生がそう呟く。
この話し合いが後の騒動に対するバタフライエフェクト……『キセル作戦』が生まれる切っ掛けとなるのであった。
この作戦で誰かの思考回路が犠牲となるのも、お約束である。
キセル作戦:
《キセル作戦》までの流れ
・原作通り、
・リオもアリスのヘイロー破壊に動くも、例の会合から最低限の理由を口にする。アリス一人の為に世界を犠牲には出来ないと。
・シャーレの先生が第三の道がないかと問い掛けられ、リオは時間を理由にないと返答。アリスは自責の念から謝罪の言葉を繰り返すも、ミドリとユズがアリスを慰める。あれはアリスの意思じゃないと。
・その言葉が切っ掛けでリオの中で疑問が浮上。“世界に終焉をもたらす兵器”としての行動の非効率さを覚える。シャーレの先生が問い、リオが悩みながら口にした事で、わざと騒動を起こした可能性に行き着く。結果、ネルの監視付きで猶予が与えられる。
・目を覚ましたモモイが一連の流れを聞き、その時のアリスにもゲームをさせるという頓珍漢な言葉が出る。
・アリスの前例がある為、もう一人のアリスにもクソゲーをやらせるという謎の流れが完成。リオももう一人のアリスを
・結果、