夢の力で青春を手助け   作:ライダー志望

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捕獲された狐の群れ

¶月¶日 雨

 

ガシャポンから出てくるカプセムの種類が増えた。悪い意味で。

バニタスと死闘を繰り広げたからなのか、それとも残したカプセムを回収したからなのかは分からない。だけど、ガシャポンからバニタスが使っていたカプセムまで出てくるようになってしまった。ナイトメア系統のカプセム達が。

【ロストカプセム】に【ファントムカプセム】、【カオスカプセム】だけでなく、ノクスが使っていた三種類のカプセムまで出てきた。【パニックカプセム】にゼッツとゼロが使っていた方の【ブースターカプセム】、【プラズマカプセム】と【ダークネスカプセム】等も出てきたから、本当に軽く恐怖を覚えてしまいました。

 

取り敢えず、ナイトメア系統のカプセムは今の所は使わずに所持するだけに留める予定です。【ミラクルドリームライズカプセム】のように、何かしらの副作用がありそうで恐いですし。ノクスさんは普通に使っていて、副作用に陥った様子は欠片も見られなかったですけど不透明な部分が少し多いですし。後、【ノクスドライバー】も【レディガントレット】もないですし。バニタスが使っていたあの変身武器も一緒に消えていますし。

 

ちなみに新たなカプセムも幾つか出てきました。コードフォンで確認したら、新たなカプセム達の名称は【ビートカプセム】に【シャイニングカプセム】、【クロコダイルカプセム】という名称でした。【ビートカプセム】は絵柄と名称から音楽系統のカプセム、【シャイニングカプセム】は【ダークネスカプセム】の光バージョンですね。どんな能力のカプセムなのか、この二つに関しては少し楽しみです。【クロコダイルカプセム】はナイトメア系統のカプセムなので、使う機会はなさそうですけど。

 

 

¶月∂日 雨時々曇り

 

さっそく新しいカプセムの能力を確認しました。

【ビートカプセム】はスクラッチディスクやスピーカーボックス……仮面ライダーエグゼイドに出てきたブレイブの派生フォームのリデコに近い見た目でした。スクラッチしたら音波攻撃が放てたり、意識したら遠くの話し声まで鮮明に聞こえたりと、予想通り“音”に関する能力でした。音量を示す棒グラフで瓦礫を粉砕しながら吹き飛ばせたりもしたけど。

【シャイニングカプセム】は基本的に発光するだけのフォームでした。【ラッシュカプセム】に閃光弾の要素が加わっただけの、意味があるのか微妙なフォームでしたが使い方はこれから考えていこうと思います。他のライダーの能力でも本当に役に立つのか疑問のものでも、発想などから思わぬ形で貢献したパターンもありましたから。

 

後、【クロコダイルカプセム】は【ブレイカムバスター】にセットして試しました。カリバーモードで必殺技として使ったら、エネルギーで形成されたドリルブレードとして振るえました。仮面ライダーリバイスに登場するデストリームが使った【クロコダイルバイスタンプ】のドミネイトアップ時の武装とほぼ同じだった。【ガンカプセム】や【ウルフカプセム】だとどうなるのかと、正直気にはなった。自粛して試しはしなかったけど。

原作では片腕が銃や剣に変化していたから、真逆のモードで使ったらどんな形で放たれるのか本当に気になってしまったからだ。サウザーの【サウザンドジャッカー】のように周りに形成されて放たれるのか、攻撃にそのまま乗せられるのどちらなのかと。先に書いた通り、グッと堪えて試さなかったけど。

 

 

¶月∇日 曇り

 

自治区の発電施設が爆破被害を受けた。爆発したのは蓄電用の大型バッテリー等の設備が置かれている小屋でしたが、単なる老朽化等による事故ではありませんでした。

事故が起きた場合の原因究明用のカメラ代わりとして室内に設置していた【ゼッツセンサー】達の映像を確認したら、明らかに外部の人間が破壊工作を施している姿が映っていた。その為、入り口付近の【ゼッツセンサー】達も確認したら、同じ制服を着た四人の出入りが確認された。それも物々しい装備で身を固めていた四人が。

ベアトリーチェ侵入対策として設置していた、【クリアカプセム】や【ワンダーカプセム】をセットした【ゼッツセンサー】が、このような形で活躍するとは思っていませんでした。

 

【ゼッツセンサー】に映っていた四人は全員が狐の耳を有しており、動きも訓練されたかのように無駄が一切ありませんでした。特に大型バッテリーと配電盤への破壊工作は明らかに手慣れた様子でしたし、この映像がなければ本当に事故か故障と判断していた程に巧妙でしたから。仕掛けられた時間帯も夜中……みんなが寝静まった時間でしたし。

カタコンベを突破した事も合わさって、《スクワッド》も早急に対処すべきと結論が出されました。少しでも早く身元を特定する為、各学園に顔効くシャーレへの依頼という形で調査協力を願う方針を固めました。シャーレの先生の立場も考慮して、お話(物理)を伺うという形で。

それと破壊された設備は、緊急性が高いと判断して【リカバリーカプセム】で直しました。

 

 

¶月√日 晴れ

 

自治区の発電施設の一部を破壊した犯人の素性が分かった。あまり好ましくない形で。

犯人の正体は閉鎖されたSRT特殊学園所属の三年生……七度ユキノ、吉野ニコ、高倉クルミ、天神山オトギの四人。学園の閉鎖に危機感を覚え、撤回させる為に連邦生徒会を襲撃して以来、消息不明となっていた《FOX小隊》。かつてワカモさんを捕らえたらしい精鋭中の精鋭達が、今回の破壊工作の犯人だった。

その彼女達の素性を知った理由も、同じ学園の後輩であるミヤコさん達が証明してしまったからだ。破壊工作の件を知らないままで。

私はスバルと一緒にシャーレに訪れ、映像と写真を提示しながら事情を説明。シャーレの先生に調査の協力を頼み込んだ。シャーレの先生は難しい表情ながらも証拠がある事から、事情聴取という形で手を貸すと話が纏まりかけたタイミングで、シャワー室を借りていたらしいミヤコさん達が入室。写真に写っていたニコさんを見て私達に問い詰めてきました。今、彼女達は何処にいるのかと迫って。

 

そこで彼女達がミヤコさん達の先輩だと知り……隠し通せないと判断した私は今回の経緯を話しました。当然、ミヤコさん達は嘘だと否定しましたが、写真と映像……特にニコさんの破壊工作の一部始終が収まった映像の前に俯いて沈黙してしまいました。

ただ、どうしてアリウス自治区の設備を破壊したのかという疑問が再浮上しました。SRT特殊学園の再建が活動理由だとしたら、今回の工作は明らかに程遠い行為ですから。シャーレの先生の語りかけで何とか持ち直したミヤコさん達も、彼女達がどうして“正義”に反する行動を取ったのか本当に頭を悩ませていましたから。

どちらにせよ彼女達は見つけ次第、事情をしっかり聞く必要がありますが。念のために彼女達が再度侵入した際の対応も取り決めて、その場は解散となりました。カヤさんからも連絡が来ましたが、何も問題はないと返しておきました。

 

 

¶月∪日 晴れ

 

FOX小隊の皆さんが再びアリウス自治区に侵入してきました。今度は貯水設備の破壊工作目的で。

今回は侵入してすぐに尾行させた【ゼッツセンサー】から警報音を鳴らし、彼女達の撤退に合わせてカタコンベの外への出入口を私の《明晰夢》の力で完全封鎖。袋の鼠状態として《ニコメディア》によって個別に分断した上で身柄を確保しました。

本来であれば《矯正局》へと彼女達を引き渡すところなのですが、シャーレの先生とミヤコさん達の事前の取り決めで事情を聞いた上で処遇を決める事となっています。

そうしてシャーレの先生とミヤコさん達を呼んで彼女達から事情を聞こうとしましたが、基本的に黙秘を貫いていました。確実に言えることは、彼女達は誰かの指示で動いていたことですね。その誰かも容易に想像できてしまいましたが。彼女達から押収した持ち物から特定も出来ましたし。

しばらくの間、FOX小隊の身柄はこちらで預かるしかないですね。監視体制で窮屈な思いをさせてしまいますけど、仕方ないと受け入れてもらうしかないですね。

 

 


 

 

アリウス自治区にある学生寮。その中にある一室にて。

 

「ハァ……まさか監視カメラがあったなんて……それに全く気付かなかったから、FOX小隊の名が廃るわね……」

 

作業服に身を包んでいるクルミは、自身の失態を嘆くように言葉を洩らす。今回の破壊工作……貯水タンクに爆弾をセットしようとしたタイミングで警報音が鳴り響き、こうして捕らえられてしまったのだから当然とも言える。

 

「クルミちゃんだけではありませんよ。私もまさか、先日の破壊工作の一部始終が映像として残っていたとは想像すらしていませんでしたから」

 

そんな落ち込んでいるクルミに、同じく作業服姿のニコが慰めたが。最初の取り調べで発電設備の破壊工作を知らぬ存ぜぬで通そうとして、証拠を突き付けられて見事に失敗してしまったのだから。おかげで心証は最低辺にまで落ちてしまっている。これはユキノ達も同様であるが。

 

「……これからどうなるのかしら?」

「最終的には矯正局へと送られるんじゃない?裏工作の証拠まで押さえられちゃったし」

 

クルミの不安に対し、オトギはどこか観念したように予想図を語る。今回の指示――アリウス自治区への破壊工作は彼女達の独断ではなく、協力者からの指示だ。その理由は不明であり、指示を受け入れたユキノ自身も深堀せずに了承したからだ。最初は発電設備の破壊で、反応が芳しくなかったからと貯水設備への細工。ニコやクルミ、オトギは本当に“正義”に必要なのかと疑問を覚えていたが、自身を道具と言い切るユキノの指示で呑み込むしかなかった。

その結果、二回目の潜入で見事に捕らえられた。けたたましい警報音からすぐに逃亡を図ったものの、カタコンベ内に閉じ込められるという想定外の事態に一同はパニック寸前。追いかけてきた《スクワッド》と《ニコメディア》の連携により各個に分断された挙げ句、抵抗虚しく取り押さえられる結果となってしまった。

 

自分達の装備と所持品は全て没収され、スマホも取り上げられている。特にユキノのスマホには通話のやり取りの内容も録音として残っている。相手との交渉カードとしてではなく、今後の行動方針の判断材料として残していたものが動かぬ証拠として押収されたのだ。協力者から渡された、アリウス自治区への潜入に必須のカタコンベの地図も押収されているので、逃亡の手段も取れない。地図なしでカタコンベに潜るのは、自殺行為でしかないのだから。仮に一か八かで潜っても、あの日の焼き直しにしかならないのも火を見るよりも明らかだ。

アリウス自治区そのものが天然の監獄同然であり、装備も取り上げられている事もあって、緩い監視にも関わらず一同は逃亡する気もなく室内で過ごしていた。差し入れられたトランプやチェス、将棋やオセロ等で時間を潰して。事実、クルミとオトギ、ニコの三人はトランプのババ抜きを現在進行形で進めているのだから。

 

「そうよね。正義の下で動いていた私達が犯罪者として引き渡されるなんて、本当に情けない話ね……後輩達にも知られちゃったし」

 

オトギから一枚カードを引き抜き、同じ数字がなかった事で手札が一枚増えたクルミは嘆息混じりに頷く。ちなみにババはクルミが持っている。

連絡を受けて訪れたミヤコ達の問い掛けに、ユキノ達は極秘任務としか答えられなかった。その極秘任務に今回の件も含まれているのかと問われて何も返せなかった事が、自分達が何をしていたのかを察するには十分だっただろう。実際、ミヤコ達は哀しげな表情で俯いたのだから。

どちらにせよ、自分達が進めていたSRT特殊学園の再建への道は断たれたも同然だ。後ろめたい裏工作を何回も行い、それらの行いが露見する形で今回の工作が失敗した以上、協力者は保身の為に自分達を切り捨てるだろう。あるいはまだ知らないままなのかもしれない。近々、計画を再び実行に移すとユキノ経由で伝えてもいたのだから。

 

「…………」

 

そのユキノはあの日以来、無気力に近い状態で窓からの景色を眺めるだけの状態となっていた。遊戯にも一切参加せず、事情聴取という形の取り調べも沈黙か生返事のどちらかのみ。まるで糸が切れた人形のように、魂が抜けた抜け殻のように……道を見失った迷い子のように茫然としている。運ばれてくる食事も自分から食べようとせず、ニコが口に運ぶことで食べている状態だ。

 

「……ユキノ、あの日からずっとこの調子だね」

「食事は口に運んだら食べてくれますから、まだ様子見で大丈夫だと思うけど……」

「寝て食べてはまだ出来ているけど……本当に心配だよ」

 

そんなユキノをニコ達は心配するも、掛けられる言葉は一つも思い浮かばない。彼女達もユキノと同じくやらかした側の上、自分達の行動に疑問を覚えながらも深堀せずに受け入れてしまったのだから。今回の失態が致命的なのも合わさって、安易な励ましも慰めも出来ない。

重苦しい空気が室内に徐々に満たされていく中、扉がノックされてから開かれる。入ってきたのは風紀の腕章をした数名の生徒達、《ニコメディア》所属のアリウス生達だ。

 

「もう取り調べの時間?それにしては早くない?」

 

クルミは部屋にある時計を指し示しながら疑問を口にする。クルミのその疑問に対し、《ニコメディア》の一人が代表して答える。

 

「今日は事情聴取ではないですよ。場所もグラウンドですし」

「グラウンド?」

「一体何が目的なのよ?」

「簡単に言えば……青春の殴り合いですかね?」

「「「???」」」

 

《ニコメディア》の返しにニコ達は頭に疑問符を浮かべながらも、拒否権はないからと特に抵抗することなくグラウンドへと案内される。グラウンドにいた人物達を見た瞬間、回れ右して帰りたくなったが。

何故なら……ミヤコ達がグラウンドで自分達の装備の確認をしていたからだ。それによくよく見れば、押収されたユキノ達の装備も一纏めにして置かれている。気まずさから今すぐ部屋へと帰りたくなったニコ達であるが、自分たちに気付いたミヤコ達が歩み寄ってきたことで断念せざぬを得なくなる。

 

「先輩方、騙し討ちのような形で呼び出したことを先ずは謝罪します。こうしなければ、先輩達は私達を避けていたでしょうから」

 

ミヤコの謝罪と今回の呼び出しの理由に、ユキノ以外は気まずそうに目を逸らす。実際、ミヤコ達が会いたいと申し出ても頑なに拒んでいただろうから。

 

「どうして先輩達が正義に反するような行動をしていたのか……幾ら考えても私には分かりませんでした。先輩達も、何も語ってくれませんから」

「……最初に言った通り、極秘任務だ。道具である我々に、判断の必要性はない」

 

ミヤコの言葉に、ユキノは機械的に言葉を返す。何処までも自身を道具だと言い切るユキノに対し、ミヤコは意を決して踏み込んでいく。

 

「だったら、どうしてSRTの閉鎖に反対したんですか?本当に道具でしたら……閉鎖を淡々と受け入れた筈です。道具は誰に使われるかも、どう使われるかも、いつ役目を終えるのかさえ、自分では選べませんから」

「……それは」

 

ミヤコの鋭い指摘に対し、ユキノは答える事が出来ない。ミヤコのロジックには矛盾点がなく、逆にユキノ自身の歪さの証明となってしまったのだから。

 

「何がユキノ先輩を変えたのかは私には分かりません。ですが……今のユキノ先輩は“正義”に基づいた行動をしているとは到底思えません。治安を乱す破壊工作……それが“正義”に繋がる行為に見えませんから」

「……理解出来ないのは貴君がまだ“子供”だからだ。“大人”になれば、綺麗事だけでは済まない現実に直面する」

「それは、クルミ先輩達もなのか?」

 

サキの質問に、クルミ達は何も答えない。自分達の行いが本当に正しかったのか……自分たちが目指していた“正義”なのか、改めて突きつけられたのだから。

それでも、彼女達なりの譲れない一線はある。

 

「……私達はFOX小隊よ。ユキノが信じて進むのなら、最後まで付き合うわ」

「そうだね。私達は最後まで隊長についていくよ」

「ええ。ユキノちゃんだけを置いていくなんて、出来ませんから」

 

あくまでFOX小隊であり続けると告げるクルミ、オトギ、ニコの三人。それは思考の放棄ではなく、最後の瞬間までユキノと一緒に歩んでいくという意思表示だ。

 

「……分かりました。では改めて――喧嘩をしましょう。先輩方」

 

その返答に対し、ミヤコは宣戦布告で返すのであった。

 

 

 




アリウス自治区への破壊工作
露骨に恩を売って、対象をコントロールしようと実行役に指示。対象の反応から、もう一度破壊工作を指示した結果、最大の墓穴を掘ってしまう。その事実を当人は知らぬまま計画を実行した為、崖っぷちに立たされている事にまだ気付いていない。

【ゼッツセンサー】による監視網
事故の原因解明と侵入者を確認する為の監視カメラ代わりとして使われている。確認は《スクワッド》と《ニコメディア》の下でしか行えないように取り決められている。
ちなみに生徒会長権限で《秘蔵ファイル》が作られている。つまるところ、逆覗き状態。
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