夢の力で青春を手助け 作:ライダー志望
※月∞日 晴れ
グラウンドで喧嘩したRABBIT小隊とFOX小隊は仲良く?、爆破で荒れたグラウンドの整備に務めました。幾つもクレーターが出来て、そのまま知らんぷりは後味が悪いそうなので。
クレーターが出来るほど荒れてしまった為、《電気工学部》の改造で農業用トラクター代わりとなった【パワードスーツカー】で耕してから、整地用のローラーで均していきました。ライダーの乗り物はエコ動力で環境にも優しくて本当に便利ですね。依存しすぎないよう、気を付けないと駄目ですが。
ちなみに【パワードスーツカー】はシャーレの先生が目を輝かせて操作していました。お試しでロボモードも操縦してみましたが、数分で疲労困憊に陥りました。【パワードスーツカー】は原作でもかなり身体を鍛えていないと動かすのに苦労する設定でしたし。それと『パワーダイザー』という音声を聞いて、これが正式名称ではないのかというツッコミには顔を背けさせてもらいました。呼び名を変えるのも、何となく格好が悪かったので。
区切りの良いところで一緒に昼食を取りましたが、FOX小隊の皆さんは怪訝な表情でした。彼女達の言い分では、後輩のRABBIT小隊はまだしも、初対面に近い私とシャーレの先生はどうしてこうも容易く信じるのかと。
それに対して、シャーレの先生は先生が生徒を信じるのは当然のことだと返しました。その返しにFOX小隊の皆さんは理解できないと言いたげな表情でしたし、私もそうなのかと問い掛けてきたので前提の違いから語りました。あくまで個人的な見解だと前置きして。
先生は先ず、生徒を信じることから始めないといけません。それが出来なければ、生徒に歩み寄れませんし信用も信頼も生まれません。何を、どう信じるかによって見方も変わっていくでしょうが、疑惑しかぶつけない相手に心を開こうとはしませんからね。それに片方を信じれば、相対的に片方を疑っていると捉えることも出来ますしね。
だから、先ずは生徒の事を信じて語りかけ、間違えたら指摘して改善していく。誰もが最初から“正しい”選択は取れないから、そこから何を学び、今と明日へとどう活かしていくかが大切なのだと伝えました。実際、アリウス復興で何回も失敗しましたからね。薪の乾燥が不十分で大量の煙が室内で立ち込めたり、竈の造りが間違っていて爆発したり、電圧調整を怠ってショートからの火事を起こしたりと、色々とやらかしてしまいましたし。
シャーレの先生も私の言葉に同意するように頷き、だからこそ大人は責任を背負うのだと座右の銘を口にしました。子供が間違えたり失敗したりしても、より良い“次”へと活かせられるように手を差し伸べるのだと。
シャーレの先生のその言葉を聞いたFOX小隊の皆さんは、頭の中で反芻するかのように深く考えるように目を瞑っていました。彼女達がどう受け止めたかは分かりませんが、良き方向へと進むことを願っています。
これは余談ですが、シャーレ周辺の物流が警備事情でストップしており、食事にまで影響が出ていると溜め息を吐いていました。RABBIT小隊の皆さんもコンビニの廃棄弁当も減って苦労していると同意していましたし。
※月‰日 曇り時々晴れ
新代行のカヤさんが職権濫用と癒着、カイザーとの不正取引で逮捕されました。それも、数々の裏工作が芋づる式でバレた形で。
そのきっかけとなったのは、FOX小隊の離反。彼女達はSRT再建の為に、連邦生徒会襲撃の時から防衛室長のカヤさんと裏で繋がっていたと明かしました。その理由も、何もせずとも学園が閉鎖されていたのが火を見るより明らかであり、失踪した連邦生徒会会長に代わる新たな責任者を探していたからだとも。アリウス自治区の施設の破壊工作も、カヤさんからの指示だったとも明かしつつ。
どうして自分達に明かしたのかは、敢えて聞きませんでした。きっと、彼女達なりの苦悩と葛藤を経て出した答えなのだと察せましたから。シャーレの先生はこれからどうするのかを聞き、彼女達はケジメを着けに行くと答えました。同時に、いざと言う時の最後の幕引きは後輩達に託すとも。同席していたミヤコさん達は複雑な表情でしたが、彼女達の決意……改めて“正義”を貫こうとする姿を見て頷き返しました。
彼女達の要望でシャーレの先生経由でヴァルキューレにも話が通り……凶行策に出ようとしたカヤさんをRABBIT小隊が先頭に立って逮捕しました。追い詰められたカヤさんは、RABBIT小隊と一緒だったシャーレの先生に媚を売ったそうですが……自身の行動を省みず、多くの人々に迷惑を掛けた自覚も薄かった事から、しっかり反省してほしいと告げて助け船は出さなかったそうです。
そうしてカヤさんは逮捕され、凶行策の実行役であるカイザーの部隊も制圧して無人区域の爆破を未然に阻止しました。今回の騒動により、子ウサギ公園の管理は本格的にRABBIT小隊に任せる形となったそうです。おかげでコンテナハウスがもう一つ増えたと語っていましたし。
それとカヤさんと裏取引をしていたカイザーは、末端の会社に責任転化の尻尾切りをして逃げ切りました。別会社の乗っ取りも相変わらず合法で行っていると風の噂で耳にしますし。
それと代行には、カヤさんの謀略で更迭されていたリンさんが再び着任しました。カヤさんの逮捕で不正が明るみに出たことで、加担していた関係者にも厳しい処分が下されましたから以前よりは業務が進行し易いそうです。
FOX小隊のその後ですが……諸々の事情を鑑みられた結果、矯正局で一週間のお勤め後はアリウス自治区で農作業へと従事する事が何故か決まりました。期間は連邦生徒会会長の復帰か、新たな人物が就任するかのどちらかで。
当然、アリウス自治区の外に出るのも禁止されていますが……SRT特殊学園の再建への道が残りつつ、それなりのケジメが着いた形へと落ち着きました。
※月☆日 晴れ
矯正局への一週間のお勤めを終えたFOX小隊の皆さんが、カンナさん達によって連れて来られました。改めて破壊工作の件を謝られ、私達は謝罪を受け入れる形で水に流しました。
改めてユキノさん達を各作業現場へと案内しましたが、鶏の解体現場を前にして瞬く間に目が死んでいきました。やはり、こういった現場はショッキングですからね。私も最初は本当にキツかったですし。魚介類の解体と違って、何故鶏や牛、熊や鹿の解体は精神が削られるんでしょうかね?距離感や接点の多さ?出血量の多さ?構造上の印象?昆虫食に強い抵抗を覚えるのと同じ理屈?こうして書いていても全然分からないですね。
ですが、暫くはアリウス自治区で生活する以上は避けては通れない道です。自治区内では自給自足が基本ですから、鶏の世話も当番制ですしね。巨大水槽による魚の養殖も試験的に始めましたし。
後は彼女達の生活する学生寮の部屋の割り振りと、今後の生活の段取りについても説明していきました。基本的にはアリウスと同じ授業を受けてもらいつつ、SRTの自主練の時間も設けるとも。
穏便とも手厚いとも緩いとも取れる対応にユキノさん達は困惑し、どうしてそこまでするのかと問い掛けてきました。それに対して私は、教育者としての私なりの矜持だと返しました。半信半疑の表情をされましたが。
※月≒日 曇り一時雨
本日は《ゲーム開発部》が自治区に訪れました。ケイさんが私に頼み事があるという理由で。
そのケイさんの頼み事は、私の《明晰夢》の力で二足歩行の美少女アンドロイドボディを用意して欲しいというものでした。それも、鬼気迫るオーラを全開にしてです。
理由を聞いてみたら、このボディでは親密イベントがこなせないからだと返しました。普通は在籍しているミレニアムの方に頼むのではないかと聞いたら、合理性や技術の壁から要望を棄却されたと嘆いていました。後、機械パーツ剥き出しのままでは可愛くないとも。
モモイさん達も、ケイともっと仲良く遊びたいと頭を下げてお願いしてきましたが……正直に言って難しいと申し訳なく返しました。
ケイさんの要望に答えられそうなボディには確かに心当たりがあるのですが、当然ながらソレはオーバーテクノロジーの品物です。加えて、何かしらの不具合が起きた際の対処が一切できないのも問題です。ケイさんの命にも関わる以上、安易に頷くことも出来ないと正直に伝えました。
それに対してケイさんは、それでも構わないからと何処か涙声で食い下がってきました。キャタピラも一輪車も、四脚歩行も嫌だと。二足歩行の美少女ボディが欲しいと。
その憐れすぎる姿に、少し考えさせて欲しいと保留する形で一度帰ってもらうことにしました。
その後、久々の夢の中で目的の品を回収しました。本当に夢の中のゴミ集積所は何でもありですね。
ミレニアムの《エンジニア部》の部室にて。
「……本当にいいのかい?会長もAMAS越しで共に調査するとはいえ、コレを私達の手で解析しても」
『ええ。アリウスと細かな取り決めの結果よ。修理と代用品の作製……ケイの新しいボディのメンテナンスに関して必要な事。責任者はヒマリにしているから、定期の報告は彼女にしてもらえれば問題ないわ』
AMAS越しでリオがウタハに伝えているが、そのウタハ本人は見比べるように交互に視線を動かしている。その対象は人の造形をした機械的な人形と、耳がヘッドホンのような機械パーツとなっているミレニアムの制服を着た白髪の少女だ。その少女の周りにはアリスにモモイ、ミドリにユズがワイワイしている。お察しの通り、この白髪の少女はケイである。
「以前のNクラスのボディと比べれば、今回のボディはSSRクラスです!外見も私のイメージ通りですし!」
「ぱんぱかぱーん!ケイは新たな身体を手に入れました!」
髪と瞳、ヘイローの色を除けばアリスと瓜二つな姿のケイの喜びに、アリスも自分の事のように喜んでいる。ちなみに自慢の作品をN……ノーマルと酷評されたリオは膝を抱えていじけたが。
「でも、大人くらいの身長だった筈なのに、ケイが中に入った途端に縮むのは何でなのかな……?」
「別にいいじゃん!これでケイも一緒に外で遊べるんだからさ!」
「そ、そうだね……アバンギャルド君ボディだと、入場も入店も断られる場合もあったから……」
ミドリはケイの新たなボディの疑問を口にし、モモイは気にする必要はないと返す。ユズも今回の理由を口にしながらモモイの言葉に賛同する。
そう、ケイがアバンギャルド君ベースのボディからの脱却を求めた理由は、店舗や施設から締め出され続けたからだ。キャタピラは床を傷つけるとか、ドローンの持ち込みは禁止等といった、哀しいことに真っ当すぎる理由で。
店や施設の出入りを断られたケイはリオと《エンジニア部》に抗議して、入店可能な人型ボディへの変更を要求したのだが……リオは合理的なデザインが入店拒否に繋がった事にショックを受けて思考停止。《エンジニア部》は機械パーツが剥き出しの二足歩行マシーンをケイに提示した。可愛さとは完全無縁の、戦闘員のような見た目のマシーンを。
当然、これでは親密イベントがこなせないとケイは全力拒否。他の手を考えた結果、摩訶不思議な物を持ち込む恭介に恥も外聞もなく縋ったのである。
その結果、ケイが使う用と調査解析用の素体――仮面ライダーゼロワンに登場する【ヒューマギア】がミレニアムに提供された。様々な制約や条件をシャーレの先生同席で取り決めて。
そうした取り決めを経て、有線コードで【ヒューマギア】とケイが入っているアバンギャルド君を繋げた結果、大成功を収めた。ケイの意識はアバンギャルド君から【ヒューマギア】へと移り、腹筋崩壊次郎?が誕生した転身の如く外見が変化した。念のために男性二名は別室に移動していたので、この手のお約束は起きていない。
本格的な食事が出来ない事など、細かい不満点はあるが……以前のアバンギャルド君ベースのボディと比べたら些事でしかないとケイは本気で喜んでいる。少なくとも、入店拒否される事はもうないのだから。耳の機械パーツは唯のヘッドホンだと告げればごり押せるし、服も自由に着替えられるのだから。
「武器に関しては……例の零号機を解析した装備でいいかな?銃の方はケイの意見を参考にするが、盾は今の君に必須だからね」
「ちなみにこの盾は、正面だけでなく全方位に電磁シールドを展開する事が可能です!【アビ・エシュフ零号機】に搭載されていた電磁シールド発生装置を解析し、手持ち装備として使えるようにした自慢の一品です!将来は宇宙戦艦の防御フィールドとして運用することも想定していますので、性能は折紙付きです!理論上は【光の剣】の連射にも耐えられますよ!」
ウタハが作業台の上に置かれていたタワーシールドを指し示すと、コトリが待ってましたと云わんばかりにタワーシールドについて説明していく。
「ちなみに二つに折り畳みできるから、持ち運びも問題ないよ」
「そこに加えて、【光の剣】に接続して更なる高出力の砲撃も可能になります!必殺技には劣りますが、砲身が焼き切れない限りは連射可能です!」
「……なんで盾にそんな機能を?」
「決まっているだろう?――ロマンがあるからだ!」
ミドリの疑問にウタハはさも当然とばかりに強く答える。本当はガトリング砲を搭載したかったが、技術の壁のせいで泣く泣く断念せざぬを得なかった故の妥協だ。当然、その事実をミドリ達が知ることはない。
これは本当にオマケであるが、トキの機体として作られた【アビ・エシュフ】は二号機として一から作り直された。零号機のデータを幾ばくか反映させて。
こうしてケイは、【ヒューマギア】によって懇願した二足歩行の美少女ボディを手に入れたのだった。
ケイ専用シールド
修理が実質不可能な新ボディの損壊を防ぐべく、《エンジニア部》が別の理由から作っていたタワーシールドをそのままケイへと渡した。重量はアリスの武器並みに重い。
かつての【アビ・エシュフ零号機】が使った電磁シールドが展開できるこの盾は、防御面であればトップクラスの性能を有している。先に申した重量関係から、普通の人では満足に扱えないのが欠点。
【ヒューマギア】の譲渡
ケイの懇願から、恭介が悩みながら《明晰夢》で持ってきたAI非搭載のアンドロイド。
当然ハイテク技術の塊なので《エンジニア部》は感涙の極み。リオもアバンギャルド君の更なるバージョンアップに繋がりそうだとワクワクしている。ヒマリは可愛い後輩が増えたと喜んだ。