夢の力で青春を手助け   作:ライダー志望

8 / 10
今回もネタバレ要素があります。加えて、独自解釈も全力疾走しています。
不快感を感じられた方は、ブラウザバックを推奨致します。


歪んだ秘儀※ネタバレ要素あり

無数の廃墟が存在し、住人が存在しない場所。何もかもが荒れ果て、夢も希望も見出だせない、復興前のアリウス自治区のような場所。

その場所で、廃墟が爆発・倒壊し、風が唸る音と共に破砕音が響いている。その発生源――二人の異なるナイトアリウスが激突し、激しい戦闘を繰り広げているからだ。

ナイトアリウス・インフィニティがナイトアリウス・タツマキトルネード――恭介に向かって拳を叩き付けるように振り下ろし、恭介は地面を転がるようにして拳を避ける。その拳は地面を叩き、陥没させ、衝撃を撒き散らす。

恭介は片膝をついたまま振り返り、旋風と共に飛び出し、ナイトアリウス・インフィニティの顔を渦巻く風と共に拳を叩き付ける。殴られたナイトアリウス・インフィニティは巨木のように受け止め、殆ど効いていないと察した恭介は直ぐに距離を取る。

 

『トルネード!』

 

恭介はバックルのトルネードカプセムを回し、【イナズマブラスター】を彷彿とさせる造形でありつつ、上部の造形が異なる武器――【タツマキマグナム】を召喚する。名称は恭介が勝手に付けたものであるが。

基本的な使い方をレビュー動画である程度理解している恭介は、カプセムをセットしないままレバー部分を素早い動作で三回押し込む。

 

『ランペイジワン!ツー!スリー!アメイジング!』

 

チャージ技に相当する技の準備が完了し、恭介は未だ残心しているナイトアリウス・インフィニティに向かってトリガーを押す。銃口に相当する部分から旋風を纏ったエネルギー弾が撃ち出され、ナイトアリウス・インフィニティに直撃して仰け反らせる。

だが、仰け反らせた程度であって大したダメージではないように見える。事実、ナイトアリウス・インフィニティは直ぐに体勢を正すと恭介に攻撃せんと迫って来ているのだから。

恭介はタツマキマグナムの通常銃撃で牽制しつつ、ナイトアリウス・インフィニティの叩き付けをその手の武器で受け止める。

 

「復讐が貴女の望みなのか!?今を生きるアリウスの子達を、再び戦火へと巻き込む事が!」

『無意味な問い掛けだ。アリウス(我々)は、当然の権利を主張しているまで。それに、貴方も理解している筈だ。アリウス(我々)を存在ごと消し去ろうとした、トリニティの危険性を』

 

ナイトアリウス・インフィニティは恭介の問い掛けに返すと同時に、腕を強引に振り抜いて吹き飛ばす。飛ばされた恭介は地面を転がりながらも、ラッシュカプセムをタツマキマグナムにある窪みへとセットする。

 

『タツマキ・オン!』

「だとしても!私はあの子達にそんな道を歩いてほしくない!あの子達の進む先は、気兼ねなく笑えるものであって欲しいんだ!怨みだけの……憎しみだけの道に進んでほしくない!それが、私の身勝手でもだ!」

 

恭介は先程と同じように、レバーを三回押し込む。セットされたラッシュカプセムが回転し、タツマキマグナムにカプセムの力が流れ込んでいく。

 

『ランペイジワン!ツー!スリー!フルアクセル!!』

 

必殺技の準備が完了し、必殺待機音が流れる。同時に、タツマキマグナムの銃口に唸りと共に風が集まっていく。

 

『タ ツ マ キ ストーム!!』

 

ラッシュカプセムの力を使い、タツマキマグナムから必殺技を放つ。トリガーを押すと同時にガトリングガンの如く幾条ものエネルギー弾がナイトアリウス・インフィニティの身体を叩いていく。装甲はひび割れ、黒い靄が身体から滲み出ていく。

 

『……やはり物事は繰り返す。アリウスを想いながらも、「解釈違い」であの頃と同じように争い合う。消えるべきでない者が消え、憎み合う必要のない者が憎しみ合う。どこまで行こうと――全ては虚しいのだ』

『インフィニティ!』

 

ナイトアリウス・インフィニティが何処か哀しげに呟くと、デュアルメアカプセム・Aのボタンを押し込む。すると、戦闘によって汚れ、歪み、ひび割れた部位が逆再生するかのようにたちまち綺麗となる。同時に身体から洩れ出ていた黒い靄も消え、ダメージが丸々消えたかのように見える。

インフィニティ――無限、果てしない、終わりが見えない意味を持つ言葉を体現するかのように。

 

「なっ――!?」

 

ゼロワンのエデンか、ガヴのカリエスのような不死身性のような再生力に恭介は思わず言葉を失うも、恭介は直ぐにタツマキマグナムのトリガーを押し、連続で銃撃を放つ。

銃撃はナイトアリウス・インフィニティに命中するも、傷は傷付いた瞬間に消えていく。そんな抵抗を続ける恭介を嘲笑うかのように、ナイトアリウス・インフィニティは直進で迫ってくる。

拳が放たれる瞬間に、恭介はタツマキトルネードの機動力で距離を取り、死角を付くように攻撃を仕掛ける。ナイトアリウス・インフィニティはスペックと能力で見れば、タツマキトルネードに勝るのは確かだ。だが、戦い方はお世辞にも巧いとは言えなかった。

 

その理由は簡単で、()()()()()()()()()()()。ナイトアリウス・インフィニティ――アリウスの《審判者》とも呼べる彼女らは、殴り合いより撃ち合いの歴史が大量に蓄積されている。射撃武器のない、今のナイトアリウス・インフィニティでは、格闘も射撃の経験のある恭介に手こずるのは当然とも言える。

しかし、それはスペックにおいて致命的な差がないからこそだ。

 

「グッ!?」

 

何度繰り返したヒット&アウェイの中、急激に身体にのし掛かった負荷から思わず、恭介はその場で膝を付く。

ゼッツのイナズマプラズマに通じる性能を持つタツマキトルネード。恭介も半分予想はしていたが、やはりこの強化フォームには時間制限があるようだ。もっと言えば、このフォームは未完成に分類される強化フォームだ。

原作では【ブースターカプセム】を使って完成させていたが、恭介の手にはその手のカプセムはない。つまり、この強化フォームを完成させる手段がない。

 

恭介は全身を引き裂かれそうな負荷に耐えつつ、バックルにセットしたカプセムを交換する。強化フォームから基本フォーム――通常のナイトアリウスにダウングレートした恭介は荒い息を整えると、カリバーモードのブレイカムバスターを手に応戦しようとする。

それに対し、ナイトアリウス・インフィニティは力の使い方を理解してきたのか、再びカプセムのボタンを押す。

 

『インフィニティ!』

 

その音声と共に、ナイトアリウス・インフィニティの右手に巨大な武器が召喚される。ロケットランチャーのような、大きめの砲口。その砲身の中央部には、三つの丸い窪みがある。

 

『トリプルランチャー!』

 

武器名称を告げる音声が流れ、ナイトアリウス・インフィニティはその巨大武器【トリプルランチャー】でブレイカムバスターの斬撃を何の苦もなく受け止める。そのまま力任せに弾き飛ばすと、胸元のデュアルメアカプセム・Aを外し、トリプルランチャーの中央部の窪みへと装着する。

 

「ッ!」

『バリア!』

 

ゼッツの最強武器【トリプルゼッツァー】そっくりな武器の必殺待機音に、後ろに下がった恭介は大急ぎでバリアカプセムへと交換し、派生フォームに変身しようとする。

その間にナイトアリウス・インフィニティはトリガーのある持ち手とは別の、もう一つの持ち手をスライドさせるように引き、煌々と光を放っていくその砲口を恭介へと向ける。

 

『ファイナル・マックス・クラッシャー!!』

 

間違いなくトリプルランチャーの最強必殺技であろう砲撃が、恭介に向かって放たれる。膨大なエネルギー砲……端的に言えば極太ビーム攻撃が一直線に迫り、派生フォームに変身した恭介の展開したバリアと激突する。

バリアは一瞬だけビームを受け止めたが、本当に一瞬。直ぐに紙吹雪のように粉砕され、恭介に直撃する。

 

「ぐぁあああああああああああ――ッ!!」

 

モチーフとなった武器同様、過剰すぎる威力の攻撃をマトモに受けた恭介は強制的に変身を解除される。服は黒焦げが目立ち、血も滲み始めている。

 

『……危うく器を壊すところだった。だが、抵抗する力は残っていないだろう』

 

ナイトアリウス・インフィニティは淡々と告げながら、倒れ伏す恭介へと近寄っていく。もう満身創痍と誰が見ても明らかな恭介は、自身の身体に鞭を打って立ち上がろとしている。

 

「ぐっ……うっ……」

『まだ立とうとするか。本当に我々(アリウス)でないことが残念だ』

 

ナイトアリウス・インフィニティは残念そうに呟くと、再装着されたデュアルメアカプセム・Aのボタンを拳で三回押し込む。

――必殺技の準備を終えたナイトアリウス・インフィニティは恭介の首を掴み上げて持ち上げ、空いている手にエネルギーを溜め込んでいく。

 

『……記憶の中を、永劫に彷徨いたまえ』

『インフィニティ、リベイク!!』

 

ナイトアリウス・インフィニティはカプセムの力で恭介を終わりの見えない――この“夢”の空間から更に夢の中へと……二度と目覚めることのない永遠の夢へと落とそうとする。

その一撃が放たれようと――

 

 


 

 

ポルタパシスの地下の記録保管庫。

 

「ほ、本当に何がどうなっているんですかぁ!?先生が突然倒れて黒い靄に覆われちゃっていますし!!」

「しかも、触れようとしても何かに弾かれる……ああ、本当にイライラする!」

 

ヒヨリがアワアワ泣き叫び、ミサキが苛立ちを発散させるように叫ぶも、事態は好転しない。何故なら、何が原因なのかすら不明なのだから。

 

「くっ……ワイヤーに引っ掛けて運ぶ作戦も駄目か。触れようとした瞬間にワイヤーが切れてしまう……」

「直接、間接問わずに動かそうとした瞬間に“何か”で遮られる……異常は先生で慣れたつもりだったのですが、今回のは今までで一番ですよ」

 

アズサとスバルはあの手、この手を使って恭介を運ぼうと試したのだが、その何れもが失敗に終わっている。サオリとアツコは手掛かりを掴む為に、恭介が手にしていた書物――《外典》に目を通していた。

 

「この文脈……ベアトリーチェが言っていた言葉と同じだ」

「……“全ては虚しい。どこまで行こうとも、全ては虚しいもの”。他の文脈も、彼女の支配下にあった子達から聞いた教えとよく似ている。それに、この解釈……」

「……姫?何か気付いたのか?」

「……あくまで憶測も混じった推測だけどね。順を追って説明するね」

 

アツコはそう前置きし、サオリだけでなくアズサ達も耳を傾ける中で自身の仮説を口にしていく。

 

「先ず、ベアトリーチェはこのポルタパシスに足を踏み入れて、此処にある本に目を通したんだと思う。ベアトリーチェはアリウスの外から来たから、アリウスのルールも知らないし守る必要もない。知っていても守らなそうだけど」

「それが、今先生に起きた事とどう関係が……?」

「これはあくまで切っ掛け。直接の原因じゃない」

 

アズサの疑問に対し、アツコはこれはあくまで切っ掛けだと話す。

 

「私は《ロイヤル・ブラッド》だから、他のアリウスの子より知ってる事が多い。話せないことが殆どだけど」

「……今から姫が話す仮説は、その“話せない”事と繋がっているのか?」

「その通り。さすがサッちゃん」

「すまないが今は茶化さないでくれ」

「そうだね。私は《ロイヤル・ブラッド》だけが知る知識――“秘儀”の存在を知っている。先生はきっと、その秘儀に巻き込まれたんだと思う」

「……巻き込まれたって、どういう事?」

 

まだ話の全体像は理解出来ないが、恭介がその“秘儀”とやらのせいでこうなってしまった事はミサキも理解できる。ただ、誰がその秘儀とやらを実行に移したのか。《ロイヤル・ブラッド》は今はアツコだけだが、アツコがやったとは流石に考えていない。じゃあ、誰が秘儀に手を出したのかという疑問も残る。

それに対し、アツコはその疑問点に対しての憶測での答えを口にする。

 

「言葉通りの意味、かな。厳密には、ベアトリーチェが切っ掛けで生じた歪みが秘儀という形で顕れて、その歪んだ秘儀を秘儀として成立させる為に、先生を巻き込んだ」

「歪んだ秘儀を秘儀として成立させる?まるで、強引に元へと戻そうとしているように聞こえますが……」

「その通りだよ。ベアトリーチェが知らない内に破った戒律……ポルタパシスへの無断侵入。それを正す為に、誰もが納得する完全無欠の《審判者》を生み出そうとしているんだよ」

「《審判者》……?まさか、この本にある“天使”のことか?」

「――その通りだよ。そして、私の知る限り《審判者》は、アリウスを守る存在でもある」

「そ、それってつまり、先生がその《審判者》にされそうになっているんですか!?」

 

アツコの言葉を聞いたヒヨリが答えを口にした事で、サオリ達も今回の事態の全体像が理解できた。つまりはこうだ。

始まりはベアトリーチェが誰もが入っては行けない場所――ポルタパシスに無断で侵入した。そこで戒律に歪みが生じたが、ベアトリーチェがアリウスの支配者になろうと行動していた時点では、まだ大きな問題ではなかったのだろう。誰もが“天使”であるという解釈――ベアトリーチェ自身がその《審判者》となる可能性があったのだから。

だが、その可能性は恭介によって潰されてしまった。席を用意したまま、候補者だけが消えた形――否、新たな候補者が登場した形となって。

 

しかし、その新たな候補者――恭介はアリウスの人間ではなく、外から来た人間。加えて、席に座る為の最低限の条件すら満たしておらず、本人にもその気がなかった。

だが、偶然か必然か、恭介はアツコの許可を得て歪みの原点――ポルタパシスに足を踏み入れてしまった。そして、アリウスの“原典”とも言える外典に目を通してしまったことで、条件を満たしてしまったのだろう。

――アリウスを守る、理想すぎる候補者として。理想すぎる故に、無理矢理にでも《審判者》として祭り上げる為に。

 

「なら、どうすれば先生を助けられる!?」

「……この仮説が事実なら、アリウスの“総意”で覆せる筈。《審判者》は()()()()()()()()でもあるから」

「で、でしたら今すぐ他の皆さんを呼んで――」

 

――それは為らぬ

 

どこか暗く、背筋が凍るような声が部屋中に響き渡る。

同時に虚空から滲み出るかのように、黒い翼をはためかせた黒い服を着た少女達――六体の天使がサオリ達を囲うように姿を顕す。

 

「天使……!?」

「うわぁあああああああん!?明らかにマズイ状況ですよぉ!」

「どう見ても、友好的な雰囲気ではありませんね……」

 

――異端者には、断罪を

 

突然顕れた天使達にアズサ達が警戒する中、あの声が再び部屋中に響くと同時に天使達が攻撃するかのような構えを取る。

 

「私達が異端者か……」

「そんな事はどうでもいい。元凶が現れたなら、ぶっ倒せばいいだけ……」

「ん。私達の先生を返してもらう」

 

サオリ達は私物の銃火器を天使達に向けて構える。それが合図となったように、天使達は一斉にサオリ達へと迫るのであった。

 

 

 




オリジナルフォーム紹介

ナイトアリウス・インフィニティ

デュアルメアカプセムで変身した、ナイトアリウスの強化フォーム。カラーリングは黒と白のツートンで、基本カラーは黒。バイザーカラーは深青色。
果てしない、無限大の意味を持つ言葉の通りに、能力面でもその傾向が見て取れる。ダメージの即時修復は勿論、継続的にダメージを与え続けることもできる。
必殺技は対象が尽きるまで攻撃が内側で続く《インフィニティ・リベイク》。使い方によっては無限ループの精神攻撃も可能。

オリジナル武器

トリプルランチャー
ゼッツのトリプルゼッツァーのリデコ武器。オリジナルはガトリングだが、こちらはロケットランチャー。
最強必殺技は膨大なエネルギーで吹き飛ばす《ファイナル・マックス・クラッシャー》。

タツマキマグナム
ゼッツのイナズマブラスターのリデコ武器。こちらも上部パーツの造形が違っている。
ネタバレであるが、ブレイカムバスターの刀身を合体させることで【アサルトカリバーモード】にすることが出来る。
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