「ラブライブが開催されます!!」
「ラブライブ??」
部室で雑談していると花陽が息を切らしながら入ってきた。
「ラブライブって?」
穂乃果が頭に?を浮かべる。
「夏に開催されるスクールアイドルの甲子園みたいな物だ」
当然俺はこの世界でもラブライブが開催されることをリサーチしていた。
「アイドルランクの上位が一堂に集まって、優勝を目指すって感じだ」
「ほへー」
「これはすごいことですよ!今から開催が楽しみです!!」
アイドル好きの花陽が興奮した様子で語る。
「もちろん、にこ達も出場を目指すわよ!!」
「私たちも?」
「当たり前じゃない!にこ達は本気でスクールアイドルやってるのよ、なら目指さない理由はないでしょ?」
「・・・うん、そうだね!!私たちもラブライブに出よう!」
「ですが簡単なことではありません、出場するためにはアイドルランク上位20位内に入る必要があります」
「今の私たちは?」
花陽がパソコンでμ'sのランクを調べる。
「先日上げたPVの影響もあり、着実に順位は上がっています。しかし20位には遠く及びません」
「壁は高いですね」
「開催は夏、まだ時間はあります」
「なんとしても順位をあげて出場するわよ!」
新しくラブライブ出場という目標が出来、皆んなのモチベーションも上がる。
「でも多分」
「滉季くん?」
「仮に出場するとしたら学校の許可を貰う必要がある」
「げー!!」
「あの生徒会長が素直に認めてくれるでしょうか」
「ともかく、話はしに行ったほうがいいだろうな」
「いざ!!」
穂乃果が生徒会室の扉を開けようとした。
しかし部屋には鍵が掛かっていた。
「あれ?いないみたい」
「それなんだけど」
「真姫ちゃん?」
「学校の許可が必要なんでしょ?なら生徒会長じゃなくて直接理事長に許可貰えばいいじゃない」
「真姫ちゃん天才!!」
「あの生徒会長が許可くれるはずないもの、そっちの方がいいわ」
「理事長室、緊張する」
「ほら早く開けないさい」
「・・・失礼します!!」
理事長室に入るとそこには絵里と希がいた。
「げっ!!」
「あなた達」
絵里が俺たちの事を睨んでくる。
「理事長にお話があります!」
「あら、何かしら?」
「ラブライブへのエントリーを認めてください!」
「ラブライブ?」
そこから俺たちはラブライブに出場するために許可をもらいに来たことを話した。
「なるほどね」
「部活動の申請は生徒会を通す決まりよ」
「それは原則の話でしょ」
「そんな勝手が許されると思っているの!?」
「えりち」
希が絵里をなだめる。
「ラブライブ、いいわ認めます」
「理事長!?」
「やった!!」
「エントリーするくらいは認めてあげてもいいんじゃない」
「でしたら生徒会も!」
「それは認めるわけにはいかないわ」
「どうしてですか!?」
「ともかく、話はそれだけかしら」
「はい!ありがとうございます!!」
絵里が鬼の形相で俺たちを見ている。怖いな。
「でも条件があるわね」
「条件?」
「今度の試験で赤点を取った人が一人でもいればエントリーは無しよ、学業を疎かにするようでは認められません」
「大丈夫です」
「あら、あなたは」
「彼女たちがエントリーできるよう俺がしっかり面倒見ます」
「そう、じゃあ頼んだわね」
何はともあれ、条件さえクリアできればラブライブにエントリーできることが決まった。
部屋を出るときに見た絵里と希の顔は正反対だった。
「穂乃果、凛、にこ集合!!」
「はい!」
「はいにゃ!」
「はーい」
部室に集まる。
「お前達にはなんとしても赤点を回避してもらう」
「助けてくれるの!?」
「当たり前だ、赤点取ってエントリーできませんでしたなんて俺も嫌だからな」
俺の成績は悪くはない、前世の知識もあるために何とかなるだろう。
「それぞれ何が不得意なんだ?」
「私は数学がダメで」
「凛は英語」
「にこ先輩は?」
「・・・」
「?」
「全部・・・」
どうやらにこは重傷のようだった。
「これからテストまで俺が見るから頑張ろうな」
「それ、ウチも手伝おうか?」
希が部室の扉を開けながらそう言う。
「希先輩?」
「にこっちの分はウチが見た方がいいやろ?」
「助かります」
正直三人分見るとなると時間が足りない気がしていた。
「それじゃあ勉強開始だ」
「もうダメだー!」
開始して30分で音を上げた。
「おいおい、まだ少ししかやっていないぞ」
「だって!数字を見ていると頭がぼーっとしてくるんだもん!」
「アルファベットが呪文の様に見えてきたにゃ・・・」
ちらりとにこの方を見る。
「ぎゃー!!」
「にこっち!」
どうやらあちらも同じようだな。
勉強が苦手な人に対してやる気を出させる方法・・・
「お前達」
「なに?」
「無事に赤点回避したら俺が一つ言うことを聞いてやる」
「っ!!」
「ほんと!?」
「あぁ、ただし俺に出来ることだがな」
思いついたのは物で釣る作戦。
どうせ内容もスイーツ奢ってとかその程度のものだろう。
それで赤点回避出来るなら安い物だ。
「それにラブライブにエントリーするんだろう、こんな所で躓いてちゃいけないだろ」
「うん!!よーし、やる気出てきた!!」
「凛も頑張るにゃー!」
「にこの本当の実力見せてあげるわ!!」
どうやら三人ともやる気に火が付いてくれたようだ。
「この問題教えて!」
その後は各自しっかりと勉強に励んでくれた。
このままやっていけば赤点は回避出来るだろう。
テストも来週に迫った日。
「勉強も順調だし、今日くらいは体を動かそう!」
昼休み、ここの所毎日勉強をしていたためフラストレーションが溜まっているとのことで練習をしていた。
「あー、早くテスト終わんないかな-」
「凛、詰め込みすぎて頭パンクしそうにゃ」
「にこはあんた達の10倍頑張っているわよ」
ともかく、これでスッキリしてまた勉強に集中してくれればいいなと思う。
「滉季・・・」
皆んながワイワイ体を動かしている中、深刻な顔をした海未が声をかけてきた。
「どうした?」
「少し話があります、ここではあれのなので場所を変えて話しませんか」
「・・・分かった」
部室にやってきた。
「それで話というのは?」
「実は・・・生徒会長のことで」
「生徒会長?」
「生徒会長が私たちのことを敵視しているのは知っていますね」
「そりゃ分かってるよ」
「その理由が分かりました」
「・・・聞かせて貰おう」
「この前色々とありまして、生徒会長が小さな頃にバレエをしていた事を知ったんです」
「・・・」
この頃海未が絵里と話すイベントがあったような気がする。
既に話をした後だったのだろう。
「その時の映像を見せて貰いましたが、そのレベルはすさまじい物でした。それこそ私たちとは比べものにならない」
「そうか・・・」
「その経験から、生徒会長は私たちの事が認められないとの事です」
「プロから見たアマみたいなものか」
「・・・ですがこれはチャンスでもあると思うんです」
「チャンス?」
「もし生徒会長の協力を得られれば、私たちはもっと上を目指せると思うんです」
「仲間に出来ればってことか」
「なんとかならないでしょうか」
「きっと生徒会長には並々ならぬ想いがあるんだと思う、その人を動かすとなると大変だぞ」
「それは勿論分かっています、しかしあのダンスを見たら全員が同じ事を言うはずです」
絵里が抱えている問題は大きい、実際どうやって仲間にしたのか俺はよく覚えていなかった。
この先俺が関われる部分があるのかは不明だった。
「今私と滉季で少しでも説得をすれば」
「いや、それはやめた方がいい」
「どうしてですか?」
「まずは試験をパスすることが優先だ、それが出来ていない以上俺たちの言葉に説得力はない」
「・・・その通りです」
「この問題は一旦後回しだ、先に試験をクリアしよう」
「そうですね」
「と言うことで海未もファロー頼むな」
「分かりました・・・ところで」
「なんだ?」
「赤点回避したら言うことを聞くというのは甘過ぎではないでしょうか?」
「やる気出させるには丁度良いかなって」
「・・・穂乃果たちだけずるいです」
「何か言ったか?」
海未は何かを呟いたようだが小声でよく聞こえなかった。
「なんでもありません」
「じゃあ海未、頼んだぞ頼りにしてる」
「はい!」
そして試験は終わり、答案返却日。
「凛はなんとか大丈夫だったよ!」
「にこもよゆーよ」
残るは穂乃果だけだ。
「私は・・・」
「穂乃果!」
「穂乃果ちゃん!」
全員が固唾をのんで見守る。
「セーフ!!!」
手に持った答案用紙には赤点を楽に超えた数字が書いてあった。
「三人ともよく頑張った!!」
「ご褒美何にしよっかなー!」
これでラブライブのエントリーが正式に決まった。
「滉季」
「あぁ分かっている」
試験もクリアしたことで、俺たちは絵里と向き合うときが来たのだ。