「どうしよう!このままじゃ廃校になっちゃうよ!」
穂乃果たちはどうやら今度行われるオープンキャンパスの結果が悪ければ廃校が決定する事を理事長から聞いたようだ。
「ついに問題が目の前に来たって事か」
「どうしよう・・・」
「慌てるな、そもそも廃校を阻止するためにスクールアイドルを始めたんだっただろう」
「・・・そうだね!!」
「となると、やっぱりライブかな?」
「学校見学に来てくれた人たちの前でライブをする、俺たちに出来るのはそれしか無いはずだ」
「にこの魅力を存分にアピールする場ね!」
「その為には今よりももっと完成度を上げる必要があるな」
「練習がんばるにゃー!」
「・・・」
海未はやはり何かを考えているような顔をしていた。
まぁ大体何を考えているかは察しが付くが。
「今のよかったんじゃない!?」
オープンキャンパスに向けての練習。
ここまで真剣に練習してきた甲斐あって、皆んなのレベルは確実に上がっていた。
「これではダメです、もう一回」
海未だけは渋い表情をしていた。
「今度こそ!」
「ダメです」
「えー!何がダメなの海未ちゃん!?」
「このままでは・・・」
理由を話さずダメ出しだけする海未に皆んなが困惑する。
「海未」
「滉季?」
「あの事、皆んなに話そう」
「・・・そうですね」
そこから海未は生徒会長がμ'sに向ける感情、そしてそれを言わせるだけの実力の持ち主であることを語った。
「生徒会長・・・そうだったんだ」
「敵視されているのには理由があったって事だな」
「・・・」
「このままではオープンキャンパスのライブも大成功とはならないと思ったんです」
「別に生徒会長の言うことなんて無視すればいいじゃない」
「・・・皆んな」
「こうきくん?」
「少し見方を変えてみよう、俺たちの近くにはそれだけの実力者がいるってことなんだ」
「私は生徒会長にダンスを教えて貰えないかと考えたんです」
「生徒会長に!?」
「はい、あれほど踊れる生徒会長から指導を受けることが出来れば、私たちはもっともっと上達できると思うんです」
「にこは反対よ、どうせ断られるし今いるメンバーで頑張った方が良いと思うわ」
「私も」
「・・・いいんじゃないかな?」
「穂乃果?」
「だってさ、私はもっともっと上手くなりたい。今度のライブを大成功させて音ノ木坂を守りたいって思う!」
「・・・」
「その為だったらさ、生徒会長の力は絶対に必要だよ!ここで頼ることを諦めたら、きっと後悔すると思う!」
「穂乃果の言うとおりだと思う、今度のライブは絶対に失敗できない。頼れる物はなんでも頼るべきだ」
「私も・・・生徒会長にダンスを教えて貰いたいかも」
「頭下げるなり何だってやるべきだと俺は思う」
「にこ、真姫どうでしょうか」
「・・・あんた達がそこまで言うなら」
「分かったわよ・・・」
「それじゃあ!生徒会長にお願いしに行こう!」
こうして俺たちは生徒会長にダンスの指導をお願いしに行くこととなった。
「お願いします!私たちにダンスを教えてください!」
絵里は驚きの表情を浮かべている。
「私たち上手くなりたいんです!だから生徒会長に指導して欲しいんです!」
穂乃果は真っ直ぐに気持ちを伝えた。
「どうするん?えりち」
絵里の横にいた希が問う。
「・・・」
「海未から話は聞きました、生徒会長の力を彼女たちに貸してくれませんか?」
「・・・いいわ、教えてあげる」
「やった!」
「あなた達が頑張っているのは認めるわ、だけど私が教えるとなると妥協は許さないわよ」
「もちろんです!!」
「そこ!ステップが甘い!」
「タイミングがずれているわ!」
「何度言ったらわかるの!」
絵里の指導は厳しい物だった。
端から見ている俺ですらそう感じるのだから、実際に受けている穂乃果たちにはかなり厳しい物だろう。
「このままじゃ人を感動させられることなんて無理よ・・・」
その言葉は穂乃果たちに言ったことだが、同時に絵里自身にも言い聞かせているようだった。
「今日はこれで終わりよ、言ったこと忘れないように」
「生徒会長!」
「なによ」
「ありがとうございました!!」
絵里は穂乃果たちの心を折るつもりだったのかもしれない。
「・・・」
「これからもお願いします!!」
だがμ'sのなかにこの位で諦める人はいなかった。
「おはようございます!!」
翌日も絵里は練習を見に来てくれた。
「昨日言ったこと、出来ていないじゃない!」
「もう一回!」
「このままじゃダメよ!!」
昨日と変わらず、絵里の指導は厳しい物だった。
「あなた達、諦めたりしないの?」
休憩時間になると絵里が言ってきた。
「苦しい思いをして、それでも続ける。意味があるかも分からないのに」
それは絵里の心配でもあったのであろう。
「私たちは諦めません!!」
「・・・」
「私たちはμ'sが好きで、学校が好きで、だから諦めません!!」
「・・・」
「このまま終わりたくなんてありません!出来ることは精一杯やりたい!」
「・・・」
「この気持ちがある限り、私たちはやりきります!!」
「・・・!!」
その言葉を聞いた絵里は屋上から出て行ってしまった。
「生徒会長!?」
「皆んなは練習続けてくれ、俺が行ってくる」
「滉季くん、頼んだよ!」
希と絵里が口論している現場を見つけた。
柱の陰に隠れそのやり取りを見守る。
この二人の関係に今俺が出て行くのは違うと思い、会話が終わるのを待つ。
「生徒会長」
「あなたは」
教室に一人いる絵里に声をかける。
「穂乃果たちのこと、気にしてくれてるんですね」
「・・・別にそんなことないわよ」
「生徒会長って大変ですよね、一番に学校のこと考えなくちゃいけなくて」
「なによ」
「すいません、さっきの副会長との会話聞いてしまって」
「そう・・・」
「穂乃果たち、昨日の練習の後生徒会長のことすごいすごいって言ってたんですよ」
「・・・」
「この人に教わればもっと上手くなれるって」
「・・・」
「俺には穂乃果たちには輝いてほしいって思ってるんです」
「随分彼女達のことを思っているのね」
「大切な人たちですから」
「それで、あなたは私になんの用かしら」
「今のμ'sはまだ足りない、最後のピースが埋まっていないんです」
「・・・」
「誰よりも真剣にダンスに向き合っていた生徒会長、あなたの力が必要です」
「私のこと何も知らないくせに言うじゃない」
「はい、だからこれから生徒会長のことも知りたいって思います」
「・・・まるで告白みたいね」
「どう受け取って貰っても構いません」
「・・・」
「俺に出来るのはここまでです、後は」
「生徒会長!!」
教室の扉が開く。
そこには希を加えた皆んながいた。
「生徒会長!いえ、絵里先輩!!」
「あなた達・・・」
俺の役目は終わりだな。一歩引く。
「私たち、話し合ったんです!それで想いは一つになりました!」
「なにを・・・」
「絵里先輩!一緒に踊りましょう!μ'sに入ってください!!」
「っ!!」
「私たちには絵里先輩が必要です!!」
「でも私は・・・今更仲間に入れてくれだなんて」
「えりち」
「希?」
「そろそろ素直になってもいいんやない?」
「私は・・・」
「学校の為に頑張るのもいいけど、えりちが自分のためにやりたいことをやっても」
「お願いします!!」
「「「お願いします!!」」」
穂乃果が絵里に手を差し伸べる。
絵里はその手を見つめる。
「私の、やりたいこと・・・」
絵里は目を閉じ、その後ゆっくりと開いた。
「私も、皆んなと踊りたい」
そして絵里は穂乃果の手を取った。
「絵里先輩!」
穂乃果がそのまま絵里に抱きつく。
「ありがとうございます!!」
「・・・あなた達の情熱に負けたわ」
そのまま俺の方を見る。
「そして彼にも」
「?」
「さっき熱烈なアプローチを受けたわ」
「滉季くん!?」
「冗談よ、彼いい人ね」
絵里が爆弾発言をしたせいで全員が俺を見る。
「勘弁してくださいよ・・・」
「ふふっ」
ともかくこれでμ'sは八人となった。
「これで八人だね!」
「八人じゃないですよね?」
希の方を見て言う。
「お見通しってわけやね」
「?」
「八人やない、ウチを入れて九人や!」
「えぇ!希も入るの!?」
「せやでにこっち!」
これでμ'sはフルメンバーの九人となった。
「ウチが名前を付けたμ'sは九人だけだった、ただこの場にはもう一人おるけどね」
希は俺にウインクしながらそう言ってきた。
「μ'sって付けたの希先輩だったんだ!?」
「ウチが占ったのとは違う未来、これからどうなるか楽しみやね」
「俺はこれからも全力で皆んなを支えていきますよ」
そしてオープンキャンパス当日。
九人になったμ'sの初ライブが行われた。
「~~~♪」
絵里と希が加わったことによりパフォーマンスには更に磨きが掛かった。
ライブは大成功に終わり、来てくれた生徒達にも好評であった。
長い道のりを経て、μ'sのメンバーは揃った。
これから先この九人と過ごす日々が楽しみだ。