奇械姫と騎士   作:水氷(ばっかり手に入る)

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サンドローネの態度がツンツンしてないのは、まだ<エラー>が蓄積されていないからです





3話 あなたと一緒じゃないと寝れない

 

 

 

マリーがウサギを愛でてから数日が経った頃、俺とマリーは荷車を引かせて再び都へ来ていた。今回はじいちゃんに買い出しを頼まれたとかではなく、マリーの自室に置くための寝具関連を買いに来たのだ

 

きっかけは昨日の夜のことである

 

 

──回想──

 

 

「マリー、少しいい?」

 

 

とある用事でマリーの自室の扉を叩くと、暫くしないうちにマリーが扉を開けてきた

 

因みにマリーの自室は、彼女の誕生から少ししてからじいちゃんに作ってもらった。機械人形といえど人間に近い彼女にもプライベート空間は必要だからね

 

 

「なんのよう?」

 

「じいちゃんがさ、また機械について教え─」

「今すぐ行くわ」

 

「はやっ」

 

 

食い気味で返事をして部屋から出てきたマリーを横目に、俺はチラッと彼女の自室を見て、ひとつ疑問に思った

 

 

「マリー?」

 

「なに?」

 

「自室をじいちゃんに作ってもらったとき、内装はマリーだけで考えたの?」

 

「いいえ、アランと一緒に考えたわ」

 

「ベッドがないように見えるんだけど」

 

「ようにではなく、ないわよ」

 

「じゃあ、どこで寝てるの?」

 

「椅子に座って休息をとってるわ」

 

「...」

 

「アスター?」

 

「睡眠の重要性!!」

 

 

 

──終了──

 

 

まぁ彼女はあくまで機械人形で、ベッドで横になっての睡眠なんて椅子に座って睡眠と変わらないと考えたんだろう。それはわかるけど、じいちゃんはなんでマリーの部屋にベッドを置こうと考えなかったのか!彼女は機械だからベッドなんて必要ないって感じで発明家としての考え方が出てしまったのかな!?それとも部屋の内装は彼女の好きにさせてやろうってズレた親心がでたのかな!!多分、いや確実に後者だなコレ!

 

っていう感じで、彼女に睡眠とその質がどれほど重要かを解いてそれでも渋ってるようだったから実際に俺の自室のベッドで寝かせて実体験させた。百聞は一見にしかずだ。あとじいちゃんの機械講座は中止させた。マリーへ睡眠について語った後じいちゃんにも少し説教していたから、全て終わった頃には寝る時間を少し過ぎてたからね

 

 

「ふぅ。まさか短期間で2回も都に行くことになるとは思いもしなかったよ」

 

「その、ごめんなさい。手間をかけさせて」

 

「ううん、全然気にしてないよ。家族との外出は楽しいものだからさ。じいちゃんは都みたいな人が沢山いる場所が苦手だから、買い物とかは俺ひとりで行ってたから寂しい面もあったしね」

 

「そうだったのね」

 

「じいちゃんには内緒ね」

 

「わかったわ。それで、今日はベッドとシーツとか寝間着を買うんだったかしら?」

 

「うん。そうだよ」

 

「ベッドで寝る有用性はわかったけど、寝間着を買う必要はあるのかしら?」

 

「ベッドで寝たら心地いい感覚になったでしょ?寝間着で寝るのもそれが理由だよ。寝ている間、体を締め付けないようにだとかね」

 

「なるほど、ストレス軽減のためでもあるのね」

 

「うん。それじゃあ理解してくれたことで、まずは寝間着を買いに行こう。荷物が大きくなるやつは最後で!マリーにピッタリなものを用意しよう!!」

 

「えぇ」

 

 

ということで、最初はその服屋さんだ。その服屋さんとはもちろん、マリーの衣装をオーダーメイドした店である。マリーの腰部分にあるゼンマイは浮いてるから(どういう原理?)それ用の穴を空けるなんてことはしなくていいから、今回はオーダーメイドにはしないけど。まぁ依頼した店にある程度は贔屓しておかないとね

 

 

「いらっしゃいませ...あらアスター様!先日はありがとうございました!」

 

「いえ、こっちも素敵な服をご用意してもらってありがとうございます。今日は寝間着を探しに来たんですけど、置いてます?」

 

「はい、ございますよ!どちらが着用されるので?」

 

「彼女です」

 

「かしこまりました。ではこちらへ」

 

 

そう言って、店員はマリーを寝間着のある場所へと案内していく。ここの店は女性用の空間と男性用の空間に分けられていてどっちも種類が豊富で、値段が張るけど質もよく頑丈。マリーが選んでいる間、俺も服とかを見ながら待っていよう

 

 

「アスター様」

 

「店員さん?私の連れの寝間着見つかりましたか?」

 

「はい。見つかって試着もしたのですが、彼女があなたを呼んで欲しいと」

 

「?」

 

 

店員に言われるがまま試着室の方へ行くと、そこには─白ロングワンピースに所々に橙色のフリルがあしらわれた─寝間着の試着姿のマリーが待っていた

 

 

「ではお客様、ごゆっくり〜」

 

 

あの店員、絶対俺たちが恋人同士とか思ってたな。全然違うんだけどな、恋人じゃなくて家族だが?

 

 

「あ、アスター。どうかしら?違和感ない?」

 

「うん、ないよ。それは君が一番理解できるでしょ」

 

「そうなのだけれど...昨日、私の感覚が原因で迷惑をかけてしまったばかりだから、気になってしまって」

 

「そっか、それは申し訳ないことしちゃったな」

 

 

うん、少し反省だ。これは彼女のプライベート空間にまで指摘したことで、マリーは不安になり始めているんだ。下手すると彼女の個性が育たなくなるかもしれないし、気をつけないと

 

 

「ねぇマリー、それは気に入った?」

 

「えぇ!色合いとか肌触りも、なんだか着てるだけで落ち着くから気に入ったわ」

 

「そっか。それじゃあそれにしよ!」

 

「えぇ」

 

 

そしてマリーの寝間着を買い終えた次は、ベッドも売っている家具屋さんである。ここは別に特筆すべき点はない。彼女の身長にあったサイズのヤツと最も心地いい感触のするヤツを選べばいいだけ

 

と思っていたんだけど、なにやら随分と悩んでる

 

 

「ねぇ、アスターの部屋に置いてるあのベッドもこの店で買ったの?」

 

「そうだね、なんならあそこに置いてあるし」

 

「そう...」

 

 

俺の返答を聞いたマリーは何を思ったのか、俺が指さしたベッドに近付き手で感触を確かめた後、横たわった

 

 

「同じベッドがいいの?」

 

「んー、いいえ。違ったみたい」

 

「あはは、ここにはベストのベッドはなかった?」

 

「そうね。ここにある中で人体的に一番寝心地の良いモノから選んでいたのだけれど、どれもしっくりこなかったの。それでアスターが寝ていたベッドが一番心地よかったから、同じベッドを触れてみたけど...」

 

「違ったと」

 

「えぇ。変ね...構造は同じはずなのに」

 

 

これは、もしやアレだろうか?兄弟家庭でたまにあるとされている、お兄ちゃんと一緒がいい!というやつでは!?

 

 

「じゃあ、俺が使ってるベッド譲ろうか?」

 

「えっそんなの悪いわよ!」

 

「いいよいいよ。俺の予想が正しいとしたら、マリーは他のベッドじゃ満足出来ないかもだからさ」

 

「私があなたと一緒じゃないと寝れない理由がわかるの?」

 

「...あ、うん。可能性としてはかなり高いと思うよ。いつかマリーにもわかる日がくると思う」

 

「ふーん、分かったわ」

 

 

マリー、いまの言い方はかなり際どいよ。思わず少し強引に話を終わらせてしまったじゃないか

※数百年後の彼女は、この言い方をした事を時々思い出しては身悶えしています

 

 

「それじゃあお言葉に甘えるわね」

 

「うん」

 

 

この後マリーのではなく俺の寝具探しとなったのだが、まぁそんなに時間はかからずに買うことができた。その後、少し喫茶店で休憩してから俺たちは家に帰った

 

 

「おかえりアスター、マリアネッテ」

 

「「ただいま」」

 

「その顔を見ると、いい買い物が出来たみたいだね」

 

「えぇ、ただ私は寝間着だけを買って、ベッドはアスターのモノを譲ってもらうことにしたの」

 

「それで代わりの俺のベッドは別で買ったんだ」

 

「...あぁ、なるほど。そういうことかい」

 

 

何も言わずともじいちゃんにはわかったらしいね。じいちゃんにも妹さんがいたからかな?やっぱり、お兄ちゃんと一緒がいい現象があったんだろうなぁ

 

その後、俺の部屋にあるベッドをマリーの部屋へ運び、新しく買ったベッドを俺の部屋に運び寝具の調達が終了した

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

──AnotherView──

 

 

早朝、少年が鍛錬をする

朝、少年と老人と機械少女が朝食をとる

々、少年と機械少女が花の手入れをする

時に、老人のピアノ演奏と共にダンスをする2人

昼、3人は昼食をとった後お茶会をする

時に、少年が買い出しへ。機械少女が付き添うことも

々に、2人がゲームをする。老人と遊ぶこともあった

夜、3人で夕食をとる

々、機械講座をする2人を見守る少年

々、3人はそれぞれ自室で就寝

 

 

これがこの家族の平穏な日常である

こんな日々がいつでも続けばいいのに。と、現実をわかっていながらも、心の奥底でそう願ってしまう子がいた。その日々が終わってしまうキッカケは十数年程が経ち、老人の容態が悪化してからだった

 

 

 





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