月日が流れ、ディーノが6歳になった頃、修行環境としては中々良い場所であるデルムリン島に隠れ家を作っていたアバンに頼まれて、デルムリン島に向かった私は、新たにアバンに弟子入りしたノヴァという少年のアバン流刀殺法の修行を手伝うことになった。
既に大地斬は身に付けているノヴァは、海波斬を習得する為に修行している真っ最中だったが、深紅の巨竜となった私が加減して吐いた火炎の息を剣で斬り裂けるようになるまで、ノヴァは頑張ることになる。
「ドラゴラム」が使えるアバンがドラゴンとなって、火炎の息を斬らせる修行をさせることも可能であったみたいだが、ドラゴンに変身する「ドラゴラム」は魔法力の消費が激しく、直ぐには魔法力が回復しない為、魔法力の消費なく竜となれる私に協力を頼んだ方がいいとアバンは判断したようだ。
それからしばらく物凄く加減した火炎の息を吐き続けた結果、なんとか海波斬を身に付けることができたノヴァは、身体に火傷を負っていたりもしたので、とりあえず魔法力は消費しない特技である「祝福の杖」を何回か用いて、ノヴァの火傷を完治させておく。
アバン流刀殺法最後の技、空裂斬を習得する為に、アバンと修行していくノヴァは、目隠しをした状態で闘気を感じ取る鍛練をしていたが、闘気を扱う才能があるノヴァは、空裂斬に関しては私の手伝いは必要無さそうに見えた。
海波斬習得の手伝いは無事に終わったので、後は特に手伝うことはないかと考えていた私はデルムリン島を散歩してみることにしたが、島の森にある草むらに光輝く何かが落ちていて、掌大で雫の形をしたそれは神々しさすらも感じる物体であったのは確かだ。
金色に光輝く大粒の宝玉のようにも思える物体が何なのか、私には判別できないが、様々なことに詳しいアバン、竜の騎士であるバラン、魔界の名工ロン・ベルクの3名の内、誰かがこの物体について知っている可能性はある。
まずはアバンにこの光輝く物体が何なのか聞いてみたが「その神々しさから考えると神々が残したアイテムか何かではないかと推測はできますが、詳しくはわたしでは解りませんね」と言ったアバン。
様々なことに詳しいアバンでも知らないとなると、バランとロン・ベルクに聞いてみるしかないと考えた私は、デルムリン島から「ルーラ」でテランにまで移動し、バランとロン・ベルクにデルムリン島で発見した物体を見せてみることにした。
私が持ってきた物体を見て、目を見開いて驚いていたバランとロン・ベルクは「「神の涙」」と声を揃えて言っていたが、どうやらこの物体は「神の涙」という名前であるらしい。
「神の涙」は他者の願いを叶える力を持つアイテムであるそうで、神々の力を宿す「神の涙」は天地魔界のバランスを崩す程の力があるアイテムであるが、意思を持つアイテムでもある為、悪しき願いを叶えたりはしないとのことだ。
世界で最も汚れていない場所に落ちてくるという「神の涙」が落ちていた場所が、モンスター達が住まうデルムリン島であったということは、人よりもモンスター達の方が汚れていないということなのかもしれない。
「神の涙」というアイテムを手に入れたとしても、特に私は願うことはなく、ロン・ベルクも願いは自分で叶えるものだと考えており、願いがありそうなのはバランだけとなったので、とりあえずバランに「神の涙」を渡しておくと、迷わずディーノの健康を最初に願ったバラン。
ディーノやソアラにラーハルト関係の願いを幾つか「神の涙」に願っていたバランは最後に「孫の顔が見られる程度には長生きしたい」とも願っていたな。
何度も光輝いていた「神の涙」によって叶えられた幾つもの願いにより、ディーノは物凄く健康になって、身体もとんでもなく頑丈になっていたようだ。
特に闘気を纏っている訳でもない素の肉体強度が竜魔人となって全力で竜闘気を纏ったバラン並みになっていたディーノを傷付けるには、ロン・ベルクの「星皇十字剣」かバランの「ギガブレイク」並みの威力がある攻撃を叩き込む必要があるようになっており、オリハルコンよりも頑丈になっていたディーノの身体。
バランの願いを叶えまくったことで小さくなっていた「神の涙」を手製の袋に入れて、懐にしまっておいた私は、今は特に願うことがなくてもいずれ何か願うことあるかもしれないと考えて、一応とっておくことに決める。
その後、バランが「神の涙」に願ったことで超強化されたディーノと遊ぶことになったバランは、手加減を間違えたディーノにじゃれつかれて死にかけていたが、孫の顔が見られるまで長生きしたいという願いが叶えられていた為、瀕死の状態から瞬時に回復して復活したバラン。
孫の顔を見るまでは、バランは不死身ということになったのかもしれない。
そう簡単には死ねない身体になったバランは、長生きすることは間違いなくできそうだ。
ディーノとソアラやラーハルトに関する願いばかり「神の涙」に願っていたバランだが、孫の顔が見られるまで長生きしたいと願って、不死身になっていなければ、超強化されたディーノにじゃれつかれるだけで死んでいた可能性が高かったバラン。
ちなみにソアラは、ソアラが傷付けられることがないように、とバランに念入りに願われたことで、超強化されたディーノにじゃれつかれても無傷なソアラも、かなり頑丈になっていたようだ。
ラーハルトもまた同様に頑丈になっていた為、竜の騎士のバランだけが、素の防御力が低いという状態となっていた一家。
ディーノが手加減を覚えるまでは、不死身なバランに頑張ってもらうしかないな。
ゴメちゃんが生まれることはありませんでしたが、竜の騎士バランが孫の顔が見れるようになるまでは不死身になったりしました