あぁ!?脱いだら凄いんだぞこっちは!(うすほそ) 作:あげ竹輪
4日目
明日は引き続き作業なので、実質今日でトリニティに行くのは最後の日。
万魔殿に行って泊まりがけの作業をすることをお姉ちゃんに伝え、改札に向かった。
最後ということもあって、仲良くしてくれた三人が色々と物をくれた。
今トリニティで流行っている食べ物だとか、お菓子だとか...全部食品だねこれ私そんな食い意地張ってると思われてる?
そんな軽口をいいつつも嬉しかったので「ありがとう!」と言っておいた。
またお昼頃、せっかくなので貰った物を飲んでみてよと言われたのでみらくる...?そんな感じのものを開けた。
内容量は結構少なめで一口で飲めるくらいのものだった。エナジー飲料的なものかな?と思っていたけど、
その甘ったるい液が喉を通り抜けた後、私の四肢はぱたりと動かなくなってしまった
「大丈夫!?」
腰が抜けてガタッと椅子を動かした私を心配してか1人がそう言い、
「保険室連れていこう!」
と急ぎ足に私を担いで教室を出た。準備が良くない?
三人の足は保険室の前を通り過ぎた後も止まらず、口は動いたので「どこ行こうとしてるの?」と聞いても何も答えてくれない。抵抗しようにも全く動けない。
....あれ?もしかして危ない?
そう気付いた時にはもう遅かったのかもしれない。
私を降ろしたのは学校のはずれの裏。いわゆる校舎裏ってところだと思う。
華々しい校舎とは違って少し湿り気のする所だった。
というか乱暴に降ろされたから 普通に転んだんだけど?
あとその衝撃で普段抑えている帽子が...
「あっ!やっぱり角付きじゃん!!」
「初めて見るわ〜、どういうつもり?」
「そんな見え見えの嘘、見苦しいですわよ、2人とも。ふふっ」
あからさまに態度が変わった。
こちらを下にし、嘲るような声で三人とも笑っている。
「な、なんで...」
「なんでも何もないでしょ?なんでこんな神聖な場所に悪魔が紛れ込んでるワケ?....まあ私たちは優しいからね、泳がしてたってこと。」
「さらにプレゼントまでしてあげる大盤振る舞い!慈愛に満ちていると思わない?」
「まあまあ、せっかく最後の日なのですし、最後のお昼会、始めましょう?」
動けない私を他所に3人は私の荷物を探る。
あ、待って、それは
「返して、私のお弁当」
それだけは汚して欲しくない。お姉ちゃんから貰った大切な__
「は?わざわざ出してあげたんだけど?お礼くらい言ったらどうなの?...ああ、悪魔に感情なんかないか!」
「オープン!...やっぱり何時もですけど質素で味気がない、全くもってつまらない中身ですわね」
は?いまお姉ちゃんの料理のこと悪くいった?
「っ!ふざけ」
私が話すのを遮るがごとくまたひとりが喋った。
「そんな可哀想な角付きメイちゃんに朗報〜!私たちがそれ、
...寒気がした。動けないんだからなるはずもないのに背筋が震える感覚がある。
流石に呑気なことを言っていられなくなったかもしれない。
1つ異様な花壇を持ち上げ、その場所を見せてきた。
「__ひっ」
違う。そんなことされるわけが無い。だってそんなもの、校舎内に居なかった。
「この辺は設備が甘くて、ちょっとでも餌まいたら出てくるのよ。ピッタリだと思わない?」
止めて。
「あら、安心していいのよ?しっかりご飯と一緒に食べさせてあげますから」
「やばっ!天使からのあーんじゃん!浄化されるんじゃね?」
まだ動くソレを乗せた米を私の口に持ってくる。
逃げようとしてもまだ動くことは出来ず、口を固く閉じふるふると顔を振る些細な抵抗しか出来ない。...それでも
ばんっ!と音がした後、硝煙の匂いと肩への強い痛みで口が空いてしまった。
すかさずその隙間に指を入れられ、無理やり開けられる。
「ちょお前!外傷はなしって言っただろ?」
「結果オーライなんだからいいでしょ!?ほら、もう口開いてるよ?メイちゃんもお腹すいたよ〜って!」
無理だ。力が弱い上に動けない、3対1の状況で抵抗もできない。
こういう時どうすればいいんだっけ?忘れちゃった。
異常があった時は....なんだったっけ。誰かが何か言っていたような...
―――――
「__しっかり全部食べること!わかった?」
―――――
ああ、そうだった。おねえちゃんのりょうりはちゃんとぜんぶたべないと。
抵抗をしていた咬合を止め、それを受け入れる。力が入らなくなったことを疑問を持ちながらも箸が私の口に入るスピードは変わらず、それは私の中に入った。
咀嚼。
鼻をつんざくような強烈な臭いと、米だけでは絶対に出ないであろう苦味とえぐみを伴った、固い感覚が私の口内を蹂躙する。
時々嗚咽を漏らしながらも必死で耐え、まだ異物感が残るそれを呑み込んだ。
気持ち悪い。まだ脚が動いていた感触が舌に残っている。まるでまだ這いずり回っているようだ。
吐かなかったことを受け入れたと感じた三人はどんどんと私に「はい!おかわりだよ」とそれを運んでくる。
食べないと
「彩りも大切だし、次は緑にしよ!」
「鱗粉って味するのかしら...まあ大丈夫でしょう」
「うわぁキモイ!めっちゃ動いてる!包め包め!!」
次々に運び込まれるそれに対して過剰反応する私の横隔膜を必死で抑えながら飲み込む。もう既に元々の味なんか分からなくなってしまった。
「はい!完食!よく出来ました〜w」
どうやら食べ終わったらしい。
一体何匹が私の中に入ったかなんて分からないけど、なにか猛烈な勢いで食道をせり上がってくるものを深い深い呼吸で沈めていく。
お姉ちゃんから貰ったものを吐くなんてことはできない。
とっくに涙で前は見えないけどまだ3人がいることは気配で確認できた
「___知ってる?角のペンダントって金運上がるらしいよ?」
「えー?...うーん....まあ2本あるし1本くらいいいか?良いよね?メイちゃん?」
「う”あ”っ”!?....ぁ__?」
頭がジンジンする。まるで角をへし折られた感覚で___?
「ほら、見える?顔ぐちゃぐちゃで見れないか。....メイちゃんの大事な部分貰うね?」
「友達ですもの。ギブアンドテイクの精神を互いに持ちましょう?」
もう耳もだんだん聞こえなくなってきた。涙とはまた違う粘性を持った液が私の頬を伝うけどまだ動けない私はそれを拭うこともできない。
痛みで吐き気が少し納まったのは不幸中の幸いだろうか
意識が朦朧としていく中、後ろの校舎側から大きな衝撃が来たのを最後に私は気を失ってしまった。
「__救護ッ!!」
ああ、そういえばレイサさんにまだ帰ること言ってなかったっけ...
最後に挨拶したかったな...
この話は[苦虫を噛み潰したような]という表現から書きました。