問題児たちと憑依者たちが異世界から来るそうですよ? 《凍結中》 作:夜明けの月
今回から新章開始となります。
それでは本編をお楽しみください。
コミュニティ"ビッグラグーン"へ
???side
僕は一人だった。どこに居てもどこに行っても孤独だった。誰も相手をしてくれず、ただ彷徨い続けるだけの人生だと思ってた。だけど彼女らは彼女らだけは違った。途方に暮れていた僕をコミュニティに入れてくれた。帰る場所をくれた。生きる意味をくれた。僕はそれだけで嬉しかったはずなのに。
「…………………」
だが現実は違った。
彼女らは僕を監禁した。生きる苦しみを与えられた。そんなの、
「………そんなの全て壊れてしまえばいいのに」
そう、僕は壊さなくてはならない。僕を陥れた者全てを。そのためにも、
「どうしても邪魔なんだよ………」
奴は消す。でなければ僕の願いは叶わない。例え一族は僕の代で終わっても。だから、
「神野司、君は僕が僕のために殺す」
???side out
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司side
部屋に太陽の日差しがカーテンの隙間から射し込む。俺は目を覚まし、支度を進める。服装はいつもの黒のパーカーに紺のズボンだ。
「さてと、そろそろ行くか」
準備を終えて、部屋の外へ出る。できれば誰にもばれずに外に出たいのだがおそらく無理な可能性が高い。
現在の時刻は午前6時。この時間ならば誰にもバレる心配はない。少なくとも俺はそう思っていた。
「あら?司君じゃない。どうしたのこんな早くに」
不意に後ろから声をかけられ、ビクと震える。そしてそーっと後ろを向き、誰であるか確認する。
「あ、飛鳥か。おはよう。というかなんでこんなに早く起きてるのさ?」
「今日は早く目が覚めたのよ。二度寝する気分でもなかったからこうしているわけ」
飛鳥は自分で淹れたと思われる紅茶を右手に持っていた。おそらくそれを飲んで誰かが起きるのを待っていたのだろう。
「それはそうとして司君」
「な、何でしょうか?」
「何故あなたは外に出ようとしているのかしら?」
外出しようとしていたことを勘付かれ内心焦る。
「い、いやちょっと散歩にでも行こうかと思って……」
「本当にそうかしら?」
もう本当勘弁してくれ……。これ以上は俺がもたねえよ……。
「あなた、隠してることあるでしょ?私にも、そしてコミュニティの皆にも」
まさかとは思ったがここまで勘付かれるとはさすがにお手上げだ。これ以上隠せばどうなるのか想像はつく。
「………もし本当にそうなら?」
「その場合は耀さんに言ってありがたいお話をしてもらうというのはどうかしら?勿論あなたがね」
………そんなのは御免だな。考えただけでも悪寒がする。
「話せばどうなる?」
「そうね……。事と次第によるわね」
もうこれ、選択肢なくないか?結局俺が折れて飛鳥に事情を話す事にした。
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「あらそれは面白そうじゃない。私も連れて行ってくれる?」
話した結果、自分も連れて行けという結論に至ったが、
「ダメだ。言っただろ?これから行く場所は大変危険だ。だから飛鳥を連れてはいけない」
「お説教」
「うぐっ………!そう脅されても連れて行けないもんは連れて行けなーーー」
「なら耀さん起こしてくるわね」
「やめろやめてやめて下さい!分かったよ連れて行くから」
「ふふん。最初からそれを言っていればよかったのに」
勝ち誇ったような顔をしている飛鳥。俺は真剣な面持ちで飛鳥に言う。
「ただし、危険な真似はするな。ただでさえ連れて行くのは異例なんだ。分かったな」
「ええ、了承したわ。それじゃあ行きましょうか」
はぁとため息を吐き俺は目的地に向かい歩き出した。
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しばらく歩くと森の中、木が一本も生えていない奇妙な場所に着いた。
「何故ここだけ木が生えてないのかしら?森の中だというのに」
「それはすぐに教えてくれるさ。なあシェイド」
俺がその名前を呼ぶと、虚空から全身を黒の服で身を包んだ青年が現れた。
「やあ、久しぶりだね司。いつぶりだっけ?」
「ほんの一週間前だよ」
シェイドと呼ばれた男は司に笑いかけながら言った。俺の後ろにいる飛鳥に気づくと、
「あ〜らら、バレちゃったのか〜」
ふざけたように笑いながら額に手を当てて言う。
「巫山戯るな。そろそろ本題に入れ」
「まあまあ、そんなに怒んないの。仕方ないだろ?ボスとライ爺が来てないんだから」
ホントこいつの相手は疲れる。そう思っていると目の前50mぐらい先の空間が歪んだ。そこから大柄な男、そして13〜14歳ぐらいの少女が出てきた。
「おお司………ってお前、バレちまったのか?」
「こいつにだけな。仕方なく連れてきた」
「久遠飛鳥よ。以後よろしく」
「ああ、俺の名はライオットだ。よろしく頼むぜお嬢さん」
ライ爺はニカッと笑い飛鳥に自己紹介する。
「ボス、あんたも初対面なんだから自己紹介しないと」
「はぁ………分かってるわよ」
少女が面倒くさそうに俺に向き、
「私はあなたも知っているコミュニティ"ビッグラグーン"。そこのリーダーのシルビア=リベルディよ。よろしく神野司、久遠飛鳥」
この少女がリーダーねぇ………。そんなことを思いつつ本題に入る。
「さて、俺をここに呼んだ理由について詳しく聞かせてもらおうか」
「なんだライオットから聞いていないのか?ここにお前を呼んだ理由は一つだ」
少し間を置き、シルビアは言った。
「私達が捕らえている魔王を隷属させて欲しいのだよ」
「………………はあ!?」
何言ってんのこいつ!?
「無理にとは………言う。お前しかいないのだ神野司。君がやらねばこの世界が消滅、いや厳密に言えば呑まれるぞ」
「ど、どういうことだ?」
「私達"ビッグラグーン"は幾多もの魔王を隷属してきた。だがそれももう限界が来ている。誰も奴を隷属する力がないのだ。そこでだ」
「何も隷属していない俺を選んだわけか?」
「そうだ。そしてもう一つだけ理由がある。それは、
君が憑依者であるからだ」
は?と俺は首をかしげる。憑依者?何のことだ?
「お前のギフトカードを見てみるといい」
言われるがままギフトカードを取り出し自分のギフトを見ると、
「なんだ……これ………?」
そこにはかつてあった名前のギフトがなく新しいギフトに変わっていた。
ギフトネーム 『属性憑依:
『属性憑依:
名前全てが変わったわけではなく、後ろの部分が以前より格が上がっているというべきだろうか。
「君のギフトは進化する。そしてその進化に応じて君は新たな力を手に入れる。そして今の君は奴を、魔王クロウを隷属させることが可能だ」
そんな力が俺に?マジかよ………。
「で俺はどうすればいいんだ?」
「私達のコミュニティの本拠には入るとすぐに大きな宮殿が見えるそこに行ってクロウを倒してきて欲しい。勿論そこの小娘もつれてな」
「飛鳥は関係ないだろ」
「残念ながら私もお守りをするほどの時間が無いのだ。そしてその小娘は自分の意思でついてきたのだろう?なら別にいいではないか」
確かに一理ある。ここは大人しく引いておこう。じゃなきゃ何かヤバイ気がする。
「で、そのコミュニティの本拠はどこにあるんだよ?」
「私達のコミュニティの本拠はこの箱庭には存在しない。どこにも属さない空間にあるからな。そしてそこに入るためには条件がある」
俺は黙り次の言葉を待つ。シルビア不敵にニヤリと笑い告げる。
「その条件は私達三人とのギフトゲームに勝利することだ」
「んな!?」
「さあ始めようか!」
その言葉が合図となったのか、俺の目の前に契約書類が現れる。
『ギフトゲーム名 決闘
・プレイヤー名 神野 司
久遠 飛鳥
・ゲームマスター シルビア=リベルディ
・勝利条件 シルビア=リベルディ、ライオット=イルード、シェイド=ルフスの打倒または降参。
・敗北条件 プレイヤー上記の条件を満たせなくなった場合。
宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗の下、" "はギフトゲームに参加します。
"ビッグラグーン"印』
読み終えると確認するようにシルビアに問う。
「これは単にお前らを叩き潰せって事だよな?」
「ああそうだな。ただし、できればの話だがな」
その次の瞬間、ライ爺は俺に飛びかかってくる。守るために氷を展開すると、
「な、何だこれ?」
俺と飛鳥の周りを囲むようにドーム状の氷が生成されていた。前なんて纏うので精一杯だったのに。
「オラァ!」
だが強度が弱かったのかライ爺は軽々と殴り破壊する。
「ちっ………、なら………!」
次の攻撃が来る前に右手に炎を纏いライ爺の腹をめがけて殴る。命中しライ爺はよろけるが、
「それじゃあ次はこっちの番だな」
そう言ってライ爺は拳を振り下ろす。俺は足元に炎を生成し、それを蹴りなんとかかわす。
「オレのこと忘れてないか?」
不意に後ろから声が聞こえたと思うと横腹を蹴られ気に激突する。
「か……は………」
こんなの人の出来るものじゃないと推定した俺は立ち上がり飛鳥に言う。
「飛鳥、俺に命令しろ」
「え?」
「いいから早く!」
訳が分からないと思っているだろうがいかんせん早く終わらせなければこちらがもたない。渋々飛鳥は俺に命令する。
「なんだか分からないけれどまあいいわ。『燃え上がりなさい』!」
その言葉と同時に右手に宿る炎が勢いを増す。俺はニヤリと笑い勝ちを確信する。
「一応聞いとくぞ。勝てばいいんだよな?」
「ええ、そうだけど。それが?」
「いや別に」
俺はギフトカードから一つの剣を取り出す。そしてその名を呼ぶ。
「さあ出番だレーヴァテイン、燃え盛れ!」
その言葉に応じ燃える。炎剣レーヴァテイン。俺が創り出した神具だ。
「それがどうした!いくぞシェイド。一気に決めるぞ!」
「はいはい分かったよ。まあ短い間だったけどちょっとは楽しかったよ」
ライ爺、シェイドは一気に飛びかかってくる。そう
「己が身を燃やし、汝らを撃て。"炎剣:
爆音が鳴り響く。
「これでいいか?あんたもこうなりたくなきゃ降参して欲しいんだけど?」
シルビアは驚愕し言葉も出ない。何せ自分の側近のような者の二人が一撃で仕留められたのだ。
「(………やはりこの力ならば彼を…………)」
何かを確信したかのように考えているシルビアに俺は言う。
「で、どうなんだ?」
「ふふ……、ここは降参しておくわ。ここで本気を出したら奴と戦えなくなるからね。それはそうと、早く起きなさい二人とも」
そう言われ立ち上がるライ爺とシェイド。
「ったく、近づいてるところに爆炎ぶち込むってどういう考えしてんだよ司の坊ちゃんは」
「ケケケ、負けちまったか〜」
………お前らよく言うよ。本気ではないが相手が気絶する程度の力使って打ち込んだのに。
「司君大丈夫?思いっきり蹴られてたけど……」
「ああ問題ないさ。さてと、じゃあ案内してもらおうかな」
「ええ、ちょっと待って」
シルビアは右手を前に出す。するとそこの周辺が歪みだし穴が開く。
「ついてきなさい」
言われるがままについていく。その穴の中に入り中を確認するが全くもって何もない。こんなところに本当にあるのだろうか?
それからしばらく歩くとシルビアが言った。
「もう着くわ。心の準備はいいかしら?」
俺たちは無言で頷く。
すると突如眩い光が一面に広がり俺たちの視界を白く染める。その光が消え目を開けるとそこには、
街があった。
商店街もあれば住宅街もある。もう異空間というより単なる一つの街じゃねーか……。
シルビアは俺たちの目の前に立ち宣言する。
「ようこそ"ビッグラグーン"本拠へ!歓迎するわ司、飛鳥」
そこは箱庭とは全く違う異世界だった。そしてこの異世界で最大の危機、そしてあの過去に直面することをまだこの時の俺はまだ知る由もなかった。
さて始まりましたあとがきのコーナー。
司「ようやく新章スタートだな」
ええそうですね。記念すべき新章一話目のゲストは、
シルビア「私よ」
司「シルビアか」
ええ、ようやく司君と顔合わせましたしね。
司「そうだな。で聞きたいことがあるんだよ」
何ですか?
司「なんで俺のギフト名が変わってるんだよ」
シルビア「ああそんなこと?」
簡単ですよ〜。ペルセウス戦の時に君は限界まで力を出し、元のギフトの力を超えたため、ギフト名が変わり、より強力なものが使えるようになったのです!
シルビア「ちなみに前のあなたは近距離しか出来なかったけれど、今なら遠距離攻撃もできるわよ。炎を飛ばしたり、氷の膜張って相手の攻撃を防いだり」
司「氷は今回やったから後で炎もやってみる。けどだんだん俺もチートになってきたな……」
シルビア「仕方ないじゃない。それが運命なのよ」
司「納得できねえ………」
それじゃあ今回はそろそろ締めますかね。
シルビア「感想、お気に入り登録して下さった皆様、本当にありがとうございました」
司「それと評価していただいた方もありがとうございました!」
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『今回も読んでいただき誠にありがとうございました!次回もお楽しみに!』