問題児たちと憑依者たちが異世界から来るそうですよ? 《凍結中》   作:夜明けの月

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申し訳ありません!また遅れてしまいました!

年度始めはやっぱり忙しいですね。

それでは本編をお楽しみください。


仲間のために

司side

 

「お前は……あの時の坊主、それと一緒にいた嬢ちゃんか」

 

「…………」

 

「くく、生き残ってやがったか!あの死体の中にいたのか?まあそんなことどうでもいいか」

 

「テメェ………!」

 

「まあそう睨むなよ。今から面白いことが始まるんだからよ」

 

なんだと?と黒月を睨む俺は思った。黒月は不気味な笑みを浮かべ告げる。

 

「これからお楽しみの同士討ちの時間だ!!」

 

「何?」

 

「黒月様の言った通りだ。今からお前達にはこのおチビちゃんと戦ってもらう」

 

「何ですって!?」

 

アスタロトの言葉に黒ウサギが驚きの声を上げる。今から先ほどまで行動を共にしていたコミュニティの仲間、フィーナと戦うと言われたのだから。

 

「そんなのありえないわ。私たちはそんなことーーー」

 

「いつまでそう言ってられるかが楽しみだよ」

 

バアルが呟く。そして黒月は言った。

 

「まあ、精々あがき、苦しみ、傷つけ合いな。ハハハハハハハハハハ!」

 

そう言うと、黒月の姿が歪み、消えた。それと同時にバアル、アスタロトも姿を消す。正気を失ったフィーナだけを残して。

 

「くそッ、逃げやがったか……」

 

「そんなこと言ってる場合じゃない。フィーナちゃんがあの状態だと何してくるか分からないぞ?」

 

英太はフィーナを見ながら言った。

 

虚ろな瞳、右手にはナイフを持ち、その手は血まみれだった。

 

「ジン坊ちゃん、しっかりしてください!」

 

未だ意識が戻らないジンに黒ウサギが声をかける。だがジンは青白い顔のまま反応がない。

 

「黒ウサギ!早くおチビを本拠に運んで治療してやれ!」

 

「で、ですが!フィーナさんはどうするのですか!?」

 

「俺がなんとかする」

 

黒ウサギの言葉に俺が答える。

 

「俺がなんとか正気に戻す。だからジンを早く連れて行け」

 

「で、ですが……!」

 

「いいから早く行け!!」

 

苛立ちを隠せず黒ウサギに叫ぶ。

 

「わ、分かったのですよ!」

 

「私も行くわ」

 

「私も手伝う。司、無理はしないでね」

 

「ああ、分かってる。それと三月、お前も行け。クーフーリンも三月のことを頼む」

 

「…………うん」

 

「承知いたしました」

 

そう言って黒ウサギ達は大急ぎで本拠へと向かっていった。

 

ふと十六夜が俺に聞いてくる。

 

「おい、行かせてよかったのか?」

 

「別に構わない。フィーナは俺が止める」

 

「お前一人でやるつもりか?」

 

「ああ、だからお前らもーーーー」

 

「ふざけるなよ」

 

英太は俺を睨みつけ言った。

 

「お前おかしいぞ?前までこういう状況になったら他人の協力仰いでたのに」

 

「俺がやらなきゃいけないんだよ。それが例え黒月の思惑にはまったとしても」

 

そう言って俺はフィーナの前に出た。フィーナはそれを見て首にかけていたー俺が前に渡したーネックレスの先についている銀色の星を両手で握った。すると、フィーナの立っているところを中心に半径一メートル程度の魔法陣が現れる。

 

「……何?」

 

「……ッ!!司、下がれ!!」

 

え?とその言葉に気付いた時にはもう遅かった。ザシュッ!という音とともに激痛がはしる。

 

「……ぐ!?」

 

「あなたはどこまで耐え切れるの?」

 

フィーナは表情を変えず首を傾げている。くそ、何が起きたっていうんだよ……!?

 

「どういうことだ?あいつ動いてないだろ?」

 

「あれは……………ッ!!まずいな………」

 

英太は苦虫をかみつぶしたかのような顔をする。

 

「どうした?そんなにまずいことがあったのか」

 

「まずいってもんじゃない……。司、フィーナちゃんに攻撃してみてくれ!」

 

「……分かった。"インフェルノ"」

 

フィーナを赤い炎が包み吹き荒れる。その勢いは増していくが、

 

「おい英太、本当にこれでいいんだろうな?」

 

「俺の予想が正しければな……」

 

すると先ほどまで吹き荒れていたはずの炎が弾け消し飛んだ。

 

「……なんだと!?」

 

「やっぱりか……」

 

「おい、一体何……が………」

 

十六夜が英太に聞こうとしたところでフィーナをじっと見る。正確にはフィーナではなく、誰もいないはずの(・・・・・・・・)その後ろだ。

 

「どうしたんだ二人共?」

 

「おいおい……、少しシャレにならねえんじゃねえのか?」

 

十六夜は冷や汗をかきながら英太に言う。

 

「まさか、彼女が精霊を使えるなんてね……」

 

「なんだと……!?」

 

その後ろを見ると今まではなかった姿があった。

 

身長、年齢ともに俺たちと同じぐらいで髪は水色で見た目は綺麗だった。

 

「あれは………?」

 

「おそらく水精霊"ウンディーネ"。四精霊のうちの一人だ」

 

「なんでそんな奴をフィーナが?」

 

「おそらくそれがあのチビのギフトじゃねえのか?」

 

「でも、それがどうした。別にそんなのは構わない。今はフィーナを救うことだけ考えればいい!」

 

そう言って俺は右手に炎宿して駆け出した。未だフィーナの後ろから動かないウンディーネは左手を前に出しそれを左に振る。

 

「………ガッ!!」

 

突然脇腹を鈍器で殴られたかのような痛みが走る。

 

「……くそッ!」

 

すぐに態勢を立て直しウンディーネの後ろに回り裏拳を当てようとする。

 

俺が殴るタイミングに合わせたのか、クロウが今まで気配を消して俺と同時に攻撃を仕掛けようとする。だが、それは見えない障壁のようなものに阻まれる。ウンディーネは俺の目の前に水球を生み出し、打ち出す。

 

「ガッ!?」

 

「マスター!……このッ!」

 

俺が後ろに吹き飛ばされるがクロウは追撃しようとする。

 

「あなたは、あなたたちはどんな絶望を見せてくれるの?」

 

ウンディーネは俺に打ち出した水球を地面にぶつけ土煙を起こす。

 

「今なら……!十六夜、飛び込め!援護する!」

 

「了解だ!」

 

英太の言葉を聞き十六夜がフィーナに向かって走り出す。英太は詠唱を始める。そして土煙が晴れるとそこには、

 

 

うつぶせに倒れたクロウの心臓にナイフを突き刺そうとしていたフィーナだった。

 

ウンディーネにいたっては十六夜たちの攻撃が来るのを知っていたように立ちはだかっていた。

 

「くそがッ!しゃらくせぇ!!」

 

十六夜が渾身の力で殴る。だがそれは見えない障壁に阻まれてしまう。

 

「十六夜、どけッ!」

 

「ヤハハ、任せたぜ!」

 

「ああ!風魔法(ウィンドスペル)"風の短剣(ウィンドダガー)"」

 

そう唱えるとウンディーネの周囲に風をまとった短剣が出現しウンディーネに突き刺さる。その時のウンディーネの顔は苦痛の表情を浮かべているようにも見えるが激怒しているようにも見えた。

 

「後ろががら空きだぜ、水精霊!」

 

俺はウンディーネが英太たちに集中しているうちに後頭部を殴る。

 

それが決定打となったのか、ウンディーネは水となって弾けた。

 

フィーナの方を見るが何もなかったかのようにクロウにナイフを突き刺そうと腕を振り上げる。

 

俺は振り上げたその腕を掴み阻止する。

 

「離して……」

 

「させないよ、そんなこと」

 

「離せ!!」

 

フィーナは立ち上がり、俺が邪魔だと思ったのか俺をナイフで刺そうとする。それを俺は腕を離した。

 

ドスッという音ともにナイフから血が滴る。

 

「……ッつ!」

 

「!?」

 

フィーナは訳が分からないと思ったのか目を限界まで見開いていた。自分から刺されるやつなんているだろうか?まあ、いないだろう。

 

「ぐッ……、流石に二回目はきついか……」

 

俺は苦笑いを浮かべながら言った。ウンディーネから受けた傷とフィーナに刺されたところは丁度一番傷が深いところだった。

 

「……………」

 

「なぜか分からないって顔してるな」

 

「………」

 

フィーナは表情を変えず立っている。

 

「俺なりに考えた結果だよ……。俺はさっきまで黒月に対する復讐心に燃えていた。でも、そんなことだけ考えていたら失うものがあるんじゃないかって気付かされた。かつて俺の父さんがそうだったように」

 

俺の父さんはあの時黒月を止めに行ったのではなく殺しに行ったのだ。仲間が殺されたからその復讐のために。あの時は分からなかったが、正直言ってあの時の父さんの顔は怒りと憎しみでいっぱいだったと思う。だから父さんは勝てなかった。だから母さんは俺に託したのだと思った。父さんの意志を。

 

「俺は言われてたんだよ。『誰かを守れるように強くなれ』って。確かその後に言われた気がする。『怒りや憎しみといった感情に任せないで自分の意思で行動しなさいって」

 

「だ…から……何………?」

 

「別になんでもないさ…。ただ……、俺は何も失いたくないだけだ。たとえフィーナが敵になったとしても、俺を殺そうとしても」

 

俺はフィーナの抱く。小さな体は震えていた。

 

「怖かっただろ?辛かったろ?お前のそう思う気持ちは本当の心だ。黒月に植えつけられた偽りの心に惑わされるな……」

 

フィーナの顔が見えずどんな顔をしているかはわからないが小さな嗚咽だけは聞こえる。

 

「安心しろ、俺が終わらせ……るか……ら……」

 

そう言って俺の意識は突然途切れた。

 

司side out

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

十六夜side

 

「ま、マスター……!?」

 

クロウはよろよろと立ち上がり司に歩み寄る。

 

「クロウ、どうだ?」

 

「………出血多量、それと傷が深い。このまま放っておくとマスターは」

 

「分かった。お前も一応治療してもらえ。俺が司を運ぶ。十六夜、フィーナを頼んだ」

 

「あいよ」

 

まあ頼まれたなら仕方ないか……。だが、どうするか……。

 

「私は……私は……!」

 

ふと横にいるチビに目をやると俯いていた。ポタポタと小さな涙がこぼれ落ちていた。腕は小さく震え、泣くのをこらえているように見えた。

 

「……たく」

 

俺は頭をガシガシかきながらチビに言った。

 

「お前のせいじゃねえよ。避けなかったあいつが悪い」

 

「でも………!!」

 

「お前が背負うことじゃねえ。まあ…なんだ、よかったな。あいつがいてくれて」

 

俺はそう言うと本拠に向かって歩き出した。なんで俺がこんなこと言わなきゃならねえんだよ…面倒クセェ……。

 

「はい!」

 

俺が見たチビの顔は今まで見た子供の中で一番輝いてるように見えた。

 

十六夜side out




さて、あとがきですが、また司君は来ることができません。なので今回はこの方に来ていただきました。

十六夜「なんで俺なんだよ?」

キザなこと言ってたからです。

十六夜「誰が言わせたんだっけ?」

メタいこと言わないで!それと笑顔やめて!怖い、超怖いから!

十六夜「で、今回も遅れたと」

や、休み明けテストと宿題があったんですよ!

十六夜「テストの結果は?」

ふふふ、全て不合格だ!!(涙)

十六夜「涙拭けよ」

追試は合格するからいいんです!

十六夜「こうして主のフラグは乱立していくと」

この頃フラグ回収率多いからやめていただけませんかね?

十六夜「それで今回の内容だが、もうそろそろ特別編も終わりそうだな」

あとは黒月との戦いだけですからね。

十六夜「ギフトゲームが一切出てきてないがな」

あ、あとから出てくるんですよ!

十六夜「まあ期待しとくぜ。そろそろ締めるか」

感想またお気に入り登録をしてくださった皆様、ありがとうございました!

十六夜「感想、誤字脱字の注意、評価なんかも待ってるぜ!」

『読んでいただきありがとうございました!次回もお楽しみに!』
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