問題児たちと憑依者たちが異世界から来るそうですよ? 《凍結中》 作:夜明けの月
あとちょっとで特別編も終了です!頑張っていきましょう!
それでは本編をお楽しみください。
司side
時は少し前にさかのぼる。
扉をくぐるとそこはどこかの森の中だった。
「なんだここ?」
俺が疑問に思うが、
「まあ悩んでても仕方ないし、とりあえず進むか」
と歩いている途中にあることを思い出した。
「そういや、ギフト使用禁止になってたっけ。でもそんなはずは……」
そう言いつつギフトカードを見た。
「…………………マジで?」
見事にギフトネームの真ん中に横線が引いてあった。いつも使ってるようにしてみるが、何も起こらない。
「……ん?なんでレーヴァテインには横線が引かれてないんだ?」
『レーヴァテイン』だけはなぜか横線が引かれてない。ギフトカードから出すこともできるし、どういうことだ?
「………まあいいか。なんかあった時は頼むぜ
『任せてよ!!』
「???なんか今声が聞こえた気が……気のせいか」
頭をボリボリかきながら進む。するとやっと森を抜けられた。森の中が暗かったのか、眩しくて目を瞑る。だんだん目が慣れてきたので開けてみるとそこは、
以前俺たちが暮らしていた村だった。
「!!!??」
頭に激痛が走り頭を抑える。あの村は荒れて誰も暮らしていなかったはずなのに、なんで!?
「………ギフトゲームの舞台ってここなのかよ……。くそッ!」
そうこうしてるうちに村の中央の方が騒がしくなってきた。
「確か、ここで起きる事件と住んでる人には干渉不可だったよな……」
何があったのか気になりそこに行くとあの時の皆がそこにいた。もちろんあの頃の俺も。
「……………そういうことか」
事件というのはあのことだろう。黒月が起こした、俺たちを絶望の淵まで陥れたあれか。
「………まず偽物なんていねーよ。いるわけが………?」
そこにいる全員を見ると何か違和感があった。具体的に言えと言われると無理だが、なんだろう?どこかが違う気がする………。
「少し……観察するか」
・・・・・・・・・・・・・・・・・
1日観察を続けたがその違和感は消えることがなかった。寝転んで今日のことを考えていた。
なんだろう、何かが違う……。あの時と何かが………。
「………そういえば」
こっちではなんで俺はあんなに寂しそうにしてたんだ?
あれ?父さんっていたっけ?
「!!?」
ガバッと起きて記憶を辿る。
「父さんがいない……!?」
どういうことだ!?そんなことはなかったはずなのに……。でもなんだ?この違和感は?
「父さんがいないのに、母さんはなんとも思っ……て……」
まさか、そんなことってあるのかよ……。俺の推測が正しければ……。
「確かめるしかないよな」
そう決意して俺は家の方へと向かった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
向かった先には俺の家があった。だが家に来るのが目的ではない。俺は玄関のドアを開けて、リビングに向かう。
そこには椅子に座り何かを読んでいた神野桜花、俺の母さんがいた。
「司、こんな時間までどこに行ってたの?お母さんを心配させないでって……」
「久しぶりだね」
「……どちら様ですか?」
俺を見た母さんは警戒して俺を睨んでいた。
「偽物は母さんだよ」
「……?何を言ってるのか分かりません。不法侵入で訴えますよ?」
母さんの顔はますます険しくなっていく。だけど、こっちだって簡単には引き下がれない。
「もう偽りはいらない」
「………………」
俺の真剣な表情を見て観念したのか、いきなり笑い出した。
「ふふふ、あはははは!解くのが早いね!どうやってわかったのかしら?」
「答えは簡単。今ここにいる母さんが俺にとっては本物だけどこの世界にとっては偽物ってわけ」
「?」
母さんはわけがわからないって顔している。けど俺は言葉を続ける。
「今ここにいる母さんは死んだはずの母さんだってこと。だけどここはあの頃の俺たちの村だ。でもそこには父さんの姿がなかった」
母さんは俺の方を真剣な顔で見ている。こんな顔は見たことがなかったな、と思いつつ俺は言った。
「理由は整っていた
「…………」
「そして反応しないはずの母さんは反応した。これが一番の理由になると思うんだけど?」
母さんは俺の方を見て黙り込んでいる。
「それが俺の推測。どうだ?」
「ふふ、こんなに簡単に解かれるなんてね」
母さんは面白そうに笑う。
「俺には時間がないんだよ」
「……分かってるよ。だから、早く終わらせましょう。このゲームを」
突然母さんの姿が消え、俺の目の前に現れる。母さんは鳩尾を本気で殴る。
「が……!!?」
壁に叩きつけられ肺から空気が全部出される。俺は激しく咳き込み母さんを睨む。
「契約書類に書いてあったでしょ?"偽物の打倒"って」
「……そういうことか」
つまり、元から母さんと戦わせるためにこのギフトゲームをしやがったのか。くそあの燕尾服、次あったら覚えてろよ……。
「なら、相手が母さんでも遠慮はいらないよな」
母さんの顔めがけて拳を振り下ろすが、
「……そんなのじゃ誰も守れないよ?」
かわされ、足払いされる。
俺は盛大に転ぶが、すぐに立ち上がり殴ろうとするが全て外れる。
「……こんなので誰かを守れるとでも思ったの?お母さんガッカリだよ」
母さんはそう言って手に炎を纏わせた。
それで俺を殴る。
「ぐっ!!!?」
それは予想以上の威力で俺は家の壁を貫いて外の地面に倒れた。
母さんの方を見ると手には炎を纏った剣があった。
「……確かにそうだよな。これじゃあ守れないわ」
俺は立ち上がりギフトカードから愛剣を取り出す。
「だけど、負けられないんだよ!!」
愛剣レーヴァテインを手に持ち母さんを斬ろうとするが、
「こんな攻撃が当たるわけないでしょ?」
難なくかわされ脇腹を斬りつけられる。
勢い余って俺は地面を転がった。脇腹に痛みが走る。
「負けるかよ……。この……!!」
また斬るがこれもかわされてしまう。
「終わりよ」
その言葉とともに斬撃を放つ母さん。俺はそれを受け止めようとするが、力不足のため受け止められず、後ろに吹き飛ばされる。
「…ガ……ハ……」
「そんなので司は誰かを守れるの?」
「………」
沈黙、俺にはそれしかできなかった。
「呆れたよ。じゃああの時あなたが誓ったのは嘘だったということ?」
「うそ……な訳ねえ…だろ」
俺はフラフラしながら立つ。身体中が痛いし、疲れたし。でも、諦められるかよ。
「俺は母さんと誓ったことをやろうとしてんだよ。だから…、だから強くなりたかった。本当に誰かを守りたかった!……もう見たくないんだよ、誰かが傷つくとこなんて……」
俺は心の中から叫びながら言う。
「あの時は守れなかった…。でも!今は、今は違う!」
「何が違うの?結局司は何も……………!?」
俺は母さんの視界にとらえられないように地面を蹴り剣を当てられる位置にまで来た。
「"炎剣:蜃炎閃"!」
炎を纏った剣を母さんめがけて振り下ろした。
「そんな攻撃当たらないよ!」
たが容易くかわされた。はずだった。
「ガァ………?!」
後ろに飛んで避けたはずの母さんが後ろへ吹き飛ばされた。
「とっさに生み出したけど…、なんとかうまくいったな」
「……何…これ……?」
「俺の周りの温度を高温にして蜃気楼を作り出したんだよ。つまり母さんが見てたのは蜃気楼で映し出された俺だったってわけ」
「そんな芸当までできるようになったの……?でも、そんなので私は倒せないよ!!」
「それはこっちのセリフだ!」
ガキィン!と剣と剣が激しくぶつかり合う。何回も、何十回も。
そうやって何時間経っただろうか?流石に体力が限界に近ずいてきた。
「はぁはぁ……何で倒れてくれないかな…」
「そっちこそ。私の息子のくせに生意気だよ?」
とは言いつつももう体力が持ちそうにないのは確かだ。
「次で……終わらす……!」
「それは私のセリフだよ」
再度剣に炎を灯す。
「頼むぜ相棒」
『行こうマスター!フルスロットルで!』
「ああ!」
なんだろうか?この言葉を聞いてるとものすごく落ち着くんだよな……。
「それと、後でお前のこと教えろよ?」
『合点承知!』
「ブツブツどうしたのかな?来ないならこっちから行くよ!"絆剣:
母さんの持っている剣が青白く輝き出し、こっちにくる。
『迎え撃つよ!全力でレッツゴー!!』
「ああ!"焔剣:紅蓮"!」
レーヴァテインが赤く輝き、これまでにないほどの炎を灯す。
「はああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「届けぇぇぇぇぇぇぇ!!」
二つの光はぶつかり合い、爆風を巻き起こす。
土煙が晴れて立っていたのは、
「は……はは……、やっぱり強いや……」
「よく言うよ……親の扱いがひどくないかな……?」
立っていたのは俺ではなく、母さんだった。玉砕覚悟で行ったってのにこの人、どんな化け物だよ?
「でも、ギフトゲーム自体は司の勝ちだよ」
「は?」
「いや、まさかここまでやられるなんてね〜。正直驚いた!」
母さんの手にはさっきと同じ剣が握られていた。だが、さっきとは違った。
「まさか最強の剣と言われた"宝剣"を実力で叩き斬るなんてね」
そう、剣は真ん中あたりからパックリと割れ、割れた先は母さんの後ろの地面に突き刺さっていた。
「……あ。ヤバ……」
「別にいいよ。直そうと思えば直せるし。それに、本気が見れてよかった」
母さんはあの頃も見せてくれていた満面の笑みを俺に向けた。
「だからこのゲームはクリアだよ!」
そう母さんが言うと俺の目の前に契約書類が現れる。そこには、
『ゲームクリア!
プレイヤーには以下のギフトが贈呈されます。
『憑依者』
『
それでは、またのご参加をお待ちしております』
と記されていた。
「なんだこれ?」
「そのギフト、『憑依者』は自分が隷属させている魔王や神獣などのギフト、または霊格そのものを自分に憑依させることのできるギフトだよ」
「へぇ〜。使ってみないとわからないな」
「ん?もう一個ある。!?なんでこれが……。まさか依り代をこの子にしたの!?」
「ん?どうしたの母さん?」
「ううん。なんでもないけど、この『血塗られた過去』ってやつ。極力使わないようにして」
「……?分かった」
そのギフトってそんなにやばいものなのか?
「それじゃあ、ここでお別れだね」
「え?」
母さんがそう言うと俺の座っているところに魔法陣と思われるものが現れる。
「司は助けなきゃいけない人がいるんでしょ?ならその子のもとに行かないと」
「……うん、分かったよ」
「それと、絶対に負けるなよ!」
母さんは拳を握って俺に突き出してくる。
「うん!負けないよ!」
俺はその拳に自分の拳をぶつける。そこで俺は意識を失った。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
目を覚ますとそこは見慣れた天井だった。
「俺の部屋?ということは、元の世界に帰ってきたのか?」
寝てるってことは誰かがここに運んできてくれたんだよな?先ずは起きるか……。
「つッ……!」
腹部に痛みが走る。
「あの時のか……」
すると突然ドアが荒々しく開開けられる。
「……!!司お兄ちゃん!起きたの!?」
「フィーナか!大丈夫か!?」
「うん、司お兄ちゃんのおかげで。ありがとう」
「よかった……」
正気に戻ったようでよかったよ。
「でも、今それどころじゃないの!みんなが!!」
「……十六夜たちがどうかしたのか?」
「黒月と戦って……!」
「なんだと!?みんなはどこに?」
「本拠の外にいる!」
「分かった!フィーナは子供達と一緒にいてやってくれ!」
俺はその場から駆け出した。
無事でいてくれよ、みんな!
・・・・・・・・・・・・・・・・・
外に出ると耀が黒月に何か言われていた。でも耀の表情がいつもとは違う。何かに絶望してるようだった。
「くそッ!」
黒月が刀を振り上げその先を耀に向けた。その時ある声が聞こえてきた。
『マスター、君は仲間を助けたい?』
「そりゃそうだろ!たとえ自分の身を滅ぼしてでも!」
『ならこう叫んで私を使って。そしたら君の剣は届くよ』
「ああ、分かった!」
その声はこう言った。
『"炎を穿つ勝利の剣"ってね!』
「"
そう言うと体の中から力が溢れ出てくる。こんなことは今までになかったのに……!
『それが君の、マスターの力さ。どうするかはマスター次第だからね。あとは任せたよ
そう言って声は消えた。本当になんなんだよ?
「でもこれで……」
走り出そうとした時、聞き覚えのある、最愛の人の声が弱々しく俺の中に響いた。
『助けて………司………』と。
俺は今までにない速度で走り耀に迫っている刀を弾く。
キイン!という金属音が響き黒月は一歩後ずさった。
俺は耀の不安と絶望に染まった顔を安心させるためこう言った。
「すまない、待たせた」
俺が全て終わらせてやるから、あとは任せろ。
司side out
駄文で定評が高い夜明けの月です。
司「完全復活!というかテンション低いな」
いえ、どっちかというと高い方です。今ならなんでもできそうな気がしますよ!
司「よしならば勉強だ!」
さて今回の内容ですが、
司「華麗にスルー?!」
容赦ないですね、桜花さん。
司「あれが母さんの本気か……。正直言ってヤバかった……」
あれはきついですよね。そしてやっと、憑依者になりましたよこの子!
司「なんか不気味なギフトと一緒に受け取ったがな」
憑依者の方はあなたの二つ名みたいなものになりますよ、多分。
司「俺はそこまで有名になる気はない。まあでも、みんなを守れるなら遠慮なく使わせてもらうよ」
今回はここら辺で締めましょうか。
司「お気に入りしてくれたみんなありがとうな!」
感想、評価、誤字脱字の注意などもお待ちしてますので、気軽にお願いします!それでは、
『読んでいただきありがとうございました!次回もお楽しみに!』