問題児たちと憑依者たちが異世界から来るそうですよ? 《凍結中》 作:夜明けの月
今回ちょっと早めに仕上げたので上手くかけてるかわかりません。
では、本編をお楽しみください。
「あああアァァァぁぁぁアアアAAAAAAAAAAaaaaaa!!」
その雄叫びはフロア全体に響き渡り、そのフロア全土に黒い契約書類がばら撒かれる。
英太は耀達とともにそれを見ていた。
「な、んだよ……これ……」
「司が……魔王に……?」
「……ついに始まったのね」
英太と耀は驚いていて、浩也は空を睨んでいる。だが桜花はそこまで驚かず、冷静に呟く。
「桜花さん、知ってたんですか?!」
「この事態のことも、そして俺がゲームマスターになっていることも?」
「知っていたというより司が暴走するのは予期していたことだから。あと英太君がゲームマスターなのは多分司の判断だと思う」
「そうですか……」
「どっちにしても司のもとに行くのが先決だよ!」
耀はそんなことより司のことが気になり焦っていた。
「そうだな。さっさと行こう」
英太達は司のもとに急ぐ。
何事もなく、無事でいてくれーーーと願いながら。
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「何よこれ……!?」
移動していた飛鳥もその異変に気付き驚愕する。
「司君がホストマスター……!?ってことは魔王に堕ちたってこと!?」
飛鳥はあの少年が、神野司という少年がそんなことはあり得ないと心では否定するが、確証が持てない。
「行くしかないみたいね。急ぐわよ、ディーン!」
「DEEEeeeEEEN!!」
飛鳥も急いでコミュニティの同士のもとへと向かうのだった。
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「おいおい、こりゃなんの冗談だ?」
十六夜は冷静にそうに呟くが、内心はそうでもなかった。
「チッ、あのヤロウ、何しやがった?くそッ、考察するには情報が少なすぎる」
十六夜は頭をがしがし掻いて、
「こっちは怪我してんのに無理さすんじゃねえよこれ終わったら借りは返させてもらうぞ!!」
ボロボロの体で全速力で目的地に向かうのだった。
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司side
黒いもので視界が奪われたかと思うと、見えたのは辺り一面が赤黒く染められた場所だった。
『お目覚めはどうだ?』
声をかけられる。そこを見ると俺と
「……………」
『おいおい、目が空になってボーッとしてんじゃねえよ』
「……ここはどこだ?」
『ここか?俺たちの空間としか言えねえな。詳しくは俺も知らん』
「なら、お前は誰だ?」
『俺か?俺はお前だ』
は?と首をかしげる。そして、
『
「お前が、過去……?」
『そうだ。そしてお前には、今から試練を受けてもらう。もちろん拒否権はねえ』
そう言って過去の俺は両手を広げ高らかに宣言した。
『お前はあの過去ではなく、
「あるはずのない…過去……?」
『まあ今は分からなくていい。さあ、お前の手で全てを終わらせてこい』
そうすると意識がだんだん薄れていき、意識が暗闇の中へと落ちていった。
司side out
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黒ウサギ、サンドラ、三月の三人は司の姿を見て困惑していた。
「どうして……どうして司さんが魔王に……?」
「神野様……」
「なにが起こってるっていうの……?!」
頭の中が何故?というものに支配される。だが、それで動きを止めてはならなかった。
「あああアァァァぁぁぁアアアAAAAAAAAAAaaaaaa!!」
司は黒ウサギたちに気付き、猛突進してくる。反応が遅れた三人は襲いかかられる。
「セイッ!!」
間一髪というところで浩也が刀で防ぐが、
「(つ、強い……!!)」
浩也の刀の一振りでさえ押されていた。
「黒ウサギ!どういう状況?」
「耀さん!それに英太さんに桜花様まで!」
「それがさっぱりなんだよ!気づいたらああなってて」
「(気づいたら……?)」
英太はそんなことはないと想定し、浩也が司を抑えているうちに何故そうなったかひねり出そうとする。
「(だー!情報少なすぎんだよ!何か、何かヒントになりそうなものは……!)」
ゆっくり考えている暇もない。それ故に焦り、頭の中になにも浮かんでこなかった。英太は焦って周りを見渡す。そして見えたのが、
「(あれは……"サラマンドラ"の奴ら……?死んでるのか?)」
死んでいる"サラマンドラ"の兵士が見える。死んでいる、という言葉に英太は反応する。
「(死んでいる……そしてゲーム名が………………!?)」
まずい、と頭の中で警笛を鳴らす。
「浩也、一旦退け!」
「……と言われても、抑えてるだけで精一杯で、やっと均衡を保ててるのにそれ崩したらどうなるかわかるでしょ!?」
浩也は目の前の司を抑えるだけで精一杯だった。後ろに飛べば追撃される。かといってこのままこの状態を続けていればいつか力は尽きる。
「(あいつの過去にまつわるゲームなら、詳しい人物がいるはずだ。まずは一旦逃げて話だけでも聞かないといけないんだが……チッ、仕方ねえか)」
英太はギフトカードから以前錬成してもらった"龍源の杖"を取り出す。一見普通の杖に見えるが魔法使いにはとっておきの代物であり、魔法の威力増強、詠唱の高速化、刃も通さないので接近戦も可ということでいいことづくしの武器なのだ。
「浩也、お前は他のみんなと共に退け」
「だからーーー」
「その間、俺が止める」
決意を込めた眼差しで英太は言った。
「そ、そんなことさせられるわけがーーー」
「この状況にしたのは俺の責任でもあるんだ。だから、ここは任せてくれ」
「でも……」
「いいからさっさとクリア方法見つけてこい!」
「くっ……死なないでよ」
浩也は司の拳を振り払い後ろに跳ぶ。その次の瞬間、英太は氷の礫を放つ。
「さっさと逃げろ!」
「で、でも英太さんは!?」
「聞いてなかったのか!?さっさと逃げやがれ!」
「でも……」
「行こう黒ウサギさん」
「………わか、りました」
そう言って黒ウサギ達は別のどこかに走っていった。
「行ったか……。さて、どうしたもんかねえ……」
「『おマエ……ナニをしてイル?』」
お?と司の方に顔を向ける。そこには無表情に見える顔で言っていた。声が二つ重なっているように聞こえるが。
「お前を救う為にここにいるんだよ」
「『おマエがか……?ワラわせルナ』」
「言ってろ」
そう言って杖を構える。
あの時誓ったことを果たす為に。
『もし俺が道を踏み間違えてたら、お前が正してくれるか?』
「(なら俺がやるのが筋ってもんだろ)」
例え、勝ち目のない戦いでもーーー
「いくぞオラァ!!」
英太は叫び、詠唱を始めた。
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ある程度司と距離をとったところで"ノーネーム"のメンバーとサンドラはいた。
「何があったのあれは!?」
「くそッ、なんなんだあれは?」
「僕のあの刀でも無理なのか………?」
「英太さん……」
全員が全員困惑し、どうしたらいいのかわからずにいた。三月と桜花だけは違った。
「桜花さん、あのゲームって……?」
「多分予想してることあってるわよ。さてと、皆んな聞いてくれないかしら?」
「何をですか?」
そう言った途端全員が桜花の方を向き、ジンが問う。
「あの子の過去の話よ」
「それは前にあいつから聞いたよ」
「それは一部のこと。あの子、途中で気を失ってたとか言ってなかった?」
「……確か気付いたらボロボロになって倒れてたって」
「そう、気を失って目が覚めるまでの話。そこでのことが原因なのよ」
「そこでのこととは?」
「今から話すのは過去の話。あの子が忘れている本当の過去の話。聞く覚悟はあるかしら?あの子の罪を知る覚悟、ある?」
その場の全員が間髪入れずに頷く。そしてその過去の話が始まった。
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黒月により村の人々が斬り裂かれていく。血が流れているが致命傷ではなかった。
その積み上がってく人達と、目の前で絶命した母親を見た司は目が裂けるほど見開き、ぼうぜんと座り込んでいた。そして、
「やめ……ろ………や……めて……くれ………」
司は途切れ途切れに呟く。
「ヤメロォォォォ!!」
積み上がっていた人を乗り越えて黒月に飛びかかるが、
「あ?黙ってろクソガキ」
あっけなく蹴り飛ばされる。
「ガッ………!?」
「俺は今楽しいところなんだよ。邪魔するならテメェから殺すぞ?」
そして司のことを気に止めることもなく村人達を斬っていく。司はその光景を涙を流してみているしかなかった。
『力が欲しいか?奴を殺す力が、強力な恩恵が』
「………うん」
『なら、さっさと目を覚ませよ』
その言葉が聞こえた途端、司を纏う雰囲気が変わる。怒り、憎しみ、殺気で満ち溢れている。
「ガアアアアアアァァァァァぁぁぁ!!」
拳を握り黒月を殴りつける。それを防ごうと刀で迎え撃つと、
比喩などはない。木っ端微塵に砕けたのだ。それを見て驚いているうちに司の拳が黒月の腹に突き刺さる。
「ゴハッ!!?」
そして、黒月は消えた。何の前兆もなく、パッと消えた。まるで役目を終えたかのように。
黒月は消え、まだ斬られていなかった人たちが安堵する。だが、その安堵もつかの間だった。
司は拳を解かず、歩み寄ってきた村人を殴りつける。苦悶の表情を浮かべて倒れる村人。司はそれに馬乗りになり顔面を幾度となく殴る。
そして、その村人は十分間ほどずっと殴られ続け、絶命した。
「『GAAAAAaaaaaaaaAAAAAA!!!』」
司は悲しそうな声で叫ぶ。
それからは見てもいられない状態だった。
司はそこに生きていたすべての村人を殺そうとした。殴って殴って殴って殴って殴り続けた。その表情は怒りと憎しみ。ただそれだけだった。
数時間後にすべてを殺し尽くした司は力尽きたのか、その場に倒れて気を失った。そして次に目を覚ました時にはすべてが終わっていた。
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「これが司の過去よ」
「ちょっと待て」
十六夜が納得がいかないように言う。
「お前はなぜ死んでいたくせにそれを知っている?」
「答えは簡単。私の使役していたこの子達が見ていたからよ」
そう言うと突如、黒と白が現れる。
「マスターの命令ですからね♪」
「一応命令を忠実に遂行しただけだ」
笑顔を咲かせる白とあさっての方向を見る黒。
「つまり、神野君はその村の人たちを殺した張本人だと言うのですか?」
「そうよ。その時にあの怒りと憎しみがこもったギフトを得た。だけど」
「それを扱うには、あまりにも若すぎた。ですよね桜花様?」
桜花の代わりに黒ウサギが答える。
「ええ。だから司が倒れている間に黒にそのギフトを奪ってきてもらって私が保管してた。そしてそれを少し前に返したのよ。司が欲しがる"守る力"のために」
「"守る力"……?」
「そう、司はあの過去があることによって自分が弱いことを知る羽目になった。誰も守れなかったから、だから強くなりたいと思ってるの。そうしているうちに守るものがだんだん増えていった。だから焦り、力を欲した。それが司にとってはストレスになっていたのよ」
「そして、この"火龍誕生祭"が始まった」
「それで司の許容量をオーバーしたってこと……?」
耀は不安気に俯く。自分たちにも思い当たる節があったのだろう。
「いえ、以前から限界に近ずいてたから。でもあなた達のやつが司の許容量にトドメを刺したのかもしれない」
その言葉に十六夜、飛鳥、耀、三月が俯く。
「だけど、あなた達なら司を救える。だから、力を貸してくれないかしら?すべてを終わらせる為に」
"ノーネーム"のメンバーは桜花に注目する。そんなものに断る気などなかった。例えどんな罪を犯した人だろうと同士を助ける為の理由など必要なかった。
「もちろんだ。このまま終わるんじゃ歯切れが悪すぎる」
「私達のせいでもあるならそうするのが当然」
「このまま彼を野放しにするのも後味が悪すぎるにもほどがあるし」
「それに、僕らは彼に新たな罪を犯して欲しくない」
「そ、それは黒ウサギも同じなのですよ!」
「主人を救うのは従者の仕事でもある」
「僕に力がなくても助けたいという気持ちには変わりはありません!」
「私は"ノーネーム"ではないけれど、人を助けたいという気持ちに揺るぎはありません」
その場の全員が
「ありがとう。それじゃあ行きましょうか。あの子の元へ」
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英太side
「『こノてイドか……?』」
「ガハッ……!?」
あれから数十分、俺は完全に舐めていた。今まで司には負けたことがなかった。喧嘩でも、その他のことでも勉強以外なら負けたことなんてなかった。だけど、今は完全に格が違う。以前のように勝てるなんて思ってた自分が馬鹿馬鹿しい。
「ハッ!誰がこの程度……だって……?」
よろよろとしながら立つ。今は立っているだけでもキツイってのにまだ戦わなきゃいけねえのかよ……。
「冗談キツイぜ…………」
俺はボソッと呟く。杖を前に構え詠唱を始めようとするが、
「…………!?」
ガクン、と不意に足から力が抜ける。そのまま地面に膝をつく。
「は……?」
「『ゲンカイだな』」
「なんだと?」
「『おマエにゲンカイがオトズれたとイっている。ザンネンだがおマエではオレをタオせない』」
確かに司の言うとおりだ。倒せるわけがない。力に差が開きすぎている。だけどな……、
「そう言われて、はい諦めますっていうと思ってんのか?」
俺は力を振り絞って立つ。杖を前に構え詠唱を始める。
「"我に宿りしすべての魂、そして魔力よ、今誓いを果たす為に解放せよ。己が身を滅ぼしてでもその誓いを果たせ『
俺の杖を持っている右腕には光が纏わりつき、目が金色に染まる。
「『……ナンだそれは?』」
「ある意味諸刃の剣だ。自分で実感しやがれ"炎魔法:炎の矢"」
無詠唱で魔法を繰り出し、空を炎の矢が覆う。
比喩はない。空全体に炎の矢が展開されている。
「言っとくが威力は落ちてねえぜ?」
一つが動き出すとすべてが司に向かって動き出す。
司に当たる瞬間に足元から出た影に全てを消される。
「おいおい、結構これ力使うんだぜ?」
「『なら、しなければいいダロウ?』」
「お前を止める為には必要なんだよ………ゲホゲホッ!!?」
俺は突然咳き込む。そして吐血した。まだもってくれよ……。
さっき言っていたとおり『解読不可禁書目録』は諸刃の剣。使っているだけで体を蝕んでいく。
「さっさと終わらせてやる」
「『おマエがもてばのハナシだがな』」
「言ってろ」
さて、第二ラウンドの開始と行こうか。
英太side out
・・・・・・・・・・・・・・・・・
暗い空間でハーメルンの街の状態を見ている人物がいた。黒髪は肩まであり、少し鋭い目、黒いジャケットとベージュのズボンを着ている男性だ。
「さて、これからどうなるか………」
「バアルのことは良かったのですか?」
「あいつがすすんでやるって言ったんだ。俺が止めるのは野暮ってもんだろ?」
「そうですが、彼は私たちにとっては戦力の一人だったはずです。それとも、あなたはそんなに薄情な人だったのですか黒月様?」
「んなわけねぇだろ?あいつの意志を尊重したまでだ。それとアスタロト、無表情で言うのはやめてくれ。結構傷つくんだよ」
「フッ、何を馬鹿な………」
「テメェ、鼻で笑いやがったな?」
「これは失敬」
アスタロトは黒月から目をそらし、緩んでいた口を抑える。
「それにしてもあなたが作り出す分身はなぜあの様に性格最悪なのですか?」
「俺が知るか。てか、俺が知りてえよ。勝手に意思が芽生えて気づいたら毎回ああなってんだよ」
「そのおかげで彼らにも悪役呼ばわりされてますよ黒月様?で、狩谷様はっと失敬」
「それは知らんし、"狩谷"は捨てた名前だ。あまりその名で呼ぶな」
「それにしても初めて会った時は驚きましたね。あなたがあのコウメイと並んだヒョウガの身内とは」
「それは今関係ない。それと、お前はこの状況をどう読む?」
話がずれていたので司達のことに戻す。
「うまくいけば希望、誓い、絆、勇気などが新たに生まれるかと。ただしうまくいけばの話です。この状況が悪くなるものなら絶望、破滅、終焉、死、崩壊が待っているでしょう」
ふむ、と黒月は考える。
「(桜花の考えは了承したが、これはリスクが大きいな。だからと言って俺が何かできるわけでもない)」
「どっちに転んでもおかしくはありません、ってどうしました?」
「いや、なんでもない。とりあえず俺たちにできるのは、この状況が悪くならないことを願うだけだな」
「ええ、そうですね」
一人と悪魔一人は再度ハーメルンの街を見る。
「(司、お前は運命に抗え。かつて耐えられなかった
そう思いつつ、ギフトゲームを暗い部屋で見守るのだった。
さてさて、話がどんどん進んでいって、そろそろ"火龍誕生祭"も終わりに近ずいています。
三月「早かったねえ」
浩也「次回はどうなるんだろうね?」
次回は司君との全面戦争になる予定です。
三月「なら頑張らないとね!」
浩也「僕たちが彼を救うんです!」
それではこの辺で。
三月「感想、評価、誤字脱字の指摘、ダメだしなどもよろしくね」
浩也「読んでくださりありがとうございました!次回もお楽しみに!」