問題児たちと憑依者たちが異世界から来るそうですよ? 《凍結中》   作:夜明けの月

36 / 53
今回も前回同様、上手くかけていない可能性がございますがご了承ください。

それでは本編をお楽しみください。


終幕だそうですよ?

司side

 

学校が終わり、あるところに寄ってから、俺は村に帰っている。

 

「やるんだ………やらなきゃいけないんだ………」

 

俺がこの世界を、間違った世界を終わらせるためには。

 

「くそッ、いい加減覚悟しやがれってんだ!!」

 

頭の中ではわかっているものの割り切れずにいた。

 

ふと頭の中にある考えが浮かぶ。

 

このまま、ここにいれば平穏に暮らせるんじゃないのか?ここにいれば、元の世界では失ったはずの平穏を、幸せを手に入れられるんじゃないだろうか?

 

それもそうだ。この世界を認めてしまえば、失ったものを手に入れられるかもしれない。

 

そんな考えが俺を侵食していく。

 

「ここなら…………」

 

ここなら、俺を……。

 

そんな時だった。

 

『ふっざけんじゃねえぞ!!』

 

ふと頭の中に声が響いた。この世界では知り合ってもいない、信頼できる親友の声が。

 

『俺は約束したんだよ、誓ったんだよ!!あいつが感じる苦痛は俺が分かち合ってやるって!もしお前が迷うなら俺が手を引いてやる、立ち止まりそうなら俺がその背中を押してやる、お前を誰かが否定しても俺だけはお前の味方でいてやるって!お前はいつも自分一人で抱え込んでいた。いつも自分が辛いと思う選択をしてた。何事にも一人で立ち向かっていった。でも、それは頼る相手がいなかったからだ。だけど、今は違うだろ!?今はお前が頼るべき人物は周りにたくさんいるだろうが!!お前が悩むなら、抱え込んで辛いなら俺たちに言えよ!俺たちにもその思いを背負わせろよ!お前の周りにお前を否定する奴はもういないんだよ!!いい加減、俺たちを、他人を頼りやがれ!!』

 

………俺はさっきまで何を思っていたのだろうか。

 

『お前はもう一人じゃないんだよ!!もう、何にも恐れなくていいんだよ!!お前は十分一人で戦ってきたんだよ!!少しはお前の抱えてるもんを俺たちにも担がせやがれ!!たとえお前がどんなことを悩んでても俺たちが受け止めてやる。どんなことでもだ。だからお前は、もう抱え込むんじゃねえよ!!目を覚ましたらどんなことだって聞いてやる。愚痴だって、悩み事だって、全部聞いてやる!だから、もう迷うんじゃねえよ!!お前を支えてやれる奴はここにいる、お前を認めてくれる奴もここにいるんだよ!お前を否定する奴なんていねえんだよ!!だから………だから、さっさと目を覚ましやがれ親友!!!』

 

……俺はなんて愚かだったんだろう。

 

俺の顔からポタポタと雫が落ちる。

 

「あぁ……うぁ………」

 

こんな世界なんてなくてもいたんだ。俺を信頼してくれる人は、あんなにも身近にいたんだ。

 

溢れ出した涙は止まらなかった。今まで我慢してきたものが全て溢れてきて、同時に何か温かいものに包まれている気がした。

 

これが……おれの欲しかったものだったんだな………。

 

俺は欲しかった。自分の全てを認めてくれる人を、俺を否定しない人を、全てを受け入れてくれる人を、信頼できる人を。

 

「俺は………もう持ってたんだ………。全部……全部………」

 

あの場所にいた全ての人の心が俺を包んでいくような気がした。

 

十六夜が、飛鳥が、耀が、黒ウサギが、英太が、三月が、浩也が、ジンが、レティシアが、出会って少ししか経っていないはずのサンドラが、母さんが、その他のみんなが俺の全てを認めてくれていたんだ。

 

『今、迎えに行くぞ。お前がどんな状況だって、どんなところにいたって!!だから、全て俺たちに任せやがれ!!』

 

その言葉には、俺を想う感情が全て込められていた。それだけで俺は満たされた。満たされ過ぎていた。

 

「終わらせなきゃ………」

 

終わらせなきゃ。みんなが信じてくれる、みんなが待っていてくれる。それだけでよかった。

 

「終わらせるんだ、みんなの元に戻るんだ!」

 

俺は涙を拭い、走り出した。全てを終わらせるために。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

村に着いた時には何故か村の住民が外に出て、村の入り口にいた。

 

「やっと来たか」

 

先頭にいたのは悠人だった。そこには見慣れた顔がいくつもあった。全員があれから年を取っていたが、すぐに分かった。

 

「俺はーーーー」

 

「言わなくていい。答えは分かってる」

 

悠人は優しい笑顔で言った。

 

「お前は見つけたんだな。守るべきものを。頼れる仲間を」

 

「ああ」

 

「そうか……。いやぁ、お前がこの世界を選ぶとかいうものなら全員で死ぬまでぶん殴ってたぜ?」

 

「洒落に聞こえないぜ?」

 

「だな。お前は俺たちがわかるか?」

 

「ああ、今ならわかる」

 

そう、ここにいるのはあの時死んだ人物だ。正確に言えば魂だけだが、あの時のみんながそこにはいた。思念体というものだろうか?

 

「……そうか。俺たちはお前に言いたいことがある。聞いてくれるか?」

 

「聞かない理由なんてねえよ」

 

「そうか」

 

そうして悠人は喋り始めた。

 

「俺はあの時の自分の行動を恨んだ。お前らの言葉も聞かず、ただ父さんが心配で突っ走った。だけど、そのせいで俺は死んだ。結局お前と三月には思いもんを背負わせる羽目になった」

 

「でも、逃げた先の離れでも私たちは殺されかけたんです。でも、私たちを殺したのはあの刀を持った男じゃなかった。貴方だったんです。司君だったんです」

 

悠人の言葉を柚葉が紡ぐ。

 

知ってる。さっき走ってる時に思い出したよ。

 

「俺たちはどうしようもなかった。悲しみにくれるお前をどうしようもなかった。止められなかったんだ。ただ、ただただ見守って死んでいくしかなかった。だから謝りたい。すまなかった」

 

健斗(けんと)は頭を深々と下げる。

 

違うんだ。むしろ、謝るのは俺の方なんだよ。

 

「俺たちはお前に殺されることしかせず、お前には背負わせてはいけないものを背負わせてしまった」

 

「僕らはそれを謝りたかった。それを伝える前に死んでしまったのが悔しかった。でも、今なら言える。本当にすまなかった」

 

(かず)志津(しず)はそう言って頭を下げる。

 

「違う………そうじゃないんだ……」

 

俺は誤って欲しかったわけじゃない。だから、謝らないでくれ。

 

「そうじゃないんだ!謝るのは俺の方なんだよ!」

 

俺は大声で叫ぶ。

 

「俺がお前達を、みんなを殺してしまったんだよ!謝られるべきじゃないんだよ、責められるべきなんだよ!!自分を抑えられなかった俺が悪かったんだよ……。だから……お願いだから……謝らないでくれ……」

 

「優しいな司は」

 

「優しくなんて……」

 

「普通、謝られたら何も言わない。というか自分を責めてくれなんていうやつなんていねえよ。それだけお前は優しいんだよ。俺たちが背負わせた罪を全てお前は馬鹿正直に背負って、苦しんで、それでも一人で抱え込んで、塞ぎ込んだ。誰も傷つけたくないから、背負わせたくないからそうしたんだろう?そいつが優しくないんだったら優しさなんてこの世に存在しねえよ」

 

「ふふっ、最後の最後まで私たちは救われてばかりですね」

 

「だね。でも、これで最後なのか……」

 

「いいじゃねえか。もう司には苦しんで欲しくない。ならそうするしかねえんだよ」

 

「ですね」

 

「さてと司、最後のお願いだ。ーーーーー俺たちを殺してくれ」

 

悠人はそう言った。

 

「俺たちを殺せば全てが終わる。俺たちを生かすも殺すもお前次第だ。どうするっといったところでお前の決意は揺るぎはしねえか」

 

「ああ……。最後の最後まですまない……」

 

「いいってことよ!俺たちが決めたことだからな。だから、俺たちの代わりにお前は仲間を守ってやれ。約束してくれるか?」

 

「ああ、分かった」

 

約束だぜ(・・・・)?」

 

その言葉を聞き終わると俺は持っていた鞄の中から小刀を取り出して、全員に斬りかかった。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「やっぱり俺を最後にしたか」

 

「お前の言葉、最後に聞きたかったからな」

 

現在、立っているのは俺と悠人だけ。他の住民は俺が斬った瞬間に消え去った。

 

「短い時間だったが、幸せな時間をありがとう」

 

「お互い様だ。俺も短い時間だったが楽しかったぜ!お前が戻るべき場所に戻っても楽しめよ!」

 

「ああ………!」

 

俺は小刀で悠人の腹を刺した。

 

「死んだ者を代表してもう一度言わせてもらうぜ……。俺たちに、もう一度会ってくれて………夢のような時間をくれてーーーー」

 

ありがとう、とその言葉を残して悠人は消えていった。

 

『負けた。俺の負けだ。お前がこんなにも強いやつだとは知らなかったぞ。まあ、いいもん見せてもらったよ。クリアおめでとう』

 

その言葉の後に響くピロンという機械音。ケータイの画面には俺の勝利が告げられていた。

 

「終わったよ、みんな。今、そっちに行くから」

 

俺は突如現れた温かい光に包まれていった。俺はそれに身を委ね、気を失った。次に目を覚ました時にあいつらと会えればいいな………。

 

司side out

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

英太side

 

「十六夜と浩也と三月、お前ら司を抑えててくれ!久遠さん、春日部さん、黒ウサギ、桜花さん、サンドラ様は遠距離から援護を頼む。レティシア、ジンは参加者の安全確認、そして避難を頼む!なるべく時間を稼いでくれ!俺が最大の一撃ぶち込む!」

 

『了解!!』

 

そう言って各々が役割を果たすために動き始める。

 

「食らいやがれ!!」

 

十六夜は司を殴りつけて吹っ飛ばそうとするが、

 

「『このテイド……ドウってこトナイ』」

 

「チッ、やっぱり全快じゃなけりゃ無理か」

 

「だったらどいて!"突き穿て、全てを貫く槍(ゲイ・ボルグ)"!!」

 

三月がゲイ・ボルグを投擲するが、

 

「『こんナモノきくわケガナイだろう?』」

 

それを殴りつけて弾く。

 

「嘘でしょ!?」

 

「東雲さん、逆廻君、下がってください!」

 

浩也の言葉に従い、十六夜と三月ら後ろに跳ぶ。

 

「ハアッ!!」

 

「『グッ………!?』」

 

それは見事、司の脇腹に命中し浩也はそのまま建造物に叩きつけ、ドゴォンという音とともに建造物が崩れ土煙が舞う。

 

「おいおい、なんだその刀は?」

 

「"ラッテンフェンガー"の精霊の皆さんが造ってくれた"神魔ノ太刀"。切れ味は自分の思い通りにでき、微かに神格を持った刀だよ。詳しい話はまた後でいいかな?」

 

「構わねえ。まずはあの馬鹿を止めることだな」

 

「だね」

 

土煙の中には人影、司が立っていた。

 

みんなが消耗するのも時間の問題だ……。でもあれは一度きりしか打てねえ………。一瞬でも止まってくれれば………。

 

俺はそう思いつつも詠唱を始める。

 

「黒ウサギ、久遠さん、春日部さん、桜花さん、サンドラ様、援護よろしく。この詠唱中は動けないから」

 

「はいな!英太さんには指一本も触れさせません!!」

 

「じゃあ頼んだぜ」

 

俺はそう言って拳を前に突き出す。

 

「"我が内に秘めたる魔力よ、魂よ、心よ、想いよ、絆よ。全てを糧にして我が全てを解放せよ『解読開始(スキャンスタート)』"!」

 

途端、頭に激痛が走る。

 

『解読開始』。自分の中にある全ての魔力を使い、俺に宿る『解読不可禁書目録』の一部を読むことだ。ただし読めるのはほんの一部である。特定の一つしか読めず、それ以外を読もうとするなら人間を辞めなくてはならない。

 

………試したことなかったから初挑戦だが、これはちょっとやばいな……。

 

「英太君、大丈夫なの!?結構苦しそうよあなた!?」

 

「も、んだ、いねえ………」

 

言葉を発するのも非常に難しい。それだけ頭に不可がかかり、体にかかる重力が増したかのように感じる。

 

でも、諦められるかよ!!

 

「『解読終了(スキャンエンド)』!よし、全員に告げる!今すぐここを離れろ!さもなくば怪我する羽目になるぞ!」

 

「な?!」

 

「……マジ?」

 

「マジマジ、大真面目。だから、後は任せな。あいつは俺が目を覚ませてやるよ。だから任せな」

 

「…………うん、司のこと任せた」

 

「了解、任された」

 

俺の命令に全員がその場から散ってゆく。

 

「さて、まだ詠唱完全に終わってなかったな」

 

「『やらせルトおもう………カ……?』」

 

突然、司の動きと声が鈍り、動きが完全に止まる。

 

「『ガァッ………!?』」

 

なんだなんだ?何が起こってやがる?止まったかと思ったら苦しみだしたぞ?

 

「『え、い……た………』」

 

……こいつ、俺の名前を呼びやがったぞ?今まで呼んでなかったのに。何でだ?

 

「英太………!!」

 

もしかして………!!

 

「司か!?」

 

「気づく、の……遅え……よ……」

 

「お前、暴走してたんじゃ……?」

 

「聞こえ、たんだよ……お前の声が……お前の、…さけ…びが………」

 

そうか、届いたのかあの言葉。

 

司は途切れ途切れだが言った。

 

「あのと、き……お、まえ、が言った……こと…ばが、本当、なら……たよっ………てい、いか……?」

 

司はその後こう言った。

 

「お、れを……助けてくれ………!」

 

………答えは一つしかないよな。

 

「そんなの当たり前だろうが!!!」

 

「そう、か……。俺、が抑え……られる、じか、んも………かぎ、られてる。そのあい、だに……おわら、せて……くれ………!!」

 

もう言葉はいらない。俺が行動で示せば、親友を助けられればそれでいい!

 

「"紡げ、己が友情の下に。誓え、己が運命の下に。我が全てを、己が友人の為に響かせろ、『インフィニット・ブレイブ』"!!」

 

前に掲げていた手の目の前に魔法陣が現れる。そして俺の右腕は魔法陣が消えるとともに青い稲妻を纏う。

 

終わらせる。お前と俺で編み出した最初の魔法で!!

 

「こ、いよ……俺も、おま、えの一撃…………はじき返、してやる……よ……」

 

「ケッ、やれるもんならやってみろ!!」

 

俺が走り出すのと同時に司も走り出す。司は拳に炎を纏わせていた。

 

司は完全に体の自由を得たわけじゃない。つまり少しは取り戻したが、未だ暴走状態なのだ。手加減はできない、ならこっちも手加減はしない!!

 

「はあ、ああああ、ああああああああ!!!!」

 

「はあああああああああああああ!!!」

 

本気の拳はぶつかり合った。その瞬間、半径一キロぐらいの建造物が全て吹き飛ぶ。

 

でも、結局押されていた。まだ力が足らないのかよ!?

 

「負け、られるかよ…………」

 

こんなところで、こいつを救えないまま、

 

「負けられるかぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

拳を握る力が強くなる。

 

「はああああああああああああああ!!!!」

 

終わらせるんだ。その為ならばどんな傷でも、苦しみでも受けてやる。だから、今だけはーーーー。

 

その途端、司の力が弱くなる。おそらく限界がきたのだろう。俺はそのまま押し切り、拳を司の腹にめり込ます。

 

「グッ………!?」

 

司は痛みに耐え切れず倒れる。俺はそれを抱きかかえる。

 

「ハッ………すこ、しは……手加減…しやが、れ………」

 

「すまねえな。手加減するのは難しいんだ」

 

「なんだ、そりゃ………で、も……助けてくれ、て、ありがと……う……」

 

「そんなもんみんなに言え。俺は当然のことをしたまでだ。それと言い忘れるところだった」

 

俺は言うはずの言葉を思い出し、司に笑って言った。

 

 

 

「おかえり司」

 

 

 

その瞬間、黒い"契約書類"が消え去り空から勝利を祝福するように勝利したことが記された"契約書類"が降り注いだ。

 

英太side out

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

司が目を覚ますとそこは知らない天井だった。

 

「気づいたか?」

 

声がした方向を見るとそこには片手に本を持った英太がいた。

 

「って何起き上がろうとしてやがる!?まだ寝てろ!」

 

「体を起こすだけだから」

 

「さいですか」

 

すると英太は言った。

 

「少しは頼れよ?」

 

「え?」

 

「だから…………」

 

恥ずかしそうにそっぽを向いてガシガシと髪を掻いて言った。

 

「だから、俺たちを少しぐらい頼れって言ってんだよ。お前は以前みたいに一人じゃないんだからさ。俺らが抱えられることは一緒に抱えてやるし、苦しむことなら一緒に苦しんでやる。楽しい時はそれを分かち合う。それぐらいしてやるよ。仲間だし、それに親友だし」

 

「ああ、そうさせてもらう」

 

司は微笑みながら言った。

 

そうしているとバンッ!と部屋の入口のドアが開け放たれた。

 

「司!!」

 

「おわッ!?」

 

司に何かが飛びついた。

 

「よかった……よかった……」

 

「大丈夫だよ耀。もうどこにもいかないから」

 

「本当に………?」

 

そんな涙目+上目遣いで見られた男が断れるわけがなく了承する。

 

「ああ。本当に」

 

「約束だから」

 

「まったく、春日部だけで俺らは無視か?」

 

十六夜が笑いながら言った。

 

「そんな訳ないだろう?」

 

「今さっきまで耀ちゃんしか観てなかったけど?」

 

「それは耀が飛びついてきたからであって……」

 

「まあまあ」

 

愚痴る三月と十六夜を抑える浩也。

 

「それより、お身体の方は異常はありませんか?」

 

「問題ないよ。心配してくれてありがとう」

 

司は目を閉じて頭を下げて言った。

 

「本当にありがとう。助けてくれてありがとう。本当に救われた。だからーーー」

 

「そういうのはいいんだよ」

 

「そうよ。私たち仲間でしょ?」

 

「同士を否定するお方はここにはいないのですよ!」

 

「………それが普通」

 

「感謝の言葉、なんていらないよ。私達は当然のことをしただけなんだから」

 

「その代わり借り一つな」

 

「………台無し」

 

「十六夜君、自重しなさい」

 

「へいへい」

 

十六夜は二人の責めるような視線を適当に受け流す。

 

「もうお前は一人じゃない。いや、一人にさせるものか。俺たちがさせない。嫌でも一緒にいてもらうぜ?」

 

そして、英太は司に手を差し出す。

 

「これからもよろしく頼むぜ親友()!」

 

「……ああ、よろしく頼む親友(英太)

 

俺はその手を掴んで握った。もう決して離さぬように。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

一方その頃、煌焔の都の住宅地の路地裏。

 

桜花は壁にもたれかかり空を見上げていた。

 

「さてと、結果を聞かせてもらいましょうか?」

 

「んなもん分かってるだろうが」

 

「はっきりとは分からないから言ってるの。さっさと答えなさい静流」

 

「へいへい。了解しましたよー」

 

そこにはもう一人いた。"絶望の魔王"、黒月静流だ。

 

「と言われても結果はお前も予想してる通り、あいつは希望の苗木となった」

 

「そう……よかった……」

 

「まだ安心するのは早いぞ?奴はまだ苗木、つまり育て方を間違えれば違った風に育つし枯れる可能性だってある。辛いのはこれからだし、"絶望"と同様に"希望"も育てるのは大変だぜ?」

 

「それぐらいわかってるわよ。それとありがとう。依頼、引き受けてくれて」

 

「昔馴染みに礼を言われるようなした覚えはないぜ?てか依頼というより命令だったじゃねえか」

 

「何か言ったかしら?」

 

「別に」

 

黒月は桜花に微笑みかけられて目を背ける。桜花は確かに微笑んでいるが目が笑っていない。

 

「まあ、俺とは違う道を歩ませることだな。話はそれだけか?」

 

「ああ、あと一つだけ」

 

「何だ?」

 

「やっぱり貴方はあの人に似てる。ただそれだけ」

 

「………あんまり嬉しくないからなそれ。じゃあな」

 

「ええ。またね」

 

そう言うと黒月はその場から姿を消した。

 

一人になった桜花は呟いた。

 

「さてと、歯車は回り始めた。後は司達次第ね」

 

そう呟き、もう一度空を見上げるのだった。




さて、宣言通り第二章終了いたしました!

英太「やっとか……」

三月「疲れた……」

司「なんか……その……すまん」

浩也「今回からは全員復活だね」

はい。やっと終わりましたね。

司「って言ってもまだ明かされてないことは多いけどな」

英太「黒月の正体と桜花さんとの関係、司の魔王化した時のギフト、"希望"と"絶望"。もう訳が分からないよ」

三月「まあそれはおいおい明かされていくとして」

浩也「次回からはどうするのですか?」

次回は乙(ゼット)の話に入りたいところですが、番外編を二話ぐらい入れようかと。

英太「内容は?」

どちらとも司君と+αがメインです。

三月「その+αってのは?」

それは次回までのお楽しみで。

浩也「それではそろそろ締めましょうか」

英太「ここまで読んでくれてありがとうな!」

三月「感想、評価、誤字脱字の指摘、ダメ出しなどもよろしく!」

司「それでは、次回もお楽しみに!!」
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。