問題児たちと憑依者たちが異世界から来るそうですよ? 《凍結中》   作:夜明けの月

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今回、完全にシリアスが消えています。前回までの雰囲気などありません。言うならば、箱庭での日常と思ってくれれば結構です。

それでは、本編をお楽しみください。


番外編 魔王戦後の休息①

俺は自室のベッドの上で目が覚める。カーテンの隙間から太陽の光が差し込んでいる。

 

「ふぁ〜…………」

 

俺は大きなあくびを一つして体を起こす。………ん?なんか体が少し重い………?

 

体を起こすと布団がもぞもぞと動いていた。

 

…………もしかして……いやもしかしなくても………。

 

俺は恐る恐る布団をめくってそこにいたものを確認する。

 

「すー………すー………」

 

そこには静かに寝息を立てて俺に抱きついている耀がいた。

 

てか前もこんな事なかったか?

 

「動けねえし………」

 

抱きつかれている。腰のあたりを腕でがっちりホールドされているためベッドから立ち上がれない。起こすしかないけれど、どうやって起こそう?

 

「……そういや」

 

元の世界の友人が友人の彼女を起こすために耳元で囁いたって言ってたっけ。

 

とりあえずやってみる事にした。

 

「耀、起きろよ」

 

「んん……」

 

艶かしい声を出すんじゃねえですよ!!理性ぶっ飛ぶじゃねえか!

 

「早く起きろよ」

 

「……………」

 

「起きないとイタズラするぞ?」

 

「……………!?」

 

耀の肩がピクリとと動く。こいつ、起きてるな。

 

「……………」ジー

 

「…………………」

 

「……………」ジー

 

「…………………」ダラダラ

 

「……………」ジー

 

「ごめんなさい」

 

耀は起き上がり土下座した。

 

「まったく、どうして俺の布団に潜り込むのかね……?」

 

「だって……寂しかったんだもん……」

 

ん?どゆこと?

 

「司と一緒に居たかっただけだもん………」

 

ああ、もう理性に任せようか。………いや、ダメだろ。

 

「だー!可愛すぎんだよチクショー!」

 

「…………!!」

 

俺は耀に抱きつく。耀の顔がトマトのように赤くなる。

 

「あ、あのさ………」

 

「ん?どした?」

 

「え…と……、起きないの……?」

 

「おお、じゃあ起きるか」

 

俺は耀を離しベッドから降りる。

 

「お前は部屋に行って着替えてこい。俺着替えたら飯食ってるから」

 

「うん」

 

そう返事をして耀は俺の部屋を出て行った。

 

「さて、着替えるか」

 

そうしてまた、俺の平穏な日常が始まる。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

着替えをさっさと済ませて、現在は食事をとっている。耀は他のみんなと出かけたらしい。出かけるために朝食を数十秒で完食したらしいが。

 

そして、俺の服装は青のカーディガン、黒で白いラインが入っているズボン、黒のスニーカーと言うようになっている。

 

以前まで着ていた黒のパーカーは魔王との戦いやその他諸々によりボロボロになってしまったため修繕しようとしたが、どうも修繕できなかったらしく部屋に置いてある。もちろん洗濯はした。

 

「いただきます」

 

今日のメニューは玄米、ベーコンエッグ、レタス、トマト、味噌汁となんとも庶民的なものだった。

 

魔王との戦い、そして俺が魔王化してから一週間経つ。あの時に変化した点が幾つかあった。

 

まず一つ、俺のギフトについてだ。"属性憑依(タイプ・ポゼッション)"と"獣使い(ビーストテイマー)に変化はなかった。だが残りの二つは違った。

 

"武器錬成(クリエイト・ウェポン)"は"錬成(クリエイト)"に。

 

"血塗られた過去(ブラッティ・パスト)"は"過去を繋ぐ者(パスト・コネクター)"となっていた。

 

"錬成"は以前みたいに武具は作れる。そしてなんと、その他のアクセサリーなども作れるようになっていた。それにゲームなんかでよくある特殊能力というものも付けられるようになっていた。

 

"過去を繋ぐ者"。これはすぐに分かった。あの時に出てきた過去()だ。あいつがいなくなったことにより俺に所有権が移ったのだろう。

 

そして訳がわからないものが一つ。

 

"希望の意志を継ぐ者"。うん、今思っても訳がわからない。てか何だよ希望って?意味不明だ。そしてこれだけに一週間悩まされたのは別の話。

 

「つーかーさー!」

 

突然後ろから声をかけられる。まあだいたい誰かはわかった。

 

「おはよう親友」

 

「………普通に呼びやがれ」

 

「分かったよ英太」

 

後ろを向くと顔をしかめた英太がいた。

 

「どうした?」

 

「いや、何も………。てかお前まだ飯食ってないのか?」

 

「さっき起きたばっかだしな」

 

「まあそれはいい。お前今日暇か?」

 

「まあ、することは何もないな」

 

「なら俺と付き合え!」

 

……………………は?

 

「どうした?」

 

「お前なんて言った?」

 

「だから俺と付き合ってくれって言ったんだけど?」

 

うわぉ……マジで……?

 

「す、すまん……俺にそんな趣味はないんだ……諦めてくれ……」

 

「は?何言ってんだ?」

 

訳がわからないという風に首をかしげる英太。

 

「いや、お前がそっちの気があるとは思わなかった……。すまない、気付いてやれなくて……」

 

「おいさっきから何言ってやがる?」

 

「お前、ホモなんだろ?」

 

その後、コミュニティの本拠内に鈍い音と悲鳴が響き渡った。ぶっちゃけて言うと俺が思いっきり殴られた。………俺は何もしていない、俺は悪くない!はずだ。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「で、何すんだよ?」

 

俺は頭をさすりながら英太に聞いた。英太は俺に用事があったと言ってきた。それで、内容も聞かされずコミュニティの敷地内の荒れ果ててほとんど何もないところにいる。

 

「ふふふ、お前に頼みたいことはな………」

 

英太は少し間を空けて俺に指をさして言った。

 

「これから新たな魔法を生み出す!その手伝いをしてくれ!」

 

「断る」

 

「そこをなんとか頼むよぉ〜!!」

 

俺はその言葉を聞いた途端にそこを去ろうとするが英太が泣きついてくる。

 

「お前のそれに何度付き合ってやったと思ってやがる?それにその度に被害が出るの俺だけなんだからな?」

 

「そ、それを言われると………」

 

「ということでまあ頑張れよ」

 

「頼むって!!お前しかいないんだよぉ!!他の奴は出かけてるからお前しかいないんだよぉ!」

 

……………。

 

「………ったく、しょうがねえな」

 

「恩にきる!」

 

まあ、後でみんなの前で泣きつかれても困るしな。

 

「それで、今回は何をするんだよ?」

 

「ふふふ、今回は"禁呪"とその他の属性魔法に挑戦しようと「それじゃあな」ちょっとぉ!?どこに行くんだよ!?」

 

「お前そんな危なっかしいもん手伝えるか!!」

 

「問題ない!"禁呪"の方は火力確認だけだ!」

 

「どゆこと?」

 

俺はその言葉の意味がわからず首をかしげる。

 

「いや、実は『解読不可禁書目録』を『解読』していくとさ色々な魔法の事が書かれてあって、それが見れるんだ。それで方法や詠唱などは出来たんだがな………」

 

「火力がわからずにいる、ということか?」

 

「That's right!」

 

「お前英語苦手なはずなのになんでそんなに発音いいんだよ?」

 

「気にするな」

 

いや普通気にするわ。

 

「まあ、お前にはそこで見ててもらうだけでいいから」

 

「属性魔法を編み出すのを協力するだけでいいならまあいいか」

 

「ありがとよ。それじゃあ、詠唱開始するからな」

 

そう言うと英太は手を前にかざす。前に作ってやった"龍源の杖"を使わないということは本当に火力の確認だけなんだな。あれは無詠唱、魔法威力上昇、魔力消費軽減といいことづくめの杖であるのにそれを使っていない。………無性に嫌な予感がするんだが?

 

「"現在(いま)を漂う精霊たちよ。炎を化現し、業火と化し、全てを飲み込み無へと返せ『エレメントフレア』"ーーーー!!」

 

かざされた手の前には赤い魔法陣が現れそれは炎となり、槍の形をなす。そして、英太はそれを何もない地面へと撃ち放つ。炎を纏った槍のようになった業火は地面に向かい、

 

 

地面を消しとばした(・・・・・・・・・)

 

 

「「は?」」

 

比喩はない。業火の槍が当たったところの半径五メートルぐらいがまるで隕石がぶつかったかのようになっている。例えるならクレーター。

 

「…………何パーセントの力でやった?」

 

「…………ほんの一割。試し打ち程度に、って思って撃ったんだが」

 

一割でこれって……。本気出せば箱庭潰せるレベルだぞこれ。

 

「………魔力消費は?」

 

「……普段と変わらない」

 

うん、分かった。これはいけないやつだ。普段と変わらないなら、普通の魔法同様に撃てるということだ。威力がおかしい魔法を乱用されたりしたら本当に箱庭が終わる。

 

「お前それ使うの禁止な」

 

「分かってる。最大のピンチって時まで取っておく」

 

「それじゃあ気を取り直して属性魔法いってみるか。で、どの属性?」

 

「氷だ。お前なら適切だろう?」

 

「確かにな」

 

そうして英太は気を取り直して詠唱を始めた。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

魔法を編み出すというのは結構重労働らしい。膨大な魔力が必要であり、その魔法の初めての詠唱の場合は余計に術者に負荷がかかるらしい。本人が言っていたことだが。

 

「"氷魔法(アイススペル):氷の弾丸(アイシクルマシンガン)"!!」

 

詠唱を終えて、魔法陣を展開する。一つの魔法陣が展開される。あれなら俺でもどうにかなるかな。

 

「………司」

 

「どした?」

 

「すまん、ミスった♪」

 

は?と思っていると空を魔法陣が埋め尽くしていた。それが全て氷の礫となっていく。

 

弾丸よりはかなり大きく、先が尖っていて当たれば貫かれそうな鋭さである。あれが全身に当たればどうなるか。答えは簡単、蜂の巣になるだけ。前言撤回、あんなもんどうにかするのは無理だ!!

 

「テメェふざけんな!!」

 

「す、まん……魔力切れた……」

 

「はぁ!?」

 

英太は突然後ろに倒れた。

 

「ちょ、どうしろって言うんだよこれ!!」

 

「後は……任せた……ガク」

 

「ガク、じゃねえよ!!ってかこれお説教コースまっしぐらじゃねえのか!?」

 

氷の礫が俺に向かってくる。あーもう、やけくそだ!!やってやらぁ!!

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「………これはどういう状況なのかな?」

 

現在、本拠の居間で俺と英太は力尽きていた。床に寝転がっていた。

 

あの後、氷の礫が降り止むまで対処し続けた結果、力尽きて倒れてしまった。もちろんボロボロの姿で。カーディガンやズボンはところどころ刃物で切られたかのように切れている。そして、俺たちを探しに来た子供達に見つかり運ばれ、居間で治療を受けている時に黒ウサギ達が帰ってきたのだ。

 

「ええと、司様達が倒れていたのをここに運んで………」

 

「治療してたところ」

 

リリとフィーナが説明する。だけどな、それって逆効果なんだよな。

 

「………ふーん、そうなんだ」

 

「………へー、そうなの」

 

「ヤハハ、お前ら何してたんだよ?」

 

「どうせ何か無茶なことしてたんでしょう?」

 

「懲りないね本当」

 

「まったく、お二人ともお馬鹿様です」

 

「やっぱり面白いわねここは」

 

十六夜、飛鳥、浩也、黒ウサギが呆れ気味に言う。母さんは楽しそうだが。そして、案の定、三月と耀は怒ってるし。

 

「で、何してたの?」

 

「散歩に行ったら幻獣に出くわして戦う羽目になり気づいたらコミュニティの敷地内に倒れてました」

 

「言い訳はいい。本当は何してたの?」

 

「英太の魔法を編み出す手伝いしてました………」

 

速攻で嘘がバレてしまい、本当のことを言うしかなくなった俺。もう何がしたいのかわからないがお説教だけは回避したい。

 

「じゃあ、なんで英太は気を失ってるのかな?」

 

「魔力の使いすぎ」

 

「そういえば、司様達が倒れてた場所の近くが大きなクレーターみたいになってたような気がします!」

 

こ、こらリリ!!そんなこと言ったら………!!

 

「…………………………へぇ?」

 

………うん、やっぱりこうなるよね☆

 

「………………私が言いたいことわかる司?」

 

「……だいたい予想がつくけど一応聞く。なんでせうか?」

 

「O☆HA☆NA☆SHI決定」

 

「いや、俺今回は何も………」

 

「あはっ♪拒否権あると思う?」

 

「…………あると願いたい」

 

「「残念、それは叶わぬ願いでした」」

 

声ハモらせて言わなくていいじゃないか!!

 

「それじゃあO☆HA☆NA☆SHI三時間コース、一名様ご案内〜♪」

 

「今日という今日はみっちりやってあげる。司の彼女として」

 

「ちょ、英太は!?」

 

「「気絶してるし別に構わない」」

 

「だ、誰かhelp me!!」

 

他の奴らを見るが、

 

「さてと、部屋に戻るか」

 

「そうね。そうしましょうか」

 

「自業自得。甘んじて受け入れたほうがいいよ」

 

「浩也さんの意見に賛成なのです」

 

「司、逝ってらっしゃい」

 

うん、俺に味方なんていなかった。もうね、だいたい分かってたよ。

 

この日の朝、俺はまた平穏な日常が始まると思った。

 

そんなの、ここ(箱庭)ではあり得なかったのだ。俺は平穏な日常を願うが、願うだけ無駄なのかもしれない。そう俺は思うのだった。

 

結論、俺の日常に平穏なんて穏やかなものなんて訪れることなんてない。待っているのは厄介事とお説教だけである。と俺は改めて思う事になった。

 

その後、コミュニティの本拠内には本日二度目の悲鳴が響き渡ったらしい。




ここまで読んでいただきありがとうございます!

司「……はぁ……………」

浩也「お説教はどうでしたか?」

司「お前も味わうといい。あの地獄を」

そこまでですか?

司「もうやだ……俺何もしてないのに………」

浩也「神野君が座り込んで地面にのの字を書き始めたんだけど?」

司君がこの状態ですしそろそろ締めましょう。

浩也「感想、評価、誤字脱字の指摘、ダメだしなどもよろしくお願いします」

それでは、次回もお楽しみに!
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