問題児たちと憑依者たちが異世界から来るそうですよ? 《凍結中》   作:夜明けの月

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すみません、遅くなりました。

それでは、本編をお楽しみください。


問題児達の日常、そして戦いの幕は上がる

三月side

 

あれから見慣れた町並みを歩き、気になったお店を片っ端から入っている。

 

つまり今、絶賛要ちゃんと買い物中です!

 

「三月ちゃん、こんなのどう?」

 

「ん?おぉ………でもなんか違うなぁ」

 

「ん〜、何がいいんだろうね……」

 

要ちゃんが見せてくれたのは桃色のパーカーだった。デザインとかはいいんだけど……色があんまり……。

 

「でも、こうやってお買い物に来るのも久しぶりかも」

 

「え?三月ちゃんって元の世界では高校生だったんだよね?じゃあ行けるんじゃない?」

 

私の発言に驚いたのかそう言ってくる。うん、確かに高校生ならすることだけどそれは自分や自分を取り囲む環境が普通であるならの話。

 

「それができたら苦労しなかったんだよね。まあなんていうの?とある馬鹿共のせいでいろいろ巻き込まれたり、馬鹿が問題起こしたりとまあいろんなことに巻き込まれたわけ」

 

「えーと、その馬鹿って……」

 

「司と英太。それとその他の友人だよ」

 

「そっか」

 

要ちゃんはなぜか嬉しそうに、いや羨ましそうに微笑む。

 

「その点で要ちゃんと出会えたのは良かった!」

 

「え?どうして?」

 

「だって、私箱庭に同年代の友達って司と英太しかいないから」

 

「そっか。でもいいのかな?」

 

「モチのロンだよ!」

 

「ふふ、じゃあよろしくね三月ちゃん」

 

「こちらこそ!」

 

要ちゃんは右手を差し出してくる。私はそれを握った。要ちゃんも握り返してくれる。

 

その手はどこか暖かく、私が失ったものを補ってくれてるような気がした。

 

「ねえ、お揃いのものとか買おうよ。小物でも服でもいいからさ!」

 

「うん、そうだね!」

 

服を探しているときに要ちゃんから提案があり、お揃いのものはシャツとネックレスにすることになった。それとやっぱり同年代の子との買い物ってなんか楽しいよね。

 

そして次に入ったのが司が教えてくれた路地裏の雑貨屋さんだった。

 

「いらっしゃい」

 

バタンと開けたドアをすぐさま閉める。

 

「な、なんかいた!!」

 

「ごっついのがいたね……」

 

向けられた笑顔が怖かった……。あれ、脅してるんじゃないんだよね……?

 

次はそーっとドアを開ける。すると、

 

「あー、もしかして俺が怖かったりするか?」

 

「「一応」」

 

「司の坊ちゃんにも言われたんだが……なんでだ?」

 

いや鏡見なよ。すぐにわかると思うよ?

 

「それといらっしゃい。何が欲しいんだ?」

 

「えーと、ネックレスとかのアクセサリーとかってあります?」

 

「ああ、あるぜ。そこの棚だ」

 

指差したところを見るといろいろなアクセサリーがあった。どれも装飾が凝っていて綺麗だった。

 

「どれにしよう?」

 

「そうだね。これだけ種類があると悩むなぁ」

 

種類はおそらく百は超えている。店の見た目に反して中は少し広いからかなぁ?

 

「もしお揃いのを買うとするなら右下あたりのがいいぞ」

 

店主と思われる人は私たちがどういうものを買おうとしているのか分かっているらしい。

 

言われた通り右下を見ると鎖の部分がピンク色で先に花を模した青い鉱石が付いていた。

 

「綺麗……」

 

「でも高そうだね………」

 

お金にも限りはある。つまり高すぎると買えない。結構綺麗なんだけどなぁ……。

 

「なんなら半額でいいぞ?」

 

「「え!?」」

 

「あんたら"ノーネーム"だろ?司の坊ちゃんはここの常連でな。いつも大金いれてくれるからこっちは助かりまくってんだ。だから別に構わねえぞ?」

 

うん、私達は判断を誤ったみたいだ。この人めっちゃいい人じゃん!!

 

「そ、それで半額だとこれはどれぐらいに?」

 

要ちゃんが恐る恐る聞く。すると返ってきたのは意外な答えだった。

 

「銀貨二枚だな」

 

銀貨二枚。うん、それなら問題なく買える。金貨とかだったら無理だけど。

 

「じゃあ二つお願いします」

 

「これで足りてますよね?」

 

「はいよ。確かに受け取った。毎度あり!次もよろしく頼むぜ」

 

私達は満足気に笑い店主の人に見送られながら店を出る。いやーいい買い物した!

 

「お揃いお揃いッ!!」

 

「ふふ、楽しそうだね」

 

「もう極限に楽しいよ!ここで死んでもいいくらい!」

 

「いやダメでしょ」

 

はしゃぐのも無理ないじゃん。こういう経験少ないんだか、ら?

 

「ん?あれ?」

 

「どうしたの?」

 

「………なんかおかしい。………!!」

 

嫌な予感がして私は走り出した。この予感が当たっているなら、今大通りは………!

 

「三月ちゃんッ!?ちょっと待って!」

 

要ちゃんも後ろから走ってくるが今はそれどころじゃない。まずい、非常にまずい。

 

大通りに出るとそこは、静寂で包まれていた。

 

「…………やっぱり」

 

「ど、うしたの……三月ちゃん……?」

 

追いついた要ちゃんが尋ねてくる。

 

「たまたま風を読んだらおかしかったの。だから大通りに来てみたらこれって、どういうこと……?」

 

「え?どういう……………嘘」

 

要ちゃんもその光景を見て驚く。なぜなら先ほどまで賑わっていた大通りに人一人いないのだから。いや、一人だけいる。不自然な奴が。

 

「姿を隠してるのは誰!?出て来なさい!!」

 

私は生み出した風を街全体に広げ居場所を探り出す。

 

『そこまで警戒しなくてもいいだろう?』

 

すると目の前の空間が歪み、そこから一匹の犬が出てくる。

 

「犬………?」

 

「あなたなの、これをやったのは?」

 

『他に誰がいるというのだ?まあそこら辺はよい。せっかく会えたのだから楽しもうぞ』

 

喋る犬の霊格が突如上がる。嘘、私達より上!?

 

『さあ、始めようぞ!!我がための死の大舞台(デッド・ステージ)の開幕だ!!』

 

霊格を増した犬は高らかに告げた。

 

三月side out

 

 

 

******

 

 

 

風明side

 

「さてと、それじゃあ何が見たい?」

 

俺と英太は現在世界の果てにいる。トリトニスの滝より少し離れたところの森を抜けたところだ。理由?そんなもん互いの魔法を見せ合うために決まってるじゃないか。

 

「それじゃあ基本的なやつから頼めるか?」

 

「分かった"雷魔法(ボルトスペル):雷球(サンダーボール)"」

 

英太は手のひらを上に向けて開き詠唱を済ませる。するとバチバチッという音を立てて、英太の手のひらの上に握り拳ぐらいの雷球が現れる。

 

「俺の基本は指定した属性の波長を整え、それを圧縮し、一定の形にするというものだな」

 

「へえ。じゃあ他の形もいけるのか?」

 

「もちろん。例を挙げるならこれだな」

 

すると雷球は揺らぎ形を変える。それは雷撃を放つ短剣になった。

 

「おお!」

 

「これはまだまだ序の口だぜ?次は中級クラスの魔法だ"光魔法(ライトスペル):天の羽(ホーリーレイ)"」

 

次は空中に大きな魔法陣が現れる。そこから光り輝く光が降り注ぎ地面に当たると同時に霧散する。

 

「それは何なんだ?」

 

「範囲を指定してできる回復魔法。傷、疲労、骨折、打撲などを光に当たるだけで治すことができる。病気は無理だけどな」

 

「へえ」

 

てかこれあるんだったら医者いらなくないか?

 

「さて、お次は上級クラスの魔法だ"闇魔法(ダークスペル):暗黒の渦(ブラックスパイラル)"」

 

地面に魔法陣が現れ、禍々しい黒い何かが出てきてそれが渦を巻く。その勢いは増し、周りのものを吸い込み始める。

 

「うお!?」

 

油断していたら俺も吸い込まれそうになる。踏ん張ったからどうにかなったけど。

 

「これは吸い込んだものを重力のない世界、俺が創り出した無重力の世界に飛ばす。だが、難点が一つ。一度吸い込まれたら吸い込まれた本人がどうにかしなければ出てこれない」

 

ということは何か?俺さっき飲み込まれてたらヤバかったってことなのか?!

 

「まあ後は禁呪とかあるけど、あれはチートすぎるからダメだな」

 

俺が焦ってるのにもかかわらず話進めちゃってるし。

 

「ていうか、風明の魔法も見せろよ」

 

「おお、悪い悪い。えーとそうだなぁ…………あ、いいこと思いついた!」

 

これは名案だ。お互いの魔法を身近で感じられ、そして威力もどれぐらいかわかるんだから。

 

「何を思いついたんだ?」

 

「お互いの魔法をぶつけ合うってのはどうだ?面白いと思うんだけど」

 

「お、いいじゃないかそれ。面白そうだな」

 

「だろ?それじゃあ詠唱終わったら言ってくれ。俺はいつでもいいから」

 

「すぐに終わるから待つ必要はない"失われた魔法(ロストスペル):太陽の焔(プロミネンス)"」

 

英太は右手を前に出し詠唱を終えると、右手の前に魔法陣が現れる。そして、太陽を縮小したかのような球体が現れる。

 

「さて、次はお前だぜ風明。お前の魔法、見せてくれよ」

 

「いいぜ。見せてやろうじゃねえか!!」

 

そう言って俺は水を生み出し、一点に圧縮、高圧な水の球体を作り出す。

 

「それって魔法か?」

 

「ああ。まず何もないところから水が生まれるなんておかしな話だろ?」

 

「まあな。それじゃあ行くぞオラァ!!」

 

「受けて立つ!!」

 

英太は太陽の焔を放ち、俺は圧縮した水をレーザーのように打ち出す。水は焔に強い、と思うから水を使った魔法にした。だが、それが間違っていた。

 

「お前はいつから水が炎に強いだなんて錯覚してたんだ?」

 

「は?」

 

なんんとうことだろうか。物の見事に押し返されているではないか。

 

「ちょ、はぁ!?威力がデタラメすぎるだろ!?」

 

「とはいってもこっちのもやばいな」

 

俺が出した水を押し返している焔も球体から形が崩れ始めている。

 

そして、焔はとうとう形が崩れて爆発した。熱風が吹き荒れる。

 

そして熱風が止むと俺たちが立っている場所が焦土と化した。

 

「……さすがにやりすぎじゃね?」

 

「大丈夫だ、問題ない」

 

「……いやそれフラグ」

 

英太のヤロウ、フラグ建てたら面白そうとか考えてやがるな………絶対。

 

「さて、それじゃあ見せ合い終わったし帰るか」

 

「それにしても龍明や要達大丈夫かな?」

 

「問題ないだろ?あいつらいるし」

 

「だな。それじゃあもうちょっと魔法のことについて教えてくれよ」

 

「了解した」

 

帰り道、俺たちは魔法のことで話しつつこっちの世界の"ノーネーム"の本拠に帰った。

 

風明side out

 

 

 

******

 

 

 

「ん、あ……?」

 

「起きたか浩也」

 

"ノーネーム"の本拠の一部屋に司、龍明、それと傷だらけだった浩也がいた。

 

「あれ……?ここは…………?」

 

「本拠のお前の部屋だ」

 

「それで、浩也は何があったの?結構傷が多かったけど」

 

龍明の言葉にハッとして浩也は起き上がる。

 

「あ、あいつは、あいつはどこにーーーーーッ!!?」

 

「動くなって。まだ傷がちゃんと治ったってわけじゃない」

 

「あ、ああ、ごめん」

 

「それで、浩也の言う『あいつ』って誰なの?」

 

「……分からない。でも、見た目が最初は犬でその後に人間に変わって、でこう言ってた。『無能な人間よ、我らの怨嗟の前にひれ伏せ!』って言ってたのは確かだよ」

 

司は浩也が言ったことを整理して考えるが分からなかった。だが、龍明は分かったようだった。

 

「………はっきりとはわからないけど、でもなんとなくなら分かるよ。おそらくそれは犬神、じゃないかと僕は疑ってる」

 

「犬神?」

 

「西日本に最も多く分布したとされている犬霊の憑き物だよ」

 

龍明は軽く説明する。司もそれがわかったようで、

 

「ああ話には聞いたことがある。でもなんでそいつが浩也を襲ったんだ?」

 

「人間なら誰でも話も良かったはずだよ。おそらくね」

 

「無駄に怖い通り魔じゃないか……」

 

そう話しているとドアが荒々しく開けられる。

 

「つ、司様!大変です!」

 

「ん?どうしたリリ?」

 

入ってきたのはリリで、今にも泣きそうな顔で言った。

 

「三月様と要様が………!」

 

「二人に何かあったのか?」

 

司の声音が変わる。龍明と浩也も真剣な表情になる。

 

「最後に見た方がさっきここに来て、雑貨屋を出てすぐのところで消えた(・・・)って………!!」

 

顔面蒼白で伝えるリリ。司は考えてどうなったのか導き出そうとするが、

 

「(雑貨屋、おそらくライ爺のところだ。その後に消えた?ライ爺のコミュニティ……あり得ないな。あそこは許可がないと入れない。ならどうして………?)」

 

答えまでにはたどり着かなかった。導き出すには謎が多すぎたのだ。

 

「ともかく、自分の目で確認した方が早いんじゃないかな?」

 

浩也がそう提案してくる。

 

「そうだな。そうと決まれば、クロウ!本拠の警備を任せた!侵入者がいても子供達には傷一つつけさせるな!」

 

「了解しましたマスター」

 

「浩也は無理してこなくても」

 

「いや行くよ。友人が行方不明なのに寝てなんていられないよ」

 

「そうか。それなら行こう二人共。さっさとこんな奇妙なこと終わらせるぞ」

 

そう言って司達は急いでその現場へと向かった。




さてと、黒幕の正体が大体明かされたところであとがきです。

司「お前、あれで良かったのか?てか犬神の見た目とか大丈夫なのか?」

見た目とかはオリジナルでいきますし、後悔はしてません!(キリッ

要「そこキリッってするとこなの?」

とりあえず次回は三月さんと要さんがメインになると思います。

要「やっとメイン……」

司「さすがにメインにならなかったら俺がお仕置きするとこだった」

………それでは締めましょう。

司「ここまで読んでいただきありがとうございました。次回もお楽しみに」

感想、評価、誤字脱字の指摘、ダメだしなどもよろしくお願いします。


次回予告

閑散とした街で犬に襲われた三月と要。

その状況をどうにかするために要達は応戦するが突如犬を黒い霧が包む。

霧が晴れた時現れたのはーーーー。

「怨嗟の叫び、犬神現る」
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