問題児たちと憑依者たちが異世界から来るそうですよ? 《凍結中》   作:夜明けの月

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我ながら思います。テスト期間中に何をやっているのか、と。


怨嗟の叫び、犬神現る

要side

 

誰もいない閑散とした街で私と三月ちゃんは犬と対峙していた。

 

「どうする三月ちゃん?」

 

「やるっきゃないでしょ"半神半人の英雄"」

 

そう三月ちゃんが言うと、その右手には真紅の槍が握られていた。

 

『おお?それはかの英雄の持つ神具、"ゲイ・ボルグ"ではないか。何故貴様が持っているのだ?』

 

「あんたに教える義務は、ないッ!!」

 

三月ちゃんは真紅の槍を犬に向かって投擲する。だが、

 

『そのような生ぬるい一撃で我を倒せると思うなよッ!』

 

犬はいともたやすくかわす。槍はその後ろにある建造物を貫き、建造物はガラガラと音を立てて崩れる。

 

「そりゃ軌道を読みやすくしたんだからかわせなきゃおかしいよ」

 

すると三月ちゃんの元に槍は戻っていった。

 

『全く、こちらが何もしなければ物騒な事をしおってからに。そちらがその気であるならこちらもやらせてもらうぞ』

 

そう言われて私達は身構える。

 

『喰らうがいい!!』

 

犬は口を大きく開けて、

 

 

頭部を飛ばしてきた。

 

 

「「…………え?」」

 

え?頭部が飛んできたってどういうこと?

 

「キャアアアアアアァァァァァ!!!」

 

三月ちゃんはその場にうずくまっていた。かくいう私は動けずにいたけど。

 

犬は三月ちゃんを狙ったらしく、三月ちゃんの頭の上を通過していく。

 

『さてどうする人間よ。貴様らでは勝てるわけがあるまい』

 

犬はそう言うが、頭部が宙に浮いたままである。率直に言おう。気持ち悪い。

 

「キモち悪いからから死んでください。十二神将朱雀、『顕現ーーー神炎の大剣』」

 

十二神将の力のうちの一つの朱雀の力を使う。私の身の丈の大きさの大剣を右手に持ちそれで犬の顔面を斬りつける。

 

『ぐあ……ッ!?』

 

「『爆炎の種ーーー発動』」

 

その言葉を口にする。犬の顔面は爆発する、はずだった。

 

ボトリと犬の頭部は地面に落ちる。爆発はしない。

 

「え………?どういうこと………?」

 

私は呆然とする。おかしい、そんなはずはないのに。

 

するとその頭部は光の粒子となって消える。

 

「かな、めちゃん……前………」

 

うずくまりながら言う三月ちゃんの言葉を聞き前を向くと、そこにあったはずの犬の体はなく、その代わりにその場所を黒い霧が覆っていた。その中からかすかだが声が聞こえる。

 

『ククク、面白い、面白いぞ人間よ!まさかここまで我を楽しませてくれようとは!だが、元の姿では貴様らには勝てないことがわかった。一人ならまだしも二人で来られては勝てないのう。こうなれば貴様らと同じ土俵で叩きのめしてくれようかの』

 

言葉が終わると同時に霧が晴れる。そこから現れたのは、

 

「ククク、さて第二幕の幕開けとといこうかのう」

 

白いパーカーと白のズボンというなんともカジュアルな服を身にまとった少年だった。

 

要side out

 

 

 

******

 

 

 

司side

 

俺はライ爺の雑貨屋に向かっていた。だが異変はすぐに起きた。

 

「人っ子一人いないね」

 

「もしかしたらここに要や三月がいるんじゃない?」

 

「とりあえず、目の前の奴らどうにかするぞ」

 

そう、雑貨屋に向かって歩いて行くと何故か人が誰もいないという奇妙な展開になり、そして目の前には大量の犬がいる。

 

「犬神って確か取り巻きの犬を連れてたよな。でもさ、数匹だったと思うんだけど?」

 

「これは……予想外」

 

「とりあえず倒しながら進もうか」

 

俺と龍明が目の前の光景に打ちひしがれていると浩也は刀を構えて戦闘態勢に入っていた。………お前怪我人だよな?

 

「はぁ……空間炎上(面倒くさいな)

 

俺は目の前の空間を炎で満たす。

 

「………うわぁ」

 

「…………動物にすることじゃないね」

 

確かにそう言うのもわかる。だって目の前完全に地獄だもん。

 

「いいじゃないか。進路を邪魔する犬たちが炎に焼かれて悶えている」

 

「でもこっちの気分最悪だよ?」

 

「…………というか司は平気なの?」

 

「こんなので気分が悪いとか言ってたら三月のお仕置きは受けられないよ」

 

「「受けないという選択肢は?」」

 

「あったら即座に教えてくれ!!」

 

そう言いながら周りを見ると別の犬たちに囲まれていた。

 

「じゃあ次は僕がやるよ。"神殺"!」

 

浩也は抜刀した勢いで周囲に衝撃波を撒き散らす。それに当たった犬は体を斬られてバラバラになる、または衝撃波に耐え切れず四散する。

 

「……俺よりこっちの方が酷いぞ」

 

「……右に同じ」

 

「一応は片付いたし、さっさと二人を探そう。そう遠くにはいないと思うし」

 

浩也がそういった直後、どこからか爆音が二つ聞こえる。片方は何かが崩れた音か……?

 

「あれ?二つ?」

 

「また面倒なことに……。しょうがない、二手に分かれるか」

 

「そうだね。それじゃあ僕と浩也は北の方に。司はそのまま雑貨屋の方に向かって」

 

「分かった。気をつけてな」

 

「了解したよ。神野君こそ」

 

そう言って浩也と龍明は北の方の爆発音がしたところに向かった。

 

「それじゃあ俺も行きますか、"不死鳥"」

 

俺はフェニックスのギフトを憑依させて背中に翼を生やして飛んで目的地に向かった。

 

司side out

 

 

 

******

 

 

 

英太side

 

「俺たちは本拠に向かって歩いていた。そうだよな風明?」

 

「ああ、確かにそうだ」

 

「じゃあこの人がいない閑散とした街の道を埋め尽くしてる犬は何さ?」

 

「俺が聞きてえよ」

 

そう、目の前にいるのは犬ばかり。人一人もいやしない。それに街に入るときになんとなくだが違和感があった。

 

「ん〜、もしかして固有結界に入っちゃったかな〜?」

 

「?どういうことだ英太?」

 

「簡単に説明すると、第三者による固有結界の作成、そして無作為に結界内へ誘導、からの侵入した者を幽閉」

 

「何それ怖い」

 

まあ、無作為とは決まったわけじゃないけど、どう考えたって狙ってるよなこれ。

 

「とりあえず、目の前の犬っころ潰す」

 

「加勢した方がいいか?」

 

「いや、このぐらいならなんとかなる。それにしてもどうするか。禁呪で吹き飛ば………すのは駄目だし。範囲魔法で消し飛ば……すのもあんまりしたくないし。無難に失われた魔法にするか」

 

俺はギフトカードから龍源の杖を取り出し、それを前に掲げて詠唱する。

 

「"現世を漂う氷の精霊よ、風と共に舞い、我が敵を凍えさせよ『失われた魔法:吹雪(ブリザード)』"」

 

いつもは省いているところを余すことなく口にする。この完全詠唱で威力は普段の倍になるはずなんだけど。

 

詠唱を終えると、犬の集団がいる地面に巨大な魔法陣が現れる。その中心から小さな竜巻が起こり、その勢いはだんだん増していく。そこに氷の礫が生成され、竜巻と共に舞う。犬は竜巻の威力に耐え切れなかったのか、体を宙に投げ出し、なすがままにされていた。

 

「おお、ある意味絶景だな」

 

「火力がでかすぎたかな?」

 

絶えず氷の礫に激突しながら舞い続ける犬たち。そろそろかわいそうだから終わらせよ。

 

「"ここに存在する数多の炎霊たちよ、今ここに全てを飲み込む爆炎を、『爆裂(エクスプロージョン)』"!!」

 

この時の俺は何も考えずに詠唱してた。だが、後になって気づく。やり過ぎた、と。

 

俺が生み出した爆炎は、凄まじい爆音と共に目の前の物を全て飲み込んだ。例外なく。

 

「「うわぉ」」

 

俺と風明は同時に声を上げる。爆炎が消え去るとそこにあったはずの建造物が跡形もなく消し飛んでいた(・・・・・・・)

 

「………流石にやり過ぎじゃね?」

 

「………ごめん、力加減間違えた」

 

うん、完全詠唱もここぞって時まで封印だな。

 

そんなことを思っていると新たな来客が現れる。それは俺らがよく知る人物だった。

 

「あれ?篠宮君なの?」

 

「あ、風。ここにいたんだ」

 

声がした方向を見ると、そこには浩也と龍明がいた。

 

「おお、龍か。どうしたんだ?」

 

「それがーーーーー」

 

龍明が事情を説明しようとした瞬間、凄まじい爆音が轟く。

 

「ねえ、さっきのって」

 

「うん。神野君が行った方角だね」

 

「何だ?司もいるのか?」

 

「事情は後で話すから今は急ごう。最悪の展開になってる可能性がある」

 

浩也にそう促され全速力で向かった。

 

英太side out

 

 

 

******

 

 

 

三月side

 

目の前には先ほど頭部を飛ばしてきた犬もとい少年がいた。まさかのショタ化なの……?

 

「クク、驚いて声も出ないのか?」

 

「………まあ驚いてることには同意するけど、あんたが思ってることとは違うと思うよ」

 

「………犬にもそんな趣味があるんだ」

 

私たちの言葉を聞いて訳がわからなかったのか首をかしげる元犬。

 

「どういうことだ?はっきりと言え。でなければまた頭部を飛ばすぞ」

 

それはやめていただきたい。人間の状態でそんな事されたら本当にどうにかなっちゃう。そして、私は要ちゃんと目配せして同時に言ってやることにした。

 

「「いや、まさかショタが好きすぎるからといって自分がショタになる必要はないんじゃないかなぁ〜と思っただけ」」

 

「…………それはどういうことなのだ?」

 

口が引きつっているということは意味はわかるということらしい。それでは爆弾を投下しよう。

 

「「ショタコンとか引くわー」」

 

わざとらしくかつニヤニヤしながら言ってやった。さっき頭部飛ばされた時のお返しだ。

 

「…………おい貴様ら。今なんと言った?」

 

「「キャーイヌサマカッコイイー」」

 

「さっきと言っていることが違うだろうが!!そのカタコトやめてもらいたい!」

 

「「だが断る!!」」

 

「………クフフフ、そこまでバカにするか貴様ら。もう許さん、貴様らは必ず我が葬り去ってくれる!!」

 

そう言って霊格を上げようとする。よし、ここでもう一つの爆弾投下を開始します。

 

「さっきから我とか貴様らとか言ってるけどさ」

 

「流石に、ね?」

 

さっきのこともあって、私の考えに要ちゃんもノリノリである。

 

「「元犬様が厨二病を患ってたなんて」」

 

「…………………………」プチン

 

あ、ヤバイやりすぎたかも。

 

「許さん、許さんぞ………。貴様ら、そんなことを言わなければ生きながらえることもできたろうに。残念ながら我を怒らせた罪だ。ここで死んでもらうぞ、小娘共!!!」

 

霊格がまた肥大化する。それにより犬を中心に風が吹き荒れる。

 

「や、やり過ぎたんじゃない!?」

 

「確かにそう思うけど!でも、なにこの霊格!?神格なんじゃ……?!」

 

「ご名答。我には神格のギフトがある。それと先ほど犬と言ったな。我はそんなものではない。我は犬神。犬霊にしていずれは人間を滅ぼすものだ!!」

 

犬神………?確か犬霊の憑き物だったような……。

 

「他ごとを考えてる暇はないぞ小娘」

 

耳元で声が聞こえて後ろにのけぞるとすぐ目の前には犬神がいた。どうやって……!?

 

「ハア!!」

 

「グッ………!?」

 

犬神の蹴りを咄嗟に腕をクロスしてガードするが、たやすく吹き飛ばされ後ろの建造物に激突する。

 

「強さ、デタラメすぎ、でしょ………」

 

「三月ちゃん!!」

 

「人の心配をしている場合か?」

 

犬神は次に要ちゃんを狙った。だが蹴るのではなく首を掴み締め上げる。

 

「や、めて……!!」

 

「そういうのであれば自分でどうにかするのだな」

 

要ちゃんを助けるために立ち上がろうとするが、体が動いてくれない。どうやっても、どう頑張っても動かない。駄目だ、完全に麻痺してる。

 

「う……あ………」

 

「悶え苦しめ。だが安心しろ。その苦痛も、もう終わる」

 

犬神は獰猛な笑みを浮かべる。

 

駄目、それ以上はやめてッ!!

 

そう願い手を伸ばすが、届かない。

 

「さあ、終わるがいい小娘ーーーー!!」

 

 

 

「うちの可愛い子達をいじめるのはやめていただけないかしら?」

 

 

 

その声は一つの銃声とともに聞こえてきた。犬神は何かを察知したのか要ちゃんから手を離し、後ろに跳ぶ。

 

「誰だ貴様?ここに侵入させた記憶はないぞ」

 

「あら。誰があなたの許可を得て侵入したっていうの?馬鹿じゃない?」

 

「なんだと………?」

 

「勝手に入ったに決まってるでしょうが。自分のコミュニティの後輩たちがやられてるのをのうのうと見てられるわけないじゃない」

 

声の主を見るとコバルトブルーのコートと白のズボンに身を包んだ私もよく知る女性だった。

 

「おう、かさん……?」

 

「大丈夫三月ちゃん?怪我は……多少はしてるわね。あとは麻痺してるだけかしら。三月ちゃんとそこの子も、ちょっと待っててちょうだい。すぐに終わらせるから」

 

桜花さんを見ると左手には雷を纏う白い拳銃、右手には炎を纏う黒い剣を持っていた。

 

「さて、可愛い子達を虐めた罪。ここで払ってもらいましょうか」

 

「クク、お前ごときが我に敵うとでも思っているのか?」

 

「まあ、あなた一人ならなんとかなるわよ」

 

左手の拳銃の銃口を犬神に向ける桜花さん。だが、それを見て笑みを浮かべる。

 

「ククク、哀れよのお。そう思い込んでおるとは。誰が我一人だと言ったのだ?」

 

そういうと上空に数多の犬が突如現れる。数えるのも面倒になる程。

 

「貴様はこの数を相手にできるのか?」

 

「確かに無理ね」

 

「クク、そうだろうそうだろう!ならば早々にあきらーーーー」

 

「だけど、誰がこっちも一人だって言ったのかしら?」

 

桜花さんがそう言った途端、上空が赤く染まる。正確に言えば燃え上がっている。

 

「な、なんだと!?」

 

「なあ、犬神。残念だがお前の負けだぜ」

 

犬神の後ろにある瓦礫の右隣にある建造物の上に一人の人物がいた。右手には炎を、左手には氷を纏わせた私が最もよく知る人物が。

 

「つ、かさ………!」

 

「司なの……?」

 

「遅くなったな三月、要。安心しろ。もう大丈夫だ」

 

「く、次から次へと!!」

 

犬神は手を横に振りその勢いで風を巻き起こす。当たれば確実に死ぬほどの威力のものを。

 

「"風魔法:風の短剣(ウィンドダガー)"」

 

「"神殺"!」

 

「くらいやがれ!!」

 

「やらせない!」

 

だがその風は、風を纏う複数の短剣と斬撃そして二つの風が相殺した。

 

「全員集合ってか?」

 

「間に合った……」

 

「要、大丈夫!?」

 

「くそ、あの犬っころ。うちの要に手を出すとはいい度胸じゃねえか」

 

桜花さんが来た方向の逆の方向から英太、浩也、龍明、風明が来た。

 

「英太、それに浩也まで……!」

 

「風にぃ、龍にぃ!」

 

「大丈夫要?」

 

「東雲さんも怪我ない?」

 

大丈夫でもないし、怪我がないわけではない。腕なんてヒリヒリするほど痛いし、まず体にあまり力が入らない。

 

「さてと、全員集結したし」

 

「身の程知らずな事をわからせてやらないとね」

 

「ぶち殺す……!」

 

「妹を傷つけた罪は重いよ?」

 

英太は杖を構え、浩也は刀を抜く。風明は翼を生やし、龍明も戦闘態勢へ入る。そして司は高らかに告げた。

 

「犬神、仲間を傷つけた事を後悔させてやるよ。容赦はしない、全力で叩き潰す!!」

 

三月side out




という事であとがきです。

司「主、勉強は?」

珍しくやってます。

司「じゃあ今回は期待しても「それとこれとは別です」

要「……司、こっちの主って」

司「うん、馬鹿だ」

要「やっぱり……」

やっぱりって何ですかやっぱりって!!

司「五月蝿い」

要「さてと、今回なんか色々起きたんだけど」

司「俺と浩也と英太で犬殺したり、犬神がショタ化したり、全員集結したりと色々あったな」

ですね。という事で次回犬神との戦いです!

司「じゃあ締めるか。ここまで読んでくれてありがとうな」

次回もお楽しみに。

感想、評価、誤字脱字の指摘、ダメだしなどもよろしくお願いします。

次回予告

犬神に襲われた三月と要の元に集結した司達。

そして、犬神への猛反撃が始まる!

「共同戦線 憑依者と陰陽師」
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