遊☆戯☆王ーデュエルモンスターズー BattleCity 作:NONAME0195
― 世界の壁 ―
歓声が響く。
その熱狂は、まるで地鳴りのようだった。
巨大なスタジアム。
数万人の観客。
世界中へ配信される巨大モニター。
そこに映し出されているのは、一人の日本人デュエリストの姿。
神崎 雄輝。
二十歳。
日本プロデュエル界をわずか二年で駆け上がり、数々のタイトルを手にした若きHERO使い。
その名は、日本では知らぬ者がいないほどになっていた。
そして今。
彼は日本代表としてではなく、一人の挑戦者として世界の舞台へ立っていた。
⸻
「俺のターン!」
雄輝は迷いなくカードを叩きつける。
「融合!」
ソリッドビジョンが輝きを放つ。
炎が渦を巻き、一人の英雄が姿を現した。
「現れろ!!
《E・HERO シャイニング・フレア・ウィングマン》!!」
黄金の翼が大きく広がる。
日本で幾度となく勝利をもたらした、雄輝の切り札。
観客席から歓声が上がる。
「HEROだ!」
「日本のエース!」
「決めろ!」
雄輝は確信していた。
この一撃で終わる。
そう思っていた。
だが──
対戦相手は静かに笑う。
「……面白い。」
ゆっくりと、一枚の白いカードを掲げた。
雄輝の眉がわずかに動く。
(白い……カード?)
融合モンスターではない。
儀式でもない。
見たことがない。
カード枠そのものが違う。
「私はチューナーとモンスターを調律する。」
スタジアムの空気が変わる。
「集いし星が、新たな力を呼び覚ます!」
光の輪が幾重にも重なり、
一体のモンスターが姿を現す。
「シンクロ召喚。」
「現れよ――」
その瞬間。
雄輝の思考が止まった。
(……なんだ、それは。)
実況も、観客も、当然のように歓声を上げている。
知らないのは、自分だけだった。
「そんな召喚法……聞いたことがない。」
次の瞬間。
英雄は、世界の新たな力の前に打ち砕かれた。
ライフポイントが一気にゼロになる。
静寂。
そして、割れんばかりの歓声。
勝者は称えられ、雄輝はただ敗者としてその場に立ち尽くした。
⸻
「世界は、こんなにも遠かったのか……。」
日本では最強と呼ばれた。
だが世界では、その肩書きは何の意味も持たなかった。
誰も知らない召喚法。
誰も見たことのない戦術。
日本と世界では、見ている景色そのものが違っていた。
⸻
三年後――。
日本。
デュエルシティ。
デュエルアカデミア。
教壇に立つ一人の青年。
神崎雄輝。
二十三歳。
肩書きは、デュエルアカデミア教師。
世界への挑戦を終えた男は、後進を育てる道を選んだ。
そう――誰もが思っていた。
だが、その心の奥底には、まだ消えていない炎があった。
そして、この時の雄輝はまだ知らない。
自分が再び世界へ向かう運命にあることを。
ましてや――
海馬コーポレーションが主催する全国大会『Battle City』が、
その運命の始まりになることを。