遊☆戯☆王ーデュエルモンスターズー BattleCity   作:NONAME0195

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久しぶりに、前置きのコメントします!
お久しぶりです、NONAME0195です

いやー、やっぱりデュエル回になると話が長くなりがちです 
キリどころ分からなくてどうしても長くなってしまいます

「うわっ……長ぇな」って思うかもしれませんが
お付き合い下さい
では10話前編……どうぞ!


第10話「踏み出した1歩 前編」

重苦しい空気が教室を支配していた

 

生徒たちは静かに席へ座る

 

教室に響くのは時計の針が進む音だけ

 

やがて定刻となり教師の合図が響く

 

「はじめ!」

 

一斉に紙が裏返される

 

静寂は消え、鉛筆が紙を走る音だけが教室を満たしていく

 

本日は中間考査最終日

 

二日間の激戦を戦い抜いた戦士たち

 

ある者は解放感に満ち、またある者は絶望に打ちひしがれていた

 

例にもれず

 

小町は後者であった

 

「ううう……」

 

机に突っ伏したまま小町が唸る

 

「数学なんて……」

 

ぷるぷると肩が震える

 

「数学なんてぇぇぇぇ!!」

 

瑠奈が同じ辛さを分かち合うように小町へ声をかけた

 

「小町……勉強だけが全てじゃないよ」

 

少しだけ間を置き

 

遠くを見るように呟く

 

「理科って大人になって何の役に立つんだろうね……」

 

教科は違えど同族であった

 

中間考査が終わる

 

それは同時に中間ランキング戦の幕開けを意味していた

 

アカデミアでは中間考査最終日の放課後

 

学校から支給された携帯端末に中等部から高等部まで全生徒の対戦表が公開される

 

そして

 

時刻は放課後十六時

 

端末の対戦表を見て歓声を上げる者

 

拳を握り締める者

 

静かに対戦相手を見つめる者

 

様々な思いが交錯する中

 

黒機もまた静かに端末へ目を向けていた

 

ゆっくり画面をスクロールする

 

そこに表示されていた名前はーー

 

学年ランキング10位 九鬼夜姫

 

その名を目にした瞬間

 

黒機の口元がわずかに緩む

 

かつて敗れた相手

 

トップ10という壁として今なお立ちはだかる存在

 

黒機は静かに画面を閉じる

 

「……九鬼夜姫か」

 

そして黒機は静かにその場を後にした

 

黒機が教室に戻ると

 

皆、自分の対戦相手について話していた

 

「あっ、小町ー!」

 

瑠奈が端末を片手に駆け寄ってくる

 

「対戦相手見た?

私は38位の子だったよ」

 

瑠奈はランキング30位

 

自分よりランクが下の生徒と対戦するようであった

 

「小町は?」

 

問いかけられた小町はゆっくりと端末へ目を落とす

 

「……私は15位の獅童くん」

 

「15位!? ランカーじゃん!」

 

瑠奈が思わず声を上げた

 

この間のデュエルでようやくランカー入りを果たしたばかりの小町

 

次の相手が格上であることは明白だった

 

「また、随分ときつい戦いになりそうだね……」

 

瑠奈は少し心配そうな表情で小町を見つめる

 

「うん……でも負けないよ、絶対に勝つ」

 

小町は静かに拳を握り締めた

 

負ければ

 

凛との距離はまた遠ざかる

 

凛へのリベンジを果たすまで誰にも負けるつもりはない

 

その瞳には揺るぎない決意が宿っていた

 

二人の前を通りかかった黒機に

 

小町が声をかける

 

「あっ、黒機くん」

 

黒機は足を止めると短く

 

「よお」

 

とだけ返事をする

 

「黒機の相手は誰なの?」

 

瑠奈が何気ない調子で尋ねた

 

黒機は一度端末へ視線を落とし静かに答える

 

「……ランキング10位の九鬼だ」

 

その言葉に小町と瑠奈は思わず顔を見合わせた

 

ランカー入りするだけでも容易ではない

 

その中でもトップ10は別格の存在だった

 

そして二人は知っている

 

二年生の頃

 

黒機が認定戦で九鬼へ挑み、完膚なきまでに敗れたことを

 

「九鬼って……前に……」

 

瑠奈が思わず言葉を漏らす

 

「ああ……二年の時、手も足も出ないくらいに負けた」

 

黒機は静かに拳を握る

 

あの日の敗北は今も鮮明に焼き付いている

 

悔しさも無力さも

 

何一つ忘れたことはない

 

しかしその表情に下を向く様子はなかった

 

「今の俺は……かつての俺より強くなってる……と思いたい」

 

そう呟くと黒機はゆっくりと前を向く

 

「次は勝ってみせる」

 

その瞳には

 

トップ10という壁を打ち砕こうとする熱い闘志が宿っていた

 

同時刻

 

職員室では――

 

「うぉぉぉぉ!!

採点が終わらねぇぇぇ!!」

 

大量の答案用紙を前に雄輝が頭を抱えていた

 

中間考査最終日

 

生徒たちにとっては解放の日

 

しかし教師にとってはここからが本番である

 

「神崎先生ー」

 

教頭が呆れたように顔を上げる

 

「うるさいですよ」

 

「……すみません」

 

雄輝はしょんぼりと肩を落とした

 

そして時は流れ

 

中間ランキング戦当日となった

 

デュエルアカデミアには中等部から高等部まで

 

およそ1200人の生徒が在籍している

 

その全員がランキング戦を行うため、大会は一週間に分けて開催される

 

対戦日程は完全なランダム制

 

対戦相手と試合日時は学校から支給された携帯端末に通知される

 

そして初日

 

瑠奈と黒機の試合が行われることとなった

 

「レインボー・ドラゴンでダイレクトアタック!!」

 

七色の光がアリーナを駆け抜ける

 

ランキング38位の生徒のライフは一気にゼロとなった

 

「勝者、朝比奈瑠奈!」

 

アナウンスが会場に響き渡る

 

「やったぁーー!」

 

瑠奈は両手を突き上げ、満面の笑みを浮かべる

 

見事な勝利であった

 

そこへ小町が駆け寄る

 

「おつかれ! やったね!!」

 

すると瑠奈は胸を張る

 

「へへーん! ブイブイ♪」

 

得意気にピースサインを見せた

 

その姿に小町も思わず笑みをこぼす

 

しかし

 

和やかな空気を切り裂くように場内アナウンスが響き渡る

 

「『3年A組 黒機大河』 『3年C組 九鬼夜姫』

 

両名は第17フィールドへ入場してください」

 

その名が呼ばれた瞬間

 

第17フィールド周辺の空気がわずかに張り詰めた

 

トップ10への挑戦

 

黒機の戦いが今、始まろうとしていた

 

第17フィールド

 

静寂に包まれたデュエルフィールドで

 

黒機大河と九鬼夜姫が向かい合うように立っていた

 

2年の時、認定戦で敗れた相手

 

黒機にとってこの一戦はランキング戦である以前に

 

雪辱を果たすための戦いだった

 

黒機はゆっくりと九鬼を見据える

 

その瞳に迷いはない

 

「2年の時の借りは

しっかり返させてもらう」

 

九鬼は静かに黒機を見つめる

 

その言葉に小さく頷いた

 

黒機の覚悟を受け止めるように

 

ゆっくりと口を開く

 

「……見せて」

 

静かな声が第17フィールドに響く

 

「あなたの成長を」

 

審判は二人の表情を確認すると

 

ゆっくりと右手を振り下ろした

 

その一言により

 

戦いの火蓋が切られる

 

「デュエル開始!!」

 

1ターン目 黒機

 

「俺のターン!」

 

黒機はカードをデッキから引き抜く

 

まずは様子を見る

 

相手はトップ10

 

不用意な攻めは命取りになる

 

黒機は一枚のカードをデュエルディスクへ叩きつけた

 

「《古代の機械兵士》を通常召喚!」

 

重厚な機械音がフィールドに響く

 

鋼鉄の兵士が黒機の前へ姿を現した

 

 

【古代の機械兵士】

 

レベル4 ATK1300 DEF1300

 

このカードが攻撃する場合、相手はダメージステップ終了時まで魔法・罠カードを発動できない。

 

 

その姿を見た瑠奈が思わず目を見開く

 

「アンティーク・ギア!? ガジェットじゃないの!?」

 

その声に周囲の視線も一斉に黒機のフィールドへ集まる

 

小町も驚いた表情で鋼鉄の兵士を見つめた

 

「デッキを……変えたんだ」

 

ざわめきが第17フィールドを包む

 

かつてガジェット一筋だった黒機が手にした新たな力

 

それだけでこのデュエルに懸ける覚悟が誰の目にも伝わっていた

 

雄輝は腕を組み、離れたところから静かにフィールドを見つめていた

 

「さらに、リバースカードを二枚セットしてターンエンド」

 

黒機は二枚のカードを伏せ

 

九鬼へターンを渡した

 

 

2ターン目 九鬼夜姫

 

「私のターン、ドロー」

 

九鬼は一枚のカードを引き

 

静かに手札へ加える

 

その視線は黒機のフィールドから離れない

 

伏せカード二枚

 

そして、新たに姿を見せたアンティーク・ギア

 

黒機の覚悟は十分に伝わっていた

 

「デッキを変えてきたのね……」

 

九鬼は小さく呟く

 

その表情は変わらない

 

「それがどんな変化をもたらせたのか、私に見せて」

 

そう言うと九鬼は一枚のカードをデュエルディスクへ置いた

 

「手札から魔法カード《おろかな埋葬》を発動」

 

デッキから一枚のカードが墓地へ送られる

 

 

【おろかな埋葬】

 

デッキからモンスター1体を墓地へ送る。

 

 

「墓地へ送るのは《ヴァンパイアの眷属》」

 

墓地へ落ちた瞬間

 

九鬼は続けざまに効果を宣言する

 

「眷属の効果発動……

手札の《ヴァンパイアの使い魔》を墓地へ送り特殊召喚」

 

墓地から飛び出した眷属が夜姫の前へ舞い降りる

 

 

【ヴァンパイアの眷属】

 

レベル2 ATK1200 DEF0

 

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが特殊召喚に成功した場合、500LP払って発動できる。デッキから「ヴァンパイア」魔法・罠カード1枚を手札に加える。

(2):このカードが墓地に存在する場合、手札及び自分フィールドの表側表示のカードの中から、「ヴァンパイア」モンスター1枚を墓地へ送って発動できる。このカードを特殊召喚する。この効果で特殊召喚したこのカードは、フィールドから離れた場合に除外される。

 

 

 

 

「さらに使い魔の効果」

 

今度は《ヴァンパイア・ソーサラー》を墓地へ送り

 

《ヴァンパイアの使い魔》を特殊召喚

 

 

【ヴァンパイアの使い魔】

 

レベル1 ATK500 DEF0

 

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが特殊召喚に成功した場合、500LP払って発動できる。デッキから「ヴァンパイアの使い魔」以外の「ヴァンパイア」モンスター1体を手札に加える。

(2):このカードが墓地に存在する場合、手札及び自分フィールドの表側表示のカードの中から、「ヴァンパイア」カードを1枚を墓地へ送って発動できる。このカードを特殊召喚する。この効果で特殊召喚したこのカードは、フィールドから離れた場合に除外される。

 

 

 

「くっ……」

 

黒機の表情が僅かに変わる

 

一枚の魔法カードから次々とモンスターが並んでいく

 

「これが……九鬼さんのヴァンパイアデッキ……!?」

 

小町は思わず息を呑んだ

 

さらに九鬼は

 

《ヴァンパイアの眷属》と《ヴァンパイアの使い魔》の効果を発動する

 

「それぞれ500ポイントずつライフを払い、《ヴァンパイアの領域》と《ヴァンパイア・ロード》を手札に加える」

 

夜姫のライフが4000から3500へ

 

さらに3000まで減少する

 

だが、その代償と引き換えに必要なカードを手札へと揃えていく

 

「ライフを1000も……」

 

瑠奈は思わず声を漏らす

 

いつの間にか近くまで来ていた雄輝が口を開く

 

「ヴァンパイアはライフをコストに必要なカードを揃え、一気にコンボへ繋げるデッキだ」

 

わずか1ターン

 

ライフを削ることさえ九鬼夜姫にとっては勝利への布石に過ぎなかった

 

「フィールド魔法《ヴァンパイアの領域》を発動」

 

フィールドが妖しく赤黒い霧に包まれる

 

古びた城が姿を現し

 

吸血鬼たちの支配する領域へと変貌した

 

 

【ヴァンパイアの領域】

 

フィールド魔法

 

①:1ターンに1度、500LPを払って発動できる。このターン、自分は通常召喚に加えて1度だけ、自分メインフェイズに「ヴァンパイア」モンスター1体を召喚できる。

 

②:このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、自分の「ヴァンパイア」モンスターが相手に戦闘ダメージを与えた場合に発動する。その数値分だけ自分のLPを回復する。

 

 

「さらにライフを500ポイント支払う」

 

夜姫のライフが2500まで減少する

 

それでも夜姫の表情は微動だにしない

 

「《ヴァンパイアの使い魔》をリリース」

 

小さな使い魔が闇へと溶ける

 

「《ヴァンパイア・ロード》をアドバンス召喚」

 

フィールドに闇が立ちこめる

 

その闇の中から

 

一体の吸血鬼が静かに姿を現した

 

 

【ヴァンパイア・ロード】

 

レベル5 ATK2000 DEF1500

 

このカードが戦闘によって相手モンスターを破壊し墓地へ送った時、カードの種類(モンスター・魔法・罠)を1つ宣言して発動する。相手は宣言された種類のカードをデッキから墓地へ送る。

 

このカードが相手のカードの効果によって破壊され墓地へ送られた場合、次の自分スタンバイフェイズに墓地から特殊召喚できる。

 

 

「1ターン目から上級モンスターが!?」

 

小町が驚きの声を上げる

 

「さらにリバースカードを一枚セット」

 

夜姫は静かにカードを伏せる

 

表情は変わらない

 

その一枚にどんな罠が秘められているのか

 

誰にも読み取ることはできなかった

 

「バトル」

 

ヴァンパイア・ロードがゆっくりと歩みを進める

 

漆黒のマントを翻し鋭い眼光を黒機へ向けた

 

「《ヴァンパイア・ロード》で《古代の機械兵士》に

 攻撃」

 

吸血鬼が鋭い爪を振り下ろす

 

鋼鉄の兵士は激しい衝撃と共に砕け散った

 

ATK2000 VS ATK1300

 

黒機 LP4000 → 3300

 

「くっ……!」

 

黒機が衝撃に耐えながら一歩後ろへ下がる

 

ヴァンパイア・ロードが与えた戦闘ダメージは700

 

その瞬間

 

フィールド魔法《ヴァンパイアの領域》が妖しく輝く

 

「領域の効果」

 

夜姫のライフが700ポイント回復する

 

LP2500 → 3200

 

「ライフが戻った……!」

 

瑠奈が思わず声を上げる

 

雄輝は静かに頷く

 

「ヴァンパイアはライフを削って展開し戦闘でライフを回復するデッキだ」

 

そして、ヴァンパイア・ロードの第二の牙が襲いかかる

 

「ロードの効果を発動」

 

夜姫は静かに宣言する

 

「このカードが戦闘によって相手モンスターを破壊し墓地へ送った時、カードの種類を一つ宣言し、相手は宣言された種類のカードをデッキから墓地へ送る……私はモンスターを選択」

 

黒機は小さく息を吐くと、デッキからモンスターカードを一枚選び静かに墓地へ送った

 

夜姫はその様子を確認すると、間髪入れずに次の行動へ移る

 

「バトル継続《ヴァンパイアの眷属》でダイレクトアタック」

 

眷属が翼を広げ、鋭い牙を剥きながら黒機へ襲いかかる

 

「リバースカードオープン!《攻撃の無力化》!!」

 

黒機の前に光の障壁が出現する

 

眷属の一撃は障壁に弾かれ、そのまま霧散した

 

 

【攻撃の無力化】

 

通常罠

 

相手モンスターの攻撃宣言時に発動できる。

 

その攻撃を無効にし、バトルフェイズを終了する。

 

 

「……ターンエンド」

 

夜姫は短くターンの終了を告げた

 

その表情は変わらない

 

だが、その胸中には一つの疑問が生まれていた

 

(ヴァンパイア・ロードの攻撃で《攻撃の無力化》を使えば、《古代の機械兵士》は破壊されず、ライフも削られなかったはず……)

 

なぜ、あのタイミングまで伏せていたのか

 

その答えを探るように、夜姫は静かに黒機を見つめる

 

雄輝は腕を組み、小町と瑠奈へ視線を向けた

 

「黒機はロードの攻撃では《攻撃の無力化》を使わず、機械兵士を破壊された後、眷属のダイレクトアタックを止めるために発動した」

 

瑠奈は首を傾げる

 

「発動タイミングを間違えた……?

それとも何か考えがあったのかな?」

 

小町は少し考え込む

 

「……あっ、もしかして

わざと機械兵士を墓地に送りたかったとか?」

 

雄輝は小さく笑みを浮かべ、静かに頷く

 

「その可能性もある

いずれにしても、その答えは黒機自身がこのデュエルで見せてくれるさ」

 

黒機はデッキから勢いよくカードを引き抜く

 

「俺のターン! ドローー!!」

 

後編に続く

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