遊☆戯☆王ーデュエルモンスターズー BattleCity   作:NONAME0195

13 / 19
第10話「踏み出した1歩 後編」

3ターン目 黒機大河

 

「俺のターン! ドローー!!」

 

黒機はデッキから勢いよくカードを引き抜く。

 

そして、セットしていたカードを迷いなく開いた。

 

「リバースカードオープン!

 

《古代の機械要塞》発動!!」

 

巨大な歯車を模した要塞が黒機の背後に姿を現す。

 

 

【古代の機械要塞】

 

永続魔法

 

①:このターンに召喚・特殊召喚された自分フィールドの「アンティーク・ギア」モンスターは、相手の効果では破壊されず、相手はそれらを効果の対象にできない。

 

②:「アンティーク・ギア」カードの効果の発動に対して、相手は魔法・罠・モンスターの効果を発動できない。

 

③:魔法&罠ゾーンのこのカードが破壊された場合に発動できる。自分の手札・墓地から「アンティーク・ギア」モンスター1体を特殊召喚する。この効果の発動後、ターン終了時まで自分は「アンティーク・ギア」モンスターしか特殊召喚できない。

 

 

九鬼は静かに要塞を見つめる。

 

「永続魔法……」

 

短く呟いたその視線の先で、黒機はさらにカードを掲げた。

 

「さらに手札から! 《古代の機械射出機》発動!!」

 

間髪入れず、二枚目の魔法カードがフィールドへ叩きつけられる。

 

 

【古代の機械射出機】

 

通常魔法

 

このカード名の①②の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。

 

①:自分フィールドにモンスターが存在しない場合、自分フィールドの表側表示カード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊し、デッキから「アンティーク・ギア」モンスター1体を召喚条件を無視して特殊召喚する。

 

②:墓地のこのカードを除外し、自分フィールドの表側表示カード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊し、自分フィールドに「古代の歯車トークン」(機械族・地・星1・攻/守0)1体を特殊召喚する。

 

 

黒機は迷いなく《古代の機械要塞》を指差す。

 

「《古代の機械射出機》の効果! 《古代の機械要塞》を破壊する!!」

 

轟音とともに要塞が砕け散り、無数の歯車が宙へ舞い上がる。

 

しかし、その破壊こそが黒機の狙いだった。

 

「《古代の機械要塞》の効果発動! 墓地より蘇れ!《古代の機械兵士》!!」

 

砕け散った要塞から飛び散る歯車が墓地へ沈んだ兵士を包み込み、重々しい機械音を響かせながら《古代の機械兵士》が再びフィールドへ姿を現す。

 

 

【古代の機械兵士】

 

レベル4 ATK1300 DEF1300

 

このカードが攻撃する場合、相手はダメージステップ終了時まで魔法・罠カードを発動できない。

 

 

「さらに《古代の機械射出機》の効果により、召喚条件を無視してデッキより現れろ! 《古代の機械巨人》!!」

 

轟音とともに巨大な歯車が回転し、鋼鉄の巨人がゆっくりと姿を現した。

 

 

【古代の機械巨人】

 

レベル8 ATK3000 DEF3000

 

このカードは特殊召喚できない。

 

①:このカードが攻撃する場合、相手はダメージステップ終了時まで魔法・罠カードを発動できない。

 

②:このカードが守備表示モンスターを攻撃した場合、その守備力を攻撃力が超えた分だけ相手に戦闘ダメージを与える。

 

 

雄輝は小さく頷く。

 

「なるほどな……《古代の機械射出機》の使用条件を満たすために、わざと《古代の機械兵士》を倒させたのか」

 

瑠奈は目を見開き、納得したように声を上げた。

 

「だから《攻撃の無力化》で機械兵士を守らなかったんだ……!」

 

小町もハッとした表情を浮かべる。

 

「あっ! そういうことだったんだ! これで盤面は逆転だね!」

 

小町の言葉どおり、形勢は一変していた。

 

九鬼のフィールドには《ヴァンパイア・ロード》と《ヴァンパイアの眷属》。

 

対する黒機のフィールドには《古代の機械巨人》と《古代の機械兵士》。

 

攻守は完全に入れ替わり、勝負の流れは黒機へと傾いていく。

 

黒機は静かに息を吸い込み、鋼鉄の巨人へ右手を突き出した。

 

「いくぞ、バトル!!

 

《古代の機械巨人》で《ヴァンパイア・ロード》を攻撃!

 

アルティメット・パウンド!!」

 

鋼鉄の巨人が大地を揺らしながら拳を振り下ろす。

 

轟音とともに《ヴァンパイア・ロード》は粉々に砕け散り、その衝撃が九鬼へと襲いかかった。

 

九鬼 LP3200→2200

 

「さらに!

 

《古代の機械兵士》で《ヴァンパイアの眷属》を攻撃!!」

 

機械兵士の鋭い一撃が《ヴァンパイアの眷属》を貫き、そのままフィールドから消し去る。

 

わずかに残っていたダメージが九鬼のライフを削り取った。

 

九鬼 LP2200→2100

 

九鬼のフィールドからモンスターがすべて姿を消す。

 

一方、黒機のフィールドには《古代の機械巨人》と《古代の機械兵士》が並び立ち、攻守は一気に逆転した。

 

「リバースカードを1枚セットし、ターンエンド」

 

黒機の猛攻によって盤面は完全にひっくり返った。

 

だが、それでも九鬼の表情に焦りはない。

 

静寂が流れる中、彼女はゆっくりとデッキへ手を伸ばした。

 

4ターン目 九鬼夜姫

 

「私のターン……ドロー」

 

九鬼は静かにカードを引き抜き、増えた手札へ視線を落とす。

 

「手札より魔法カード《強欲な壺》を発動」

 

壺の口から妖しい光が溢れ出し、九鬼はさらにデッキから2枚のカードを手札へ加える。

 

 

【強欲な壺】

 

通常魔法

 

①:自分はデッキから2枚ドローする。

 

 

九鬼は新たに加わったカードへ目を落とし、小さく微笑んだ。

 

「黒機くん……見事な戦術でした」

 

九鬼の表情は変わらない。

 

盤面をひっくり返されたというのに、その瞳から焦りは一切感じられなかった。

 

むしろ次の一手を確信しているような、静かな余裕だけが漂っている。

 

「ですが……まだ私には届きません」

 

九鬼の言葉に黒機は身構える。

 

(何か仕掛けてくる……!?)

 

「《ヴァンパイア・幽鬼》の効果発動」

 

九鬼は手札にあるもう1枚の《ヴァンパイアの領域》を墓地へ送る。

 

「デッキからレベル4以上の『ヴァンパイア』モンスター1体を手札に加え、さらに《ヴァンパイアの使い魔》を墓地へ送ります」

 

九鬼はデッキから1枚のカードを静かに手札へ加える。

 

その表情は変わらない。

 

だが、その一枚に添えられた指先だけが、わずかに力を帯びていた。

 

(上級ヴァンパイアモンスターをサーチしたか……!?)

 

黒機は無意識に息をのむ。

 

どんな切り札が飛び出すのかーー

その正体は、まだ見えなかった。

 

「さらに手札の《ヴァンパイア・キラー》をコストに《ヴァンパイアの使い魔》を特殊召喚」

 

漆黒の魔法陣から小さな眷属が舞い降りる。

 

「《ヴァンパイアの領域》の効果発動 500ライフポイントを払い、このターン通常召喚できる回数を1回増やします」

 

九鬼LP2100 →1600

 

九鬼のライフはさらに削られていく。

 

それでも、その瞳に迷いはない。

 

「《ヴァンパイア・幽鬼》と《ヴァンパイアの使い魔》を生け贄に捧げます」

 

九鬼は静かに、手札から1枚のカードを掲げる。

 

「血の儀式に集えし眷属たちよ、その頂点に君臨せし者――」

 

一瞬、空気が張り詰める。

 

「《ヴァンプ・オブ・ヴァンパイア》召喚」

 

 

【ヴァンプ・オブ・ヴァンパイア】

 

レベル7 ATK2000 DEF2000

 

闇属性/アンデット族・効果

 

①:このカードが召喚に成功した時、または自分フィールドに「ヴァンパイア」モンスターが召喚された時、このカードより攻撃力が高い相手モンスター1体を装備カード扱いとしてこのカードに装備できる。

 

②:このカードの攻撃力は、この効果で装備したモンスターの元々の攻撃力分アップする。

 

③:この効果で装備カードを装備したこのカードが墓地へ送られた場合、このカードを墓地から特殊召喚する。

 

 

紅い月の光を思わせる魔力がフィールドを包む。

 

その中心に現れたのは、美しい白銀の髪を持つ吸血鬼。

 

威圧するでもなく、叫ぶでもない。

 

ただ静かに腰を下ろし、黒機を見つめるだけで、まるで獲物の運命はすでに決まっているかのような錯覚を与える。

 

黒機の背筋を、言いようのない悪寒が駆け抜けた。

 

「《ヴァンプ・オブ・ヴァンパイア》の効果発動

 

フィールドの《古代の機械巨人》を装備カードにします」

 

白銀の吸血鬼が静かに右手を掲げる。

 

すると機械巨人の巨体が紅い霧に包まれ、その力がまるで吸い上げられるように《ヴァンプ・オブ・ヴァンパイア》へと流れ込んでいく。

 

鋼鉄の巨人はその身を吸血鬼へ捧げるように消え去り、妖しい魔力だけがフィールドに残った。

 

ATK2000 → 5000

 

「こ、攻撃力5000……!?」

 

小町は思わず息を呑む。

 

わずか数秒前まで黒機の切り札だった《古代の機械巨人》が、今は九鬼の力となっている。

 

その光景は、デュエルというより一方的な捕食だった。

 

九鬼は表情ひとつ変えず、静かに伏せカードへ手を伸ばす。

 

「リバースカードオープン……

 

《リビングデッドの呼び声》」

 

 

【リビングデッドの呼び声】

 

永続罠

 

①:自分の墓地のモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを攻撃表示で特殊召喚し、このカードを装備する。このカードがフィールドから離れた時、そのモンスターを破壊する。また、そのモンスターが破壊された時、このカードを破壊する。

 

 

「墓地より蘇れ……《ヴァンパイア・ロード》」

 

漆黒の棺が地面を突き破る。

 

棺の蓋がゆっくりと開き、その中から悠然と《ヴァンパイア・ロード》が姿を現した。

 

黒機の前には、攻撃力5000の《ヴァンプ・オブ・ヴァンパイア》。

 

その傍らには、不死の王《ヴァンパイア・ロード》。

 

九鬼のフィールドは、一瞬にして吸血鬼たちの支配する闇へと染め上げられた。

 

「こんなの……もうどうしようもない!」

 

瑠奈の声が、悲鳴のようにフィールドへ響く。

 

攻撃力5000。

 

その数字は、誰の目にも絶望を突きつけていた。

 

九鬼は静かに右手を振り下ろす。

 

「バトル……《ヴァンプ・オブ・ヴァンパイア》で《古代の機械兵士》を攻撃…… 高貴なる血の饗宴(ブラッド・バンケット)」

 

白銀の吸血鬼がゆっくりと立ち上がる。

 

次の瞬間、その姿は紅い残像だけを残して機械兵士の眼前へ迫った。

 

圧倒的な魔力をまとった一撃が振り下ろされる。

 

誰もが勝負は決したと思った、その瞬間――

 

「まだだぁぁぁ!!」

 

黒機の叫びが響き渡る。

 

「リバースカードオープン!

《強制終了》!」

 

迫る一撃を見据えながら、黒機は迷いなく宣言する。

 

「《古代の機械兵士》を墓地へ送り、バトルフェイズを終了する!」

 

吸血鬼の爪が機械兵士へ届く寸前――

 

機械兵士は自ら崩れ落ち、無数の歯車となって砕け散った。

 

《ヴァンプ・オブ・ヴァンパイア》の一撃は空を切り、フィールドは再び静寂に包まれる。

 

 

【強制終了】

 

通常罠

 

相手モンスターの攻撃宣言時、自分フィールドのモンスター1体を墓地へ送って発動できる。

 

その攻撃を無効にし、バトルフェイズを終了する

 

 

「何とか……凌いだか」

 

雄輝は腕を組んだまま、静かにフィールドを見据える。

 

黒機は窮地を切り抜けた。

 

しかし、それは盤面を立て直したわけではない。

 

(だが……どうする)

 

雄輝の視線は九鬼のフィールドへ向けられる。

 

攻撃力5000の《ヴァンプ・オブ・ヴァンパイア》。

 

その傍らには《ヴァンパイア・ロード》が控えている。

 

(この盤面を突破できなければ、黒機に勝機はない)

 

攻撃力5000の壁は、あまりにも高い。

 

雄輝は黙ったまま黒機の次の一手を見守った。

 

九鬼は表情ひとつ変えず、静かに口を開いた。

 

「何とか凌ぎましたか…… ですが、次の私のターンで終わりにします」

 

その言葉を聞いた黒機は、ふっと口元を緩める。

 

絶望的な盤面。

 

それは誰の目にも明らかだった。

 

それでも、その瞳から闘志だけは消えていない。

 

「ああ、確かに絶望的な状況だ…… でもな、俺はどっかの先生に諦めの悪さってやつを教わったんだ……デッキにカードがある限り、足掻かせてもらう」

 

九鬼は静かに黒機を見つめる。

 

その瞳に宿る闘志は、先ほどよりも強くなっていた。

勝敗はまだ決していない。

 

そう判断した九鬼は、小さく息をつく。

 

「そうですか、なら見せてください …… 私のターンは終了です」

 

九鬼は静かにターンの終了を告げる。

 

ターン5 黒機大河

 

黒機は残った2枚の手札へ視線を落とす。

 

(この手札に、逆転できるカードはない……次のドローに全てを懸ける!)

 

大きく息を吸い込み、ゆっくりとデッキへ手を伸ばす。

 

(……頼む!!)

 

「俺のターン……ドローーー!!」

 

勢いよくカードを引き抜き、そのまま祈るように視線を落とす。

 

そして――

 

黒機の表情が変わった。

 

「……っ!」

 

黒機は引き当てたカードを見つめ、力強く笑った。

 

「来た……!デッキが答えてくれたぜ!!」

 

迷うことなく手札から一枚を掲げる。

 

「まずはこいつだ! 魔法カード発動――《大嵐》!!」

 

 

《大嵐》

 

通常魔法

 

効果

 

フィールド上の魔法・罠カードを全て破壊する。

 

 

轟音とともに巨大な暴風がフィールドを駆け抜ける。

 

吸血鬼たちを包んでいた紅い霧が激しく渦を巻き、空高く吹き上がった。

 

《ヴァンパイアの領域》は引き裂かれ、《リビングデッドの呼び声》も紙片となって宙を舞う。

 

《リビングデッドの呼び声》が砕け散った瞬間、その力で蘇っていた《ヴァンパイア・ロード》の身体にも亀裂が走る。

 

咆哮を響かせながら、その肉体は灰となって崩れ去った。

 

さらに、《ヴァンプ・オブ・ヴァンパイア》に取り込まれていた《古代の機械巨人》が拘束から解き放たれ、轟音とともに墓地へ送られる。

 

闇に支配されていたフィールドは、その嵐によって一掃された。

 

厚く空を覆っていた暗雲が裂ける。

 

一筋の光が、まっすぐ黒機へ降り注いだ。

 

「ここからだ……!」

 

誰一人、言葉を発しなかった。

 

吹き荒れる嵐が止み、静寂に包まれたフィールド。

 

全員の視線が、黒機の手札へと集まる。

 

黒機は迷いなく新たなカードを掲げた。

 

「手札より……速攻魔法! 《サイバネティック・フュージョン・サポート》発動!!」

 

━━━

《サイバネティック・フュージョン・サポート》

 

速攻魔法

 

効果

 

ライフポイントを半分払って発動できる。このターン、自分が機械族の融合モンスターを融合召喚する場合に1度だけ、その融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを自分の手札・フィールド上・墓地から選んで除外し、これらを融合素材にできる。「サイバネティック・フュージョン・サポート」は1ターンに1枚しか発動できない。

 

━━

 

黒機は迷うことなく叫ぶ。

 

「ライフポイントを半分払う!!」

 

デュエルディスクから警告音が鳴り響く。

 

黒機LP3300➞1650

 

「これにより、このターン俺は墓地の機械族モンスターを融合素材として除外できる!」

 

黒機の宣言に、会場の空気が張り詰める。

 

「そして――融合発動!!

 

墓地に眠る、《古代の機械巨人》2体と《古代の機械兵士》の3体で融合!!」

 

瑠奈が息を呑む。

 

「墓地に機械巨人が2体!?」

 

小町も目を見開いた。

 

「いつの間に2枚目を墓地に……?」

 

雄輝は静かに頷く。

 

「おそらく2ターン目、《ヴァンパイア・ロード》の効果だろう」

 

黒機へ視線を向けたまま続ける。

 

「……あいつ、最初からこの瞬間を狙っていたんだ」

 

その一言が、黒機の積み重ねてきた布石の全てを物語っていた。

 

除外された三体の機械族モンスターが黄金の粒子となり、渦を巻きながら空へ舞い上がる。

 

黒機は天へ向かって右手を突き上げた。

 

「古の魂受け継ぎし機械仕掛けの巨人たちよ!

 

鋼鉄の歯車を噛み合わせ、絶大なる力とならん!

 

融合召喚!

 

全てを破壊する鉄の塊――《古代の機械超巨人》!!」

 

━━━

《古代の機械超巨人》

レベル9

ATK 3300 / DEF 3300

 

効果

 

「アンティーク・ギア」モンスター×3

①:このカードが攻撃する場合、相手はダメージステップ終了時まで魔法・罠カードを発動できない。

②:「古代の機械巨人」「古代の機械巨人-アルティメット・パウンド」の中から合計2体以上を素材として融合召喚したこのカードは、その数まで1度のバトルフェイズ中に攻撃できる。

③:融合召喚した表側表示のこのカードが相手の効果でフィールドから離れた場合に発動できる。EXデッキから「古代の機械究極巨人」1体を召喚条件を無視して特殊召喚する。

 

━━━

 

轟音とともに融合の光が消え去る。

 

そこに立っていたのは、一切の無駄を削ぎ落とした鋼鉄の巨人。

 

四本の腕をゆっくりと広げるたび、全身の歯車が軋み、金属同士が擦れ合う重低音が響き渡る。

 

全てを踏み潰すためだけに生み出された――超巨人だった。

 

「いくぞ……バトル!!」

 

黒機は真っ直ぐ九鬼を見据え、右腕を振り下ろした。

 

「《古代の機械超巨人》!

 

《ヴァンプ・オブ・ヴァンパイア》に攻撃!!

 

『アルティメット・ギガトン・パウンド』!!」

 

鋼鉄の巨拳が轟音を響かせながら振り抜かれる。

 

《ヴァンプ・オブ・ヴァンパイア》は一撃で粉砕され、その衝撃が九鬼を襲った。

 

九鬼 LP1600→200

 

黒機は攻撃の手を緩めない。

 

「さらに!

 

《古代の機械巨人》を2体融合素材に使っているこのカードは、もう一度攻撃できる!!」

 

九鬼はゆっくりと目を閉じ、小さく息を吐く。

 

「……そう」

 

静かに目を開き、黒機を見つめた。

 

「私の負けね」

 

九鬼は静かにデュエルディスクへ視線を落とした。

 

「……バトルは続けなくてもいいわ」

 

そっとデュエルディスクの停止ボタンに触れる。

 

『WINNER 黒機大河』

 

電子音が響き、ホログラムがゆっくりと消えていく。

 

数秒の静寂。

 

そして――

 

「「「おおおおおおおーーーっ!!」」」

 

いつの間にか集まっていた生徒たちの歓声が一斉に沸き起こった。

 

「黒機……勝った……!」

 

瑠奈は目を輝かせる。

 

「すごい……あそこから逆転するなんて……!」

 

小町は思わず拳を握り締めた。

 

「やったぁ!!」

 

九鬼は黒機へ歩み寄る。

 

「完敗よ」

 

一度だけ微笑み、右手を差し出した。

 

「あなたは、もう十八位で止まるデュエリストじゃない」

 

黒機は照れくさそうに頭をかいた。

 

普段ぶっきらぼうな彼らしくない、どこか照れたような笑みだった。

 

「……ありがとな」

 

雄輝は腕を組み、小さく笑う。

 

「これで一つ、殻を破れたな」

 

その言葉に黒機は何も答えない。

 

だが、その背中はデュエル開始前よりも、ずっと大きく見えた。

 

そして――

 

黒機大河

 

デュエルアカデミア中等部3年

 

学年ランキング

 

第18位 → 第10位

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。