遊☆戯☆王ーデュエルモンスターズー BattleCity   作:NONAME0195

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第11話 高みを目指して 後編

4ターン目 神崎小町 LP1400

 

「私のターン……ドロー!」

 

デッキから引いたカードを見て、小町の口元がふっと緩む。

 

まだ負けていない……

 

いや――

 

ここから覆す!!

 

すぐさま手札から魔法カードを掲げた。

 

「まずは《強欲な壺》を発動!」

 

壺から眩い光が溢れ、デッキから二枚のカードが小町の手札へ加わる。

 

「二枚ドロー!」

 

 

 

《強欲な壺》

 

通常魔法

 

①:自分は2枚ドローする。

 

 

「さらに!手札の《月光黒羊》の効果を発動!」

 

小町は手札から一枚のカードを墓地へ送る。

 

 

《月光黒羊》

 

レベル2/闇属性/獣戦士族/効果

 

ATK100/DEF600

 

①: このカードを手札から捨て、以下の効果から1つを選択して発動できる。

●自分の墓地から「月光黒羊」以外の「ムーンライト」モンスター1体を手札に加える。

●デッキから《融合》1枚を手札に加える。

 

②: このカードが融合召喚の素材となって墓地へ送られた場合に発動できる。自分のEXデッキ(表側)・墓地から「月光黒羊」以外の「ムーンライト」モンスター1体を手札に加える。

 

 

「私はデッキから《融合》を手札に加えるよ!」

 

「いいねぇ……」

 

獅童の口元が大きく吊り上がる。

 

「お前最高だよ!」

 

その瞳は獲物を見つけた猛獣のように輝いていた。

 

「とことん戦りあおうぜ!!」

 

獅童の笑みはさらに深くなる。

 

その闘志に応えるように、小町もまた次のカードを掲げた。

 

「さらに魔法カード《月光香》を発動!!」

 

 

《月光香》

 

通常魔法

 

①: 自分の墓地の「ムーンライト」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。

 

②: 墓地のこのカードを除外し、手札を1枚捨てて発動できる。デッキから「ムーンライト」モンスター1体を手札に加える。

 

 

「《月光黒羊》を攻撃表示で墓地から復活!!」

 

墓地を照らす月光が静かに降り注ぐ。

 

淡い光の中から、一頭の黒羊が軽やかに跳び上がり、小町のフィールドへ舞い戻った。

 

「そして!!」

 

小町は迷いなく《融合》を掲げる。

 

「《融合》発動!!」

 

フィールドの《月光舞猫姫》。

《月光蒼猫》。

《月光黒羊》。

 

三体の月光モンスターが銀色の光へと包まれ、月夜の原野を思わせる幻想的な輝きの中で一つになっていく。

 

小町は高らかに宣言した。

 

「月光の原野の頂点に立って舞う百獣の王よ!

月明かりに舞う獣たちよ!

月の引力により渦巻きて、新たなる力と生まれ変わらん!」

 

銀色の渦が弾ける。

 

神々しい月光がフィールドを照らし、小町の声が響き渡った。

 

「融合召喚! 現れ出でよ! 華麗なる剣を振るう美しき獣――《月光舞剣虎姫》!!」

 

銀色の月光を切り裂くように、金色の輝きが迸る。

その光の中から現れたのは、二本の剣を携えた気高き舞姫。

 

《月光舞剣虎姫》

 

小町最大の切り札が、ついにフィールドへ降臨する。

 

 

《月光舞剣虎姫》

 

レベル9/闇属性/獣戦士族/融合

 

ATK3000/DEF2600

 

「ムーンライト」モンスター×3

 

効果

 

①:このカードの攻撃力は、お互いの墓地・除外状態の獣戦士族モンスターの数×200アップする。

 

②:相手はフィールドのこのカードを効果の対象にできない。

 

③:このターンに墓地へ送られていないこのカードを墓地から除外し、自分フィールドの融合モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターの攻撃力はターン終了時まで3000アップする。

 

 

「小町も切り札を召喚した!!」

 

瑠奈が思わず歓声を上げる。

 

《ブラック・ティラノ》。

 

《月光舞剣虎姫》。

 

互いの切り札がフィールドで睨み合う。

 

その様子を静かに見つめていた雄輝は、小さく笑みを浮かべた。

 

「まるで……ノーガードで殴り合ってるみたいだな」

 

攻めることを恐れない獅童。

 

迎え撃つことを選んだ小町。

 

守るよりも、一歩前へ。

 

互いの覚悟が真正面からぶつかり合う。

 

そんなデュエルだった。

 

小町は力強く前へ踏み出す。

 

「墓地の獣戦士族は4体!

舞剣虎姫の効果で攻撃力アップ!!」

 

月光を浴びた舞剣虎姫の闘気がさらに膨れ上がる。

 

墓地に眠る獣戦士たちの力が舞剣虎姫へ集い、その黄金の輝きは一層強さを増していく。

 

ATK3000 → ATK3800

 

「バトル!!」

 

小町は右手を大きく振り下ろした。

 

「《月光舞剣虎姫》で《ブラック・ティラノ》に攻撃!! 『月光円舞刃』!!」

 

舞剣虎姫が二本の剣を交差させる。

 

黄金の刃が月光をまとい、美しい円を描きながら駆け抜ける。

 

《ブラック・ティラノ》を切り裂き、その衝撃は獅童のライフをも貫いた。

 

「ぐぉおおおっ!!」

 

次の瞬間。

 

鋭い斬撃が《ブラック・ティラノ》の巨体を十字に切り裂く。

 

恐竜は断末魔を上げながら光の粒子となって砕け散った。

 

獅童 LP 3600 → 2400

 

「私はターンを終了するよ」

 

小町の怒涛の攻撃によって、《ブラック・ティラノ》は打ち倒された。

 

──それでも。

 

獅童の瞳から闘志は消えていない。

 

むしろ、その炎はさらに激しく燃え上がっていた。

 

「俺の手札に逆転のカードはねぇ……」

 

獅童は拳を握り締め、不敵に笑う。

 

「だが、まだ終わりじゃねぇぞ!!」

 

第5ターン 獅童烈斗 LP2400

 

獅童はデッキから勢いよくカードを引き抜く。

 

「俺のターン!! ドロオオオ!!」

 

引いたカードを見た瞬間――

 

獅童の口元が大きく吊り上がった。

 

獰猛な笑み。

 

まるで待ち望んでいた獲物を見つけた猛獣のようだった。

 

「きたぜぇぇ!! 俺の切り札ァァ!!」

 

そして、獅童は最後の切り札を高く掲げる。

 

「墓地の《瞬足のギラザウルス》と《メガロスマッシャーX》を除外!!!」

 

二体の恐竜族モンスターは光となって墓地から舞い上がる。

 

その光は一つに溶け合い、凶悪な咆哮とともに巨大な怪物の輪郭を形作っていく。

 

獅童は雄叫びを上げた。

 

「進化の果て!

 

絶滅をも超越した破滅の帝王よ!

 

暴虐の足音で大地を割れ!!!

 

《究極伝導恐獣(アルティメット・コンダクター・ティラノ)》を特殊召喚!!!」

 

轟音とともに大地が砕け散る。

 

黒煙の中から姿を現したのは、あらゆる恐竜を凌駕する究極の捕食者。

 

黄金の双眸が小町を鋭く射抜き、凄まじい咆哮がデュエルフィールドを震わせた。

 

 

《究極伝導恐獣(アルティメット・コンダクター・ティラノ)》

 

レベル10/光属性/恐竜族/特殊召喚/効果

 

ATK3500/DEF3200

 

効果

 

このカードは通常召喚できない。

 

自分の墓地の恐竜族モンスター2体を除外した場合に特殊召喚できる。

 

①:1ターンに1度、自分・相手のメインフェイズに、自分の手札・フィールドのモンスター1体を破壊して発動できる。相手フィールドの表側表示モンスターを全て裏側守備表示にする。

 

②:このカードは相手モンスター全てに1回ずつ攻撃できる。

 

③:このカードが守備表示モンスターを攻撃したダメージステップ開始時、相手に1000ダメージを与え、その守備表示モンスターを墓地へ送る。

 

 

墓地から蘇った二頭の恐竜の魂が紫黒い渦となって融合する。

 

その中心から姿を現したのは、進化の極致に到達した破滅の帝王。

 

禍々しい紫の闘気をまとった《究極伝導恐獣》が、大地を揺るがす咆哮を轟かせた。

 

その姿を見た瑠奈は思わず息を呑む。

 

「な……なに……このモンスターは?」

 

圧倒的な威圧感。

 

フィールド全体が、その一体に支配されたかのようだった。

 

その様子を見つめる雄輝も、静かに目を見開く。

 

土壇場で切り札を引き当てるとは……。

 

「すごい引きだな……」

 

雄輝は小さく呟いた。

 

「獅童の勝負強さは、本物だ」

 

その威圧感に、小町は思わず息を呑む。

 

それでも――

 

私の《月光舞剣虎姫》の攻撃力は3800。

 

《究極伝導恐獣》は3500。

 

まだ……私の方が上っ――

 

「まだ、攻撃力は《月光舞剣虎姫》の方が上とか思ってるなら――」

 

獅童の口元が大きく吊り上がる。

 

「あめぇぞ!! 神崎小町!!」

 

獅童が獣のように吠えた。

 

「《究極伝導恐獣》の効果発動!!

 

手札の《キラーザウルス》を破壊することにより!!

 

お前のモンスターを裏側守備表示に変えるぜ!!」

 

《キラーザウルス》が砕け散ると同時に、《究極伝導恐獣》から紫黒い衝撃波が放たれる。

 

「きゃっ!」

 

《月光舞剣虎姫》はその力に飲み込まれ、強制的に裏側守備表示へと変えられてしまう。

 

華麗に舞っていた剣は静まり、その攻撃態勢は完全に崩された。

 

「いくぜぇ! バトルだ!!

 

《究極伝導恐獣》で裏側守備表示となった《月光舞剣虎姫》に攻撃ぃ!!」

 

巨大な怪物の牙が、地鳴りを上げながら襲いかかる。

 

「さらに効果発動だ!!

 

相手に1000ダメージを与え、その守備表示モンスターを墓地へ送るぜ!!!」

 

……しまった!?

 

私の伏せカードは《月光輪廻舞踊》!

 

モンスターが破壊されなければ発動できない……!!

 

舞剣虎姫は巨大な牙に飲み込まれ、そのまま墓地へ送られてしまう。

 

「くぅ……!」

 

「《究極伝導恐獣》の効果は破壊じゃない。

 

墓地へ送る効果だ」

 

雄輝は苦い表情でフィールドを見つめる。

 

「つまり、破壊されることで真価を発揮する月光デッキとは……相性が最悪なんだ」

 

瑠奈は思わず息を呑んだ。

 

「そんな……」

 

獅童は拳を突き出し、雄叫びを上げた。

 

「くらえぇぇぇ!!

 

終焉覇王咬(しゅうえんはおうこう)!!!」

 

《究極伝導恐獣》の巨顎が轟音とともに振り下ろされる。

 

その一撃は獲物を逃がさぬ暴君の牙。

 

容赦なく《月光舞剣虎姫》へと食らいついた。

 

「く、くううう……っ!!」

 

小町 LP1400→400

 

《月光舞剣虎姫》は《究極伝導恐獣》の凶牙に飲み込まれ、そのまま墓地へと送られる。

 

「きゃあああっ!!」

 

効果による衝撃が小町の身体を貫き、さらに1000ポイントのダメージがライフを削り取る。

 

それでも――

 

「まだ……!」

 

小町は歯を食いしばり、倒れまいと踏ん張る。

 

ライフが一気に削られ、胸の鼓動が激しく鳴る。

 

それでも、その瞳から闘志は消えていなかった。

 

「ほおう……」

 

獅童は口元を吊り上げる。

 

「この状況で、まだそんな瞳をするのか……最高だな、お前!!」

 

小町は息を整えながら、まっすぐ獅童を見据えた。

 

「諦めの悪さは……お兄ちゃん譲りだよ ライフもデッキも、まだ残ってるからね」

 

その言葉に、獅童はニヤリと笑う。

 

「そうこなくっちゃな」

 

獰猛な笑みは、ますます深くなる。

 

「なら足掻いてみせろよ…… 俺はターンエンドだ」

 

6ターン目 神崎小町 LP400

 

手札は《月光彩雛》ただ1枚。

 

次のドローで……全てが決まる。

 

お願い……!

 

私のデッキ……!

 

力を────貸して!!!

 

小町はまるで鞘から剣を抜き放つように、勢いよくデッキからカードを引き抜く。

 

「ドローーー!!!!」

 

祈るような想いで、そのカードへ視線を落とす。

 

そして――

 

「……!」

 

思わず、小町の瞳が大きく見開かれた。

 

そこにあったのは……

 

今、この状況を覆すために最も欲しかった一枚だった。

 

「よし!! いくよ!! まずは墓地の《月光香》の効果発動! 《月光彩雛》を墓地へ送り、《月光翠鳥》を手札に加える!」

 

《月光彩雛》が淡い月光に包まれ、墓地へ送られる。

 

「さらに! 《月光彩雛》が効果で墓地へ送られたことにより、墓地の《融合》を手札に回収するよ!」

 

その一連の流れを見届けた雄輝が静かに口を開く。

 

「《月光彩雛》は、効果で墓地へ送られた場合、墓地の《融合》を手札に加えられる…

月光デッキの展開を支える重要なカードだ」

 

瑠奈は目を見開く。

 

「じゃあ小町は、また融合を……!? でも……」

 

雄輝は腕を組んだまま、フィールドへ視線を向ける。

 

「ああ……生半可な融合モンスターでは《究極伝導恐獣》は越えられない」

 

ふっと口元を緩める。

 

「さて、小町……お前は何を見せてくれる?」

 

小町は引き当てたカードを力強く掲げる。

 

「そして私は!!手札から魔法カード!《死者蘇生》を発動!!」

 

フィールドに神々しい光が降り注ぎ、一枚の魔法陣が展開される。

 

 

《死者蘇生》

 

通常魔法

 

効果

①:自分か相手の墓地のモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを自分フィールドに特殊召喚する。

 

 

瑠奈が思わず声を上げる。

 

「小町の引いたカードは《死者蘇生》!!

これで《月光舞獅子姫》が復活する!」

 

雄輝は静かに首を横へ振った。

 

「いや……」

 

その一言に瑠奈は息を呑む。

 

「《死者蘇生》で《月光舞獅子姫》を復活させるだけなら、わざわざ《融合》を回収する必要はない……」

 

雄輝の視線が、小町の手札へ向けられる。

 

「小町には、まだ何か別の狙いがあるはずだ」

 

瑠奈も思わずフィールドへ視線を戻す。

 

小町は一切迷うことなく、次のカードへと指を伸ばしていた。

 

雄輝はその姿を見つめ、静かに目を細める。

 

「……見せてみろ、小町」

 

小町は《死者蘇生》を高く掲げる。

 

「私は……《月光舞猫姫》を復活させる!!!」

 

神々しい光が墓地へ降り注ぐ。

 

その光に導かれるように、《月光舞猫姫》が再びフィールドへ舞い戻った。

 

その瞬間――

 

「なにぃ!?」

 

獅童の表情が一変する。

 

「《月光舞獅子姫》じゃないだとぉ!!?」

 

予想を覆す蘇生先。

 

誰もが最強の融合モンスターを呼び戻すと思っていた。

 

だが、小町が選んだのは、あえて《月光舞猫姫》だった。

 

フィールドを見つめる雄輝の口元に、小さな笑みが浮かぶ。

 

「……そういうことか」

 

小町の狙いに、雄輝だけが気付き始めていた

 

「そして!!《融合》を発動!!」

 

小町は回収した《融合》をデュエルディスクへ叩きつける。

 

「手札の《月光翠鳥》と、フィールドの《月光舞猫姫》を融合!!」

 

月光に包まれた二体の獣戦士族が宙へ舞い上がる。

 

蒼白い月光はやがて一つとなり、巨大な光の繭を形作る。

 

繭を切り裂くように、一頭の美しき豹が姿を現した。

 

「月光が闇を裂き、獲物を狩る豹となれ!

 

華麗なる舞で戦場を蹂躙せよ!

 

融合召喚!!

 

現れろ――

 

《月光舞豹姫》!!」

 

 

《月光舞豹姫》

 

レベル8/闇属性/獣戦士族/融合・効果

 

攻撃力:2800 守備力:2500

 

【融合素材】

《月光舞猫姫》+「ムーンライト」モンスター

 

効果

このカードは上記のカードを融合素材にした融合召喚でのみEXデッキから特殊召喚できる。

①:このカードは相手の効果では破壊されない。

②:1ターンに1度、自分メインフェイズ1に発動できる。このターン、相手モンスターはそれぞれ1度だけ戦闘では破壊されず、このカードは全ての相手モンスターに2回ずつ攻撃できる。

③:このカードが戦闘で相手モンスターを破壊した時に発動する。このカードの攻撃力はバトルフェイズ終了時まで200アップする。

 

 

新たな月光融合モンスターが、小町のフィールドへ舞い降りる。

 

《月光舞豹姫》

 

優雅な身のこなしとは裏腹に、その瞳には獲物を狩る獣の鋭さが宿っていた。

 

だが────

 

その攻撃力は2800。

 

《究極伝導恐獣》の3500には、遠く及ばない。

 

瑠奈が思わず息を呑む。

 

「そんな……

 

攻撃力が700も足りない……!」

 

獅童は勝ち誇ったように笑う。

 

「ハハッ!! せっかく新しい融合モンスターを出したってのに、それじゃ俺の《究極伝導恐獣》は倒せねぇぞ!!」

 

《月光舞豹姫》の攻撃力は2800。

 

《究極伝導恐獣》の3500には届かない。

 

フィールドに一瞬、静寂が訪れる。

 

その沈黙を破ったのは――

 

小町だった。

 

ふっ……

 

その口元が、わずかに吊り上がる。

 

「それは……どうかな?」

 

その一言に、獅童の笑みが止まる。

 

「……何?」

 

小町の瞳には、もう焦りはなかった。

 

勝負を決める一手は、すでに見えていた。

 

小町は静かに墓地へ視線を向ける。

 

「墓地の《月光舞剣虎姫》の効果発動!!」

 

デュエルディスクの墓地ゾーンから、《月光舞剣虎姫》が淡い月光となって舞い上がる。

 

「このカードを墓地から除外することにより!!」

 

光の粒子となった《月光舞剣虎姫》が、《月光舞豹姫》の身体へと吸い込まれていく。

 

「フィールドの《月光舞豹姫》の攻撃力を3000ポイントアップさせる!!」

 

その瞬間――

 

《月光舞豹姫》の全身から眩い月光が噴き上がる。

 

鋭い爪がさらに研ぎ澄まされ、獣の咆哮がデュエルフィールドを震わせた。

 

攻撃力 2800 → 5800!!

 

瑠奈は思わず叫ぶ。

 

「ご……5800!?」

 

獅童の目が大きく見開かれる。

 

「なっ……!?」

 

さっきまで余裕の笑みを浮かべていた表情は、驚愕へと変わっていた。

 

雄輝は腕を組んだまま、小さく笑う

 

「決まりだな……」

 

その一言には確信しかなかった。

 

小町の勝ち筋は、もう完成していた。

 

小町は力強く手を振り上げ、真っ直ぐ獅童を見据える。

 

「行くよ!!バトル!!

《月光舞豹姫》で《究極伝導恐獣》を攻撃!!」

 

月光をまとった《月光舞豹姫》が疾風のごとく駆け出す。

 

その背後には、除外された《月光舞剣虎姫》の幻影が重なる。

 

二つの舞が、一つとなる。

 

「月光剣豹乱舞(げっこうけんびょうらんぶ)!!!」

 

豹の鋭い爪と剣虎の剣閃が幾重にも重なり、月光の軌跡が《究極伝導恐獣》を切り裂いた。

 

獅童のライフが一気に削られる。

 

獅童LP2400→100

 

しかし──

 

《究極伝導恐獣》は倒れない。

 

瑠奈が目を見開く。

 

「えっ!?倒れてない!?」

 

雄輝が静かに説明する。

 

「《月光舞豹姫》の効果だ

このターン、相手モンスターはそれぞれ一度だけ戦闘では破壊されない。

だから《究極伝導恐獣》は、今の戦闘ではフィールドに残る」

 

獅童はライフ100となりながら笑う。

 

「ハハッ……!そういうことかよ!」

 

小町はまっすぐ《究極伝導恐獣》を見据える。

 

小町は再び右手を振り上げる。

 

「いくよ!!

 

ラストアタック!!

 

《月光舞豹姫》でもう一度攻撃!!

 

月光剣豹乱舞(げっこうけんびょうらんぶ)!!!」

 

《月光舞豹姫》が月光の軌跡を描きながら、再び大地を駆ける。

 

獅童はデュエルディスクへ視線を落とすことなく、真正面から《究極伝導恐獣》と共にその一撃を受け止める。

 

「さあ、こい!! 神崎小町!!お前の勝ちだ!!」

 

一度目の乱舞を耐え抜いた《究極伝導恐獣》へ、容赦ない二度目の連撃が襲いかかる。

 

鋭い爪が幾重にも閃き、巨体を切り裂く。

 

やがて《究極伝導恐獣》は咆哮を上げ、その姿は月光に包まれながら光の粒子となって消えていった。

 

「ぐあああああっ!!」

 

獅童 LP100 → 0

 

《究極伝導恐獣》がフィールドから姿を消す。

 

静寂が闘技場を包む。

 

一瞬遅れて――

 

『そこまで!!』

 

審判の力強い声が会場に響き渡る。

 

『勝者!!神崎小町!!』

 

その瞬間、会場は大きな歓声に包まれた。

 

「やったぁぁぁ!!」

 

瑠奈が思わず立ち上がり、満面の笑みを浮かべる。

 

雄輝は腕を組んだまま、小さく微笑んだ。

 

「……よくやった、小町」

 

小町は大きく息を吐き、《月光舞豹姫》を見つめる。

 

「ありがとう……みんな」

 

月光の戦士たちは静かに光となり、デュエルフィールドから消えていった。

 

獅童はその場に座り込み、しばらく天井を見上げる。

 

そして――

 

「……負けたぜ」

 

悔しさを滲ませながらも、その口元には笑みが浮かんでいた。

 

ゆっくりと立ち上がると、小町の前まで歩み寄る。

 

激しい闘志をむき出しにしていた表情はもうない。

 

そこにあったのは、心からデュエルを楽しんだ者だけが浮かべる、人懐っこい笑顔だった。

 

「強かったぜ! 神崎小町!最高におもしれぇデュエルだった!」

 

そう言って、小町へ右手を差し出す。

 

「またやろうぜ!次は負けねぇぞ!」

 

小町はその手をしっかりと握り返す。

 

「うん!また、やろう!次も負けないよ!」

 

互いに笑みを交わす二人。

 

激闘の果てに生まれたのは、勝者と敗者ではなく、互いを認め合う好敵手だった。

 

激闘の末、勝利を掴んだ小町。

 

その一勝は、彼女に確かな自信を与えた。

 

そして――

 

目標へ向かう、その歩みはまた一歩前へ進む。

 

神崎小町

 

中等部3学年ランキング──15位昇格。

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