遊☆戯☆王ーデュエルモンスターズー BattleCity 作:NONAME0195
4ターン目 神崎小町 LP1400
「私のターン……ドロー!」
デッキから引いたカードを見て、小町の口元がふっと緩む。
まだ負けていない……
いや――
ここから覆す!!
すぐさま手札から魔法カードを掲げた。
「まずは《強欲な壺》を発動!」
壺から眩い光が溢れ、デッキから二枚のカードが小町の手札へ加わる。
「二枚ドロー!」
⸻
《強欲な壺》
通常魔法
①:自分は2枚ドローする。
⸻
「さらに!手札の《月光黒羊》の効果を発動!」
小町は手札から一枚のカードを墓地へ送る。
⸻
《月光黒羊》
レベル2/闇属性/獣戦士族/効果
ATK100/DEF600
①: このカードを手札から捨て、以下の効果から1つを選択して発動できる。
●自分の墓地から「月光黒羊」以外の「ムーンライト」モンスター1体を手札に加える。
●デッキから《融合》1枚を手札に加える。
②: このカードが融合召喚の素材となって墓地へ送られた場合に発動できる。自分のEXデッキ(表側)・墓地から「月光黒羊」以外の「ムーンライト」モンスター1体を手札に加える。
⸻
「私はデッキから《融合》を手札に加えるよ!」
「いいねぇ……」
獅童の口元が大きく吊り上がる。
「お前最高だよ!」
その瞳は獲物を見つけた猛獣のように輝いていた。
「とことん戦りあおうぜ!!」
獅童の笑みはさらに深くなる。
その闘志に応えるように、小町もまた次のカードを掲げた。
「さらに魔法カード《月光香》を発動!!」
⸻
《月光香》
通常魔法
①: 自分の墓地の「ムーンライト」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。
②: 墓地のこのカードを除外し、手札を1枚捨てて発動できる。デッキから「ムーンライト」モンスター1体を手札に加える。
⸻
「《月光黒羊》を攻撃表示で墓地から復活!!」
墓地を照らす月光が静かに降り注ぐ。
淡い光の中から、一頭の黒羊が軽やかに跳び上がり、小町のフィールドへ舞い戻った。
「そして!!」
小町は迷いなく《融合》を掲げる。
「《融合》発動!!」
フィールドの《月光舞猫姫》。
《月光蒼猫》。
《月光黒羊》。
三体の月光モンスターが銀色の光へと包まれ、月夜の原野を思わせる幻想的な輝きの中で一つになっていく。
小町は高らかに宣言した。
「月光の原野の頂点に立って舞う百獣の王よ!
月明かりに舞う獣たちよ!
月の引力により渦巻きて、新たなる力と生まれ変わらん!」
銀色の渦が弾ける。
神々しい月光がフィールドを照らし、小町の声が響き渡った。
「融合召喚! 現れ出でよ! 華麗なる剣を振るう美しき獣――《月光舞剣虎姫》!!」
銀色の月光を切り裂くように、金色の輝きが迸る。
その光の中から現れたのは、二本の剣を携えた気高き舞姫。
《月光舞剣虎姫》
小町最大の切り札が、ついにフィールドへ降臨する。
⸻
《月光舞剣虎姫》
レベル9/闇属性/獣戦士族/融合
ATK3000/DEF2600
「ムーンライト」モンスター×3
効果
①:このカードの攻撃力は、お互いの墓地・除外状態の獣戦士族モンスターの数×200アップする。
②:相手はフィールドのこのカードを効果の対象にできない。
③:このターンに墓地へ送られていないこのカードを墓地から除外し、自分フィールドの融合モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターの攻撃力はターン終了時まで3000アップする。
⸻
「小町も切り札を召喚した!!」
瑠奈が思わず歓声を上げる。
《ブラック・ティラノ》。
《月光舞剣虎姫》。
互いの切り札がフィールドで睨み合う。
その様子を静かに見つめていた雄輝は、小さく笑みを浮かべた。
「まるで……ノーガードで殴り合ってるみたいだな」
攻めることを恐れない獅童。
迎え撃つことを選んだ小町。
守るよりも、一歩前へ。
互いの覚悟が真正面からぶつかり合う。
そんなデュエルだった。
小町は力強く前へ踏み出す。
「墓地の獣戦士族は4体!
舞剣虎姫の効果で攻撃力アップ!!」
月光を浴びた舞剣虎姫の闘気がさらに膨れ上がる。
墓地に眠る獣戦士たちの力が舞剣虎姫へ集い、その黄金の輝きは一層強さを増していく。
ATK3000 → ATK3800
「バトル!!」
小町は右手を大きく振り下ろした。
「《月光舞剣虎姫》で《ブラック・ティラノ》に攻撃!! 『月光円舞刃』!!」
舞剣虎姫が二本の剣を交差させる。
黄金の刃が月光をまとい、美しい円を描きながら駆け抜ける。
《ブラック・ティラノ》を切り裂き、その衝撃は獅童のライフをも貫いた。
「ぐぉおおおっ!!」
次の瞬間。
鋭い斬撃が《ブラック・ティラノ》の巨体を十字に切り裂く。
恐竜は断末魔を上げながら光の粒子となって砕け散った。
獅童 LP 3600 → 2400
「私はターンを終了するよ」
小町の怒涛の攻撃によって、《ブラック・ティラノ》は打ち倒された。
──それでも。
獅童の瞳から闘志は消えていない。
むしろ、その炎はさらに激しく燃え上がっていた。
「俺の手札に逆転のカードはねぇ……」
獅童は拳を握り締め、不敵に笑う。
「だが、まだ終わりじゃねぇぞ!!」
第5ターン 獅童烈斗 LP2400
獅童はデッキから勢いよくカードを引き抜く。
「俺のターン!! ドロオオオ!!」
引いたカードを見た瞬間――
獅童の口元が大きく吊り上がった。
獰猛な笑み。
まるで待ち望んでいた獲物を見つけた猛獣のようだった。
「きたぜぇぇ!! 俺の切り札ァァ!!」
そして、獅童は最後の切り札を高く掲げる。
「墓地の《瞬足のギラザウルス》と《メガロスマッシャーX》を除外!!!」
二体の恐竜族モンスターは光となって墓地から舞い上がる。
その光は一つに溶け合い、凶悪な咆哮とともに巨大な怪物の輪郭を形作っていく。
獅童は雄叫びを上げた。
「進化の果て!
絶滅をも超越した破滅の帝王よ!
暴虐の足音で大地を割れ!!!
《究極伝導恐獣(アルティメット・コンダクター・ティラノ)》を特殊召喚!!!」
轟音とともに大地が砕け散る。
黒煙の中から姿を現したのは、あらゆる恐竜を凌駕する究極の捕食者。
黄金の双眸が小町を鋭く射抜き、凄まじい咆哮がデュエルフィールドを震わせた。
⸻
《究極伝導恐獣(アルティメット・コンダクター・ティラノ)》
レベル10/光属性/恐竜族/特殊召喚/効果
ATK3500/DEF3200
効果
このカードは通常召喚できない。
自分の墓地の恐竜族モンスター2体を除外した場合に特殊召喚できる。
①:1ターンに1度、自分・相手のメインフェイズに、自分の手札・フィールドのモンスター1体を破壊して発動できる。相手フィールドの表側表示モンスターを全て裏側守備表示にする。
②:このカードは相手モンスター全てに1回ずつ攻撃できる。
③:このカードが守備表示モンスターを攻撃したダメージステップ開始時、相手に1000ダメージを与え、その守備表示モンスターを墓地へ送る。
⸻
墓地から蘇った二頭の恐竜の魂が紫黒い渦となって融合する。
その中心から姿を現したのは、進化の極致に到達した破滅の帝王。
禍々しい紫の闘気をまとった《究極伝導恐獣》が、大地を揺るがす咆哮を轟かせた。
その姿を見た瑠奈は思わず息を呑む。
「な……なに……このモンスターは?」
圧倒的な威圧感。
フィールド全体が、その一体に支配されたかのようだった。
その様子を見つめる雄輝も、静かに目を見開く。
土壇場で切り札を引き当てるとは……。
「すごい引きだな……」
雄輝は小さく呟いた。
「獅童の勝負強さは、本物だ」
その威圧感に、小町は思わず息を呑む。
それでも――
私の《月光舞剣虎姫》の攻撃力は3800。
《究極伝導恐獣》は3500。
まだ……私の方が上っ――
「まだ、攻撃力は《月光舞剣虎姫》の方が上とか思ってるなら――」
獅童の口元が大きく吊り上がる。
「あめぇぞ!! 神崎小町!!」
獅童が獣のように吠えた。
「《究極伝導恐獣》の効果発動!!
手札の《キラーザウルス》を破壊することにより!!
お前のモンスターを裏側守備表示に変えるぜ!!」
《キラーザウルス》が砕け散ると同時に、《究極伝導恐獣》から紫黒い衝撃波が放たれる。
「きゃっ!」
《月光舞剣虎姫》はその力に飲み込まれ、強制的に裏側守備表示へと変えられてしまう。
華麗に舞っていた剣は静まり、その攻撃態勢は完全に崩された。
「いくぜぇ! バトルだ!!
《究極伝導恐獣》で裏側守備表示となった《月光舞剣虎姫》に攻撃ぃ!!」
巨大な怪物の牙が、地鳴りを上げながら襲いかかる。
「さらに効果発動だ!!
相手に1000ダメージを与え、その守備表示モンスターを墓地へ送るぜ!!!」
……しまった!?
私の伏せカードは《月光輪廻舞踊》!
モンスターが破壊されなければ発動できない……!!
舞剣虎姫は巨大な牙に飲み込まれ、そのまま墓地へ送られてしまう。
「くぅ……!」
「《究極伝導恐獣》の効果は破壊じゃない。
墓地へ送る効果だ」
雄輝は苦い表情でフィールドを見つめる。
「つまり、破壊されることで真価を発揮する月光デッキとは……相性が最悪なんだ」
瑠奈は思わず息を呑んだ。
「そんな……」
獅童は拳を突き出し、雄叫びを上げた。
「くらえぇぇぇ!!
終焉覇王咬(しゅうえんはおうこう)!!!」
《究極伝導恐獣》の巨顎が轟音とともに振り下ろされる。
その一撃は獲物を逃がさぬ暴君の牙。
容赦なく《月光舞剣虎姫》へと食らいついた。
「く、くううう……っ!!」
小町 LP1400→400
《月光舞剣虎姫》は《究極伝導恐獣》の凶牙に飲み込まれ、そのまま墓地へと送られる。
「きゃあああっ!!」
効果による衝撃が小町の身体を貫き、さらに1000ポイントのダメージがライフを削り取る。
それでも――
「まだ……!」
小町は歯を食いしばり、倒れまいと踏ん張る。
ライフが一気に削られ、胸の鼓動が激しく鳴る。
それでも、その瞳から闘志は消えていなかった。
「ほおう……」
獅童は口元を吊り上げる。
「この状況で、まだそんな瞳をするのか……最高だな、お前!!」
小町は息を整えながら、まっすぐ獅童を見据えた。
「諦めの悪さは……お兄ちゃん譲りだよ ライフもデッキも、まだ残ってるからね」
その言葉に、獅童はニヤリと笑う。
「そうこなくっちゃな」
獰猛な笑みは、ますます深くなる。
「なら足掻いてみせろよ…… 俺はターンエンドだ」
6ターン目 神崎小町 LP400
手札は《月光彩雛》ただ1枚。
次のドローで……全てが決まる。
お願い……!
私のデッキ……!
力を────貸して!!!
小町はまるで鞘から剣を抜き放つように、勢いよくデッキからカードを引き抜く。
「ドローーー!!!!」
祈るような想いで、そのカードへ視線を落とす。
そして――
「……!」
思わず、小町の瞳が大きく見開かれた。
そこにあったのは……
今、この状況を覆すために最も欲しかった一枚だった。
「よし!! いくよ!! まずは墓地の《月光香》の効果発動! 《月光彩雛》を墓地へ送り、《月光翠鳥》を手札に加える!」
《月光彩雛》が淡い月光に包まれ、墓地へ送られる。
「さらに! 《月光彩雛》が効果で墓地へ送られたことにより、墓地の《融合》を手札に回収するよ!」
その一連の流れを見届けた雄輝が静かに口を開く。
「《月光彩雛》は、効果で墓地へ送られた場合、墓地の《融合》を手札に加えられる…
月光デッキの展開を支える重要なカードだ」
瑠奈は目を見開く。
「じゃあ小町は、また融合を……!? でも……」
雄輝は腕を組んだまま、フィールドへ視線を向ける。
「ああ……生半可な融合モンスターでは《究極伝導恐獣》は越えられない」
ふっと口元を緩める。
「さて、小町……お前は何を見せてくれる?」
小町は引き当てたカードを力強く掲げる。
「そして私は!!手札から魔法カード!《死者蘇生》を発動!!」
フィールドに神々しい光が降り注ぎ、一枚の魔法陣が展開される。
⸻
《死者蘇生》
通常魔法
効果
①:自分か相手の墓地のモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを自分フィールドに特殊召喚する。
⸻
瑠奈が思わず声を上げる。
「小町の引いたカードは《死者蘇生》!!
これで《月光舞獅子姫》が復活する!」
雄輝は静かに首を横へ振った。
「いや……」
その一言に瑠奈は息を呑む。
「《死者蘇生》で《月光舞獅子姫》を復活させるだけなら、わざわざ《融合》を回収する必要はない……」
雄輝の視線が、小町の手札へ向けられる。
「小町には、まだ何か別の狙いがあるはずだ」
瑠奈も思わずフィールドへ視線を戻す。
小町は一切迷うことなく、次のカードへと指を伸ばしていた。
雄輝はその姿を見つめ、静かに目を細める。
「……見せてみろ、小町」
小町は《死者蘇生》を高く掲げる。
「私は……《月光舞猫姫》を復活させる!!!」
神々しい光が墓地へ降り注ぐ。
その光に導かれるように、《月光舞猫姫》が再びフィールドへ舞い戻った。
その瞬間――
「なにぃ!?」
獅童の表情が一変する。
「《月光舞獅子姫》じゃないだとぉ!!?」
予想を覆す蘇生先。
誰もが最強の融合モンスターを呼び戻すと思っていた。
だが、小町が選んだのは、あえて《月光舞猫姫》だった。
フィールドを見つめる雄輝の口元に、小さな笑みが浮かぶ。
「……そういうことか」
小町の狙いに、雄輝だけが気付き始めていた
「そして!!《融合》を発動!!」
小町は回収した《融合》をデュエルディスクへ叩きつける。
「手札の《月光翠鳥》と、フィールドの《月光舞猫姫》を融合!!」
月光に包まれた二体の獣戦士族が宙へ舞い上がる。
蒼白い月光はやがて一つとなり、巨大な光の繭を形作る。
繭を切り裂くように、一頭の美しき豹が姿を現した。
「月光が闇を裂き、獲物を狩る豹となれ!
華麗なる舞で戦場を蹂躙せよ!
融合召喚!!
現れろ――
《月光舞豹姫》!!」
⸻
《月光舞豹姫》
レベル8/闇属性/獣戦士族/融合・効果
攻撃力:2800 守備力:2500
【融合素材】
《月光舞猫姫》+「ムーンライト」モンスター
効果
このカードは上記のカードを融合素材にした融合召喚でのみEXデッキから特殊召喚できる。
①:このカードは相手の効果では破壊されない。
②:1ターンに1度、自分メインフェイズ1に発動できる。このターン、相手モンスターはそれぞれ1度だけ戦闘では破壊されず、このカードは全ての相手モンスターに2回ずつ攻撃できる。
③:このカードが戦闘で相手モンスターを破壊した時に発動する。このカードの攻撃力はバトルフェイズ終了時まで200アップする。
⸻
新たな月光融合モンスターが、小町のフィールドへ舞い降りる。
《月光舞豹姫》
優雅な身のこなしとは裏腹に、その瞳には獲物を狩る獣の鋭さが宿っていた。
だが────
その攻撃力は2800。
《究極伝導恐獣》の3500には、遠く及ばない。
瑠奈が思わず息を呑む。
「そんな……
攻撃力が700も足りない……!」
獅童は勝ち誇ったように笑う。
「ハハッ!! せっかく新しい融合モンスターを出したってのに、それじゃ俺の《究極伝導恐獣》は倒せねぇぞ!!」
《月光舞豹姫》の攻撃力は2800。
《究極伝導恐獣》の3500には届かない。
フィールドに一瞬、静寂が訪れる。
その沈黙を破ったのは――
小町だった。
ふっ……
その口元が、わずかに吊り上がる。
「それは……どうかな?」
その一言に、獅童の笑みが止まる。
「……何?」
小町の瞳には、もう焦りはなかった。
勝負を決める一手は、すでに見えていた。
小町は静かに墓地へ視線を向ける。
「墓地の《月光舞剣虎姫》の効果発動!!」
デュエルディスクの墓地ゾーンから、《月光舞剣虎姫》が淡い月光となって舞い上がる。
「このカードを墓地から除外することにより!!」
光の粒子となった《月光舞剣虎姫》が、《月光舞豹姫》の身体へと吸い込まれていく。
「フィールドの《月光舞豹姫》の攻撃力を3000ポイントアップさせる!!」
その瞬間――
《月光舞豹姫》の全身から眩い月光が噴き上がる。
鋭い爪がさらに研ぎ澄まされ、獣の咆哮がデュエルフィールドを震わせた。
攻撃力 2800 → 5800!!
瑠奈は思わず叫ぶ。
「ご……5800!?」
獅童の目が大きく見開かれる。
「なっ……!?」
さっきまで余裕の笑みを浮かべていた表情は、驚愕へと変わっていた。
雄輝は腕を組んだまま、小さく笑う
「決まりだな……」
その一言には確信しかなかった。
小町の勝ち筋は、もう完成していた。
小町は力強く手を振り上げ、真っ直ぐ獅童を見据える。
「行くよ!!バトル!!
《月光舞豹姫》で《究極伝導恐獣》を攻撃!!」
月光をまとった《月光舞豹姫》が疾風のごとく駆け出す。
その背後には、除外された《月光舞剣虎姫》の幻影が重なる。
二つの舞が、一つとなる。
「月光剣豹乱舞(げっこうけんびょうらんぶ)!!!」
豹の鋭い爪と剣虎の剣閃が幾重にも重なり、月光の軌跡が《究極伝導恐獣》を切り裂いた。
獅童のライフが一気に削られる。
獅童LP2400→100
しかし──
《究極伝導恐獣》は倒れない。
瑠奈が目を見開く。
「えっ!?倒れてない!?」
雄輝が静かに説明する。
「《月光舞豹姫》の効果だ
このターン、相手モンスターはそれぞれ一度だけ戦闘では破壊されない。
だから《究極伝導恐獣》は、今の戦闘ではフィールドに残る」
獅童はライフ100となりながら笑う。
「ハハッ……!そういうことかよ!」
小町はまっすぐ《究極伝導恐獣》を見据える。
小町は再び右手を振り上げる。
「いくよ!!
ラストアタック!!
《月光舞豹姫》でもう一度攻撃!!
月光剣豹乱舞(げっこうけんびょうらんぶ)!!!」
《月光舞豹姫》が月光の軌跡を描きながら、再び大地を駆ける。
獅童はデュエルディスクへ視線を落とすことなく、真正面から《究極伝導恐獣》と共にその一撃を受け止める。
「さあ、こい!! 神崎小町!!お前の勝ちだ!!」
一度目の乱舞を耐え抜いた《究極伝導恐獣》へ、容赦ない二度目の連撃が襲いかかる。
鋭い爪が幾重にも閃き、巨体を切り裂く。
やがて《究極伝導恐獣》は咆哮を上げ、その姿は月光に包まれながら光の粒子となって消えていった。
「ぐあああああっ!!」
獅童 LP100 → 0
《究極伝導恐獣》がフィールドから姿を消す。
静寂が闘技場を包む。
一瞬遅れて――
『そこまで!!』
審判の力強い声が会場に響き渡る。
『勝者!!神崎小町!!』
その瞬間、会場は大きな歓声に包まれた。
「やったぁぁぁ!!」
瑠奈が思わず立ち上がり、満面の笑みを浮かべる。
雄輝は腕を組んだまま、小さく微笑んだ。
「……よくやった、小町」
小町は大きく息を吐き、《月光舞豹姫》を見つめる。
「ありがとう……みんな」
月光の戦士たちは静かに光となり、デュエルフィールドから消えていった。
獅童はその場に座り込み、しばらく天井を見上げる。
そして――
「……負けたぜ」
悔しさを滲ませながらも、その口元には笑みが浮かんでいた。
ゆっくりと立ち上がると、小町の前まで歩み寄る。
激しい闘志をむき出しにしていた表情はもうない。
そこにあったのは、心からデュエルを楽しんだ者だけが浮かべる、人懐っこい笑顔だった。
「強かったぜ! 神崎小町!最高におもしれぇデュエルだった!」
そう言って、小町へ右手を差し出す。
「またやろうぜ!次は負けねぇぞ!」
小町はその手をしっかりと握り返す。
「うん!また、やろう!次も負けないよ!」
互いに笑みを交わす二人。
激闘の果てに生まれたのは、勝者と敗者ではなく、互いを認め合う好敵手だった。
激闘の末、勝利を掴んだ小町。
その一勝は、彼女に確かな自信を与えた。
そして――
目標へ向かう、その歩みはまた一歩前へ進む。
神崎小町
中等部3学年ランキング──15位昇格。