遊☆戯☆王ーデュエルモンスターズー BattleCity   作:NONAME0195

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第16話 試される強さ 前編

ヤツらをぶちのめす。

 

そう誓った俺を、シルヴィは静かに見つめていた。

 

その瞳に浮かんでいたのは、迷いでも不安でもない。

 

俺の覚悟を測るような、真剣な眼差しだった。

 

やがて、小さく口を開く。

 

「ユウ……」

 

一拍置き、静かに問いかける。

 

「今のあなたは、あの頃のユウなの?」

 

その問いの意味が、すぐには分からなかった。

 

「……どういう意味だ?」

 

シルヴィは俺から目を逸らさない。

 

「ユウ……実戦を離れて、どれくらいだった?」

 

その言葉で、シルヴィが何を確かめようとしているのか理解した。

 

「もし今のあなたが、あの頃より弱くなっているなら、この件はワタシが引き受ける

あなたの代わりに戦うわ」

 

確かに俺は、ガチのデュエルからはしばらく離れている。

 

だが、それでも……

 

「俺は俺だ……弱くなってなんかいない」

 

それだけは、断言できる。

 

シルヴィは小さく頷いた。

 

「……分かった」

 

その表情は変わらない。

 

「なら明日、ワタシとデュエルしましょう

あなたの言葉が本当か、この目で確かめるわ」

 

◇◇◇

 

「ふあ〜……」

 

眠い……

 

せっかくの夏休みなのに、いつも通りに起きちゃったなあ

 

そういえば昨日、お兄ちゃん帰ってきたのかな?

 

私が寝る頃には、まだ帰ってきてなかったけど……

 

……まさか、朝帰り!?

 

一瞬そう思ったけど、すぐに首を振る。

 

……ないな

 

お兄ちゃんだし

 

眠い目をこすりながらリビングへ向かう。

 

ドアを開けた瞬間、焼きたての朝食の香りがふわりと広がった。

 

「……いい匂い」

 

だが、そこには――

 

エプロン姿で朝食を作るお兄ちゃん。

 

そして、その隣ではシルヴィアさんが優雅に朝食を食べていた。

 

…………え?

 

いや、え?

 

なんで?

 

「おー、おはよう小町

コーヒーとココア、どっちがいい?」

 

お兄ちゃんは、まるで何事もないかのようにいつも通り聞いてくる。

 

「あっ、ココアで……」

 

反射的に答えかけて――

 

「……って違う!!なんでシルヴィアさんが普通に朝ごはん食べてるの!?」

 

「なんでって……昨日泊まったからな」

 

いやいやいや!

 

お兄ちゃん!?

 

なんで普通なの!?

 

そんな当たり前みたいに言われても!?

 

「しばらくよろしくねえ、小町ちゃん♪」

 

シルヴィアさんは、にこにこと手を振る。

 

「よろしくじゃなーーーい!!」

 

そんな私の叫びを、お兄ちゃんは完全にスルーした。

 

「シルヴィ……なんで小町のこと知ってたんだ?」

 

「何言ってるのよ?」

 

シルヴィアさんは、きょとんとした顔で首をかしげる。

 

「ユウがことあるごとに妹自慢してたからじゃない♪」

 

「……ソンナコトシテナイヨ」

 

目が泳いでる。

 

めちゃくちゃ泳いでる。

 

……あ、これ図星だ。

 

「ごほん」

 

お兄ちゃんはわざとらしく咳払いを一つ。

 

「さて、小町。

俺とシルヴィはこれからデュエルしてくるわ」

 

……。

 

…………。

 

なんかサラッとすごいこと言ってない?

 

「えっ!? ホントに!?」

 

眠気なんて一瞬で吹き飛んだ。

 

「見たい見たい! 絶対見たい!」

 

お兄ちゃんは少し笑う。

 

「なら早く準備しろ」

 

「うん!」

 

返事をすると同時に回れ右。

 

私は自分の部屋へ全力疾走した。

 

◇◇◇

 

「やれやれ……」

 

元気よく走っていく小町の背中を見送り、思わず苦笑する。

 

朝から元気なやつだ。

 

すると、隣からシルヴィが静かに口を開いた。

 

「あのことは、小町ちゃんたちには伝えるの?」

 

「ああ」

 

少しだけ間を置く。

 

「あいつらは、こんなこと知らなくていいさ」

 

俺は立ち上がり、食器を片付け始める。

 

「さて」

 

シルヴィも立ち上がった。

 

「約束通り、デュエルしましょうか」

 

「ああ」

 

俺は時計へ目を向ける。

 

「場所はデュエルアカデミアのデュエルフィールドでいいな?」

 

「もちろん」

 

◇◇◇

 

夏休みのデュエルアカデミア。

 

普段は生徒たちの声で賑わう校舎も、今は静けさに包まれていた。

 

そんな中、俺たちは中央デュエルフィールドへと足を運ぶ。

 

澄み切った青空。

 

照りつける夏の日差し。

 

フィールドに吹き抜ける風だけが、静かに二人を迎えていた。

 

少し遅れて、小町たちも姿を現す。

 

「間に合ったー!」

 

息を弾ませながら、小町が勢いよく手を振る。

 

「危ない危ない! デュエル始まっちゃうかと思った!」

 

「もう少し落ち着きなさいよ……」

 

隣では瑠奈が苦笑し、その後ろでは黒機が腕を組んでフィールドを見据えていた。

 

「先生のデュエルか……」

 

その声には、期待がにじんでいた。

 

私たちは観客席へ腰を下ろす。

 

目の前に立つ二人。

 

世界ランキング十五位、シルヴィア・エミリー・カーター。

 

そして――

 

私のお兄ちゃん。

 

「ユウと最後に戦ったのは1年前かな」

 

シルヴィが周囲を見渡し、小さく笑う。

 

「ああ」

 

俺はデュエルディスクを腕へ装着する。

 

カチッ。

 

起動音が静寂に響いた。

 

シルヴィも静かにディスクを展開する。

 

その表情から、先ほどまでの柔らかな笑みは消えていた。

 

今、目の前にいるのはモデルでも旧友でもない。

 

世界ランキング十五位のデュエリストだ。

 

俺も自然と息を整える。

 

久しぶりの実戦。

 

それでも、不思議と緊張はなかった。

 

「シルヴィ……準備はいいな?」

 

「ええ……いつでも」

 

「「デュエル!!」」

 

1ターン目 シルヴィア LP4000

 

「私のターン! ドロー!」

 

さて、ユウ……

 

今のあなたを見定めさせてもらうよ。

 

「《D-HERO ダイヤモンドガイ》を通常召喚!」

 

────

 

《D-HERO ダイヤモンドガイ》

 

闇属性

 

レベル4

 

【戦士族/効果】

 

ATK1400/DEF1600

 

①:1ターンに1度、自分メインフェイズに発動できる。自分のデッキの一番上のカードをめくり、それが通常魔法カードだった場合、そのカードを墓地へ送る。違った場合、そのカードをデッキの一番下に戻す。この効果で通常魔法カードを墓地へ送った場合、次の自分ターンのメインフェイズに墓地のその通常魔法カードの発動時の効果を発動できる。

 

────

 

シルヴィは静かにデッキへ手を伸ばした。

 

「《D-HERO ダイヤモンドガイ》の効果を発動」

 

デッキトップのカードをゆっくりとめくる。

 

現れたのは――

 

《おろかな埋葬》。

 

シルヴィの口元に、わずかな笑みが浮かぶ。

 

「通常魔法ね」

 

カードをそのまま墓地へ送る。

 

「これで次の私のメインフェイズ、この《おろかな埋葬》の効果を発動できる」

 

続けて、一枚のカードをフィールドへ掲げる。

 

「フィールド魔法《幽獄の時計塔》発動!」

 

カードが輝いた瞬間、巨大な時計塔がフィールド中央に姿を現す。

 

まるでロンドンの街並みにそびえ立つような古い時計塔。

 

鐘の音が静かに響き渡り、フィールド一帯を闇夜へと染め上げていく。

 

────

 

《幽獄の時計塔》

 

フィールド魔法

 

相手ターンのスタンバイフェイズ時に時計カウンターを1個置く。

 

時計カウンターが4個以上ある間、このカードのコントローラーは戦闘ダメージを受けない。

 

時計カウンターが4個以上乗ったこのカードが破壊され墓地へ送られた時、手札またはデッキから《D-HERO ドレッドガイ》1体を特殊召喚する。

 

────

 

さらにカードを一枚伏せる。

 

「これでターンエンド」

 

シルヴィは静かに雄輝を見つめる。

 

「さあ、ユウ――あなたのターンよ」

 

◇◇◇

 

「えっ……!?」

 

思わず声が漏れた。

 

「シルヴィアさんのデッキもヒーローなの!?」

 

「その反応……知らなかったのか」

 

腕を組んだ黒機が、静かに口を開く。

 

「先生が使うのは《E・HERO》――エレメンタル・ヒーロー」

 

黒機の視線がフィールドへ向く。

 

「対して、あっちが使うのは《D-HERO》――デステニー・ヒーローだ」

 

一度言葉を切り、小さく息をつく。

 

「どっちも”HERO”だが、戦い方はまるで違う

《E・HERO》は融合を軸に戦う正統派

《D-HERO》は墓地利用や展開力に長けた、トリッキーなデッキだ」

 

「HERO対HEROのデュエル……」

 

瑠奈がぽつりと呟く。

 

黒機は静かに頷いた。

 

「ああ……同じ名を持つ二つのデッキのぶつかり合いってわけだ」

 

2ターン目 雄輝 LP4000

 

「俺のターン! ドロー!!」

 

スタンバイフェイズ。

 

《幽獄の時計塔》の効果により、時計塔へ時計カウンターが1つ置かれる。

 

カチッ……

 

時計塔に最初の時計カウンターが刻まれる。

 

時計カウンター:1

 

……D-HEROは墓地を利用しながら戦うデッキ。

 

時間をかければかけるほど、あいつのペースになっていく。

 

……ならば!!

 

勝負は序盤から仕掛ける!

 

「《融合》を発動! 手札の《E・HERO バーストレディ》と《E・HERO フェザーマン》を融合!」

 

炎が渦巻き、疾風が吹き荒れる。

 

二人のHEROは一つとなり、新たな英雄が姿を現す。

 

「現れろ! 《E・HERO フレイム・ウィングマン》!!」

 

炎の翼を広げ、風をまとったHEROが雄々しくフィールドへ降り立った。

 

────

 

《E・HERO フレイム・ウィングマン》

 

風属性

 

レベル6

 

【戦士族/融合/効果】

 

ATK2100/DEF1200

 

「E・HERO フェザーマン」+「E・HERO バーストレディ」

 

このカードは融合召喚でしか特殊召喚できない。

 

①:このカードが戦闘でモンスターを破壊し墓地へ送った場合に発動する。そのモンスターの元々の攻撃力分のダメージを相手に与える。

 

────

 

フレイム・ウィングマンが大きく翼を広げる。

 

炎がその全身を包み込み、灼熱の熱風がフィールドを駆け抜けた。

 

「バトル!!」

 

右手を前へ突き出す。

 

「《E・HERO フレイム・ウィングマン》で《D-HERO ダイヤモンドガイ》に攻撃!

フレイム・シュート!!」

 

炎をまとった蹴りが《D-HERO ダイヤモンドガイ》を貫く。

 

ダイヤモンドガイは一瞬で光の粒子となり、フィールドから消滅した。

 

「くっ……!」

 

シルヴィは戦闘ダメージを受け、小さく表情を歪める。

 

そして――

 

「《E・HERO フレイム・ウィングマン》の効果!」

 

フレイム・ウィングマンの右腕に炎が渦巻く。

 

「戦闘で破壊したモンスターの元々の攻撃力分のダメージを与える!」

 

放たれた炎の衝撃波がシルヴィを直撃した。

 

シルヴィア LP4000 → 1900

 

フレイム・ウィングマンが雄輝の前へ降り立つ。

 

「カードを一枚伏せる」

 

静かにカードをセットし、シルヴィを見据える。

 

「ターンエンドだ」

 

◇◇◇

 

「いきなり、お兄ちゃんが融合!?」

 

フレイム・ウィングマンの姿を見つめたまま、思わず声が漏れた。

 

「序盤から、いきなり融合モンスターを出すの!?」

 

瑠奈も驚いたように目を見開いた。

 

「いや……これでいい」

 

腕を組んだまま、黒機が静かに口を開く。

 

「相手は《D-HERO》だ…

墓地を利用してアドバンテージを稼ぐデッキ」

 

視線はフィールドから離さない。

 

「時間を与えれば与えるほど、シルヴィアさんのペースになる」

 

一拍置き、黒機は静かに頷く。

 

「だからこそ、リソースが揃う前に攻め込んだ

先生の判断は正しい……と思う」

 

◇◇◇

 

3ターン目 シルヴィア LP1900

 

「私のターン! ドロー!」

 

……さすがユウ。

 

《D-HERO》の特性を理解して、序盤から融合モンスターで攻めてきた。

 

でも――

 

それだけで攻め切れるほど、ワタシは甘くない!

 

「前のターン、《D-HERO ダイヤモンドガイ》の効果で墓地へ送った《おろかな埋葬》の効果を発動」

 

────

 

《おろかな埋葬》

 

通常魔法

 

①:デッキからモンスター1体を墓地へ送る。

 

────

 

「デッキから《D-HERO ディアボリックガイ》を墓地へ送る」

 

墓地へ送られた《D-HERO ディアボリックガイ》を確認すると、間髪入れず次のカードを掲げる。

 

「さらに、《デステニー・ドロー》発動!」

 

手札の《D-HERO ドリームガイ》を墓地へ送り、二枚のカードを引き抜く。

 

────

 

《デステニー・ドロー》

 

通常魔法

 

①:手札から「D-HERO」カード1枚を捨てて発動できる。自分はデッキから2枚ドローする。

 

────

 

そして――

 

ここから攻める!!

 

「《D-HERO ドリルガイ》を通常召喚!」

 

甲高い駆動音を響かせながら、両腕に巨大なドリルを備えたHEROがフィールドへ姿を現す。

 

────

 

デステニーヒーロー ドリルガイ

 

《D-HERO ドリルガイ》

 

闇属性

 

レベル4

 

【戦士族/効果】

 

ATK1600/DEF1200

 

①:「D-HERO ドリルガイ」の①の効果は1ターンに1度しか使用できない。このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。このカードの攻撃力以下の攻撃力を持つ「D-HERO」モンスター1体を手札から特殊召喚する。

 

②:このカードが守備表示モンスターを攻撃した場合、その守備力を攻撃力が超えた分だけ戦闘ダメージを与える。

 

────

 

ドリルガイの足元から立ち上る黒い光が、人影を形作っていく。

 

「《D-HERO ドリルガイ》の効果を発動! 手札から《D-HERO ディシジョンガイ》を特殊召喚!」

 

────

 

デステニーヒーロー ディシジョンガイ

 

《D-HERO ディシジョンガイ》

 

闇属性

 

レベル4

 

【戦士族/効果】

 

ATK1600/DEF1000

 

①:「D-HERO ディシジョンガイ」の①③の効果はそれぞれデュエル中に1度しか使用できない。このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。このターンのエンドフェイズに、自分の墓地の「HERO」モンスター1体を選んで手札に加える。

 

②:レベル6以上の相手モンスターはこのカードを攻撃対象に選択できない。

 

③:このカードが墓地に存在し、自分にダメージを与える魔法・罠・モンスターの効果が発動した時に発動する。このカードを手札に戻し、その効果で自分が受けるダメージを0にする。

 

────

 

……ユウ。

 

悪いけど、

フレイム・ウィングマンには退場してもらうわ。

 

「魔法カード発動!《融合解除》!!」

 

「なっ!?」

 

《E・HERO フレイム・ウィングマン》が眩い光に包まれる。

 

炎の翼は霧散し、その巨体は光の粒子となってエクストラデッキへと還っていく。

 

代わって、融合素材となっていた《E・HERO フェザーマン》と《E・HERO バーストレディ》が守備表示でフィールドへ舞い戻った。

 

「いくよ! バトル!!

《D-HERO ディシジョンガイ》で《E・HERO フェザーマン》を攻撃!!」

 

ディシジョンガイの鋭い一撃がフェザーマンを切り裂く。

 

フェザーマンは戦闘破壊され、その姿をフィールドから消した。

 

「さらに!

《D-HERO ドリルガイ》で《E・HERO バーストレディ》に攻撃!!」

 

高速回転する巨大なドリルが一直線に突き進む。

 

バーストレディはその一撃に貫かれ、衝撃が雄輝を襲った。

 

「……くっ!」

 

雄輝 LP4000 → 3200

 

「リバースカードオープン!

《ヒーロー・シグナル》!!」

 

────

 

《ヒーロー・シグナル》

 

通常罠

 

①:自分フィールドのモンスターが戦闘で破壊され墓地へ送られた時に発動できる。手札・デッキからレベル4以下の「E・HERO」モンスター1体を特殊召喚する。

 

────

 

「来い!

《E・HERO フォレストマン》!!」

 

深い森の気配をまとったHEROが、雄輝のフィールドへ守備表示で姿を現した。

 

「……エンドフェイズ

《D-HERO ディシジョンガイ》の効果を発動」

 

墓地から淡い光が立ち上る。

 

光は一枚のカードへと姿を変え、シルヴィの手札へ収まった。

 

《D-HERO ダイヤモンドガイ》。

 

……さすがね。

 

タダではやられてくれない。

 

「ターンエンドよ」

 

◇◇◇

4ターン目 雄輝 LP3200

 

「俺のターン! ドロー!」

 

スタンバイフェイズ。

 

すると――

 

シルヴィのフィールドにそびえる《幽獄の時計塔》が、静かに鐘を鳴らす。

 

カチッ……

 

時計塔へ二つ目の時計カウンターが刻まれる。

 

時計カウンター:2

 

「《E・HERO フォレストマン》の効果を発動!」

 

デッキから《融合》を手札へ加える。

 

────

 

《E・HERO フォレストマン》

 

地属性

 

レベル4

 

【戦士族/効果】

 

ATK1000/DEF2000

 

①:1ターンに1度、自分スタンバイフェイズに発動できる。自分のデッキ・墓地から《融合》1枚を選んで手札に加える。

 

────

 

……俺の手札で、現状を打開できるカードはない。

 

なら――

 

今は耐えるしかない。

 

「カードを2枚伏せて……ターンエンドだ」

 

◇◇◇

 

「カードを2枚伏せるだけ?」

 

瑠奈が首を傾げる。

 

「おそらく、展開できるカードがなかったんだろう」

 

黒機くんの言葉に、瑠奈が小さく頷く。

 

「つまり……今は守りに入ったってこと?」

 

……あのお兄ちゃんが、守りに。

 

そこまで追い詰められてるってことなんだ。

 

「先生がこの状況からどう出るのか……

 

あの人のことだから、このままやられっぱなしってことはないと思う」

 

私も、黒機くんの言う通りだと思う。

 

お兄ちゃんが、このまま負けるわけない……

 

そうだよね……

 

お兄ちゃん。

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