遊☆戯☆王ーデュエルモンスターズー BattleCity 作:NONAME0195
8ターン目 雄輝 LP2600
「俺のターン! ドロー!」
D-HERO Bloo-D……
フィールドのモンスター効果を無効化するカード
俺のモンスターからの展開が封じられた状態ということは、魔法か罠カードでどうにかするしかない
だが、手札にたった今引いた《強欲な壺》がある
頼むぞ、俺のデッキ!!
「俺は手札から《強欲な壺》を発動する!」
────
強欲な壺
効果
通常魔法
カードテキスト
①:自分は2枚ドローする。
────
俺はデッキトップから2枚カードを引き抜く。
引いたカードを確認する。
「……」
この2枚なら――
次のシルヴィのターンも凌げる!
「俺は《E・HERO プリズマー》を攻撃表示で召喚!」
フィールドに、プリズマーが姿を現す。
────
E・HERO プリズマー
光属性
レベル 4
ATK 1700
DEF 1100
戦士族
/
効果
カードテキスト
①:1ターンに1度、エクストラデッキの融合モンスター1体を相手に見せ、そのモンスターにカード名が記されている融合素材モンスター1体をデッキから墓地へ送って発動できる。エンドフェイズまで、このカードはこの効果を発動するために墓地へ送ったモンスターと同名カードとして扱う。
────
「そして、フィールドの《E・HERO エアーマン》と《E・HERO ソリッドマン》を守備表示に変更!」
エアーマンとソリッドマンが身構える。
これで攻撃表示のモンスターは、プリズマーだけ。
プリズマーの攻撃力は1700。
《D-HERO Bloo-D》には届かない。
なら――
「バトル!」
俺はプリズマーを見据える。
「《E・HERO プリズマー》で《D-HERO ドリルガイ》を攻撃!」
プリズマーが地面を蹴り、ドリルガイへと駆け出す。
光を纏った拳が、ドリルガイを真正面から捉えた。
「ぐっ……!」
衝撃とともに、ドリルガイが砕け散る。
《D-HERO ドリルガイ》撃破!
シルヴィア
LP2550 → 2450
……これでいい。
Bloo-Dを倒すことはできない。
だが、相手の戦力を一つ削ることはできた。
俺はカードを一枚、フィールドへ伏せる。
「リバースカードをセットし……ターンエンドだ」
俺は静かにシルヴィアを見据えた。
◇◇◇
9ターン目 シルヴィア LP2450
ドリルガイが破壊されたことで墓地のモンスターが1体増えた。
その影響で――
《D-フォース》によるBloo-Dの攻撃力も上昇する。
Bloo-D
ATK 3900 → 4000
でも……
ドリルガイを倒すなら、攻撃力1800のエアーマンでよかったはず
それなのに――
ユウは、わざわざプリズマーを攻撃表示で召喚してきた
……なにか狙ってる?
ワタシはフィールドを見渡す。
《E・HERO エアーマン》
《E・HERO ソリッドマン》
そして――
《E・HERO プリズマー》
3体のHEROが並んでいる。
でも――
ワタシは《D-フォース》のデメリットで、ドローはできない
ここで迷って攻撃せずにターンを渡せば、ユウに反撃の隙を与えるだけ
なら――
「ワタシは《D-HERO Bloo-D》の――」
その瞬間!
「その効果の前に! リバースカードオープン!
《エレメンタル・チャージ》!!」
「!」
ユウの伏せカードが開く。
────
《エレメンタル・チャージ》
通常罠
カードテキスト
自分フィールド上に表側表示で存在する「E・HERO」と名のついたモンスター1体につき、自分は1000ライフポイント回復する。
────
「俺のフィールドには表側表示の《E・HERO》が3体……
よってLPを3000回復する」
雄輝のLPが一気に回復していく。
雄輝
LP2600 → 5600
「なるほど……」
ワタシは、ようやく理解した。
「回復量を増やすために、わざわざプリズマーを攻撃表示で召喚したってことね」
さらに――
ドリルガイは守備表示モンスターへの貫通ダメージを与えられる
つまり、守備表示で耐えることも出来なくなる
回復量を増やしながら、ドリルガイを破壊するための戦力にもする
そこまで計算していたんだ
……さすがユウ
戦略に無駄がない
でも――
「これでBloo-Dを阻むものはなくなったわ!」
Bloo-Dが右手を伸ばす。
「効果を発動し、エアーマンを吸収!」
青白い光がエアーマンを包み込む。
その身体が光となり、Bloo-Dへと吸い込まれていく。
「エアーマンの元々の攻撃力は1800
その半分――900ポイントを加算する!」
Bloo-D
ATK 4000 → 4900
「いくよ!《D-HERO Bloo-D》で《E・HERO ソリッドマン》を攻撃!
ブラッディ・フィアーズ!!」
Bloo-Dが右腕を振り上げる。
青黒いエネルギーが腕へと集まり、巨大な血の槍となり、ソリッドマンを真正面から貫いた。
「ぐぅ!!」
光の粒子となったソリッドマンが、フィールドから消滅する。
そして――
ソリッドマンが墓地へ送られたことで、さらに墓地のモンスターが増える。
その影響で《D-フォース》の効果が発動する。
Bloo-Dの攻撃力が上昇する。
《D-HERO Bloo-D》
ATK 4900 → 5000
「続けていくよ!」
シルヴィは、残った一体へ視線を向ける。
「《D-HERO Bloo-D》で《E・HERO プリズマー》に攻撃! ブラッディ・フィアーズ!!」
再び放たれた巨大な血の槍が、プリズマーを貫く。
「ぐぅぅっ!!」
そのまま槍はプリズマーごと、雄輝のライフをも貫いた。
雄輝
LP5600 → 2300
プリズマーが光の粒子となって消滅する。
「……っ」
雄輝は、崩れそうになる身体を踏みとどまった。
「ユウの手札は0……
そしてワタシのフィールドには、プリズマーを破壊したため《D-フォース》の効果でさらに攻撃力が上がった《D-HERO Bloo-D》……」
《D-HERO Bloo-D》
ATK 5000 → 5100
シルヴィは、静かに雄輝を見つめる。
「今回はワタシの勝ちよ、ユウ」
すると――
ユウはゆっくりと顔を上げた。
「バカ言うなよ、シルヴィ……
俺のライフもデッキもまだ残ってる」
その瞳に宿る闘志は、揺らいですらいなかった。
「まだ終わってねえよ」
シルヴィは、まっすぐに雄輝を見つめる。
その瞳に宿る闘志は、あの頃と何も変わっていなかった。
追い詰められても、決して諦めない。
そんなユウの姿に、シルヴィは小さく微笑む。
「……あなたのそういうところ、ワタシは好きよ」
ワタシは視線をフィールドに戻す。
「……ワタシはこれでターンエンド」
◇◇◇
お兄ちゃんのフィールドも手札も0
しかもシルヴィアさんのフィールドには――
モンスター効果を封じた上に、攻撃力5100
さらに、1ターンに2回攻撃できる《D-HERO Bloo-D》
……さすがに、こんなの……
お兄ちゃんでも……
「こんなの、どうしようもないじゃない!」
瑠奈が思わず声を上げる。
「……ああ」
黒機くんも、フィールドを見つめたまま呟く。
「さすが世界ランカー……ここまで強いとはな」
その表情に、いつもの余裕はない。
「ここから逆転できたら……奇跡みたいなもんだぞ」
私は、お兄ちゃんへ視線を向ける。
こんな状況で、いったいどんな顔をしているのか――
そう思って見た私は、そこで目を疑った。
お兄ちゃんは……
笑っていたのだ。
◇◇◇
10ターン目 雄輝 LP2300
……やっぱ強いよ、シルヴィは
普段はバカでアホなやつで……
まあ、見てくれだけは可愛いが
デュエルの時だけは、別人みたいに凛々しいやつだ
アメリカにいた頃は、こいつの存在に何度も助けられた
……俺が助けたことの方が多いがな
だからこそ――
俺はこいつに勝ちたい
頼む!
俺のデッキよ!
俺に希望を!!
「俺のターン! ドローーー!!」
勢いよく引き抜いたカードを確認する。
その瞬間――
俺の口元に笑みが浮かんだ。
そこに書かれていたカード名は――
《ホープ・オブ・フィフス》
文字通り、俺の手元に希望が舞い降りた。
「よし!」
俺は引いたカードを掲げる。
「俺は手札から《ホープ・オブ・フィフス》発動!」
────
《ホープ・オブ・フィフス》
通常魔法
カードテキスト
自分の墓地の「E・HERO」と名のついたカード5枚を選択し、デッキに加えてシャッフルする。
その後、デッキからカードを2枚ドローする。
このカードの発動時に自分の手札・フィールド上に他のカードが存在しない場合はカードを3枚ドローする。
────
「俺の墓地から
《E・HERO クレイマン》
《E・HERO ソリッドマン》
《E・HERO フォレストマン》
《E・HERO オーシャン》
《E・HERO プリズマー》
5枚をデッキに戻す!」
墓地に眠るHEROたちが次々と光へ変わり、デッキへと戻っていく。
その瞬間――
Bloo-Dを包んでいた力が弱まった。
「……!」
シルヴィが目を見開く。
墓地のモンスターが5体減ったことで、《D-フォース》の力も低下する。
《D-HERO Bloo-D》
ATK 5100 → 4600
「このカードの発動時、俺の手札もフィールドも空っぽだ!」
俺はデッキへ手を伸ばす。
「だから――3枚ドローする!!」
俺は勢いに任せて、3枚のカードを一気に引き抜く。
引いたカードを確認する。
そして――
「……!」
俺の口元が大きくつり上がった。
この状況をひっくり返すための道筋が、はっきりと浮かんだ。
「逆転のルートが――」
3枚のカードを強く握りしめる。
「見えたぜ!!」
俺は1枚のカードを掲げる。
「手札より!《ミラクル・フュージョン》発動!!」
────
ミラクル・フュージョン
効果 通常魔法
カードテキスト
①:自分のフィールド・墓地のモンスターを融合素材として除外し、「E・HERO」融合モンスター1体を融合召喚する。
────
「墓地の《E・HERO フェザーマン》と《E・HERO バーストレディ》を除外融合!!」
墓地から二人のHEROが光となって舞い上がる。
二人のHEROが除外されたことで――
《D-フォース》の力がさらに弱まる。
《D-HERO Bloo-D》
ATK 4600 → 4400
風と炎。
二つの力が絡み合い、巨大な融合の渦を作り出していく。
俺はその渦を見上げ、拳を握りしめる。
「風を纏いし炎の翼!」
渦の中で、二つの光が一つになる。
「再びここに舞い降りろ!」
炎が弾け飛ぶ。
「現れろ!!《E・HERO フレイム・ウィングマン》!!」
再び、《E・HERO フレイム・ウィングマン》がフィールドへ降り立つ。
炎の翼が大きく広がり、フィールドを熱風が駆け抜ける。
そして――
俺は間髪入れず、次のカードを手札から引き抜く。
「さらに!」
俺はカードを掲げる。
「手札から《H-ヒートハート》発動!」
────
《H-ヒートハート》
通常魔法
カードテキスト
①:自分フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターの攻撃力はターン終了時まで500アップし、このターンそのモンスターが守備表示モンスターを攻撃した場合、その守備力を攻撃力が超えた分だけ相手に戦闘ダメージを与える。
────
「《E・HERO フレイム・ウィングマン》の攻撃力が500ポイントアップ!」
炎がさらに激しく燃え上がる。
《E・HERO フレイム・ウィングマン》
ATK 2100 → 2600
その姿を見つめ、シルヴィは小さく笑う。
「さすがね」
シルヴィはBloo-Dへ視線を向ける。
「カード1枚からBloo-Dの弱体化、そして融合召喚までこぎつけるなんて」
しかし――
「……それでもワタシのBloo-Dには届かないよ」
《D-HERO Bloo-D》
ATK 4400
《E・HERO フレイム・ウィングマン》
ATK 2600
その差は、まだ1800もある。
「いーや、シルヴィ……」
俺は静かに笑う。
「まだ俺のコンボは終わってねぇ」
そして俺は最後の手札を掲げる。
「手札より、装備魔法!
《フェイバリット・ヒーロー》発動!!」
────
《フェイバリット・ヒーロー》
装備魔法
カードテキスト
レベル5以上の「HERO」モンスターにのみ装備可能。
このカード名の②の効果は1ターンに1度しか使用できない。
①:自分のフィールドゾーンにカードが存在する場合、装備モンスターは攻撃力が元々の守備力分アップし、装備モンスターを相手は効果の対象にできない。
②:自分・相手のバトルフェイズ開始時に発動できる。自分の手札・デッキからフィールド魔法カード1枚を発動する。
③:装備モンスターの攻撃で相手モンスターを破壊した時、このカードを墓地へ送って発動できる。その攻撃モンスターはもう1度だけ続けて攻撃できる。
────
「もちろん、《E・HERO フレイム・ウィングマン》に装備!」
装備された《フェイバリット・ヒーロー》が、フレイム・ウィングマンの身体を包み込む。
「これで俺の準備は整ったぜ!
いくぜ、バトルフェイズ!」
俺がバトルフェイズの開始を宣言した、その瞬間――
《フェイバリット・ヒーロー》が光を放つ。
「バトルフェイズ開始時――
《フェイバリット・ヒーロー》の第2効果を発動!」
装備魔法に秘められた力が解放される。
「デッキからフィールド魔法を発動する!」
そして俺はデッキからーー
「フィールド魔法!摩天楼スカイスクレイパー!!発動!!」
大地が揺れる。
無数の高層ビルが次々と姿を現し、デュエルフィールドは巨大都市へと変貌した。
「そして、《フェイバリット・ヒーロー》!
第1の効果発動!!」
装備魔法が再び光を放つ。
「守備力分、攻撃力が上昇する!」
《E・HERO フレイム・ウィングマン》を纏う光が、さらに強くなる。
フレイム・ウィングマン
ATK 2600 → 3800
「いくぜ! シルヴィ!!
《E・HERO フレイム・ウィングマン》で《D-HERO Bloo-D》に攻撃!!
スカイスクレイパー・シュート!!!」
フレイム・ウィングマンが大地を蹴る。
炎の翼を大きく広げ、高層ビルの間を一気に駆け上がっていく。
その身体を包む炎が、さらに激しく燃え上がる。
そして――
《摩天楼-スカイスクレイパー》の効果が発動する。
攻撃力の低いHEROが、攻撃力の高いモンスターへ攻撃したことで――
「スカイスクレイパーの効果で、攻撃力はさらに1000ポイントアップ!」
《E・HERO フレイム・ウィングマン》
ATK 3800 → 4800
《D-HERO Bloo-D》
ATK 4400
その差は――400!
「いっけぇぇぇぇ!!」
フレイム・ウィングマンが、灼熱を纏った蹴りを放つ!
全身から放たれた巨大な炎が一つに収束し、灼熱の奔流となってBloo-Dへと突き進む。
対して――
Bloo-Dも巨大な血の槍を放つ!
二つの必殺技が、真正面から激突した――
激しい衝撃がフィールドを駆け抜ける。
「ぐっ……!」
Bloo-Dの放った血の槍が、炎に押し返されていく。
そして――
灼熱の奔流が血の槍を打ち砕き、そのままBloo-Dを飲み込んだ。
炎の中で、Bloo-Dの身体に亀裂が走る。
そして――
《D-HERO Bloo-D》が、爆炎の中で砕け散った。
その衝撃が、シルヴィアのライフを削り取る。
シルヴィア
LP2450 → 2050
「さらに!」
俺は間髪入れずに続ける。
「Bloo-Dが破壊されたことで、《E・HERO フレイム・ウィングマン》の効果発動!」
《E・HERO フレイム・ウィングマン》は破壊したモンスターの、元々の攻撃力分のダメージを与える
俺はフレイム・ウィングマンを見据える。
「つまり――!」
フレイム・ウィングマンが拳を握りしめる。
「さらに1900の効果ダメージ!!」
爆炎が再び弾ける。
その余波がシルヴィアを襲い、ライフを一気に削り取っていく。
シルヴィア
LP2050 → 150
「ぐぅ……!」
シルヴィアは大きく息を吐きながら、フィールドを見つめる。
目の前には――
《E・HERO フレイム・ウィングマン》
そして、その攻撃を受けてもなお、シルヴィアのライフは残っている。
「まだよ……!」
シルヴィアは顔を上げる。
「まだLPは残ってる!!」
シルヴィアは必死に顔を上げる。
それを見た俺は――
口元に笑みを浮かべた。
「いーや、これで終わりだ!」
俺は《フェイバリット・ヒーロー》を指差す。
「《フェイバリット・ヒーロー》第3の効果発動!」
装備魔法が強烈な光を放つ。
「装備モンスターの攻撃で相手モンスターを破壊した時、このカードを墓地へ送ることで――」
俺はフレイム・ウィングマンを見据える。
「その攻撃モンスターは、もう一度だけ続けて攻撃できる!!」
「なっ!?」
《フェイバリット・ヒーロー》が光となって消えていく。
装備魔法を失ったことで、フレイム・ウィングマンの攻撃力も元に戻っていく。
《E・HERO フレイム・ウィングマン》
ATK 3800 → 2600
それでも――
フレイム・ウィングマンは、まだ戦える。
シルヴィアのフィールドには、もうモンスターはいない。
残るライフは――150。
俺は静かにフレイム・ウィングマンを見据える。
「終わりだ、シルヴィ」
フレイム・ウィングマンが翼を大きく広げる。
「《E・HERO フレイム・ウィングマン》で――」
俺は拳を突き出す。
「ダイレクトアタック!!」
天空高く舞い上がったフレイム・ウィングマンが、炎を全身に纏いながら急降下する。
そして――
炎に包まれた強烈な蹴りが、シルヴィアへと叩き込まれた。
シルヴィア
LP150 → 0
◇◇◇
お兄ちゃんが――
勝った!!
「お兄ちゃん!!」
私は一目散に、お兄ちゃんのところへ駆け出す。
さっきまでの激しいデュエルが嘘みたいに、足が勝手に動いていた。
後ろを振り返ると――
瑠奈と黒機くんは、まだフィールドを見つめたまま立ち尽くしている。
まるで、信じられないものを目の前にしたような顔をしていた。
そんな2人にはお構いなしに、お兄ちゃんのもとへ近づいた、その時――
「ニャアァァァァ!!!」
……え?
何事かと思って、声のする方へ視線を向ける。
そこには――
頭を抱えながら、悔しそうにうずくまるシルヴィアさんの姿があった。
「なんなの!? なにあの引きの強さ!!
普通あの状況から逆転する!?」
すると、お兄ちゃんは――
「わっはっは!! なめんなよ、シルヴィ!
俺の引きは奇跡を起こす!!」
……さっきまでの凛々しさは、いったいどこへ行ったの?
「これで俺の11戦6勝5敗…… 俺の勝ち越しだな!!」
シルヴィアさんは、歯からギリギリと音が出そうなほど悔しそうな顔をして――
「ぐやじいいいいい!!」
はあ……
さっきまで、あんなに二人ともカッコよかったのに。
今の二人は、どう見ても漫才をしているようにしか見えない。
……残念な大人なのであった。
◇◇◇
そしてーー
少し離れた場所から、二人のデュエルを見つめている少女がいた。
九条凛。
彼女は誰にも気付かれることなく、静かにその場に立っていた。
先ほどまで繰り広げられていたデュエル。
世界ランカーであるシルヴィアの《D-HERO Bloo-D》を、雄輝は真正面から打ち破った。
しかも――
《ホープ・オブ・フィフス》から始まった、あの逆転劇。
凛は静かにフィールドを見つめる。
「……見事ですね」
その視線の先では――
「俺の引きは奇跡を起こす!!」
「ぐやじいいいいい!!」
……なぜか、先ほどまでの緊張感は跡形もなく消えていた。
凛は二人を見つめたまま、小さく息を吐く。
まあ、今の惨状はともかく
お二人とも、さすがとしか言いようのない
レベルの高いデュエルでした。
特に、完璧にデュエルを支配していたシルヴィアさんに対して――
要所要所で耐え凌ぎ、最後には逆転してしまう先生の判断力と引きの強さ。
「……1度、お手合わせしてみたいものですね」
そう呟くと、九条はスタジアムに背を向ける。
そして――
そのまま静かに歩き出した。