遊☆戯☆王ーデュエルモンスターズー BattleCity   作:NONAME0195

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第16話 試される強さ 後編

8ターン目 雄輝 LP2600

 

「俺のターン! ドロー!」

 

D-HERO Bloo-D……

 

フィールドのモンスター効果を無効化するカード

 

俺のモンスターからの展開が封じられた状態ということは、魔法か罠カードでどうにかするしかない

 

だが、手札にたった今引いた《強欲な壺》がある

 

頼むぞ、俺のデッキ!!

 

「俺は手札から《強欲な壺》を発動する!」

 

────

強欲な壺

効果

通常魔法

カードテキスト

①:自分は2枚ドローする。

────

 

俺はデッキトップから2枚カードを引き抜く。

 

引いたカードを確認する。

 

「……」

 

この2枚なら――

 

次のシルヴィのターンも凌げる!

 

「俺は《E・HERO プリズマー》を攻撃表示で召喚!」

 

フィールドに、プリズマーが姿を現す。

 

────

 

E・HERO プリズマー

光属性

 

レベル 4

ATK 1700

DEF 1100

戦士族

効果

 

カードテキスト

①:1ターンに1度、エクストラデッキの融合モンスター1体を相手に見せ、そのモンスターにカード名が記されている融合素材モンスター1体をデッキから墓地へ送って発動できる。エンドフェイズまで、このカードはこの効果を発動するために墓地へ送ったモンスターと同名カードとして扱う。

 

────

 

「そして、フィールドの《E・HERO エアーマン》と《E・HERO ソリッドマン》を守備表示に変更!」

 

エアーマンとソリッドマンが身構える。

 

これで攻撃表示のモンスターは、プリズマーだけ。

 

プリズマーの攻撃力は1700。

 

《D-HERO Bloo-D》には届かない。

 

なら――

 

「バトル!」

 

俺はプリズマーを見据える。

 

「《E・HERO プリズマー》で《D-HERO ドリルガイ》を攻撃!」

 

プリズマーが地面を蹴り、ドリルガイへと駆け出す。

 

光を纏った拳が、ドリルガイを真正面から捉えた。

 

「ぐっ……!」

 

衝撃とともに、ドリルガイが砕け散る。

 

《D-HERO ドリルガイ》撃破!

 

シルヴィア

LP2550 → 2450

 

……これでいい。

 

Bloo-Dを倒すことはできない。

 

だが、相手の戦力を一つ削ることはできた。

 

俺はカードを一枚、フィールドへ伏せる。

 

「リバースカードをセットし……ターンエンドだ」

 

俺は静かにシルヴィアを見据えた。

 

◇◇◇

9ターン目 シルヴィア LP2450

 

ドリルガイが破壊されたことで墓地のモンスターが1体増えた。

 

その影響で――

 

《D-フォース》によるBloo-Dの攻撃力も上昇する。

 

Bloo-D

ATK 3900 → 4000

 

でも……

 

ドリルガイを倒すなら、攻撃力1800のエアーマンでよかったはず

 

それなのに――

 

ユウは、わざわざプリズマーを攻撃表示で召喚してきた

 

……なにか狙ってる?

 

ワタシはフィールドを見渡す。

 

《E・HERO エアーマン》

 

《E・HERO ソリッドマン》

 

そして――

 

《E・HERO プリズマー》

 

3体のHEROが並んでいる。

 

でも――

 

ワタシは《D-フォース》のデメリットで、ドローはできない

 

ここで迷って攻撃せずにターンを渡せば、ユウに反撃の隙を与えるだけ

 

なら――

 

「ワタシは《D-HERO Bloo-D》の――」

 

その瞬間!

 

「その効果の前に! リバースカードオープン!

《エレメンタル・チャージ》!!」

 

「!」

 

ユウの伏せカードが開く。

 

────

 

《エレメンタル・チャージ》

 

通常罠

 

カードテキスト

自分フィールド上に表側表示で存在する「E・HERO」と名のついたモンスター1体につき、自分は1000ライフポイント回復する。

 

────

 

「俺のフィールドには表側表示の《E・HERO》が3体……

よってLPを3000回復する」

 

雄輝のLPが一気に回復していく。

 

雄輝

LP2600 → 5600

 

「なるほど……」

 

ワタシは、ようやく理解した。

 

「回復量を増やすために、わざわざプリズマーを攻撃表示で召喚したってことね」

 

さらに――

 

ドリルガイは守備表示モンスターへの貫通ダメージを与えられる

 

つまり、守備表示で耐えることも出来なくなる

 

回復量を増やしながら、ドリルガイを破壊するための戦力にもする

 

そこまで計算していたんだ

 

……さすがユウ

 

戦略に無駄がない

 

でも――

 

「これでBloo-Dを阻むものはなくなったわ!」

 

Bloo-Dが右手を伸ばす。

 

「効果を発動し、エアーマンを吸収!」

 

青白い光がエアーマンを包み込む。

 

その身体が光となり、Bloo-Dへと吸い込まれていく。

 

「エアーマンの元々の攻撃力は1800

その半分――900ポイントを加算する!」

 

Bloo-D

ATK 4000 → 4900

 

「いくよ!《D-HERO Bloo-D》で《E・HERO ソリッドマン》を攻撃!

ブラッディ・フィアーズ!!」

 

Bloo-Dが右腕を振り上げる。

 

青黒いエネルギーが腕へと集まり、巨大な血の槍となり、ソリッドマンを真正面から貫いた。

 

「ぐぅ!!」

 

光の粒子となったソリッドマンが、フィールドから消滅する。

 

そして――

 

ソリッドマンが墓地へ送られたことで、さらに墓地のモンスターが増える。

 

その影響で《D-フォース》の効果が発動する。

 

Bloo-Dの攻撃力が上昇する。

 

《D-HERO Bloo-D》

ATK 4900 → 5000

 

「続けていくよ!」

 

シルヴィは、残った一体へ視線を向ける。

 

「《D-HERO Bloo-D》で《E・HERO プリズマー》に攻撃! ブラッディ・フィアーズ!!」

 

再び放たれた巨大な血の槍が、プリズマーを貫く。

 

「ぐぅぅっ!!」

 

そのまま槍はプリズマーごと、雄輝のライフをも貫いた。

 

雄輝

LP5600 → 2300

 

プリズマーが光の粒子となって消滅する。

 

「……っ」

 

雄輝は、崩れそうになる身体を踏みとどまった。

 

「ユウの手札は0……

そしてワタシのフィールドには、プリズマーを破壊したため《D-フォース》の効果でさらに攻撃力が上がった《D-HERO Bloo-D》……」

 

《D-HERO Bloo-D》

ATK 5000 → 5100

 

シルヴィは、静かに雄輝を見つめる。

 

「今回はワタシの勝ちよ、ユウ」

 

すると――

 

ユウはゆっくりと顔を上げた。

 

「バカ言うなよ、シルヴィ……

俺のライフもデッキもまだ残ってる」

 

その瞳に宿る闘志は、揺らいですらいなかった。

 

「まだ終わってねえよ」

 

シルヴィは、まっすぐに雄輝を見つめる。

 

その瞳に宿る闘志は、あの頃と何も変わっていなかった。

 

追い詰められても、決して諦めない。

 

そんなユウの姿に、シルヴィは小さく微笑む。

 

「……あなたのそういうところ、ワタシは好きよ」

 

ワタシは視線をフィールドに戻す。

 

「……ワタシはこれでターンエンド」

 

◇◇◇

 

お兄ちゃんのフィールドも手札も0

 

しかもシルヴィアさんのフィールドには――

 

モンスター効果を封じた上に、攻撃力5100

 

さらに、1ターンに2回攻撃できる《D-HERO Bloo-D》

 

……さすがに、こんなの……

 

お兄ちゃんでも……

 

「こんなの、どうしようもないじゃない!」

 

瑠奈が思わず声を上げる。

 

「……ああ」

 

黒機くんも、フィールドを見つめたまま呟く。

 

「さすが世界ランカー……ここまで強いとはな」

 

その表情に、いつもの余裕はない。

 

「ここから逆転できたら……奇跡みたいなもんだぞ」

 

私は、お兄ちゃんへ視線を向ける。

 

こんな状況で、いったいどんな顔をしているのか――

 

そう思って見た私は、そこで目を疑った。

 

お兄ちゃんは……

 

笑っていたのだ。

 

◇◇◇

 

10ターン目 雄輝 LP2300

 

……やっぱ強いよ、シルヴィは

 

普段はバカでアホなやつで……

 

まあ、見てくれだけは可愛いが

 

デュエルの時だけは、別人みたいに凛々しいやつだ

 

アメリカにいた頃は、こいつの存在に何度も助けられた

 

……俺が助けたことの方が多いがな

 

だからこそ――

 

俺はこいつに勝ちたい

 

頼む!

 

俺のデッキよ!

 

俺に希望を!!

 

「俺のターン! ドローーー!!」

 

勢いよく引き抜いたカードを確認する。

 

その瞬間――

 

俺の口元に笑みが浮かんだ。

 

そこに書かれていたカード名は――

 

《ホープ・オブ・フィフス》

 

文字通り、俺の手元に希望が舞い降りた。

 

「よし!」

 

俺は引いたカードを掲げる。

 

「俺は手札から《ホープ・オブ・フィフス》発動!」

 

────

《ホープ・オブ・フィフス》

 

通常魔法

 

カードテキスト

自分の墓地の「E・HERO」と名のついたカード5枚を選択し、デッキに加えてシャッフルする。

その後、デッキからカードを2枚ドローする。

このカードの発動時に自分の手札・フィールド上に他のカードが存在しない場合はカードを3枚ドローする。

────

 

「俺の墓地から

《E・HERO クレイマン》

《E・HERO ソリッドマン》

《E・HERO フォレストマン》

《E・HERO オーシャン》

《E・HERO プリズマー》

5枚をデッキに戻す!」

 

墓地に眠るHEROたちが次々と光へ変わり、デッキへと戻っていく。

 

その瞬間――

 

Bloo-Dを包んでいた力が弱まった。

 

「……!」

 

シルヴィが目を見開く。

 

墓地のモンスターが5体減ったことで、《D-フォース》の力も低下する。

 

《D-HERO Bloo-D》

ATK 5100 → 4600

 

「このカードの発動時、俺の手札もフィールドも空っぽだ!」

 

俺はデッキへ手を伸ばす。

 

「だから――3枚ドローする!!」

 

俺は勢いに任せて、3枚のカードを一気に引き抜く。

 

引いたカードを確認する。

 

そして――

 

「……!」

 

俺の口元が大きくつり上がった。

 

この状況をひっくり返すための道筋が、はっきりと浮かんだ。

 

「逆転のルートが――」

 

3枚のカードを強く握りしめる。

 

「見えたぜ!!」

 

俺は1枚のカードを掲げる。

 

「手札より!《ミラクル・フュージョン》発動!!」

 

────

ミラクル・フュージョン

効果 通常魔法

カードテキスト

①:自分のフィールド・墓地のモンスターを融合素材として除外し、「E・HERO」融合モンスター1体を融合召喚する。

────

 

「墓地の《E・HERO フェザーマン》と《E・HERO バーストレディ》を除外融合!!」

 

墓地から二人のHEROが光となって舞い上がる。

 

二人のHEROが除外されたことで――

 

《D-フォース》の力がさらに弱まる。

 

《D-HERO Bloo-D》

ATK 4600 → 4400

 

風と炎。

 

二つの力が絡み合い、巨大な融合の渦を作り出していく。

 

俺はその渦を見上げ、拳を握りしめる。

 

「風を纏いし炎の翼!」

 

渦の中で、二つの光が一つになる。

 

「再びここに舞い降りろ!」

 

炎が弾け飛ぶ。

 

「現れろ!!《E・HERO フレイム・ウィングマン》!!」

 

再び、《E・HERO フレイム・ウィングマン》がフィールドへ降り立つ。

 

炎の翼が大きく広がり、フィールドを熱風が駆け抜ける。

 

そして――

 

俺は間髪入れず、次のカードを手札から引き抜く。

 

「さらに!」

 

俺はカードを掲げる。

 

「手札から《H-ヒートハート》発動!」

 

────

《H-ヒートハート》

 

通常魔法

 

カードテキスト

①:自分フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターの攻撃力はターン終了時まで500アップし、このターンそのモンスターが守備表示モンスターを攻撃した場合、その守備力を攻撃力が超えた分だけ相手に戦闘ダメージを与える。

────

 

「《E・HERO フレイム・ウィングマン》の攻撃力が500ポイントアップ!」

 

炎がさらに激しく燃え上がる。

 

《E・HERO フレイム・ウィングマン》

ATK 2100 → 2600

 

その姿を見つめ、シルヴィは小さく笑う。

 

「さすがね」

 

シルヴィはBloo-Dへ視線を向ける。

 

「カード1枚からBloo-Dの弱体化、そして融合召喚までこぎつけるなんて」

 

しかし――

 

「……それでもワタシのBloo-Dには届かないよ」

 

《D-HERO Bloo-D》

ATK 4400

 

《E・HERO フレイム・ウィングマン》

ATK 2600

 

その差は、まだ1800もある。

 

「いーや、シルヴィ……」

 

俺は静かに笑う。

 

「まだ俺のコンボは終わってねぇ」

 

そして俺は最後の手札を掲げる。

 

「手札より、装備魔法!

《フェイバリット・ヒーロー》発動!!」

 

────

 

《フェイバリット・ヒーロー》

 

装備魔法

 

カードテキスト

レベル5以上の「HERO」モンスターにのみ装備可能。

このカード名の②の効果は1ターンに1度しか使用できない。

①:自分のフィールドゾーンにカードが存在する場合、装備モンスターは攻撃力が元々の守備力分アップし、装備モンスターを相手は効果の対象にできない。

②:自分・相手のバトルフェイズ開始時に発動できる。自分の手札・デッキからフィールド魔法カード1枚を発動する。

③:装備モンスターの攻撃で相手モンスターを破壊した時、このカードを墓地へ送って発動できる。その攻撃モンスターはもう1度だけ続けて攻撃できる。

────

 

「もちろん、《E・HERO フレイム・ウィングマン》に装備!」

 

装備された《フェイバリット・ヒーロー》が、フレイム・ウィングマンの身体を包み込む。

 

「これで俺の準備は整ったぜ!

いくぜ、バトルフェイズ!」

 

俺がバトルフェイズの開始を宣言した、その瞬間――

 

《フェイバリット・ヒーロー》が光を放つ。

 

「バトルフェイズ開始時――

《フェイバリット・ヒーロー》の第2効果を発動!」

 

装備魔法に秘められた力が解放される。

 

「デッキからフィールド魔法を発動する!」

 

そして俺はデッキからーー

 

「フィールド魔法!摩天楼スカイスクレイパー!!発動!!」

 

大地が揺れる。

 

無数の高層ビルが次々と姿を現し、デュエルフィールドは巨大都市へと変貌した。

 

「そして、《フェイバリット・ヒーロー》!

第1の効果発動!!」

 

装備魔法が再び光を放つ。

 

「守備力分、攻撃力が上昇する!」

 

《E・HERO フレイム・ウィングマン》を纏う光が、さらに強くなる。

 

フレイム・ウィングマン

ATK 2600 → 3800

 

「いくぜ! シルヴィ!!

《E・HERO フレイム・ウィングマン》で《D-HERO Bloo-D》に攻撃!!

スカイスクレイパー・シュート!!!」

 

フレイム・ウィングマンが大地を蹴る。

 

炎の翼を大きく広げ、高層ビルの間を一気に駆け上がっていく。

 

その身体を包む炎が、さらに激しく燃え上がる。

 

そして――

 

《摩天楼-スカイスクレイパー》の効果が発動する。

 

攻撃力の低いHEROが、攻撃力の高いモンスターへ攻撃したことで――

 

「スカイスクレイパーの効果で、攻撃力はさらに1000ポイントアップ!」

 

《E・HERO フレイム・ウィングマン》

ATK 3800 → 4800

 

《D-HERO Bloo-D》

ATK 4400

 

その差は――400!

 

「いっけぇぇぇぇ!!」

 

フレイム・ウィングマンが、灼熱を纏った蹴りを放つ!

 

全身から放たれた巨大な炎が一つに収束し、灼熱の奔流となってBloo-Dへと突き進む。

 

対して――

 

Bloo-Dも巨大な血の槍を放つ!

 

二つの必殺技が、真正面から激突した――

 

激しい衝撃がフィールドを駆け抜ける。

 

「ぐっ……!」

 

Bloo-Dの放った血の槍が、炎に押し返されていく。

 

そして――

 

灼熱の奔流が血の槍を打ち砕き、そのままBloo-Dを飲み込んだ。

 

炎の中で、Bloo-Dの身体に亀裂が走る。

 

そして――

 

《D-HERO Bloo-D》が、爆炎の中で砕け散った。

 

その衝撃が、シルヴィアのライフを削り取る。

 

シルヴィア

LP2450 → 2050

 

「さらに!」

 

俺は間髪入れずに続ける。

 

「Bloo-Dが破壊されたことで、《E・HERO フレイム・ウィングマン》の効果発動!」

 

《E・HERO フレイム・ウィングマン》は破壊したモンスターの、元々の攻撃力分のダメージを与える

 

俺はフレイム・ウィングマンを見据える。

 

「つまり――!」

 

フレイム・ウィングマンが拳を握りしめる。

 

「さらに1900の効果ダメージ!!」

 

爆炎が再び弾ける。

 

その余波がシルヴィアを襲い、ライフを一気に削り取っていく。

 

シルヴィア

LP2050 → 150

 

「ぐぅ……!」

 

シルヴィアは大きく息を吐きながら、フィールドを見つめる。

 

目の前には――

 

《E・HERO フレイム・ウィングマン》

 

そして、その攻撃を受けてもなお、シルヴィアのライフは残っている。

 

「まだよ……!」

 

シルヴィアは顔を上げる。

 

「まだLPは残ってる!!」

 

シルヴィアは必死に顔を上げる。

 

それを見た俺は――

 

口元に笑みを浮かべた。

 

「いーや、これで終わりだ!」

 

俺は《フェイバリット・ヒーロー》を指差す。

 

「《フェイバリット・ヒーロー》第3の効果発動!」

 

装備魔法が強烈な光を放つ。

 

「装備モンスターの攻撃で相手モンスターを破壊した時、このカードを墓地へ送ることで――」

 

俺はフレイム・ウィングマンを見据える。

 

「その攻撃モンスターは、もう一度だけ続けて攻撃できる!!」

 

「なっ!?」

 

《フェイバリット・ヒーロー》が光となって消えていく。

 

装備魔法を失ったことで、フレイム・ウィングマンの攻撃力も元に戻っていく。

 

《E・HERO フレイム・ウィングマン》

ATK 3800 → 2600

 

それでも――

 

フレイム・ウィングマンは、まだ戦える。

 

シルヴィアのフィールドには、もうモンスターはいない。

 

残るライフは――150。

 

俺は静かにフレイム・ウィングマンを見据える。

 

「終わりだ、シルヴィ」

 

フレイム・ウィングマンが翼を大きく広げる。

 

「《E・HERO フレイム・ウィングマン》で――」

 

俺は拳を突き出す。

 

「ダイレクトアタック!!」

 

天空高く舞い上がったフレイム・ウィングマンが、炎を全身に纏いながら急降下する。

 

そして――

 

炎に包まれた強烈な蹴りが、シルヴィアへと叩き込まれた。

 

シルヴィア

LP150 → 0

 

◇◇◇

 

お兄ちゃんが――

 

勝った!!

 

「お兄ちゃん!!」

 

私は一目散に、お兄ちゃんのところへ駆け出す。

 

さっきまでの激しいデュエルが嘘みたいに、足が勝手に動いていた。

 

後ろを振り返ると――

 

瑠奈と黒機くんは、まだフィールドを見つめたまま立ち尽くしている。

 

まるで、信じられないものを目の前にしたような顔をしていた。

 

そんな2人にはお構いなしに、お兄ちゃんのもとへ近づいた、その時――

 

「ニャアァァァァ!!!」

 

……え?

 

何事かと思って、声のする方へ視線を向ける。

 

そこには――

 

頭を抱えながら、悔しそうにうずくまるシルヴィアさんの姿があった。

 

「なんなの!? なにあの引きの強さ!!

普通あの状況から逆転する!?」

 

すると、お兄ちゃんは――

 

「わっはっは!! なめんなよ、シルヴィ!

俺の引きは奇跡を起こす!!」

 

……さっきまでの凛々しさは、いったいどこへ行ったの?

 

「これで俺の11戦6勝5敗…… 俺の勝ち越しだな!!」

 

シルヴィアさんは、歯からギリギリと音が出そうなほど悔しそうな顔をして――

 

「ぐやじいいいいい!!」

 

はあ……

 

さっきまで、あんなに二人ともカッコよかったのに。

 

今の二人は、どう見ても漫才をしているようにしか見えない。

 

……残念な大人なのであった。

 

◇◇◇

 

そしてーー

 

少し離れた場所から、二人のデュエルを見つめている少女がいた。

 

九条凛。

 

彼女は誰にも気付かれることなく、静かにその場に立っていた。

 

先ほどまで繰り広げられていたデュエル。

 

世界ランカーであるシルヴィアの《D-HERO Bloo-D》を、雄輝は真正面から打ち破った。

 

しかも――

 

《ホープ・オブ・フィフス》から始まった、あの逆転劇。

 

凛は静かにフィールドを見つめる。

 

「……見事ですね」

 

その視線の先では――

 

「俺の引きは奇跡を起こす!!」

 

「ぐやじいいいいい!!」

 

……なぜか、先ほどまでの緊張感は跡形もなく消えていた。

 

凛は二人を見つめたまま、小さく息を吐く。

 

まあ、今の惨状はともかく

 

お二人とも、さすがとしか言いようのない

レベルの高いデュエルでした。

 

特に、完璧にデュエルを支配していたシルヴィアさんに対して――

 

要所要所で耐え凌ぎ、最後には逆転してしまう先生の判断力と引きの強さ。

 

「……1度、お手合わせしてみたいものですね」

 

そう呟くと、九条はスタジアムに背を向ける。

 

そして――

 

そのまま静かに歩き出した。

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