遊☆戯☆王ーデュエルモンスターズー BattleCity 作:NONAME0195
番外コラボ編 第2話
『異世界に来ても糖分とツッコミは欠かせない』
「えーと、元いた場所は江戸で、そこで万事屋を営んでいて、変な機械の暴走に巻き込まれて、この世界に一文無しで飛ばされ、二日間さまよっていた……と?」
「そういうこった、いや、我ながら壮絶な人生だねぇ」
俺はこの小僧……もとい、雄輝の作ったメシにがっつきながら、事情を説明した
しかし、うまいな! こいつの飯!
シスコンのくせにスペック高ぇな
すると、小娘……じゃなく、小町が口を開いた
「お兄ちゃん……どう思う?」
「んーー……どうって言われても、頭おかしいとしか……?」
「おいコラァァァ!! 言うにことかいて頭おかしいとは何事だァァァァ!!!」
「話が突拍子もなさすぎる」
「突拍子もねぇのはお前らの方だろうが!! なんだよこの世界!! なんでカードゲームで世界の命運が決まるみてぇな顔してんだよ!! もっとこう、野球とかサッカーとかあんだろ!!」
すると、小町が横から口を挟む
「いや、野球もサッカーもあるよ……?」
「じゃあそっちやれやァァァ!!」
「なんで!?」
「こちとら二日間も飲まず食わずでさまよって、ようやく人様の家にたどり着いたと思ったら、メシはうめぇわ兄貴はシスコンだわ!! 情報量が多すぎんだよ!!」
「最後のは余計だよ?!!」
「うるせぇ!! 事実陳列罪で訴えんぞ!!」
「そんな罪ないよ!!」
「この世界の法律なんざ知るかァァァ!!」
そんな俺のボケと小町のツッコミを、雄輝は無情にもスルーする
「まあ、ともかく……
銀さんの言うことがただの妄想じゃないなら、信じ難いが異世界転移したってこと……になるな」
「お兄ちゃん……そんなことって有り得るの?」
「まあ、目の前に実物がいるからなあ
このご時世に、着崩した着物にロングブーツで木刀差してる変人なんて普通いないぜ?」
「おいコラァァァ!! 誰が変人だァァァ、コノヤロー!!」
「あんた以外に誰がいるんだよ
むしろ、他に候補がいるなら教えてくれ」
「テメェ、人を見た目だけで判断してんじゃねぇよ!! 人間ってのはなァ、外見じゃなくて内面で評価されるべきなんだよ!!」
「内面まで含めたら余計に悪化する」
「そこまで見てなお変人扱いかァ!? だったら俺の内面が個性的って言い換えやがれ、コノヤロー!!」
「言い換えても、意味は変わらないだろ」
このガキィィィ!!
いちいち正論ぶつけてきやがってェェェ!!
なんなんだよコイツ!!
人が気持ちよく言い返そうとしてるところに、いちいち正論で水差しやがって!!
ちょっとは年上を敬うとか、そういう社会性を身につけろや!!
つーか、なんで俺がこんなガキに言い負かされなきゃなんねぇんだ!!
俺ァ大人だぞ!? 人生経験豊富な立派な大人だぞ!?
糖分とパチンコとジャンプに人生の大半を捧げてきた、筋金入りの大人だぞ!!
……いや待て、冷静に考えたら何ひとつ威張れる要素がねぇな!?
クソッ、こうなったら年上の威厳ってやつを見せてやる!!
大人の余裕ってもんをな!!
ここで華麗に言い返して、ガキの鼻を明かしてや……
……ダメだ、何も思いつかねぇ!!
クソッ、テメーは教師か何か、コノヤロー!!
人を正論で殴るのが仕事なのか、コノヤロー!!
なんて心の中で必死に言い訳していると
「はいはいはい、ストップストップ
いつまでも話が進まないから」
と、小町が止めに入った
「とりあえず今日はもう夜だし、このまま泊まってもらおうよ」
「マジで!? いやぁ〜、話がわかるねぇ!」
助かったァァァ!!
こっちに来て、ようやくまともな寝床につけるうううう!!
この二日間、オラァ公園でダンボールベッドだったからな!
危うく、どっかのグラサン街道まっしぐらだったぜ……
「まあ、小町がそう言うなら俺は構わんが」
「んじゃ、けってーい!
ねえ、銀さん! 向こうの世界の話、聞かせてよ!」
「へいへい、話せる範囲でならねぇ」
こうして、俺は小町の質問攻めに遭いながら、久々のまともな寝床を確保したのだった
……ったく、異世界に来てもガキの相手たぁ、銀さんも楽じゃねぇな
そんなこんなで、夜は更けていった
◇◇◇
「ふあ〜〜あぁぁ」
いや、眠みぃ
ったく、小娘め
結局、夜遅くまで根掘り葉掘り質問してきやがって
江戸のことだの、万事屋のことだの、挙げ句の果てには好きな食べ物まで聞いてきやがった
俺ァインタビュー受けに来たんじゃねぇんだぞ、コノヤロー
「銀さーーん、早く早くう! 置いていっちゃうよお!」
少し離れたところで
小町と雄輝が振り返り、俺を呼んでいた
「わあってるよォ、ったく
朝っぱらから元気だねぇ、お前らは」
なんで、こんな朝っぱらから外にいるかというと
俺がこの世界に飛ばされた現場を見に行こうってことになったからだ
……いや、別に俺が言い出したわけじゃねぇぞ
小町がどうしても見に行きたいって聞かなくてな
と言っても、ただのゴミ捨て場なんだが……
しかし……
「すげぇな、この町
どっかのゴミ溜めみてぇな町とはえれー違いだな、オイ」
すると、小町が尋ねてきた
「ゴミ溜めって……昨日言ってた《かぶき町》ってとこのこと?」
「そうそう、ひっでーとこでな
ぼったくりスナックやら、筋肉質なオカマバーやら、真選組っ……警察が乗るパトカーのサイレンより、バズーカの音が聞こえてくるような町だ
とにかくゴミ溜めよ、ゴミ溜め」
「へ、へー……
なんというか、すごく物騒な町だね」
「そーそー、ろくなとこじゃねぇよ
でも……まっ、人情だけはある町だな」
すると、小町が少し驚いた顔をした
「……なんだよ、その顔」
小町は破顔して
「いや〜、銀さん
なんだかんだ、そのかぶき町が好きなんだね」
「おおーい、話聞いてたか?
ろくでもないとこっていったじゃねぇか」
「はいはい、わかったわかった」
ったく、なんだってんだ
人がせっかく悪口でまとめてやったってのに
そんなことを話してるうちに、問題の現場に到着した
しかし……
「んー、特に変わったことないねぇ」
小町が周囲を見回しながら言う
「そうだな、何か手がかりでもあれば良かったんだけどな」
雄輝も同意する
「だから言ったろーが、何もねぇって
ほら、帰るぞ! 眠ィんだよ、こっちは」
すると、雄輝が声を張り上げた
「おい、銀さん!
あんた元の世界に帰る気あんのかあ!?」
「うっせーなあ!
なんもねぇんだからしょーがねぇだろうが!!
オラァ、眠ィし、糖分が足りてねぇんだよ、バカヤロー!!」
そう言って、俺はくるりと背を向け路地裏から表通りに歩き出す
「あっ、おい! 銀さん!
……ダメだこりゃ、手がかり探す気がねぇ」
と後ろから雄輝の声が聞こえるが無視だ、無視!
そして、表通りに出ると
「ああん? なんだありゃ?」
少し離れたところに、行列ができていた
「なんか、行列ができてるね? 行ってみよう、銀さん!」
いつの間にか隣に来ていた小町が、俺を置いて走り出す
「ちょ、おい! 待てコラ!」
ったく、ガキってのはなんでこう、気になったら一直線なんだよ……
すると、追いついてきた雄輝が
「あそこって……確か、人気のスイーツ店があるとこだったはず」
「バカヤローーー!!!
なんでそれを先に言わねぇ!!」
俺は雄輝を置き去りにして走り出す
「待ちやがれ、小娘ぇぇええええ!!」
看板を見た瞬間、俺と小町はそろって立ち尽くした
『本日限定! 特製プレミアムチョコレートパフェ!』
「「…………!!」」
こ、これは……!!
その時、ようやく追いついてきた雄輝が看板を見上げた
「なるほど、限定パフェだったのか
道理で長蛇の列が……って、あれ?」
雄輝が周囲を見回している
俺と小町は、既に行列に並んでいた
雄輝は俺たちの元へ駆け寄ると
「っておい! 何ちゃっかり並んでるんだ! 小町も何やってる!?」
「バカヤローー!! 限定って書いてあんだろうが!!
このチャンスを逃したら次はいつ食えるかわかんねぇんだぞ、コノヤロー!!」
「そうだよ、お兄ちゃん!! 何言ってるの!?」
「俺がおかしいのか!? 元の世界に帰る方法探しに来たんじゃねぇのか!?」
「やかましい! いいからお前もさっさと並びやがれ、コノヤロー!!
誰がパフェ代払うと思ってんだ!?」
「そうだよ! お兄ちゃん!」
「てめぇら! 2人揃って俺にたかる気か、コノヤローーーーー!!!」
それから数時間後
俺と小町、そして最終的に諦めて列に並んだ雄輝は、ようやくスイーツ店の席に着くことに成功した
「「限定パフェください!!」」
店員が注文を聞きに来た瞬間、俺と小町は同時に言い放つ
しかし……
「申し訳ありません、お客様
限定パフェは、残り一つとなっております」
「「…………は?」」
俺と小町は店員を前に睨み合う
「おい、こら……小娘
世の中ってのはな、年功序列ってもんがあんだよ
人生の先輩に花を持たせるのが、若者の務めってもんだろうが
ほら、さっさと譲りなさいよ、コノヤロー」
「いやいや、銀さん
ここは大人として私に譲るとこじゃない?
それにほら、世の中にはレディーファーストって言葉もあるよ?」
俺と小町がバチバチやってる中、雄輝は
「あっ、すいません
ブレンドコーヒー1つで
このふたりはとりあえずほっといていいんで、はい
あー、あとモンブランも追加で」
雄輝はちゃっかり、自分の分だけ注文しているが……
気にしてる場合じゃねぇぞ、コノヤロー
「おいおいおい、どこにレディなんているんだ?
どー見てもレディじゃなくて、チンチクリンの小娘だろうが
ウチのゲロインといい勝負じゃねぇか」
「あれれー? 銀さん
目の前にいる私が見えないのかなあ?
糖分摂りすぎて、とうとう脳までやられちゃった?
甘いもの、ちょっと控えた方がいいよ?」
すると、店員が注文した品を運んできた
「お待たせしましたー、ブレンドコーヒーとモンブランとなります」
「あっ、どうもありがとうございます」
雄輝が何食わぬ顔でティータイムを満喫し始めるが、構ってる暇はない
「おいおいおい、糖分をこよなく愛するこの俺が、甘いもんで脳をやられるわけねぇだろうが!
むしろ、お前の方こそ甘いもん控えた方がいいんじゃねぇの?
血糖値が上がると大変なんだぞ、コノヤロー」
ズズズ……
雄輝がコーヒーを啜る
「「…………」」
「勝負だ!! 銀さん!!
勝った方がパフェを食べる!! それでいいね!!」
「上等だ! 小娘が!!
この俺に勝負を仕掛けるたぁ、いい度胸だ!!
表に出ろ、こらぁ!!
おい、雄輝! デュエルディスクとデッキ貸しやがれ!!」
雄輝は再びコーヒーを啜り、カップを置いた
「銀さん……あんたデュエルなんてできるのか?」
「ジャンプ愛読者なめんじゃねぇぞ、コノヤロー!!
いいから貸せ! あとパフェ注文しとけ!!」
雄輝はため息をつくと、無言でデュエルディスクとデッキを俺に差し出した
すると、小町がニヤニヤしながら俺に言い放つ
「銀さん、いいのお?
よりによってデュエルで決めるなんてぇ?
私に勝てるのかなあ?」
「はぁ!?
テメェ、誰に向かって口きいてんだ!!
ジャンプ主人公の底力、見せてやらァ!!」
こうして、何とも無意味すぎるデュエルの火蓋が切られるのであった
そして、数十分後……
「なんで……なんでえええええ!?」
小町の悲鳴が響き渡る
「ガハハハハ!
おいおい、どうした小娘ェ!
さっきまでの威勢はどこ行っちまったんだァ?
俺に勝とうなんざ、十年早ぇんだよ、コノヤロー!」
「おかしいでしょ!!!
初めてのデュエルで、自分のデッキでもないのに!!
なんで勝てるのよおおおお!!」
「教えてやらァ! 小娘!!
これが主人公補正ってヤツだ!!
漫画やアニメの世界じゃなァ、理屈なんざ後付けでどうにでもなんだよ!!
細けぇこと気にしてんじゃねぇ! こういうのは勢いとノリで押し切るもんなんだよ!!」
小町はガクリとうなだれ、しばらくその場から動けなかった
「そんな……そんな訳の分からない理屈で私は負けたの……」
そんな小町を放置し、店に戻ると
雄輝はどうでもよさそうな顔で、おかわりしたらしいコーヒーを啜っていた
「って、おい! 俺のパフェは!?」
「どうせ、しばらくかかるだろうから
待ってもらってたんだよ
そろそろ来る頃じゃね?」
すると、店員が限定パフェを運んできた
「お待たせしました! 特製プレミアムチョコレートパフェでございます!」
おおおおお!!
来たァァァァ!!
俺の糖分! 俺の生きる希望!!
この輝き……このフォルム……!
見てるだけで糖尿病になりそうな甘美な誘惑!!
待ってろよ、限定パフェェェ!!
今、俺がたっぷり可愛がってやっからなァァ!!
店員がパフェをテーブルに置こうとした、その時――
バァン!!!
突然、店内に銃声が響き渡った
「全員、その場を動くんじゃねぇ!!」
覆面をつけた数人の男たちが、店内になだれ込んでくる
突然の発砲音に驚いた店員は、手元を狂わせ――
ガシャァン!!
限定パフェは、無情にも床へと落下したのであった
「強盗!? おい、銀さん! どーす……
あれ? 銀さん?」
そこにいたはずの俺を、雄輝は探す
しかし、時すでに遅し
「てめぇらァァァァ!!
俺のパフェに何してくれてんだァァァァ!!」
俺は木刀を引っ提げ、強盗の一人を床に叩き伏せていた
てめぇ……よくも……
俺がなんのために何時間も並び、小娘との死闘を制し
血と汗と涙の末に、ようやく手に入れた限定パフェを!!
それを……それをテメェらはァァァ!!
「ちょ、ちょっと待てェェェ!! なんだコイツ!?」
「知るかァァァ!! パフェの恨みを思い知りやがれェェェ!!」
「クソッ! 調子に乗りやがって!!」
そう叫んだ男が取り出したのは……
ガトリング砲だった
「…………」
「…………」
「…………いやいやいやいや」
待て待て待て待て
なんで?
普通、強盗って良くても拳銃かナイフとかだろうが!
ガトリング砲って何!?
店の備品みたいな顔して持ち出していい武器じゃねぇだろ!!
もはや強盗じゃねぇよ!
テロリストだよ!!
警察呼べ警察! 国家権力を呼べェェェ!!
どっかのロン毛の攘夷志士ですら、ガトリング砲なんて使ってねぇぞ!!
お前ら、いったい何と戦うつもりだコノヤロー!!
「死にやがれェェェ!!」
ギュイイイイイン!!
ダダダダダダダダダダダダダッ!!
「うわァァァァ!! 待て待て待て!! 話し合おう!? な!? 暴力はいけないと思います!!」
ついさっきまで、パフェの仇討ちに燃えていた俺はどこへやら
木刀を握りしめたまま、一目散に雄輝のいる金属製テーブルの影へと逃げ込んだ
「うおおおい!! こっち来んな!!
俺まで巻き込まれるだろうがァァァ!!」
雄輝が悲鳴じみた文句をぶつけてくる
「うるせえええ!! あんなもん持ち出されて、木刀一本でどうにかできるわけねぇだろうがァァァ!!」
ダダダダダダダダダダ!!!
その間も、強盗は容赦なくガトリング砲をぶっ放し、俺たちに集中砲火を浴びせてくる
「どーーすんだよ、これえええ!!
あんたのせいで状況最悪じゃねぇか!!
責任取れええええ!!」
「無茶言うなァァァ!!
俺ゃただパフェ食いに来ただけの一般市民だぞォォォ!!
つーか、お前も男だろうが!! なんとかしろやァァァ!!」
「できるかァァァ!!
よーし、わかった! 銀さんはそっちから飛び出してくれ!
その間に俺は逃げる!!」
「お前それ、作戦じゃなくて俺を生贄に捧げてるだけだろうがァァァ!!」
ダダダダダダダダダダ!!!
ガトリング砲の銃弾が、金属製テーブルに容赦なく叩き込まれる
そのたびに、テーブルがガンガンと激しく揺れ
やがて……
ミシッ……ミシミシッ……
「…………」
「…………」
金属製テーブルが、聞いたことのない嫌な音を立て始めた
「おい……おいおいおい……」
待て
なんだ、その音
テーブルって、そんな音するもんだっけ?
「ちょっと待てェェェ!! これ防弾仕様じゃねぇのかよォォォ!!」
「そんなもん、普通の店にあるわけねぇだろうがァァァ!!」
「じゃあなんで俺たちはこんなもんを盾にしてんだよォォォ!!」
おいいいい!!
異世界転移して、こんな死に方冗談じゃねぇぞおおお!!
誰かァァァ!!
助けてくれぇぇぇえええ!!
そう思った、その時ーー
「ほァちゃァァァア!!」
店の外から、甲高い掛け声が響き渡った
次の瞬間
チャイナ服を着た少女が、凄まじい勢いで強盗たちに襲いかかり、蹴り倒す
チャイナ服の少女が、こちらを振り返る
「銀ちゃーん、無事アルかー? 迎えに来たよー」
こ、この聞き覚えのある声優の無駄遣いゲロイン声は!?
「か、神楽ァァァァ!?」
「なんだ、知り合いなのか!?」
「ああ! うちのゲロインだ!!」
「誰がゲロインだ、コルァァァァ!!」
「くぎゅううううううううう!?」
神楽の飛び蹴りが俺の顔面に炸裂し、俺は勢いよく吹っ飛ばされた
「銀さーーん!?」
助けに来てくれたはずの少女に蹴り飛ばされる俺を見て、雄輝が驚きの声を上げた
「大丈夫ですよ、いつもの事ですから」
と、眼鏡をかけた……
いや、眼鏡にかけられているモブが、雄輝に話しかける
「ちょっとお!? あんたの心情酷すぎない!?」
「なんだ、お前もいたのか新八」
「迎えに来てやったのに、何その言い方!?」
「うるさいアル、新八!
出番少ねぇからって、ここぞとばかりに喋ってんじゃねぇぞ!」
そんないつものやり取りを雄輝が呆気にとられていると
「てめえら……ふざけてんじゃねぇぞ!!」
強盗たちが起き上がり殺気を向けてくる
「そりゃこっちのセリフだろうがァァァ!!
テメーら何? 人のパフェぶっ壊しといて逆ギレ? 最近の強盗ってのはアレか? 強盗する前に小学校で道徳の授業受け直してこいってレベルの知能なの? あァ!?」
「うるせええええ、ぶっ殺してやる!!」
「上等だァ!! 行くぞぉ! 神楽! 新八!!
万事屋の腕の見せどころだァァァァ!」
俺は木刀を構え、強盗たちへと駆け出す
襲いかかる連中を、次々と叩き伏せていく
「うおおおおお!! 俺のパフェの恨みィィィ!!」
「結局パフェのことアルかァァァ!!」
神楽のツッコミと同時に、彼女の拳が強盗の顔面にめり込んだ
巨体が宙を舞い、後方にいた仲間たちを巻き込んで吹っ飛んでいく
「おいおい、神楽ちゃん! もうちょっと手加減ってもんをだな……」
「銀ちゃんこそ、さっきまでテーブルの陰に隠れてたくせに何言ってるアルか!」
「うるせぇ! あれは戦略的撤退だ! 戦略的撤退!」
「ただのビビりじゃねぇかァァァ!!」
その隙に、別の強盗が俺へと銃口を向ける
がーー
「ちょっとお!! ちゃんとやってくださいよ!」
新八が横から飛び込み、その強盗を木刀で叩き伏せた
「あんた、今の完全に油断してたでしょ! 戦う気あるんですか!?」
「うるせぇ! こっちはパフェを失った悲しみで胸がいっぱいなんだよ!」
「あんた、いつまで引きずってんだァァァ!!」
そんな言い合いをしていると
「クソがァァァ!! まとめてぶっ殺してやる!!」
残った強盗の一人が、再びガトリング砲を構えた
回転を始める砲身が、俺たちへと向けられる
「死ねぇぇぇ!!」
「おせえっ!!」
俺は一気に間合いを詰め、木刀を振り抜いた
次の瞬間
ガトリング砲の砲身が、真っ二つに斬り裂かれた
「なっ……!?」
回転を止めた砲身が、音を立てて床に転がる
「ったく、物騒なモン持ち歩いてんじゃねぇよ」
俺は木刀を肩に担ぎ、呆然と立ち尽くす強盗を見下ろした
「木刀一本で十分なんだよ」
「銀ちゃん、最初からそうすればよかったアル」
「うるせぇ! こっちにも色々と事情があんだよ!」
「どんな事情だよ!!」
神楽と新八のツッコミを背に、俺は残った強盗たちへと視線を向ける
どうやら、まだ懲りていない連中がいるらしい
「おいおい……まだやる気か?」
俺は木刀を握り直し、口元を吊り上げた
「いいぜ……まとめて相手してやらァ!」
その後、俺たちは残った強盗たちを片っ端から叩き伏せ、パフェを台無しにした強盗たちは全員、床に沈むこととなった
「銀さん!お兄ちゃん!大丈夫!?」
小町が店の外から駆け寄ってきた
「おう、俺は大丈夫だ
そういえば雄輝はどこいった?」
すると、カウンターの向こうから雄輝がひょっこりと顔を出した
「……いやぁ、危なかったな」
「テメー!どこに隠れてやがったァァァ!!」
「当たり前だろ!!俺は一般人なんだよ!!
強盗相手に大立ち回りなんてできるかァァァ!」
「俺だって一般人だよ!!」
かめ〇め波も螺〇丸も使えなければ、腕が伸びたりもしない
そんな立派な一般人だぞ、コノヤロー
小町が俺に尋ねてきた
「ところで銀さん……このふたりは?」
「ああ、こいつらは万事屋のメンバーだ」
その言葉に、雄輝が「ああ」と頷いた
「昨日言ってた、大食らいの穀潰しチャイナ娘と、ツッコミ以外に特に目立つところのない、眼鏡にかけられてる人間ってやつか」
「おまえ、そんなこと言ってたアルかァァァァ!! 私たちの心配返せ、ゴルァァァァ!!」
神楽の拳……ではなく、凄まじい蹴りが俺の腹にめり込んだ
「ぶべらァァァ!!」
そのまま俺の身体は宙を舞い、店内を吹っ飛んでいく
「てめええええ!! 雄輝ィィィ!! わざとか!? わざとバラしやがったな、てめぇぇぇ!!」
「問答無用アル!!」
「ちょっ、待っ……!」
抗議する間もなく、神楽に関節技を極められた
「いててててて!! 神楽! 神楽ちゃん!!?
ギブギブギブギブぅぅうううう!!」
そんな俺を放置して、雄輝は新八に尋ねた
「それで? どうやってこちらの世界に来れたんです? 銀さんの話だと、カラクリがどうとか言ってましたけど」
「ああ、そうだった!
実はあのあと、源外さんがカラクリをどうにか修理して、こちらの世界と一時的に繋げてくれたんですよ」
「一時的に? ってことは……」
「そうなんです! 急いで戻らないと!
ほら銀さん! 早く行きますよ! 神楽ちゃんも早く!」
……おいおい、ちょっと待て
こちとら、ついさっきまで命懸けでパフェの仇を討ってたんですけど?
人の都合も知らねぇで、帰るだの急げだの好き勝手言いやがって
ていうか……
「新八てめえ! それを先に言ええ!!
おい、いくぞ! 神楽!!」
俺たちはその後、最初に飛ばされてきたゴミ捨て場へと全力で駆け出した
ゴミ捨て場に着くと、そこには空間の歪みが生じていた
その向こう側には、源外のじいさんの顔が見える
「おお、銀時! 無事じゃったか!」
「てめえええ、ジジイ! あんたにゃ、言いたい文句が山ほどあるぞ、コノヤロー!!」
「いいから、さっさと戻ってこい!
あまり長くは持たねぇぞ!!」
「ちっ! わかったよ!!」
俺は小町と雄輝に振り返った
「世話になったな
どうやら、これでお別れらしい」
小町はしょんぼりと肩を落とし、寂しそうに俺を見上げた
「また……会えるかな?」
「さあな……どうだろうな」
俺は小町の頭にポンと手をのせた
「ま、人生なんて何が起こるかわかんねぇもんだ
生きてりゃ、そのうちまた会えるんじゃねぇの?」
「……うん! 次に会った時はまたデュエルしよう!
次は私が勝つから!」
「へいへい、楽しみにしてるよ」
……ったく
最後まで元気なこった
「さあ、帰りましょう! 銀さん!」
しんみりした空気をぶち壊すように、新八が声を上げた
「お登勢さんが家賃払えってカンカンですよ!」
「…………は?」
待て
今、なんつった?
「えっ? ちょっと待って? 俺、まだこっちに残っててもよくね? ほら、ここの飯うめぇし、家賃もねぇし、何より平和だし……」
「銀さん、現実から逃げないでください!!」
「うるせぇ! 現実が俺から逃げてくれりゃいいんだよ!!」
「何言ってんだお前ェェェ!!」
「銀ちゃん、往生際が悪いアル!」
「うるせぇ! お前らだって家賃払う時だけ俺を見捨てるだろうがァァァ!!」
「早く行けアル!!」
「ちょっ、待っ……! 心の準備がァァァ!!」
神楽が俺の背中に、容赦なく蹴りを叩き込んだ
「うおおおおおおお!! まだ小町に言いたいことがァァァ!!」
「さっき全部言っただろうがァァァ!!」
新八のツッコミを背に、俺の身体は空間の歪みへと吸い込まれていった
その直後、新八と神楽が小町たちへと振り返った
「皆さん! うちのバカがお世話になりました!」
「次に会うときは、私も遊びに来るアル!
そしたら私にもデュエルさせるよろし!」
二人はそう言い残し、空間の歪みへと飛び込んでいった
そして――
異世界と繋がっていた歪みは、ゆっくりと閉じていく
そのわずかな隙間から見えた小町と雄輝は
最後まで、笑顔で手を振っていた
◇◇◇
ゴミ捨て場に残された私とお兄ちゃんは
しばらくの間、閉じて消えてしまった歪みがあった場所を見つめていた
「ほんとに愉快で面白い人だったね」
「ああ、嵐のように来て、嵐のように去っていったな」
「お兄ちゃん、ちょっと銀さんのこと好きだったでしょ? ちょっと似てるよね、お兄ちゃんと銀さん」
「どこがだよ!! 俺はちゃんと定職について働いてるだろうが、コノヤロー!」
「ほら! 口調うつってる!」
ばつが悪くなったのかお兄ちゃんは踵を返す
「バカ言ってんな、帰るぞ小町」
「うん、帰ろう!お兄ちゃん!」
そうして私たちは家路へとついた
Fin
いかがだったでしょうか?
楽しんでいただけたなら幸いです
次回の投稿からは本編となりますので引き続きよろしくお願いします!