遊☆戯☆王ーデュエルモンスターズー BattleCity 作:NONAME0195
引き続きよろしくお願いします!
「ええええええ!?」
思わず叫んでしまった私は、全校生徒から注目を浴びてしまった。
だけど――
そんなことを気にしてる余裕がない!!
パニックになっている私に、
「ちょっと、小町!?」
隣にいた瑠奈が、慌てて私の制服の袖を引っ張った。
いつも笑顔を絶やさない瑠奈も、今は目を丸くしている。
「いや、だって!」
私は壇上を指差す。
「あれ、お兄ちゃんなんだけど!!」
「…………」
一瞬――
体育館が、静まり返った。
「……え?」
誰かが、ぽつりと声を漏らした。
「兄?」
「先生が?」
「神崎の……?」
次々と声が上がり始める。
そして――
体育館中が、一気にざわめき始めた。
壇上では、校長先生が小さく咳払いをした。
「……どうやら、紹介が少し足りなかったようですね」
ざわめきが少しずつ落ち着いていく。
校長先生は、改めてマイクを握り直した。
「神崎先生は、本校の卒業生です」
それは私も知っている。
お兄ちゃんは昔、このデュエルアカデミアに通っていた。
卒業してからは、世界を舞台にプロデュエリストとして活動していたことも知っている。
だから――
「卒業後は世界を舞台にプロデュエリストとして活躍し、その経験を買われ、この春より本校へ着任していただきました」
そこまでは、何も驚くことじゃない。
問題は――
「……なんで?」
私は壇上のお兄ちゃんを見つめる。
先生になるなんて……
そんな話、私は一度も聞いてないんだけど!?
驚きで頭がいっぱいになっていると――
ふと、壇上のお兄ちゃんと目が合った。
「…………」
お兄ちゃんは、何事もなかったかのように私を見つめている。
……なんでそんなに平然としてるの?
私は思わず、じーっとお兄ちゃんを睨みつける。
すると――
お兄ちゃんは、ほんの少しだけ口元を緩めた。
「!?」
や、やられた!?
その顔を見た瞬間、全てを理解した。
完全に私を驚かせようとして、わざと黙ってたなぁぁぁ!!!
「~~~~っ!!」
私は思わず、頬を膨らませた。
お兄ちゃんは、心なしか満足そうな顔をしていた。
その後も校長先生の話は続いたけど――
正直、ほとんど頭に入ってこなかった。
だって……
お兄ちゃんが先生になった。
しかも――
私の通うデュエルアカデミアの先生に。
「…………」
ちらっと壇上を見る。
お兄ちゃんは、何事もなかったかのように校長先生の話を聞いている。
……やっぱり、わざとだ。
絶対にわざと黙ってた。
あとで絶対問い詰めてやるんだから!!
そんなことを考えているうちに――
「以上をもちまして、始業式を終了します」
校長先生の声が体育館に響いた。
「起立!」
生徒たちが一斉に立ち上がる。
「礼!」
こうして、今年度の始業式は終了した。
……だけど。
私にとっては――
ここからが、本当の意味での新学期の始まりだった。
◇◇◇
教室に戻ると、案の定――
私はクラスメイトに囲まれていた。
「神崎先生ってどんな人なんだ?」
「プロって本当なの?」
「どんなデッキ使うんだ?」
「家でもデュエルするの?」
「彼女とかいる!?」
……ん?
若干、変な質問が混ざっている気がする。
というか――
「最後の質問、必要!?」
思わずツッコんでしまった。
「えー……とね」
私は少し考えてから、思いついたことを口にする。
「デッキはHEROで」
「「なるほど」」
周りのクラスメイトが一斉に頷く。
「甘いものが好き!」
「「ほうほう」」
また一斉に頷く。
「寝起きはちょっと悪くて」
「「ん?」」
「休みの日は、よくソファで寝落ちしてる」
「「んん?」」
「あと、プリンを勝手に食べる!」
「「…………」」
今度は、全員が無言で頷いた。
「ちょいちょいちょい!! 小町!」
瑠奈が慌てて両手を振る。
「途中から先生の紹介じゃなくて、悪口になってるじゃない!?」
瑠奈から盛大なツッコミを貰ってしまった。
すると――
瑠奈が何事もなかったかのように尋ねてくる。
「んで? 彼女とかいるの?」
…………。
いや、その質問――
瑠奈がしてたんかい!!!
「そんなの知らないよ!!!!」
◇◇◇
いやー……傑作だったなあ。
予想以上の反応をしてくれる妹を見て、笑いをこらえるのが大変だった。
まさか、あそこまで驚くとは。
まあ……
教師になることを黙っていたんだから、驚くのも無理はない。
「神崎先生……」
教頭先生から声をかけられる。
「はい」
俺は敢えて真面目な顔を作り、短く返事をする。
まあ、ほら。
上司だからね。
印象は大事だ。
「早速ですが、三年A組のホームルームをお願いします」
「……はい?」
三年A組って……
まさか――
「ええ、妹さんがいるクラスですよ」
な・ん・だ・と?
いいのか?
普通、身内がいるクラスの担任なんてさせていいのか?
「その方が面白そうなので(笑)」
この教頭、エスパーなの?
俺の心、読んでない?
しかも――
面白そうって!?
はあ……
すでに前途多難な気がする。
俺は教頭先生から名簿を受け取る。
「では、お願いしますね」
教頭先生は一度言葉を切る。
「……神崎先生、期待してます」
その言葉を聞いた瞬間――
俺はスイッチを切り替えた。
さっきまでのおちゃらけたような雰囲気とは違う。
教頭先生の言葉は、冗談ではなかった。
俺は表情を引き締める。
「わかりました」
そして、教頭先生へ一礼する。
「では、失礼します」
俺は名簿を手に、教室へ向かった。
教師になった以上、俺には生徒を教え、導く責任がある。
それは、分かっている。
しかし――
「俺が教師……ね」
思わず、苦笑が漏れた。
つい昨日まで、俺はただの小町の兄だった。
それが今日からは――
生徒たちの前に立つ教師だ。
「……まあ」
俺は前を向く。
「やるしかないよな」
そんなことを考えながら歩いていると――
三年A組の教室が見えてきた。
俺は教室の扉に手をかける。
「……よし」
そして――