遊☆戯☆王ーデュエルモンスターズー BattleCity 作:NONAME0195
「「デュエル!!」」
掛け声とともに、再び闇のデュエルが幕を開ける
そして、ワタシと目の前に立つ男
――鷹城蓮司との間に、異様な空気が立ち込めていた
空気が重い……
やっぱり普通のデュエルとはどこか違う……
ワタシは直感的に危険を察知していた
それでも逃げたいとは微塵も思わなかった
脳裏をよぎるのは、ボロボロになりながらも
必死に戦うユウの姿
今度は絶対にワタシが守る!
1ターン目 鷹城 LP4000
「俺のターン……ドロー」
鷹城は手札を確認し、1枚のカードを発動させる
「手札より永続魔法《補給部隊》発動」
────
補給部隊
永続魔法
カードテキスト
①:1ターンに1度、自分フィールドのモンスターが戦闘・効果で破壊された場合に発動する
自分は1枚ドローする
────
さらに――
「モンスターをセットし……ターンエンドだ」
手札を増強する魔法と、裏側でセットされたモンスター……
序盤は盤面を整えるつもり……ってところかな
それとも、既に何かを狙ってる?
「きひっ……どうした? あんたのターンだぜ?」
鷹城は挑発するようにワタシに話しかける
こんな序盤から迷っても仕方ない
ワタシはワタシのデュエルをするのみ!
そう思い、山札に手を添える
2ターン目 シルヴィア LP4000
「ワタシのターン! ドロー!」
鷹城になにか狙いがあるにしろ
最終的な狙いは、三幻魔の召喚のはず……
彼の三幻魔がどんな効果を持つかわからないなら!
出される前に蹴りをつけるのがベスト!
だから――序盤から攻める!
「ワタシは手札から《D-HERO ドリルガイ》を召喚!」
フィールドにドリルの回転音を響かせながら、一体のD-HEROが姿を現す
────
D-HERO ドリルガイ
闇属性
レベル 4
ATK1600DEF1200
戦士族
効果
カードテキスト
「D-HERO ドリルガイ」の①の効果は1ターンに1度しか使用できない。①:このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。このカードの攻撃力以下の攻撃力を持つ「D-HERO」モンスター1体を手札から特殊召喚する。②:このカードが守備表示モンスターを攻撃した場合、その守備力を攻撃力が超えた分だけ戦闘ダメージを与える。
────
「さらに《D-HERO ドリルガイ》の効果により《D-HERO ダイヤモンドガイ》を特殊召喚!」
ドリルガイの足元から立ち上る黒い光が、人影を形作っていく
────
《D-HERO ダイヤモンドガイ》
闇属性
レベル4
【戦士族/効果】
ATK1400/DEF1600
①:1ターンに1度、自分メインフェイズに発動できる。自分のデッキの一番上のカードをめくり、それが通常魔法カードだった場合、そのカードを墓地へ送る。違った場合、そのカードをデッキの一番下に戻す。この効果で通常魔法カードを墓地へ送った場合、次の自分ターンのメインフェイズに墓地のその通常魔法カードの発動時の効果を発動できる。
────
「《D-HERO ダイヤモンドガイ》の効果を発動」
ワタシは山札からカードを引き抜く
引いたカードはーー
《デステニー・ドロー》
よし!通常魔法!
ワタシは引いたカードを墓地へ送る
これで次のワタシのターンで効果を使える
そしてさらにーー
「手札よりフィールド魔法《幽獄の時計塔》を発動!」
巨大な時計塔がフィールド中央に姿を現す
鐘の音が静かに響き渡り、フィールド一帯を闇夜へと染め上げていく
────
《幽獄の時計塔》
フィールド魔法
相手ターンのスタンバイフェイズ時に時計カウンターを1個置く
時計カウンターが4個以上ある間、このカードのコントローラーは戦闘ダメージを受けない
時計カウンターが4個以上乗ったこのカードが破壊され墓地へ送られた時、手札またはデッキから《D-HERO ドレッドガイ》1体を特殊召喚する
────
すると鷹城は、嘲笑うように言う
「きひっ……随分と攻め急いでるな」
そして、挑発するように続ける
「そんなに三幻魔のカードが怖いのかあ、きひひ」
……なるほど
ワタシを怖がらせて、動揺させたいらしい
だけど――
別に、怖がっていることを隠す必要なんてない
ワタシは鷹城をまっすぐ見つめる
「ええ、どんな効果があるか分からない以上、召喚される前にあなたを倒したいのは当然でしょう?」
鷹城の笑みが、ほんの少しだけ止まった
「へえ……さすが世界ランカー
この程度の挑発には乗ってこないか、きひひ」
ワタシは鷹城の言葉を無視し――
「バトル! ドリルガイで攻撃!!」
高速回転する巨大なドリルが一直線に突き進み、セットされたモンスターへ迫る
そして、現れたのは――《クリッター》
────
クリッター
闇属性
レベル 3
ATK1000DEF600
悪魔族
効果
カードテキスト
このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。
①:このカードがフィールドから墓地へ送られた場合に発動する。デッキから攻撃力1500以下のモンスター1体を手札に加える。このターン、自分はこの効果で手札に加えたカード及びその同名カードの効果を発動できない。
────
ドリルガイは《クリッター》を貫き、そのまま鷹城へと突き進む
「ぐああァァ!」
鷹城LP4000 → 3000
「……」
鷹城の苦痛に歪む顔を見る限り
やっぱりこのデュエルでは、ダメージを受けると痛みまで感じるんだ
……正直、怖い
でも、気づかれちゃダメ!
付け入る隙になってしまうから
ワタシは努めてポーカーフェイスをつくる
「……っ、く……」
鷹城は胸元を押さえながら、荒い息を吐く
だが、その顔が不気味に笑う
「きひひ……いいねぇ
この痛み、このスリル……堪んないねぇ」
っ!
この人……こんな危険なデュエルを楽しんでるっていうの
ワタシは動揺を隠し、鷹城を見つめる
すると――
「クリッターが破壊されたため! 永続魔法《補給部隊》発動!」
鷹城はデッキからカードを引き抜き
そして――
「きひひ! さらに《クリッター》、効果を発動!《黒き森のウィッチ》をデッキから手札に加える!」
《補給部隊》に《クリッター》
そして《黒き森のウィッチ》……
どれも手札を補充するカード
やっぱり、盤面を整えにきてる
とすれば!
相手がキーカードを引く前に叩く!
「ダイヤモンドガイでプレイヤーにダイレクトアタック!!」
ダイヤモンドガイの拳が鷹城を捉える
「ぎぃいいいい!」
鷹城LP3000 → 1600
その身体が大きくよろめく
それでも――
「きひ……ひひ……」
鷹城の口元には、再び笑みが浮かんでいた
「……ワタシはこれでターンエンド」
3ターン目 鷹城 LP1600
「俺のターン……ドロー」
そして、スタンバイフェイズ
ワタシのフィールドにそびえる《幽獄の時計塔》が、静かに鐘を鳴らす
カチッ……
時計塔へ、一つ目の時計カウンターが刻まれる
時計カウンター:1
その音を聞きながら、鷹城は時計塔を見上げる
そして――
ゆっくりと口元を歪めた
「……きひっ」
何がおかしいの……?
鷹城はすぐに視線を戻し、手札から新たなカードを発動させる
「手札から永続魔法《無限の手札》発動」
────
無限の手札
永続魔法
カードテキスト
このカードがフィールド上に存在する限り、お互いのプレイヤーは手札枚数制限が無くなる
────
手札の上限を無くすカード……
「余程、キーカードを引きたいみたいね」
すると鷹城は、ワタシをじっと見つめる
その目には、先ほどまで痛みに苦しんでいた男と同じ人物とは思えないほどの狂気が宿っていた
「きひっ……ああ、喉から手が出るほどなあ」
その笑みは、まるでこれから起こることを楽しみにしているようだった
「だから、時間を稼がせてもらう……」
鷹城は手札のカードを一枚、指先で弄ぶ
「さらに永続魔法《平和の使者》発動!」
────
平和の使者
永続魔法
カードテキスト
お互いのプレイヤーは、攻撃力1500以上のモンスターでは攻撃宣言できない
自分のスタンバイフェイズに100ライフポイントを払う
払わなかった場合、このカードを破壊する
────
「きひっ、これで厄介な貫通効果のある《ドリルガイ》は攻撃できねぇ」
くっ!
ワタシの《ドリルガイ》の攻撃を封じられた
それだけじゃない
《平和の使者》がある限り、ワタシの上級モンスターの攻撃も封じられるってこと
攻撃力1500未満のモンスターなら攻撃できるけど……
今のワタシのフィールドにいるのは、攻撃力1600の《ドリルガイ》と1400の《ダイヤモンドガイ》
ダイヤモンドガイなら攻撃できる
だけど、それだけじゃ鷹城のライフを削り切れない
「そして俺はモンスターをセットし、ターンエンドだ」
鷹城は不気味な笑みを浮かべたまま、ターンを終えた
4ターン目 シルヴィア LP4000
「ワタシのターン! ドロー!」
ワタシは引いたカードを確認する
!
よし、このカードなら!
まずは――
「墓地にある《デステニー・ドロー》発動!」
ワタシは手札から《D-HERO ディアボリックガイ》を墓地へ送り、さらに2枚ドローする
そして――
「さらにワタシはフィールドの《ダイヤモンドガイ》の効果発動!」
山札からカードを1枚引き抜く
よし!
ワタシが引いたカードは――
「通常魔法《天使の施し》だったため、墓地へ送るよ」
そしてワタシは、ターンの最初にドローしたカードを手札から取り出す
このカードなら――
「ワタシは《D-HERO ドリルガイ》をリリース!」
フィールドの《ドリルガイ》が闇の粒子となって消えていく
そして――
「《D-HERO ダブルガイ》をアドバンス召喚!」
黒いシルクハットを被り、杖を手にした男がフィールドへ現れる
その背後には、巨大な怪物が不気味に佇んでいた
────
D-HERO ダブルガイ
闇属性
レベル 6
【 戦士族/効果 】
攻撃力 1000
守備力 1000
このカードは特殊召喚できない。
①:このカードは1度のバトルフェイズ中に2回攻撃できる。
②:このカードが破壊され墓地へ送られた場合、次の自分ターンのスタンバイフェイズに発動できる。自分フィールドに「ダブルガイ・トークン」(戦士族・闇・星4・攻/守1000)2体を特殊召喚する。
────
鷹城のLPは1600
そして《ダブルガイ》の攻撃力は1000
《平和の使者》の効果は効かない
それだけじゃない
《ダブルガイ》は、1度のバトルフェイズに2回攻撃できる!
そして、鷹城のセットモンスターは――
おそらく《黒き森のウィッチ》
ワタシの《ダイヤモンドガイ》なら、破壊できる!
これなら――
「行くわよ! 《ダイヤモンドガイ》で攻撃!」
ダイヤモンドガイが拳をかまえ、突撃する
よし! これで《黒き森のウィッチ》を……!
しかし――
鷹城は不気味な笑みを深める
「きひっ、残念だったな」
ダイヤモンドガイの拳が、セットされたモンスターを捉える
そして、その姿が明らかになる
だが――
それは《黒き森のウィッチ》ではなかった
現れたのは――
《素早いモモンガ》
────
素早いモモンガ
地属性
レベル 2
ATK1000DEF100
獣族
効果
カードテキスト
このカードが戦闘によって破壊され墓地へ送られた時、自分は1000ライフポイント回復する。さらにデッキから「素早いモモンガ」を任意の数だけ裏側守備表示で特殊召喚できる。
────
「なっ!? 《黒き森のウィッチ》じゃない!?」
「きひひ、《素早いモモンガ》の効果発動」
鷹城のLPが回復する
鷹城LP1600 → 2600
そしてさらに、デッキから2枚の《素早いモモンガ》が裏守備状態で鷹城のフィールドに現れる
「きひひ、さらに《素早いモモンガ》が破壊されたことで《補給部隊》の効果発動!1枚ドロー」
鷹城はカードを1枚引く
そして――
嬉しそうに笑った
「迂闊だったなあ、シルヴィア・エミリー・カーター……おかげでLPを回復させてもらったぜ」
そして――
「《素早いモモンガ》は破壊されることでLPを回復する効果を持っている……」
鷹城は、自分の身体を確かめるように腕を動かす
「だから、こいつが破壊されても俺は痛くねぇ」
その口元が、さらに歪む
「どれだけ破壊してもなあ……きひひ」
くっ!
何やってるの、ワタシ!
セットされたモンスターを《黒き森のウィッチ》だと決めつけて、勝ち急いで!
……ダメだ
落ち着いて、ワタシ
一度大きく息を吸い、ゆっくりと吐き出す
……まだ、負けた訳じゃない
別のプランを組み立てればいい
ワタシは手札を確認する
……よし!
いくよ!
「ワタシは《ダブルガイ》で、セットされている《素早いモモンガ》に攻撃!」
背後の巨大な怪物を従え
ダブルガイが、セットされている《素早いモモンガ》へと迫る
そして――
ダブルガイが《素早いモモンガ》を捉え、破壊する
「続けて!もう一度、ダブルガイで攻撃!」
ダブルガイは再び攻撃態勢に入り
最後に残った《素早いモモンガ》へと迫る
その一撃が《素早いモモンガ》を捉え、破壊する
「きひっ、これでLPを合計2000回復するぜ」
鷹城LP2600 → 4600
これでいい!
LPは回復されたけど、相手のモンスターは全滅できた
それに――
このまま、LPを回復させたままにさせない!!
「メインフェイズ2でワタシは墓地の《ディアボリックガイ》の効果発動!」
────
D-HERO ディアボリックガイ
闇属性
レベル 6
ATK800DEF800
戦士族
効果
カードテキスト
①:墓地のこのカードを除外して発動できる。デッキから「D-HERO ディアボリックガイ」1体を特殊召喚する。
────
「墓地の《ディアボリックガイ》を除外して……デッキから新たな《ディアボリックガイ》を特殊召喚!」
墓地から除外された《ディアボリックガイ》が闇の粒子となって消えていき
ワタシのフィールドに、もう一体の《D-HERO ディアボリックガイ》が姿を現した
そしてーー
「フィールドの《ダイヤモンドガイ》、《ダブルガイ》、《ディアボリックガイ》をリリース!!」
3体のD-HEROが闇の粒子となり
その闇が、1つへと集約されていく
「闇より来たれ、運命の英雄!
《D-HERO ドグマガイ》を特殊召喚!」
闇の粒子が渦を巻く
その中心から、巨大な人影がゆっくりと姿を現した
全身を漆黒の装甲に包み
背中には大きく広がる翼
鋭い爪を持つ両腕が、ゆっくりと開かれる
その姿は、まるで闇そのものから生まれた戦士のようだった
そして――
赤く輝く眼光が、鷹城を捉える
────
D-HERO ドグマガイ
闇属性
レベル 8
【 戦士族/特殊召喚/効果 】
攻撃力 3400
守備力 2400
このカードは通常召喚できない。
「D-HERO」モンスターを含む自分フィールドのモンスター3体をリリースした場合のみ特殊召喚できる。
①:この方法でこのカードが特殊召喚した場合、次の相手スタンバイフェイズに発動する。相手のLPを半分にする
────
《平和の使者》は、攻撃力1500以上のモンスターの攻撃を封じるだけ
効果までは無力化できない!
これなら、次のスタンバイフェイズに鷹城のLPを半分にできる!
「ワタシはカードを1枚セットして、ターンエンドよ」
ワタシは鷹城に視線を向ける
鷹城は何も言わず
ただ、口元に不気味な笑みを浮かべていた
5ターン目 鷹城 LP4600
「俺のターン……ドロー」
そして――
スタンバイフェイズ
ワタシのフィールドにそびえ立つ《幽獄の時計塔》が再び鐘を鳴らす
カチッ……
時計塔へ、二つ目の時計カウンターが刻まれる
時計カウンター:2
さらに――
フィールドの《D-HERO ドグマガイ》が
禍々しいオーラを纏う
「《D-HERO ドグマガイ》の効果発動!
相手のLPを半分にする!」
ドグマガイの赤い眼光が、鷹城を捉える
「ライフ・アブソリュート!!」
漆黒のオーラが鷹城へと襲いかかる
「ぐ……っ、がああああ!!」
鷹城LP4600 → 2300
闇が晴れたとき
鷹城は荒い息を吐きながら、その場に立っていた
そして――
苦痛に歪む顔が――
次第に口角を上げていく
「ぎひ……ぎひひひひ」
「……!」
あれだけのダメージを受けたのに……
鷹城は、ゆっくりと顔を上げる
「ぎひひ......さすがだよ
シルヴィア・エミリー・カーター」
鷹城は、荒い息を吐きながらも
愉快そうに笑っていた
「あれだけ裏をかいたのに……ここまでLPを削るとはな」
鷹城は一度言葉を切る
そして――
口元を大きく歪めた
「だが……あんたは俺の術中にハマった!」
「なんですって?」
鷹城は答えず、ただ笑い続ける
「きひひ……まず、スタンバイフェイズに《平和の使者》の維持コストを払わず破壊する」
……《平和の使者》を自分から?
一体、何をするつもりなの……?
「そしてメインフェイズ......手札から永続魔法《七精の解門》発動!」
────
七精の解門
魔法
永続
このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。
①:このカードの発動時の効果処理として、「神炎皇ウリア」「降雷皇ハモン」「幻魔皇ラビエル」のいずれか1体、またはそのいずれかのカード名が記されたモンスター1体をデッキから手札に加える。
②:1ターンに1度、手札を1枚捨てて発動できる。自分の墓地から攻撃力と守備力が0の悪魔族モンスター1体を特殊召喚する。
③:1ターンに1度、自分フィールドにレベル10モンスターが存在する場合に発動できる。自分の墓地から永続魔法カード1枚を手札に加える。
────
あのカードは!
確か御堂も使っていた……
三幻魔をサーチするカード
でも、鷹城のフィールドにモンスターは……
……待って
私は、これまでの鷹城の行動を思い返す
クリッター
素早いモモンガ
そして《補給部隊》や《無限の手札》
まさか……
そこまで考えた瞬間
ワタシは、鷹城が言った「術中にハマった」という言葉の意味を理解した
「しまった!!」
「ぎひひひ! 気づいたかあ?」
鷹城は愉快そうに笑いながら、ワタシを指差す
「そうだ……あんたは三幻魔を恐れるあまり、俺が用意した永続魔法を放置したんだよ!」
そうだ……
ワタシはモンスターばかりを気にしていた!
ユウと御堂のデュエルを見て
三幻魔の召喚条件がモンスターを生贄にするだけじゃないことを知っていたはずなのに!!
それなのに……
ワタシは、三幻魔そのものを警戒することに意識を奪われていた
鷹城が仕掛けた永続魔法に気づくこともなく
モンスターを破壊することばかりを考えていた
……そういうことだったのね
鷹城の挑発に乗ってしまったんだ
「ぎひひ、俺は《七精の解門》の効果により……《降雷皇ハモン》を手札に加える!」
「……っ!」
あれが……
鷹城の三幻魔のカード!
そして――
鷹城はフィールドに残る3枚の永続魔法へ手を伸ばす
「フィールドの永続魔法《補給部隊》《無限の手札》《七精の解門》をリリース!」
その瞬間
フィールドに激しい雷が迸る
空気が震え
無数の雷光がフィールドを駆け巡る
そして――
鷹城が高らかに叫ぶ
「来い……三幻魔の一角!」
轟音とともに、雷が一ヶ所へと集約されていく
「《降雷皇ハモン》を特殊召喚!!」
金色に輝く巨大な身体
鋭く伸びた角
背中から広がる巨大な翼
その全身に激しい雷を迸らせながら
《降雷皇ハモン》がフィールドに現れる
────
降雷皇ハモン
光属性
レベル 10
ATK4000 DEF4000
雷族
/
特殊召喚/効果
カードテキスト
このカードは通常召喚できない。
自分フィールドの表側表示の永続魔法カード3枚を墓地へ送った場合のみ特殊召喚できる。
①:このカードがモンスターゾーンに守備表示で存在する限り、相手モンスターは他のモンスターを攻撃対象に選択できない。
②:このカードが戦闘で相手モンスターを破壊し墓地へ送った場合に発動する。相手に1000ダメージを与える。
────
思わず息を呑む
これが……三幻魔
その圧倒的な存在感に、ワタシは無意識に一歩後ずさっていた
だが――
鷹城はそんなワタシを嘲笑うように、さらにカードを取り出す
「ぎひっ、まだまだ行くぜぇ
俺はさらにフィールド魔法《失楽園》と永続魔法《失楽の霹靂》を発動!!」
────
失楽園
フィールド魔法
このカード名の②の効果は1ターンに1度しか使用できない。①:このカードがフィールドゾーンに存在する限り、自分のモンスターゾーンの「神炎皇ウリア」「降雷皇ハモン」「幻魔皇ラビエル」「混沌幻魔アーミタイル」は相手の効果の対象にならず、相手の効果では破壊されない。②:自分のモンスターゾーンに「神炎皇ウリア」「降雷皇ハモン」「幻魔皇ラビエル」「混沌幻魔アーミタイル」のいずれかが存在する場合に発動できる。自分はデッキから2枚ドローする。
────
────
失楽の霹靂
永続魔法
カードテキスト
①:「降雷皇ハモン」を自身の方法で特殊召喚する場合、自分フィールドの裏側表示の魔法カードを墓地へ送る事もできる。②:1ターンに1度、自分フィールドに「降雷皇ハモン」が攻撃表示で存在する場合、相手が発動した魔法・罠カードの効果を無効にできる。その後、自分フィールドの「降雷皇ハモン」1体を選んで守備表示にする。③:自分フィールドの表側表示の「神炎皇ウリア」「降雷皇ハモン」「幻魔皇ラビエル」のいずれかがフィールドから離れた場合に発動する。このターン、自分が受ける全てのダメージは0になる。
────
「ぎひひひひ! この2枚がある限り
ハモンは戦闘以外で破壊されない上に
1ターンに1度、あんたの発動した魔法・罠を《ハモン》を守備表示にすることで無効化できる!」
鷹城はハモンを見上げる
「まさに……最強の盾ってわけだ」
「なっ!?」
攻撃力4000の上に効果耐性
そして妨害効果まで!?
なんてむちゃくちゃなカードなの!?
「さあ、いくぜ……《ハモン》で《ドグマガイ》を攻撃!」
《降雷皇ハモン》の巨体が大きく翼を広げる
その全身から、凄まじい雷が放電する
バチバチバチッ!!
フィールドを埋め尽くすほどの雷光が、一斉に《D-HERO ドグマガイ》へと向けられる
「くらいな! 失楽の霹靂!!」
轟音とともに、無数の雷撃がドグマガイへと襲いかかり、破壊する
そして――
その雷撃はワタシにも降りかかる
「ぐっ……ああああああっ!!」
シルヴィアLP4000→3400
痛い……!
こんな……
これが……闇のデュエル……!
「さらに《ハモン》の効果だ!
モンスターを破壊したため、さらに1000ポイントのダメージを与える!
くらいな! 地獄の贖罪!!」
「なっ……!?」
まだ……終わってない!?
《降雷皇ハモン》の全身から、再び激しい雷が迸る
「いやああああああっ!!」
次の瞬間
凄まじい雷撃が、再びワタシの身体を貫いた
シルヴィアLP3400→2400
まるで雷が落ちたような痛みがワタシを襲う
「う……ぐっ……!」
思わず、地面に両膝をつく
身体が震える
呼吸すら、うまくできない
そんなワタシを見下ろし――
「ぎひ……ひひひひひ」
鷹城の肩が震える
そして――
「あーはっはっはっはっはあ!」
高々と声を上げて笑い出す
「いいねぇ! 最高だ!」
その笑顔に浮かんでいるのは、歓喜だった
「あんたが痛みに苦しむ姿……俺は、それが見たかったんだ!!」
ワタシの視界は歪み
鷹城の耳障りな声が遠くに聞こえる
気を抜けば、意識を持っていかれそうになる
それでも――
ワタシは震える膝に力を入れ、立ち上がる
「ほーう……《ハモン》の攻撃を受けてなお、まだ立てるのか」
立てる?
当たり前よ……
ワタシの中にあるのは……
こんな……
こんな痛みを……
ユウに与えた……
ワタシはゆっくりと顔を上げ、鷹城を見る
その目に宿っていたのは――
怒りだった
「絶対に許さない!」
ワタシは震える手をデュエルディスクへ伸ばす
そして――
「リバースカードオープン! 《デステニー・シグナル》!」
────
デステニー・シグナル
罠
自分フィールド上のモンスターが戦闘によって破壊され墓地へ送られた時に発動する事ができる。自分の手札またはデッキから「D-HERO」と名のついたレベル4以下のモンスター1体を特殊召喚する。
────
上空を、一筋の光が照らし出す
光の先に浮かび上がったのは――
《D》の文字
その光が、まるで新たな運命を探し出すように照らしていく
そして――
その光の中から、一体のD-HEROが姿を現す
「ワタシはデッキから《D-HERO ディシジョンガイ》を特殊召喚!!」
照らしていた光が弾ける
その中から、《D-HERO ディシジョンガイ》がフィールドへ降り立った
────
D-HERO ディシジョンガイ
闇属性
レベル 4
【 戦士族/効果 】
攻撃力 1600
守備力 1000
「D-HERO ディシジョンガイ」の①③の効果はそれぞれデュエル中に1度しか使用できない。①:このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。このターンのエンドフェイズに、自分の墓地の「HERO」モンスター1体を選んで手札に加える。②:レベル6以上の相手モンスターはこのカードを攻撃対象に選択できない。③:このカードが墓地に存在し、自分にダメージを与える魔法・罠・モンスターの効果が発動した時に発動する。このカードを手札に戻し、その効果で自分が受けるダメージを0にする。
────
「ぎひっ、《ハモン》を前にしてそれでもそんな目をするなんてな...本当に気の強い女だ」
鷹城は一拍置いて言った
「俺はこれでターンエンドだ」
鷹城がターンを終える
その瞬間――
フィールドに立つ《D-HERO ディシジョンガイ》が、静かに顔を上げる
その身体から、淡い光が放たれる
「……!」
光はやがて、墓地へと向かって伸びていく
その先にあるのは――
さっき《ハモン》によって破壊された《D-HERO ドグマガイ》
「《D-HERO ディシジョンガイ》の効果発動!」
ディシジョンガイの放った光が、墓地のドグマガイを包み込む
そして――
「ワタシは墓地から《D-HERO ドグマガイ》を手札に加える!」
光が弾ける
墓地から一枚のカードがワタシの手札へと戻ってくる
《D-HERO ドグマガイ》
ワタシは、そのカードを強く握りしめた
このデュエルだけは……
負けられない!!