遊☆戯☆王ーデュエルモンスターズー BattleCity 作:NONAME0195
よろしくお願いします!
ガラッ――
教室の扉が開き、新しい担任の先生が入ってきた
……と思ったら
「よーし、席につけー
ホームルーム始めるぞー」
…………。
え?
今の声……
聞き間違い?
私は教壇に立った先生の顔を見る
黒髪
眼鏡
赤い教師用ジャケット
そして――
見慣れた顔
「…………」
口が、パクパクと動く
え?
ちょっと待って
なんで?
どうして?
いやいやいや
まさか……
「…………お兄ちゃん!?」
私の声が、教室中に響き渡った
「はい、そこー
学校では先生と呼ぶようにー」
「いやいやいやいや!」
私は思わず立ち上がった
「なんで!?
なんでお兄ちゃんが私たちの担任なの!?」
「おお……」
「マジかよ……」
「まさか担任まで神崎先生とはな」
教室のあちこちから声が上がる
みんなもさすがに驚いている
そりゃそうだよね!
さっき、お兄ちゃんが新任教師として来たことを知ったばかりなのに――
まさか私たちの担任だなんて!
「まあ、すでに知れ渡っているが改めて……」
お兄ちゃんは一呼吸おいて
「俺は神崎雄輝
そこの神崎小町の兄で今日から一年間みんなの担任となった……よろしくな!」
もう何がなにやら……
◇◇◇
まあ、小町の反応はもっともだなあ
俺と教頭先生に言われた時なんて
「はい?」
ってなったしなあ
まさか新任教師初日に、妹のクラスの担任にされるとは思わなかった
教頭先生もよく俺に任せようと思ったもんだ
……まあ
面白そうだから、なんて理由だったけどな
俺は改めて教室を見渡す
さっきまでの騒がしさが少しずつ収まっていく
今日から、この生徒たちを一年間受け持つ
教師として――
まずは、しっかり覚えてもらわないとな
「まあ、そうだな……
とりあえずなんか質問とかあるか?」
するとやっぱり、色々飛んできた
「プロデュエリストだったってほんとですか?」
「ああ、ほんとだ」
「歳はいくつなんですか?」
「23」
「彼女はいますか?」
「誰だアホな質問したやつ
ノーコメントだ!」
教室に笑い声が広がる
……ったく
質問あるかとは聞いたが
そんな質問するアホがいるとは
すると1人の生徒が手を上げていた
俺は名簿を確認する
「はい、そこの……えーーと黒機大河くん」
声をかけると
黒髪の少年が立ち上がった
鋭い目つきに
整った顔立ち
真面目そうな雰囲気の生徒だ
「はい」
その生徒は静かに返事をした
「質問と言うより……お願いです
世界で戦ってきたという実力を見せて貰えませんか?」
つまりそれは……
「俺とデュエルしたいってことか?」
黒機という生徒は頷いて
「はい、ダメでしょうか?」
俺はその生徒の目を見る……
その目は挑発やら威圧するような目ではなかった
あるのは純粋な興味……
世界で戦ってきたプロが
一体どんなデュエルをするのか
ただ、それを見たい
そんな訴えを含んだ目だった
俺は少し考え答える
「まっ、俺のことを紹介するには……
デュエルするのがいちばん早いな」
それに……
あの胸にあるバッジは
学年上位20位以内の生徒に与えられるバッジ
つまりこの生徒は
学年の上位ランカーということ
この学年のレベルを知るには
いい機会だ
「よし、移動するか」
黒機という生徒は眉をひそめる。
「移動?」
俺は口元に笑みを浮かべ
「どうせなら、デュエルフィールド使おうぜ」
その一言で、教室が一気にざわめく
「マジか!」
「フィールド使うのか!」
「先生がデュエルするぞ!」
「急げ!」
椅子を引く音が次々と響く
生徒たちは我先にと教室を飛び出していく
さてさて
お手並み拝見と行きますかね
俺も生徒たちに続いてフィールドに向かおうとすると……心配そうに俺を見ている小町と目が合う
俺は心配するなという意味を込めて、小町に笑いかける
それを見た小町は頷き、生徒たちのあとを追った
◇◇◇
誰もいなくなった教室に長い黒髪が揺れる
艶のある黒髪を耳へ掛け、ゆっくりと立ち上がる
中等部三年ランキング第一位
九条 凛
教室に残っているのは彼女一人だけ
学年最強と評される少女は、窓の外へ視線を向ける
向かう先はデュエルフィールド
「世界を知るデュエリスト……ですか」
凛は静かに歩き出した
◇◇◇
デュエルアカデミア内・第一デュエルフィールド
私と瑠奈は最前列にいた
周りを見渡せば
三年A組のみんながフィールドを囲んでいる
そりゃそうだよね
新任の先生が
いきなり生徒とデュエルするんだもん
しかも相手は――
「小町……」
隣にいる瑠奈が
心配そうに私を見る
「先生って……ほんとに強いの?」
「え?」
「だって黒機はランキング18位のランカーだよ?」
私は改めて黒機くんを見る
そういえば……
ランキング18位って
普通に考えたらかなり強い
学年でもトップクラスだ
それでも……
「私も久しぶりにデュエルするとこ見るけど……お兄ちゃんは強いよ」
だって――
お兄ちゃんが負けるところなんて
想像できなかった
◇◇◇
デュエルフィールドの中央
俺はゆっくりとデュエルディスクを構える
目の前には
同じくデュエルディスクを構える新任の先生……
その佇まいに、デュエルが始まってもないのに俺はプレッシャーを感じる
俺のデュエリストの勘が、この人は強いと告げていた
だけど……
「先生……全力で挑ませてもらいます」
俺だって上位ランカーの意地がある
簡単に負けられない!
「ああ……お前の全力で、俺に挑んでこい!」
「「デュエル!!!」」
ターン1 黒機 LP8000
「俺のターン!ドロー!!」
よし!
初手の手札は悪くない
まずは……こいつから!
「レッド・ガジェットを攻撃表示召喚!」
赤い装甲を身にまとった小型の機械兵が、金属音を響かせながらフィールドへ姿を現す
────
レッド・ガジェット
地属性
レベル4
ATK 1300
DEF 1500
機械族/効果
①:このカードが召喚・特殊召喚に成功した時に発動できる
デッキから「イエロー・ガジェット」1体を手札に加える
────
「効果により!イエロー・ガジェットを手札に加える!」
デュエルディスクが淡く光り
一枚のカードが俺の手札へ加わる
よし
これで次に繋がる
「そして、カードを2枚伏せて……ターンエンド!」
まずは予定通りだな……
先生……
世界で戦ってきたという実力を
見せてもらいます
◇◇◇
ターン2 雄輝 LP8000
「俺のターン!ドロー!」
ガジェットデッキか……
このデッキの最大の特徴は
一体の召喚が次の一体へと繋がっていくこと
継戦能力の高さだ
そして、ガジェットデッキは
使用者によって戦い方が大きく変わる
小型の機械族を繋いでいくからこそ
最後に何を切り札にするかは
デュエリスト次第だ
なら、まずは――
「《E・HERO フェザーマン》を攻撃表示で召喚!」
白い翼を広げた若き英雄が
風をまといながらフィールドへ舞い降りる
────
E・HERO フェザーマン
風属性
レベル3
ATK 1000
DEF 1000
戦士族/通常
風を操り空を舞う翼を持ったE・HERO
天空からの一撃、フェザーブレイクで悪を裁く
────
「さらにリバースカードを1枚伏せてターンエンドだ」
相手の切り札を見極める!
◇◇◇
ターン3 黒機 LP8000
「俺のターン!ドロー!」
……さっきのターン、先生はあまり動いてこなかった
俺の様子を伺ってるって感じ……か?
それとも何か狙いが……
ダメだ!
相手に惑わされてたら、こっちのペースが乱れる
ここは迷わない!
「手札から《イエロー・ガジェット》を攻撃表示で召喚!」
黄色い装甲を身にまとった小型の機械兵が、金属音を響かせながらフィールドへ姿を現す
────
《イエロー・ガジェット》
地属性
レベル4
ATK 1200
DEF 1200
機械族/効果
①:このカードが召喚・特殊召喚に成功した時に発動できる
デッキから「グリーン・ガジェット」1体を手札に加える
────
「効果により、グリーン・ガジェットを手札へ加える!」
再びデュエルディスクが淡く光り
カードが俺の手札に加わる
いくぞ!
「バトル! レッド・ガジェットでフェザーマンを攻撃!」
レッド・ガジェットがフェザーマンに襲いかかる
よし!
これでフェザーマンを……っ
「リバースカードオープン!《攻撃の無力化》!」
────
《攻撃の無力化》
カウンター罠
①:相手モンスターの攻撃宣言時、その攻撃モンスター1体を対象として発動できる
その攻撃を無効にする
その後、バトルフェイズを終了する
────
「なにっ!?」
不可思議なバリアがフェザーマンの前に展開し
レッド・ガジェットの攻撃を防ぐ
「そう簡単にライフを削らせないぜ?」
先生は口元に笑みを浮かべながら俺に言う
「くっ……ターンエンドです」
フェザーマンを破壊できなかったが
俺には2枚の伏せカードがある
もし先生が特殊召喚してきたなら
《神の警告》を発動して無効化できる
攻撃されても《聖なるバリア −ミラーフォース−》がある……
焦るな
大丈夫だ
◇◇◇
私はフェザーマンを見つめる
「……フェザーマン」
久しぶりに見る、お兄ちゃんのデュエル
視線をお兄ちゃんに向けると、私は思わず微笑んだ
「ふふ……やっぱり、お兄ちゃんは変わってないね」
視線の先にはーー
心からデュエルを楽しんでいるような顔をしている兄の姿があった