戦姫絶唱シンフォギア ~守護の剣は幼馴染を救いたい~   作:きりやんやん

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第十話 守護の聖遺物

 

 

翌日。

 

海斗は弦十郎と共に、特異災害対策機動二課の研究施設へ向かっていた。

 

外から見れば、ただの研究施設。

 

しかし。

 

一歩中へ入った瞬間、空気が変わる。

 

無数のモニター。

 

特殊な隔壁。

 

見たこともない機械。

 

ここが、ノイズと戦う者たちの拠点なのだと実感する。

 

「驚いたか?」

 

隣を歩く弦十郎が尋ねる。

 

「はい。」

 

海斗は正直に答える。

 

「前世……いや。」

 

言いかけて止める。

 

危ない。

 

余計なことを言うところだった。

 

「今まで普通の生活しかしていなかったので。」

 

弦十郎は笑う。

 

「それが普通だ。」

 

「本来なら、君のような少年が関わる場所ではない。」

 

その言葉に、海斗は少し黙った。

 

「でも。」

 

「俺は関わります。」

 

「守りたいものがあるから。」

 

弦十郎は静かに頷いた。

 

◇

 

施設内を一通り案内される。

 

訓練区画。

 

医療区画。

 

データ解析室。

 

そして。

 

「ここが研究部門だ。」

 

弦十郎が扉を開ける。

 

そこには大量の資料と、巨大な分析装置が並んでいた。

 

「ここで聖遺物やノイズについて解析している。」

 

「そして。」

 

弦十郎が声をかける。

 

「彼女が担当者だ。」

 

振り返った女性。

 

白衣。

 

穏やかな笑顔。

 

しかし。

 

その瞳には強い知性が宿っていた。

 

「初めまして。櫻井了子よ♪」

 

「佐々木海斗です。」

 

海斗も頭を下げる。

 

了子はすぐに海斗の胸元へ視線を向けた。

 

「それが……アロンダイトの欠片ね。」

 

「はい。」

 

「興味深いわ。」

 

了子は近付く。

 

「少し検査をさせてもらってもいいかしら?」

 

「もちろんです。」

 

◇

 

検査が始まる。

 

特殊な機械で欠片を解析する。

 

しかし。

 

しばらくして。

 

了子の表情が変わった。

 

「……面白い。」

 

「何か分かりましたか?」

 

海斗が尋ねる。

 

了子はデータを確認しながら答える。

 

「この聖遺物。」

 

「普通の聖遺物とは少し違うわね。」

 

「違う?」

 

「ええ。」

 

「通常、聖遺物はエネルギー源として存在する。」

 

「でも、これは……。」

 

了子は海斗を見る。

 

「まるで意思を持っているように反応している。」

 

海斗は少し固まる。

 

「……分かるんですか?」

 

「ええ。」

 

了子は微笑む。

 

「あなた。」

 

「アロンダイトと会話しているでしょう?」

 

海斗の心臓が跳ねる。

 

「……。」

 

「驚かないのね。」

 

「いや……。」

 

海斗は言葉を選ぶ。

 

「普通は信じないと思ったので。」

 

了子は興味深そうに笑う。

 

「確かに。」

 

「聖遺物と意思疎通をしているなんて、普通なら考えない。」

 

「でも。」

 

了子は欠片を見る。

 

「この反応なら納得できる。」

 

「この子は……他の聖遺物とは違う。」

 

その言葉に、海斗は胸元を見る。

 

『彼女は鋭いな。』

 

アロンダイトの声が響く。

 

「……。」

 

『警戒する必要はない。』

 

『ただ、観察されている。』

 

海斗は小さく頷く。

 

◇

 

検査の後。

 

「実は。」

 

了子が言った。

 

「君のアロンダイトには、本体が存在するの。」

 

海斗は目を見開く。

 

「本体?」

 

「ええ。」

 

「あなたが持っているのは、あくまで一部。」

 

「本来の形が別に保存されている。」

 

案内された先。

 

そこには巨大なガラスケースがあった。

 

内部。

 

静かに眠る一本の剣。

 

いや。

 

剣だけではない。

 

盾。

 

鎧。

 

それらが一体となった、守護騎士の姿。

 

「これが……。」

 

海斗は息を呑む。

 

「アロンダイト。」

 

長い年月を越えて眠っていた聖遺物。

 

その姿を、初めて見る。

 

その瞬間。

 

胸元の欠片が強く輝いた。

 

「……!?」

 

海斗が手を押さえる。

 

『……。』

 

アロンダイトが震える。

 

「アロンダイト?」

 

『我が本体。』

 

『長き時を経て、再び対面するか。』

 

光が強くなる。

 

ガラスケースの中。

 

アロンダイト本体が淡い光に包まれる。

 

研究員たちが慌てる。

 

「エネルギー反応上昇!」

 

「何が起きている!?」

 

しかし。

 

止められない。

 

本体は光の粒子となり。

 

ゆっくりと。

 

海斗の持つ欠片へ吸い込まれていく。

 

「……。」

 

誰も声を出せない。

 

そして。

 

全ての光が消えた。

 

海斗の手の中に残ったもの。

 

それは。

 

縦横わずか3センチほどの、小さな石。

 

盾の形をした結晶だった。

 

「……これが?」

 

了子が呟く。

 

海斗は手の中の石を見る。

 

すると。

 

アロンダイトの声が響いた。

 

『完全ではない。』

 

『だが、これで本来の力へ近付いた。』

 

海斗は静かに握り締める。

 

「また一緒に戦えるのか。」

 

『無論。』

 

『汝が守ることを望む限り。』

 

白銀の光が、ほんの一瞬だけ輝いた。

 

了子はその光景を見つめながら、小さく呟く。

 

「……やっぱり。」

 

「これは、ただの聖遺物じゃない。」

 

「意思を持つ聖遺物……ね……。」

 

研究所に新たな謎が生まれる。

 

そして。

 

海斗とアロンダイトの絆は、新たな段階へ進もうとしていた。

 

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