戦姫絶唱シンフォギア ~守護の剣は幼馴染を救いたい~   作:きりやんやん

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第十話 守護の聖遺物

 

 

翌日。

 

海斗は弦十郎と共に、特異災害対策機動二課の研究施設へ向かっていた。

 

外から見れば、ただの研究施設。

 

しかし。

 

一歩中へ入った瞬間、空気が変わる。

 

無数のモニター。

 

特殊な隔壁。

 

見たこともない機械。

 

ここが、ノイズと戦う者たちの拠点なのだと実感する。

 

「驚いたか?」

 

隣を歩く弦十郎が尋ねる。

 

「はい。」

 

海斗は正直に答える。

 

「前世……いや。」

 

言いかけて止める。

 

危ない。

 

余計なことを言うところだった。

 

「今まで普通の生活しかしていなかったので。」

 

弦十郎は笑う。

 

「それが普通だ。」

 

「本来なら、君のような少年が関わる場所ではない。」

 

その言葉に、海斗は少し黙った。

 

「でも。」

 

「俺は関わります。」

 

「守りたいものがあるから。」

 

弦十郎は静かに頷いた。

 

 

施設内を一通り案内される。

 

訓練区画。

 

医療区画。

 

データ解析室。

 

そして。

 

「ここが研究部門だ。」

 

弦十郎が扉を開ける。

 

そこには大量の資料と、巨大な分析装置が並んでいた。

 

「ここで聖遺物やノイズについて解析している。」

 

「そして。」

 

弦十郎が声をかける。

 

「彼女が担当者だ。」

 

振り返った女性。

 

白衣。

 

穏やかな笑顔。

 

しかし。

 

その瞳には強い知性が宿っていた。

 

「初めまして。櫻井了子よ♪」

 

「佐々木海斗です。」

 

海斗も頭を下げる。

 

了子はすぐに海斗の胸元へ視線を向けた。

 

「それが……アロンダイトの欠片ね。」

 

「はい。」

 

「興味深いわ。」

 

了子は近付く。

 

「少し検査をさせてもらってもいいかしら?」

 

「もちろんです。」

 

 

検査が始まる。

 

特殊な機械で欠片を解析する。

 

しかし。

 

しばらくして。

 

了子の表情が変わった。

 

「……面白い。」

 

「何か分かりましたか?」

 

海斗が尋ねる。

 

了子はデータを確認しながら答える。

 

「この聖遺物。」

 

「普通の聖遺物とは少し違うわね。」

 

「違う?」

 

「ええ。」

 

「通常、聖遺物はエネルギー源として存在する。」

 

「でも、これは……。」

 

了子は海斗を見る。

 

「まるで意思を持っているように反応している。」

 

海斗は少し固まる。

 

「……分かるんですか?」

 

「ええ。」

 

了子は微笑む。

 

「あなた。」

 

「アロンダイトと会話しているでしょう?」

 

海斗の心臓が跳ねる。

 

「……。」

 

「驚かないのね。」

 

「いや……。」

 

海斗は言葉を選ぶ。

 

「普通は信じないと思ったので。」

 

了子は興味深そうに笑う。

 

「確かに。」

 

「聖遺物と意思疎通をしているなんて、普通なら考えない。」

 

「でも。」

 

了子は欠片を見る。

 

「この反応なら納得できる。」

 

「この子は……他の聖遺物とは違う。」

 

その言葉に、海斗は胸元を見る。

 

『彼女は鋭いな。』

 

アロンダイトの声が響く。

 

「……。」

 

『警戒する必要はない。』

 

『ただ、観察されている。』

 

海斗は小さく頷く。

 

 

検査の後。

 

「実は。」

 

了子が言った。

 

「君のアロンダイトには、本体が存在するの。」

 

海斗は目を見開く。

 

「本体?」

 

「ええ。」

 

「あなたが持っているのは、あくまで一部。」

 

「本来の形が別に保存されている。」

 

案内された先。

 

そこには巨大なガラスケースがあった。

 

内部。

 

静かに眠る一本の剣。

 

いや。

 

剣だけではない。

 

盾。

 

鎧。

 

それらが一体となった、守護騎士の姿。

 

「これが……。」

 

海斗は息を呑む。

 

「アロンダイト。」

 

長い年月を越えて眠っていた聖遺物。

 

その姿を、初めて見る。

 

その瞬間。

 

胸元の欠片が強く輝いた。

 

「……!?」

 

海斗が手を押さえる。

 

『……。』

 

アロンダイトが震える。

 

「アロンダイト?」

 

『我が本体。』

 

『長き時を経て、再び対面するか。』

 

光が強くなる。

 

ガラスケースの中。

 

アロンダイト本体が淡い光に包まれる。

 

研究員たちが慌てる。

 

「エネルギー反応上昇!」

 

「何が起きている!?」

 

しかし。

 

止められない。

 

本体は光の粒子となり。

 

ゆっくりと。

 

海斗の持つ欠片へ吸い込まれていく。

 

「……。」

 

誰も声を出せない。

 

そして。

 

全ての光が消えた。

 

海斗の手の中に残ったもの。

 

それは。

 

縦横わずか3センチほどの、小さな石。

 

盾の形をした結晶だった。

 

「……これが?」

 

了子が呟く。

 

海斗は手の中の石を見る。

 

すると。

 

アロンダイトの声が響いた。

 

『完全ではない。』

 

『だが、これで本来の力へ近付いた。』

 

海斗は静かに握り締める。

 

「また一緒に戦えるのか。」

 

『無論。』

 

『汝が守ることを望む限り。』

 

白銀の光が、ほんの一瞬だけ輝いた。

 

了子はその光景を見つめながら、小さく呟く。

 

「……やっぱり。」

 

「これは、ただの聖遺物じゃない。」

 

「意思を持つ聖遺物……ね……。」

 

研究所に新たな謎が生まれる。

 

そして。

 

海斗とアロンダイトの絆は、新たな段階へ進もうとしていた。

 

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