戦姫絶唱シンフォギア ~守護の剣は幼馴染を救いたい~   作:きりやんやん

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第十四話 新たな奏者

 

 

最後のノイズが、翼の剣によって切り裂かれる。

 

「これで終わりだ。」

 

蒼い剣閃が夜空を駆け抜け、最後の一体が光の粒子となって消滅した。

 

静寂が訪れる。

 

響はその場に座り込み、大きく息を吐いた。

 

「はぁ……はぁ……。」

 

まだ鼓動が速い。

 

身体に纏っていたオレンジ色のシンフォギアは、光の粒子となってゆっくりと消えていく。

 

装甲が消え、制服姿へ戻った響は、自分の両手を何度も見つめた。

 

「夢……じゃないよね……。」

 

「残念ながら、夢じゃない。」

 

海斗が苦笑しながら近づく。

 

彼もアロンダイトを解除し、いつもの制服姿へ戻っていた。

 

「海斗……。」

 

響は安心したように海斗の名前を呼ぶ。

 

「私……。」

 

「なんか、変な力が……。」

 

「分かってる。」

 

海斗は優しく頷いた。

 

「今は何も考えなくていい。」

 

「全部説明するから。」

 

その時だった。

 

「海斗君。」

 

翼が歩み寄ってくる。

 

先ほどまでの戦闘時とは違い、落ち着いた表情だった。

 

「司令がお待ちだ。」

 

「……やっぱりですか。」

 

海斗は苦笑する。

 

「当然だ。」

 

翼は響へ視線を向けた。

 

「君にも来てもらう。」

 

突然話を振られた響は戸惑う。

 

「え?わ、私も?」

 

「君の身に起きた現象について検査と確認が必要だ。」

 

響は不安そうに海斗を見る。

 

「海斗……。」

 

その視線だけで十分だった。

 

海斗は安心させるように笑う。

 

「俺も一緒に行く。」

 

「大丈夫。一人にはしないよ。」

 

響は小さく頷いた。

 

「……うん。」

 

翼はそんな二人を見て、小さく息を吐く。

 

「司令からも言われている。」

 

「海斗君。」

 

「彼女のことは君が責任を持って支えてやってくれ。」

 

「精神的にも、今の彼女には君が必要だ。」

 

「分かりました。」

 

海斗は真剣な表情で答えた。

 

 

数十分後。

 

特異災害対策機動部二課 本部。

 

地下施設へ到着すると、響は辺りを見回していた。

 

「すごい……。」

 

テレビでしか見たことのないような設備。

 

忙しそうに行き交う職員。

 

大型モニター。

 

どれも現実離れしている。

 

「おかえり。」

 

低く響く声。

 

「無事でなにより。」

 

風鳴弦十郎だった。

 

「司令。」

 

海斗が頭を下げる。

 

「お久しぶりです。」

 

「ああ。」

 

弦十郎は海斗の肩を軽く叩く。

 

「今回もよくやってくれた。」

 

「ありがとうございます。」

 

響は戸惑ったように二人を見る。

 

「海斗……。」

 

「司令さんと知り合いなの?」

 

「あー……。」

 

海斗は苦笑する。

 

「二年前のライブ事件で色々あって。それからちょこちょこ・・・な。」

 

「それ以来、少し協力してるんだ。」

 

「えぇっ!?そうだったの!?」

 

響は目を丸くした。

 

「話せなかったんだ。ごめん。」

 

「う、ううん……。」

 

まだ混乱が勝っている。

 

その様子を見て、弦十郎が笑った。

 

「積もる話は後だ。まずは自己紹介からだな。」

 

その時。

 

白衣を着た女性が部屋へ入ってきた。

 

「失礼するわよ~。君が響ちゃんね!検査の準備ができてるわよ~。」

 

櫻井了子。

 

特異災害対策機動部二課 主任研究員。

 

「初めまして。」

 

了子は柔らかく微笑む。

 

「私は櫻井了子。」

 

「こちらで聖遺物の研究を担当しています。」

 

「立花響です。」

 

響は慌てて頭を下げる。

 

「これからよろしくね♪」

 

了子は優しく笑った。

 

「そんなに緊張しなくて大丈夫。」

 

「今日は少し身体を調べさせてもらうだけだから。」

 

「どうしてですか?」

 

響がおずおずと尋ねる。

 

了子はモニターへ視線を向けた。

 

「あなたは本来、シンフォギアを纏えるはずのない一般人。」

 

「それなのにガングニールの反応を感知した。」

 

「その理由を調べたいの。」

 

「私にも……分からないんです。」

 

響は胸へ手を当てる。

 

「気付いたら歌が聞こえて……。」

 

「気付いたら変身していて……。」

 

「だからこそ調べる必要があるのよ。」

 

了子は優しく微笑んだ。

 

「怖くないわ。痛い検査もしないから安心して。」

 

海斗も隣から声を掛ける。

 

「俺もここにいる。安心して受けてこい。」

 

響は少しだけ表情を和らげた。

 

「……うん。」

 

 

数時間後。

 

検査室。

 

大型モニターには、響の身体データが次々と表示されていた。

 

了子は静かに解析結果を眺める。

 

そして。

 

小さく息を吐いた。

 

「やっぱり……。」

 

弦十郎が尋ねる。

 

「分かったのか?」

 

「ええ。」

 

了子はモニターへ映し出された胸部の画像を指差す。

 

「二年前。」

 

「ツヴァイウィングライブ会場で胸部へ刺さった破片。」

 

「その欠片が、ガングニールの破片だった事と響ちゃんの体内残っていることが分かったわ。」

 

部屋に静寂が訪く。

 

響は自分の胸へそっと手を当てた。

 

「じゃあ……。二年前のあの時……?」

 

了子は静かに頷く。

 

「ええ。あなたは二年間、このガングニールの欠片と共に生きてきた。」

 

「そして今日。」

 

「ノイズとの遭遇をきっかけに、その力が完全に覚醒した。」

 

響は言葉を失う。

 

二年前の出来事が。

 

今日の自分へ繋がっていた。

 

その事実は、あまりにも衝撃的だった。

 

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