戦姫絶唱シンフォギア ~守護の剣は幼馴染を救いたい~   作:きりやんやん

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第十七話 小さな出会いと、知らない少女

 

 

ノイズとの戦闘から数日。

 

二課本部では、響のシンフォギア適合についての調査が続いていた。

 

「ガングニールの欠片が二年前から響の身体に存在していた……」

 

櫻井了子は資料を確認しながら呟く。

 

「本来なら考えられないことなのよね」

 

「でも、現実に響ちゃんは適合している」

 

弦十郎が腕を組む。

 

「つまり、理由を探る必要があるということだな」

 

その会話を少し離れた場所で聞いていた海斗は、複雑な表情を浮かべていた。

 

(原作通りなら……次に来るのはクリス)

 

 

 

雪音クリス。

 

 

 

敵として現れ、孤独を抱えた少女。

 

海斗は知っている。 

 

彼女が本当は、誰よりも優しい心を持っていることを。

 

 

 

だからこそ。

 

「今度は……間に合わせたい」

 

 

 

小さく呟く。

 

しかし。

 

未来を知っているからといって、全てを変えられるわけではない。

 

 

 

響の時もそうだった。

 

運命を避けるだけではなく、その先でどう支えるか。

 

 

アロンダイトの言葉が頭に浮かぶ。

 

『守護とは、未来を奪うことではない』

 

『その者が歩む道を支えることだ』

 

「…分かってるよ」

 

 

 

海斗は首元のペンダントに触れる。

 

 

 

「今度は……間違えない」

 

 

 

---

 

 

 

その日の帰り道。

 

海斗は街中を歩いていた。

 

特別な理由があったわけではない。

 

二課での検査が続き、少し気分転換をしたかっただけだった。

 

そんな時。

 

 

 

「……」

 

 

 

路地裏から、小さな物音が聞こえた。

 

 

 

気になって覗き込む。

 

 

 

そこにいたのは。

 

 

 

一人の少女だった。

 

 

 

白い髪。

 

 

 

鋭い目つき。

 

 

 

そして。

 

 

 

明らかに不機嫌そうな表情。

 

 

 

「……」 

 

少女は何も言わず、ただ店の前に立っていた。

 

海斗はすぐに気づく。 

 

(雪音クリス……)

 

 

 

間違えるはずがない。

 

 

 

「……君、腹減ってるのか?」

 

 

 

その瞬間。

 

 

 

少女の肩がわずかに動いた。

 

「…は?」

 

睨まれる。

 

「別に」

 

 

 

しかし。

 

その直後。

 

彼女の腹から小さな音が鳴った。

 

 

「……」

「……」

 

「今のは聞かなかったことにする」

 

海斗が言うと、少女は顔を赤くした。 

 

「……余計なこと言うな///」

 

「あー、、、飯くらいなら奢る」

 

「知らない奴から施しなんて――」

 

「じゃあ貸しでいい」

 

海斗は笑う。

 

「いつか返してくれればいいからさ」

 

少女は警戒した目を向ける。

 

しかし。

 

 

 

空腹には勝てなかった。

 

 

 

---

 

 

 

路地裏の小さな食堂。

 

テーブルの上には料理が並んでいた。

 

クリスは最初こそ警戒していたが。

 

(もぐもぐもぐもぐもぐ)

 

食べる。

 

そして。

 

「……うまい」

 

小さく呟いた。 

 

海斗は思わず笑う。

 

「良かったな」

 

「笑うな」

 

「いや、普通に安心しただけ」

 

「……変な奴」

 

 

 

そう言いながらも。

 

 

 

クリスの表情は少しだけ柔らかくなっていた。

 

「名前」

 

「え?」 

 

「名前くらい聞いておく」

 

「佐々木海斗だ」

 

「雪音クリス…」

 

互いに名乗る。

 

 

 

その瞬間。

 

海斗は確信した。 

 

(やっぱり……)

 

(この子は敵じゃない)

 

 

 

原作では敵として現れた少女。

 

 

 

でも。

 

 

 

今目の前にいる彼女は。

 

 

 

ただ寂しくて。

 

 

 

ただ誰かに認めてもらいたいだけの少女だった。

 

 

 

---

 

 

 

一方、その頃。

 

響は学校で友人たちと話していた。

 

「ねえ響、響」

 

「んー?」

 

スマホを見せられる。

 

 

 

そこには。

 

 

 

街中の食堂で。

 

海斗と知らない白髪の少女が一緒にいる写真。

 

 

 

「これ響がよく言ってる海斗君じゃない?」

 

「……誰?この娘?」

 

 

 

響の表情が固まる。

 

まばたきもせず、写真を見る。

 

そこには楽しそうに話している海斗。 

 

普段、自分にしか見せないような笑顔。

 

 

 

それを知らない少女に向けている。

 

 

 

「……」

 

「あれ?響?」

 

「……」

 

「おーい?大丈夫かー?ひびきさーん?」

 

「……」

 

「…ダメだこりゃ」

 

 

---

 

 

 

夜。

 

 

 

海斗は帰宅途中、空を見上げる。

 

「クリス……」

 

彼女を救うことができるのか。

 

 

 

まだ分からない。

 

だが。

 

以前とは違う。

 

 

 

今は響、翼、奏、そして二課のみんな。

 

そしてアロンダイトもいる。

 

アロンダイトが語りかける。

 

『新たな生命との接触を確認』

 

「……ああ」 

 

『守護対象か』

 

 

 

海斗は少し考える。

 

 

 

そして答える。

 

「まだ分からない」

 

「でも、助けられるなら、助けたい」

 

 

 

その答えに。

 

アロンダイトは静かに反応した。 

 

『守護者としての判断を確認、記録する』

 

こうして。

 

 

 

戦場へ向かう前の小さな出会いが生まれた。

 

孤独な少女と。

 

守りたいと願う少年。

 

 

 

二人の出会いは。

 

やがて大きな運命を変えていく。

 

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