戦姫絶唱シンフォギア ~守護の剣は幼馴染を救いたい~ 作:きりやんやん
ノイズとの戦闘から数日。
二課本部では、響のシンフォギア適合についての調査が続いていた。
「ガングニールの欠片が二年前から響の身体に存在していた……」
櫻井了子は資料を確認しながら呟く。
「本来なら考えられないことなのよね」
「でも、現実に響ちゃんは適合している」
弦十郎が腕を組む。
「つまり、理由を探る必要があるということだな」
その会話を少し離れた場所で聞いていた海斗は、複雑な表情を浮かべていた。
(原作通りなら……次に来るのはクリス)
雪音クリス。
敵として現れ、孤独を抱えた少女。
海斗は知っている。
彼女が本当は、誰よりも優しい心を持っていることを。
だからこそ。
「今度は……間に合わせたい」
小さく呟く。
しかし。
未来を知っているからといって、全てを変えられるわけではない。
響の時もそうだった。
運命を避けるだけではなく、その先でどう支えるか。
アロンダイトの言葉が頭に浮かぶ。
『守護とは、未来を奪うことではない』
『その者が歩む道を支えることだ』
「…分かってるよ」
海斗は首元のペンダントに触れる。
「今度は……間違えない」
---
その日の帰り道。
海斗は街中を歩いていた。
特別な理由があったわけではない。
二課での検査が続き、少し気分転換をしたかっただけだった。
そんな時。
「……」
路地裏から、小さな物音が聞こえた。
気になって覗き込む。
そこにいたのは。
一人の少女だった。
白い髪。
鋭い目つき。
そして。
明らかに不機嫌そうな表情。
「……」
少女は何も言わず、ただ店の前に立っていた。
海斗はすぐに気づく。
(雪音クリス……)
間違えるはずがない。
「……君、腹減ってるのか?」
その瞬間。
少女の肩がわずかに動いた。
「…は?」
睨まれる。
「別に」
しかし。
その直後。
彼女の腹から小さな音が鳴った。
「……」
「……」
「今のは聞かなかったことにする」
海斗が言うと、少女は顔を赤くした。
「……余計なこと言うな///」
「あー、、、飯くらいなら奢る」
「知らない奴から施しなんて――」
「じゃあ貸しでいい」
海斗は笑う。
「いつか返してくれればいいからさ」
少女は警戒した目を向ける。
しかし。
空腹には勝てなかった。
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路地裏の小さな食堂。
テーブルの上には料理が並んでいた。
クリスは最初こそ警戒していたが。
(もぐもぐもぐもぐもぐ)
食べる。
そして。
「……うまい」
小さく呟いた。
海斗は思わず笑う。
「良かったな」
「笑うな」
「いや、普通に安心しただけ」
「……変な奴」
そう言いながらも。
クリスの表情は少しだけ柔らかくなっていた。
「名前」
「え?」
「名前くらい聞いておく」
「佐々木海斗だ」
「雪音クリス…」
互いに名乗る。
その瞬間。
海斗は確信した。
(やっぱり……)
(この子は敵じゃない)
原作では敵として現れた少女。
でも。
今目の前にいる彼女は。
ただ寂しくて。
ただ誰かに認めてもらいたいだけの少女だった。
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一方、その頃。
響は学校で友人たちと話していた。
「ねえ響、響」
「んー?」
スマホを見せられる。
そこには。
街中の食堂で。
海斗と知らない白髪の少女が一緒にいる写真。
「これ響がよく言ってる海斗君じゃない?」
「……誰?この娘?」
響の表情が固まる。
まばたきもせず、写真を見る。
そこには楽しそうに話している海斗。
普段、自分にしか見せないような笑顔。
それを知らない少女に向けている。
「……」
「あれ?響?」
「……」
「おーい?大丈夫かー?ひびきさーん?」
「……」
「…ダメだこりゃ」
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夜。
海斗は帰宅途中、空を見上げる。
「クリス……」
彼女を救うことができるのか。
まだ分からない。
だが。
以前とは違う。
今は響、翼、奏、そして二課のみんな。
そしてアロンダイトもいる。
アロンダイトが語りかける。
『新たな生命との接触を確認』
「……ああ」
『守護対象か』
海斗は少し考える。
そして答える。
「まだ分からない」
「でも、助けられるなら、助けたい」
その答えに。
アロンダイトは静かに反応した。
『守護者としての判断を確認、記録する』
こうして。
戦場へ向かう前の小さな出会いが生まれた。
孤独な少女と。
守りたいと願う少年。
二人の出会いは。
やがて大きな運命を変えていく。