戦姫絶唱シンフォギア ~守護の剣は幼馴染を救いたい~   作:きりやんやん

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第十八話 知らない少女、知っている優しさ

 

 

二課本部。

 

「未確認の反応…。」

 

櫻井了子がモニターを確認しながら説明する。

 

「ノイズとは違う。でも、通常兵器とも違う」

 

表示されているデータ。

 

それは、聖遺物反応に近いものだった。

 

「新しい聖遺物……」

 

翼が呟く。

 

「可能性はあるわね」

 

了子は頷く。

 

「ただし、ガングニールや天羽々斬とは違う反応よ」

 

その言葉を聞き、海斗は静かに目を伏せた。

 

(雪音クリス)

 

頭に浮かぶのは、白髪の少女。

 

イチイバルの奏者。

 

そして、孤独を抱えた少女。

 

原作では敵として現れた。

 

だけど。

 

今、海斗が知っている彼女は違う。

 

空腹を隠して、強がっていただけの少女だった。

 

「海斗君?」

 

響の声で我に返る。

 

「大丈夫?」

 

「……ああ」

 

海斗は笑う。

 

「少し考え事してただけ」

 

響は少し不安そうな顔をする。

 

「最近、海斗って無理してない?」

 

「してないよ」

 

「本当?」

 

「本当だって」

 

そう答えるが、響は納得していない様子だった。

 

「……海斗」

 

「ん?」

 

「私にだって、頼っていいんだからね」

 

その言葉に、海斗は少し驚いた。

 

昔から守るべき存在だと思っていた響。

 

でも今は違う。

 

彼女はもう、自分の意思で戦うことを決めた。

 

「ありがとう」

 

海斗は笑う。

 

「頼りにしてる」

 

響は嬉しそうに笑った。

 

---

 

数日後。

 

街中。

 

「……また会ったな」

 

「またお前か」

 

海斗の前にいたのは、雪音クリスだった。

 

相変わらず警戒心の強い表情。

 

しかし。

 

以前より少しだけ柔らかい。

 

「今日は飯じゃないぞ」

 

「別に期待してねぇし―」

 

 

そう言った瞬間。

 

 

ぐー

 

 

クリスのお腹が鳴る。

 

どこかで見た沈黙。

 

「……」

「……」

 

「何か言いたいことは?」

 

「〇す///」

 

クリスは顔を赤くする。

 

海斗は笑った。

 

「じゃあ、何か食べるか?」

 

「……」

 

「また貸しでいい」

 

「そればっかだな」

 

「いつか返してくれればいいから」

 

クリスは少し迷った後。

 

小さく頷いた。

 

---

 

それから。

 

二人が街で会うことは増えていった。

 

特別な約束をしたわけではない。

 

ただ偶然会う。

 

一緒に食事をする。

 

ゲームセンターへ行く。

 

買い物に付き合う。

 

そんな普通の日常。

 

クリスにとっては。

 

今まで知らなかった時間だった。

 

「……お前」

 

「ん?」

 

「変な奴だよな」

 

ゲームセンターの景品を眺めながらクリスが言う。

 

「普通、私みたいなのに近づかねぇだろ」

 

「そうかな」

 

「そうだよ」

 

海斗は少し考える。

 

「俺はクリスが悪い奴には見えないから」

 

その言葉に。

 

クリスは一瞬黙る。

 

「……」

 

「それに美人だし」

 

「いや」

 

クリスは顔を背ける。

 

「そういうこと、簡単に言うな」

 

「?」

 

「……調子狂う」

 

---

 

そして。

 

その様子を見ていた人物がいた。

 

立花響。

 

「……」

 

隣には小日向未来。

 

「響、怖い顔してるよ」

 

「うん」

 

「いや、目に光が無いんだけど」

 

未来がスマホを見る。

 

そこには。

 

海斗と白髪の少女が楽しそうに歩いている写真。

 

「……」

 

 

---

 

翌日。

 

放課後。

 

「海斗」

 

「ん?」

 

振り返った瞬間。

 

そこにいたのは響だった。

 

笑顔。

 

 

なのに。

 

 

なぜか少し怖い。

 

「ちょっと話があるんだけど」

 

「わ、分かった」

 

海斗は嫌な予感がした。

 

場所は学校近くの公園。

 

響はベンチに座る。

 

「質問です」

 

「はい」

 

「最近、一緒にいる白髪の女の子は誰ですか」

 

「……は?」

 

「名前は?」

 

「いや、ちょっと待て響s「名前は?」」

 

「…ク、クリスです」

 

「どういう関係?」

 

「友達……かなぁ?」

 

「かな?友達以上の可能性もあるってことかな?」

 

響の目が細くなる。

 

「海斗くん」

 

「くん?「返事」はいっ!」

 

「私、その子と一緒にいるところ何回も見たんだけど」

 

「……」(汗)

 

「しかも」

 

響はスマホを取り出す。

 

写真。

 

海斗とクリス。

 

「楽しそうだった」

 

「いやぁ、それはぁ…えーと…」(大汗)

 

「私には見せたことない顔だった」

 

その言葉で。

 

海斗は黙った。

 

響自身も言ってから気づく。

 

(私……何言ってるんだろ)

 

でも。

 

胸の奥がざわついていた。

 

海斗が誰かと仲良くする。

 

それ自体は嬉しいことのはずなのに。

 

「響…」

 

海斗は優しく言う。

 

「心配してくれてるんだろ?」

 

「……」

 

「ありがとう」

 

「……ずるい」

 

「え?」

 

「そうやって優しく言うところ」

 

響は少し頬を膨らませる。

 

「昔から変わらない」

 

海斗は苦笑する。

 

「クリスは友達だよ」

 

「本当に?」

 

「本当に」

 

響はしばらく海斗を見る。

 

そして。

 

「……分かった」

 

「でも」

 

「ちゃんと紹介してね」

 

「え?」

 

「友達なら」

 

響は笑う。

 

「私にも紹介して」

 

どないせぇっちゅうねん(唐突な関西弁

 

---

 

その夜。

 

アロンダイトの欠片が淡く光る。

 

『契約者』

 

『新たな生命との関係構築を確認』

 

「……ああ」

 

海斗は空を見る。

 

「クリスも」

 

「救える未来にしたい」

 

『守護対象として認識するか』

 

海斗は少し考える。

 

そして。

 

「まだ分からない」

 

「でも」

 

「困っているなら助けたい」

 

『了解』

 

『守護対象として記録する』

 

こうして。

 

守護の剣を持つ少年と。

 

孤独を抱えた少女。

 

二人の関係は少しずつ変化していく。

 

そして。

 

その変化を一番近くで見ている幼馴染の少女もまた。

 

自分の気持ちに少しずつ気づき始めていた。

 

---

 

 

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